元気&HealthのJunchanのblogにご訪問ありがとうございます。医療スタッフのメンタルパートナー かたよし純子です♪ 今週のテーマは、脂質異常症です。以前は、高脂血症といわれていましたが、脂質異常症と名称変更され、動脈硬化のリスク因子としてあげられます。脂質異常症にも、さまざまな因子が関係します。運動しているけど、数値が変わらないということも聞きます。今週は、脂質異常症で問題となる、コレステロールと中性脂肪をしっかりまとめていきたいと思います。今日は、その初回、「脂質異常症」を招く原因を中心に、脂質異常症がどうして問題しされるのか、動脈硬化との関連性もみていきましょう。

1.脂質異常症が危険だということ知る3つの説明

1-1 脂質異常症とは?その診断基準

1-2 脂質異常症で気をつけて欲しい動脈硬化とは

1-3 脂質異常症の原因

今日のプラスα

2.脂質異常症その他の合併症

3.脂質異常症⇨動脈硬化⇨さまざまな疾患、動脈硬化に注意!

生理検査アティテュード®からのメッセージ

・人は見た目ではわからない

 

1. 脂質異常症が危険だということ知る3つの説明

脂質異常症とは、血液中の脂質が過剰な状態、もしくは不足している状態をいます。以前は、高脂血症といわれていましたが、日本動脈硬化学会は、2007年に高脂血症から脂質異常症に名称変更され、診断基準が改定されています。

1-1 脂質異常症とは?その診断基準

血液中の脂質には、コレステロール、中性脂肪(トリグリセライド)遊離脂肪酸、リン脂質があります。この中で、コレステロールと中性脂肪が高脂血症に関わるおもな成分となります。

❍「脂質異常症」どうして注意が必要なのか

脂質異常症は、体内のLDLコレステロールや、中性脂肪が多すぎることや、HDLコレステロールが不足してしまうことで脂質異常症となります。一過性にこの状態となっても、さほどの問題にはなりません。ではどうして、生活習慣病として注意喚起が促されるのでしょうか。

体内で脂質異常の状態が持続されることで、血管に支障をもたらす、動脈硬化となりさまざまな疾患の原因となるから問題となるのです。そのため、すみやかに、数値を正常化させるように注意喚起されるのです。

●脂質異常症の絶対リスク

脂質異常となり、内臓脂肪が増えることにより、血中の中性脂肪の増加、HDLコレステロールの減少をきた動脈硬化をおこしやすい状態となります。LDLコレステロールは、内臓脂肪の蓄積との関係は低いとされますが、LDLコレステロールが高値になるとさらに動脈硬化が促進されます。(このコレステロールの説明は、次回のブログで)

「LDLコレステロール管理目標設定のためのフローチャート」というものがあります。この中で日本人のLDLコレステロールの上昇と冠動脈疾患へ移行する絶対リスクという説明があります。その他のリスクとして、糖尿病、慢性腎臓病(CKD)、非心原性脳梗塞、末梢動脈疾患(PAD)などの有無が問われます。動脈硬化をきたしやすい、脂質異常症は、多くの生活習慣病の絶対リスクなりうるということになるのです。

※関連ブログ

❍脂質異常症の診断基準

●空腹時の血液中の数値
  • LDLコレステロール     :140 mg/dl以上
  • HDLコレステロール     :40 mg/dl未満
  • 中性脂肪(トリグリセライド):150 mg/dl以上

以前のブログでも何度がお伝えしていますが、血液中(血清中)の測定値がこのいずれかだと脂質異常症とされます。

脂質異常症 脂質の状態

<脂質異常症 脂質の状態>

●脂質異常症の診断基準

2012年の日本動脈硬化学会「動脈硬化疾患予防ガイドライン2012年度版」の改定で、「脂質異常症の診断基準」のかなでは、新たに「境界域高LDLコレステロール血症」を設定しています。 

  • 境界域高LDLコレステロール  :120~139 mg/dl
●2018年から特定健診にプラスされる項目 non-HDLコレステロール

コレステロールの中でLDLコレステロール以外にも、動脈硬化に関与するものがしてきされています。そのため、総コレステロールからHDLコレステロールを引いたnon-HDLコレステロールを用いることが2018年の特定健診に組み込まれました。よって脂質異常症の診断は以下のようになります。

non-HDLコレステロール=総コレステロールーHDLコレステロール

  • 高non-HDLコレステロール   :170 mg/dl以上
  • 境界型高non-HDLコレステロール:150~169 mg/dl

まとめ直したものが以下の表となります。 

脂質異常症の診断基準 (2018年より)

<脂質異常症の診断基準 2018年特定健診追加

※参考資料「第3期特定健診・特定保健指導に 向けた見直しについて – 厚生労働省

●悪玉コレステロール・善玉コレステロールという呼称

コレステロールは、(次回のブログで改めてまとめていきます)細胞膜やホルモンをつくる材料となる成分です。主に悪玉と呼ばれるLDLコレステロール、善玉と呼ばれるHDLコレステロールの二種類があります。

俗によくメディアなどで、LDLコレステロールを悪玉コレステロール、HDLコレステロールを善玉コレステロールと呼ぶことがありますが、悪玉・善玉とだけ呼ぶと、腸内細菌でも悪玉菌・善玉菌というような表現をすることがあるのでコレステロールと腸内細菌を混同されないように、LDLコレステロール、HDLコレステロールと覚えたほうが良いかと私は思います。

※関連ブログ「CKDのステージと対応その2

 

1-2 脂質異常症で気をつけて欲しい動脈硬化とは

脂質異常症を放置すると、動脈硬化を引き起こすから問題となることをお伝えしました。では、動脈硬化も今回はそのメカニズムをまとめていきましょう。

❍脂質異常症と動脈硬化との関係性

脂質異常症が動脈硬化性疾患をひきおこします。この脂質異常症に関係するのがコレステロールと中性脂肪となります。上記に示したように脂質の中の中性脂肪とLDLコレステロールが高い場合と、HDLコレステロールが低い場合です。この状態が持続されることで、動脈硬化がもたらされます。そして、動脈硬化はさまざまな疾患のリスクのとなることが問題とされています。

血中に増加したLDLコレステロールは、動脈の壁の内側に、脂肪のかたまりを作ります、よく聞くことがあるプラークといわれるものです。プラークが形成されると当然その部分での狭窄が起こりますので、血流を阻害します。阻害され狭くなった血管の内腔は、さまざまな刺激を受け、出血もしやすくなります。身体は、傷ついた血管を修復しよう線維化へと進行していくことになります。

❍脂質異常症から動脈硬化への注意が必要

脂質異常症によって血中の脂質が異常値となる状態が続くと、さまざまな合併症を引き起こします。その引き金になるのが動脈硬化とされています。動脈硬化は進行すると、プラーク形成されますが、プラークは破綻しやすく、破れると血栓が作られます。この血栓が心臓の血管で詰まってしまうと心筋梗塞を発症します。

●動脈硬化が合併症を起こすリスクを高める

この心筋梗塞は、例の一部です。心臓疾患が起きなくても、その他の組織の血管も当然、動脈硬化の状態となる可能性があります。さまざまな疾患の発症危険リスクとなります。

❍動脈硬化とは?

健康な動脈は、弾力性があり心臓から送り出された血液を全身に送り出す機能を持ちます。この血管の柔らかさが失われ、血管壁が厚くなり、硬くなった状態が動脈硬化です。脂質異常症のみではなく、喫煙・肥満・運動不足などのさまざまなリスク因子により動脈硬化は引きおこされます。このリスク因子が複数重なることにより、さらに発症しやすくなるとされ、進行すると、心疾患、脳血管疾患などの重篤な疾患に繋がりやすくなります。

❍動脈硬化の種類

動脈硬化は、おもにその発症する場所と発症のしかたにより大きく3つに分けられます。

  • 粥状動脈硬化(アテローム動脈硬化)
  • 細動脈硬化
  • 中膜硬化(メンケルベルグ型硬化)

通常動脈硬化というと、粥状動脈硬化のことをいいます。この粥状動脈硬化からまとめていきましょう。

❍粥状動脈硬化(アテローム動脈硬化)

アテローム性動脈硬化、粥状動脈硬化は、身体の比較的太い動脈に起こる動脈硬化です。動脈の内膜(血管のいちばん内側)にコレステロールなどの脂質が増加し、血管の内壁にアテローム(粥状)性の膨隆性の沈着を起こします。ドロドロの粥状硬化は、血流を阻害し、血管壁は傷つくために血小板で修復され、血栓を形成し、動脈硬化がさらに進行することになります。大動脈や脳動脈、冠動脈などの太い血管に起こりやすく、徐々に血管壁の肥厚をもたらし、動脈の内腔が狭小化していきます。

●動脈の血管構造

動脈は、3層に分かれています。血管のいちばん内側から「内膜」「中膜」「外膜」と呼びます。頸動脈エコーでIMTという血管壁を測定していますが、内膜と中膜とを合わせた厚さをIMT(内膜中膜複合体)といいますが、この部分を計測しています。

血管構造:内膜・中膜・外膜
・内 膜

血管のいちばん内側、内膜の表面にプラーク形成されます。この内膜には、内皮細胞があり、血管の拡張作用や血液凝固を防ぐことなどさまざまな機能を持ちます。常に血液中のさまざまな物質により刺激を受ける状態となり、高血圧や糖尿病などのリスクにより、血管に負担がかかるとこの内皮細胞が破壊され、正常に機能しなくなると考えられています。

・中 膜

内膜の外側の中膜は、血管としての弾力性を保つ成分、平滑筋細胞などの層構造があります。動脈には、圧がかかりますので、この内膜層は、しなやかさとそれなりに厚みがります。

・外 膜

血管のいちばん外側を囲んでいるのが外膜です。血管外から毛細血管を通じて栄養分などが運ばれます。

血管の構造

<血管の構造 内膜・中膜・外膜>

●粥状動脈硬化(アテローム動脈硬化)のメカニズム
  • 内皮細胞への刺激による破壊

    血管内膜へのさまざまな刺激、高脂血症や、高血糖、喫煙などのリスク因子により、血管の内膜を覆っている血管内皮が傷つけられることにより、身体の機能は修復を試みます。マクロファージ(白血球の一種)は、内膜にLDLコレステロールをどんどん取り込みアテローム(粥状硬化巣)を形成します。血中のLDLコレステロールが多すぎる状態にあると、このマクロファージがさらに脂肪物質の取り込み作業を行うために内膜はさらに肥厚していきます。

  • 傷ついた部分の血管補修のために、血中の血小板が付着して凝集します。その結果さらに内膜が肥厚します。
  • さらに肥大化したアテロームは、表面膜が薄く、破れやすい状態となることもあります。破れるまた血栓が形成され、この状態を繰り返すことにより、動脈硬化は、徐々に進行していき、血管の狭小化や、血流障害、さらには閉塞にまで進行しさまざまな疾患を発症します。

アテローム硬化の原因として、高血圧症、糖尿病、脂質異常症、喫煙、加齢などの生活習慣病が挙げられます。

動脈硬化のメカニズム

<動脈硬化のメカニズム>

●細動脈硬化

脳や腎臓の中の細い血管の動脈硬化です。加齢や高血圧が原因で起こり、高血圧の状態が長く続くことも原因とされています。進行すると血管の破裂をきたし、脳出血の原因(ラクナ梗塞)となる恐れがあるといわれています。

●中膜硬化

動脈の中膜へのカルシウム沈着による石灰化、中膜が壊れやすくなり血管壁が破れることもあります。大動脈や下肢の動脈、頚部の動脈に起こりやすい動脈硬化です。

❍動脈硬化の危険因子5つ

動脈硬化のリスクとして、加齢や精査などもあげられるリスク要因ですがこれらは、変えることも改善させることも出来ません。これらのリスク以外に改善できるものがあります。

動脈硬化の改善できる原因としておもなもの5つをあげておきましょう。

「高血圧」「高脂血症」「喫煙」「肥満」「糖尿病」

この危険因子を数多持つほど、動脈硬化が加速されることが知られています。危険因子の中でも

3大危険因子

「高血圧」「高脂血症」「喫煙」

この3項目が特に重要とされます。

動脈硬化の危険因子

<動脈硬化の危険因子>

 

1-3 脂質異常症の原因

脂質異常症が動脈硬化の原因であり、その動脈硬化の成り立ちまで話を進めてきましたが、ではどうして脂質異常となってしまうのかその原因をまとめていきましょう。

❍脂質異常症の原因による分類

脂質異常症は、発症原因によって「原発性(遺伝性)脂質異常症」と「続発性(二次性)脂質異常症」の2つに大別されます。原発性脂質異常症は、遺伝体質によって発症する脂質異常症の総称とされ、生活習慣とはほぼ関係なく発症します。続発性脂質異常症は、疾患や薬剤が原因で起こる脂質異常症です。原因を取り除くことで脂質異常の改善が期待できるとされます。

●脂質異常症の原因
  • 原発性脂質異常症:遺伝性、遺伝や体質によるもの
  • 続発性脂質異常症:生活習慣やその他の原因(疾患・薬剤)によるもの

❍原発性(遺伝性)脂質異常症

原発性脂質異常症にもいくつかの種類があります。この疾患は、血中のLDLコレステロールを体内に取り込むLDL受容体が生まれつき少ないために発症するとされています。LDLコレステロールや中性脂肪を過剰に産生してしまうもの、HDLコレステロールの産生不足や過剰な除去をもたらす遺伝子変異もあります。遺伝子変異が、遺伝する傾向があり、家族内で多発するとされています。

遺伝性脂質異常症の場合は、脂質を排出する体内機能が阻害される異常のため、血中コレステロール値と中性脂肪の数値が高くなるとされています。

そのなかでも脂質異常を指摘された方は「家族性高コレステロール血症」ということを聞いたことがあるのではないでしょうか。これ以外にも多くの原発性脂質異常症があります。家族性高コレステロール血症は、次回詳しくまとめていきましょう。

●原発性高脂血症の分類

(※厚生省原発性高脂血症調査研究班まとめ より引用)

《原発性高力イロミクロン血症》
  • 家族性リポ蛋白リパーゼ(LPL)欠損症
  • アポリポ蛋白C-Ⅱ欠損症
  • 原発性V型高脂血症
  • その他の原因不明の高カイロミクロン血症
《原発性高コレステロール血症》
  • 家族性高コレステロール血症
  • 家族性複合型高脂血症
《内因性高トリグリセライド血症》
  • 家族性Ⅳ型高脂血症
  • 特発性高トリグリセライド血症
《家族性Ⅲ型高脂血症》
《原発性高HDLコレステロール血症》
●遺伝性脂質異常症でいちばん注意したいこと

遺伝性脂質異常症の結果もたらされるいちばんのリスクは、上記でお伝えした早発性の動脈硬化があげられます。遺伝性脂質異常症の場合、続発性と比較し、LDLコレステロールが著しく高い数値を示すことが多く、動脈硬化が進行しやすいとされています。

動脈硬化は、狭心症や心臓発作につながり、末梢動脈疾患(PAD)の発症リスクもあがります。糖尿病の合併症として多くみられるPADは、間欠跛行という歩行時の痛みをともなう症状としてあらわれます。また中性脂肪が以上高値を示す場合は、膵炎のリスクが上昇します。

親、祖父母、兄弟などの血縁者に若年での動脈硬化性疾患を発症している場合は、遺伝性脂質異常症の可能性がたかいとされています。血液検査で、LDLコレステロール値を確認してみること、そして早めの予防処置をお勧めいたします。

❍続発性(二次性)脂質異常症

続発性脂質異常症の原因は、ある種の疾患や薬剤とされています。

●続発性脂質異常症の原因
  • 脂肪を多く含む食品の摂取(飽和脂肪酸、トランス脂肪酸、コレステロールなど)
  • 糖尿病、慢性腎臓病、甲状腺疾患などの特定の疾患
  • 運動不足
  • 過度の飲酒
  • 薬剤
《脂肪成分の多量摂取による脂質異常症》

食事の影響は多いとされますが、すべての人にあてはまるわけではありません。その相違は、人の体内に摂取された脂肪の排泄機能には個人差があります。体型からコレステロールや中性脂肪の数値を類推することはできません。実際に痩せている方の肝臓でも脂肪肝はみられることがありますし、逆に肥満とされる体型の方でも、きれいな肝臓の場合も超音波検査を行っていると日常的によくあります。

個人の遺伝的素因によるものが大きいとされていますが、一般的にはカロリーの過剰摂取や、過剰な飲酒は中性脂肪値を上昇させます。

《疾患による脂質異常症》

糖尿病、慢性腎臓病、総コレステロール値や中性脂肪値の上昇をきたします。コントロール不十分とされる原発性胆汁性肝硬変甲状腺機能低下症などでも高コレステロールを示します。

喫煙やHIV感染、コントロール不良の糖尿病やネフローゼ症候群などの腎疾患では、低 HDLコレステロール血症の要因となります。

《薬剤による脂質異常症》

降圧剤で投薬されるベータ遮断薬、ステロイドホルモン、エストロゲン製剤などの薬も、HDLコレステロールを低下させるとされています。

《アルコールの過剰摂取による脂質異常症》

アルコールの過剰摂取の場合、特に常習的にアルコール摂取する依存症のような場合、重症の高中性脂肪血症になる場合があるとされます。

※関連ブログ アルコール「アルコールが原因の脂肪肝

 

2.脂質異常症その他の合併症

動脈硬化に注意が必要となる以外にも起こりやすい合併症があります。

❍コレステロールが高い場合に見られる合併症

《胆石症》

肝臓から分泌される胆汁の成分となるコレステロールが、胆汁を蓄える機能をもつ胆嚢や胆管ないで結晶化したものを胆石症といいます。胆嚢にあるものを胆石、胆管内にあるものを胆管結石といいます。動脈硬化としてではなく、高コレステロール血症に伴うこと多く見られる疾患です。

肝臓から分泌される胆汁に含まれるコレステロールなどの成分が、胆嚢や胆汁の流れ道である胆管の中で固まり、詰まってしまう病気です。動脈硬化と直接関係ありませんが、高コレステロールによって発症する病気の1つです。

※関連ブログ「健診で言われてびっくり!胆のうの良性疾患

❍高中性脂肪血症(高TG血症)の合併症

《急性膵炎》

脂質異常症の中でも中性脂肪が、高値となるものをいいます。中性脂肪が高値のときに気をつけて欲しい病態が、急性膵炎です。急性膵炎は、激しい上腹部痛が症状の特徴です。急性膵炎は、アルコール多飲での発症や、血中の中性脂肪値が極端に高い(1,500mg/dl以上)場合に発症することがあります。

※関連ブログ:膵炎「膵臓の炎症性疾患「膵炎」とは?

《脂肪肝》

肝臓の脂肪が全体の10%を超えると、肝細胞の中に脂肪滴が出現します。脂肪滴を伴う細胞が全体の約30%を超えると脂肪肝とされます。上記のところでも脂肪肝があげられていますが、脂肪肝と脂質異常症との悪循環となります。慢性の脂肪肝は、高TG血症で起こりやすいとされ、肥満や糖尿病を合併することが多くみられます。

※関連ブログ:脂肪肝「脂肪肝を知るための肝機能

《肥 満》

肥満と脂質異常症のメカニズムをまとめておきましょう。

肥満に多い脂質異常は、HDLコレステロールには、動脈硬化を防ぐ働きがあるとされますが、このHDLコレステロールが低下している状態となる、低HDLコレステロール血症と、高TG血症です。

肥満の人に多い特徴として食生活があげられます。食品中に多くの中性脂肪やコレステロールを含む食品摂取が多いこと、さらに肥満によるインスリン抵抗性です。インスリン抵抗性が生じると、肝臓が中性脂肪の合成を促進してしまう状態となります。

肝臓から中性脂肪を多く含むVLDL(超低比重リポ蛋白)が血中に過剰に放出されることで高中性脂肪血症となるだけではなく、インスリン抵抗性によりLPL(リポ蛋白リパーゼ)が充分に活性化されないため、VLDLがHDLへと代謝されにくくなり、血中のHDLコレステロールが低下します。

この、VLDL、LPLなどは、以前のブログで扱いましたが、次回のブログでまとめていきましょう。

インスリン抵抗性とは?

インスリン抵抗性は、インスリンが効きにくい状態となり、細胞に十分なブドウ糖が取り込まれなくなってしまいます。肥満などが原因と見られていますが、2型糖尿病の原因のひとつとされています。

●肥満に対する適切な減量のすすめ

肥満に対しては、やはり適切なダイエットが勧められます。高TG血症や、低HDLコレステロール血症の場合は、ダイエットによる脂質異常症の改善が期待できるからです。脂質異常症が改善されることにより動脈硬化の予防にもつながります。食生活の見直しとややきつめの有酸素運動です。BMI(体重kg÷身長m×身長m)25以内、適正体重を目的としてみてください。有酸素運動は、中性脂肪を低下させ、HDLコレステロールを増加させる効果が明らかになっています。

 ※関連ブログ

❍脂質異常症とストレスとの関係性

ストレスは脂質異常症を悪化させると言われています。

●ストレスホルモンといわれるコルチゾールの生成

ストレスホルモンといわれている、副腎皮質ホルモンのコルチゾールがあります。人はストレスを受けると、身体を守るためにこのコルチゾールの生成が促進されるといわれています。コルチゾールの生成のためには原料とされるLDLコレステロールが上昇する傾向があるとされています。(コルチゾールの前駆物質のコルチゾンは、コレステロールをもとに生合成されています)

●ストレス解消とされる行動習慣

イライラする!よし!ストレス解消だ!というよくやりがちな行動、過食やアルコール多飲、喫煙などは、もちろん脂質異常症への最短コースです。日頃から、ストレスを溜め込まないように、別の方法でのストレス解消法を見つけるようにしてみてください。

その日のストレス、その日の内に(^^)

<ストレス関連blog> 夢につなげるトライの5日間

 

3.脂質異常症⇨動脈硬化⇨さまざまな疾患、動脈硬化に注意!

動脈硬化は、さまざまな疾患原因となる病態です。脂質異常症、この動脈硬化へ進行させるリスクが高いとされます。動脈硬化でリスクが上昇する疾患を最後に再掲しておきましょう。

❍動脈硬化性によるリスク上昇疾患

「脳梗塞」「心筋梗塞」「狭心症」「高血圧」「大動脈瘤」「末梢動脈疾患(PAD)」「腎硬化症」などがあげられます。また、高LDLコレステロール血症が原因で「胆石症」を起こすこともあります。これらの疾患の概略です。

●脳血管疾患・心疾患
《脳梗塞・脳出血・狭心症・心筋梗塞・大動脈瘤など》

脳血管疾患や心疾患は、死因としても高く、動脈硬化と聞くと脳梗塞や狭心症、心筋梗塞を連想される方も多いと思います。血管に負担がかかって脳血管が動脈硬化となることで、脳梗塞、血管が破綻すると、脳出血を引き起こします。心臓の冠動脈が狭くなると狭心症、血栓で閉塞すると心筋梗塞を招きます。さらに、腹部大動脈や胸部大動脈に発生すると、硬く、菲薄化した動脈部分が瘤状に膨らんで破裂しやすくなる「大動脈瘤」を形成することもあります。大動脈瘤は、全身に血液を送る大血管に起こることが多いとされますが、血管が非常に脆く、破れやすい非常に危険な状態です。破裂し、命にかかわることも少なくありません。

※関連ブログ:脳梗塞「脳血管が詰まって発症 脳梗塞」、心疾患「心不全をもたらす疾患を知る

《高血圧》

高血圧とは、血管の中を流れる血流の圧が、血管壁に対して高くなった状態をいいます。動脈の壁に圧力がかかった状態です。血管が硬化し、狭くなり血液の流れが阻害された状態となると当然血圧も上昇することになります。

※関連ブログ 高血圧「循環器疾患のリスクを知る

《末梢動脈疾患:PAD》

下肢の末梢血管の動脈硬化により発症します。その特徴的な歩行となる間欠性跛行は、5~10分くらい歩くと足や腰に痛みが出て歩けなくなりますが、休息すると痛みが消失して歩けるようになります。この繰り返しを間歇跛行といいます。

※関連ブログ:末梢動脈疾患「糖尿病神経障害と足切断

《腎硬化症》

腎硬化症は、腎臓の血管の動脈硬化によって腎機能障害となる疾患です。体内の老廃物などの排泄が困難となり尿毒症や心不全などの疾患を併発することもあります。

※関連ブログ:腎硬化症「CKDのステージ理解と対応その1

 

生理検査アティテュード®からのメッセージは、比較的若い検査技師向けに私からのメッセージとして書いていますが、臨床検査を受けて戴く側の立場でもぜひ知っていて欲しいことして、社会のみなさまに向けてのメッセージです。私の医療者としての経験からみなさまへの「医療の在り方」としてのメッセージとしてぜひご一読ください。

 かたよし 純子

生理検査アティテュード®からのメッセージ

人は見た目ではわからない

 

今まで多くの人の腹部スクリーニング担当させて戴きました。そんな中で時々思うことがあります。もしかして、

「先入観で判断している?!」

❍毎年の経時変化を追う中で思うこと

よくある腹部エコーの依頼目的の中に、肝機能障害があります。そのような場合、検査データを事前にチェックします。血液一般、生化学、B・C型肝炎ウイルスなどなど、プラス病歴などもカルテをチェックします。体型をイメージする身長・体重・BMIなども記載があればもちろんチェック。そして、入室されて実際にお会いしたとき「ああ、なるほど」と思うこともあります。

そのときやってしまいがちなのが、「肝機能障害」「高いBMI」「肥満体型」だから

当然「脂肪肝」だろう!

脂肪肝の超音波診断基準を無視して、何となく脂肪肝と診断されている場合もあったりします。初心者にありがちな超音波診断です。そして、前回検査で脂肪肝をしてしされているから、今回も脂肪肝を超音波所見とするというようなものも実際に経験しています。

❍超音波は検者の責任

脂肪肝の判断は、主観によるところが多いのですが、その中でも基準とされる所見があります。その所見の判断基準は、各施設できちんとスタッフ同士で共有することが求まられます。特に新人には、その基準をしっかりと明文化して、伝えることが必要だと思います。

超音波を教える時に、新人にも、実習生にも私がいちばん初めにいうことです。

プローベを持った者にしか所見は取れない

臨床検査技師は、診断は出来ません。最終の超音波診断をするのは、医師です。しかし、業務として医師の指示のもと超音波検査を行い、超音波所見のまとめ、考えられる超音波診断まで記載した検査レポートの作成、その文責を追うのは超音波を実施した技師です。そのレポートを作成できるのは、検査を行った技師にしか書くことが出来ないと常々言っています。見落としもその技師の責任となるということです。

臨床検査は常に、受ける側の健康、ともすれば、人の命に関わる場合もあります。それほどの覚悟が必要だと常に意識して行うことが大切だということです。

このことを常に意識できる技師を育成していきたい。できれば、学生となった日から伝えていくことがたいせつだと考えます。

ここで、伝えたことは、主観を客観的に評価すること。観たまま、ありのままに自己責任において、判断・評価することを常に意識して検査を行うことが臨床検査技師の責務です。

Pure Medical attitude

生理検査アティテュード® Junko Katayoshi

今日のまとめ

  • 脂質異常症の診断基準は、コレステロールと中性脂肪、2018年からnon-HDL-Cが特定健診に導入
  • 脂質異常症は、動脈硬化を引き起こす最たる原因
  • 脂質異常症の原因には、遺伝などの原発性と続発性とに分類される

 

 

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共同代表 Junko Katayoshi

今日も最後までありがとうございました。

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