元気&HealthのJunchanのblogにご訪問ありがとうございます。医療スタッフのメンタルパートナー かたよし純子です♪ 今週は「甲状腺」をまとめています。先週からのミネラルバランスの異常がもたらす疾患です。前回は、内分泌腺としての甲状腺、そして甲状腺ホルモンの機能とその調節の仕方などでした。今日は、甲状腺ホルモンが異常にとなる疾患をまとめていきます。甲状腺機能亢進症と甲状腺機能低下症です。言い換えると、バセドウ病と橋本病を中心にまとめていきます。橋本病は、慢性甲状腺炎ともいますが、甲状腺機能が低下する疾患となりますので、ここで扱っていきたいと思います。
1.甲状腺機能を詳しく知るための3つのこと
1-1 甲状腺機能亢進症 バセドウ病
1-2 甲状腺機能低下症 慢性甲状腺炎(橋本病)
1-3 甲状腺ホルモンの検査 血液検査
今日のプラスα
2.甲状腺疾患の確定診断でおこなわれる検査
3.他の疾患と間違われやすい甲状腺疾患
生理検査アティテュード®からのメッセージ
・自分の制限を外すということ
1.甲状腺ホルモン、甲状腺機能を知るための3つのこと
甲状腺が分泌する甲状腺ホルモンT4とT3の分泌が崩れると、さまざまな症状が現れるとされますが、実際にどのようなことが起こるのでしょうか。甲状腺ホルモンの分泌が過剰となる機能亢進症からみていきましょう。
1-1 甲状腺機能亢進症 バセドウ病
甲状腺機能亢進症とは、甲状腺ホルモンの分泌が過剰に活性される代謝内分泌疾患です。
◯甲状腺機能亢進症とは
前回のブログで、甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンがほぼ全身の細胞に作用することをお伝えしましたが、この機能亢進症も言い換えると全身に影響し症状が見られることになります。
では、具体的に甲状腺ホルモンが過剰になると、身体の代謝機能が上昇しますので、多量の汗をかく、食欲旺盛なのに体重が減少する、活発に活動するが非常に疲れやすい、一日中動悸を感じるなどです。30~40歳代に発症のピークがあるとされ、女性に多く見られる傾向があります。
◯甲状腺機能亢進症の原因
甲状腺の活動が活発となるために、甲状腺ホルモンのサイロキシン(T4)とトリヨードサイロニン(T3)の分泌量が過剰になる疾患です。
甲状腺機能亢進症の原因として、代表なのがバセドウ病です。バセドウ病は、甲状腺ホルモンが過剰作られる状態となっている自己免疫疾患です。その他の原因としては、甲状腺炎、プランマー病、甲状腺刺激ホルモンもしくは甲状腺刺激ホルモン様物質産生腫瘍、甲状腺ホルモンの過剰摂取などがあげられます。
◯甲状腺機能亢進症の症状
甲状腺ホルモンは、身体活動を促し、エネルギー利用を促進するホルモンです。分泌過剰になると全身臓器の細胞の新陳代謝が異常に高い状態にとなるため、身体的、肉体的、精神的にさまざまな影響があらわれることになります。心機能が活発になりますので、頻脈となり動悸として感じることがあります。心機能の亢進は、全身に影響していきます。多汗、暑がり、食欲亢進、体重減少などエネルギー消費が亢進することにより、重い疲労感、倦怠感などの症状が特徴的です。
◯甲状腺機能亢進症「バセドウ病」は人の名前です
バセドウ病は、発見者2人の名前で呼ばれています。英語圏ではイギリス人、ロバート・ジェームス・グレーブスからグレーブス病、もうひとりのドイツ人、カール・アドルフ・フォン・バセドウからバセドウ病とされています。日本では、ドイツ医学の流れからバセドウ病と言われています。
バセドウ病は、自己免疫疾患です。自分で自分に対して作ってしまった自己抗体が、甲状腺を刺激する(TSHに似た作用する抗体)ことにより甲状腺ホルモンが過剰産生されることにより、機能亢進状態となります。明確な原因は不明ですが、遺伝性や妊娠、出産などの体質変化なども関係するようです。女性に甲状腺疾患が多いとされる中でバセドウ病は、比較的男性にも見られる疾患です。
●バセドウ病のメルゼブルクの三徴
バセドウ病の特徴的な症状として比較的高い頻度で見られる3徴候があります
《メルゼブルクの三徴》
- 甲状腺腫:甲状腺が全体的に腫れる状態、びまん性甲状腺腫を認めます
- 眼球突出:バセドウ病の特徴的な症状です
- 頻脈 :甲状腺ホルモンの特徴、新陳代謝の亢進症状がみられます
《甲状腺の眼瞼症状》
-
眼球突出
眼球後方の脂肪組織や筋肉の炎症、むくみにより肥大することにより、眼球が前方に押し出されます。突出の程度が大きい場合には、眼球表面の結膜の発赤や角膜の潰瘍が起こり、痛みを伴うこともあります。
-
眼瞼後退
うわまぶた周囲の筋肉の緊張や炎症により、まぶたが下がらなくなり、上の方に引っ張られる状態となります。そのためにうわまぶたと黒目の間に白目が見え、目が大きくなったように見える症状を言います。
-
複視
複視とは物が2重に見えることをいいます。眼球に関係する筋肉の炎症により、動きが悪くなるために起こる症状です。左右の眼球を同じように動かすことが出来ないことにより生じます。
このような眼瞼症状は、ホルモンが安定すると改善することもありますが、眼症状が続くことや悪化することもあるとされています。眼科専門医への受診が必要となります。また、喫煙は症状憎悪因子として知られていますので、禁煙は必須となります。無治療で長期間放置すると、骨粗鬆症の原因になるとされています。
◯その他、バセドウ病でみられるおもな症状
- 心拍数の増加と血圧上昇、動悸、息切れ、めまい
- 不整脈
- 大量発汗、体温の上昇、身体のほてり、口の乾き、皮膚の痒み
- 手足の振戦(ふるえ)、筋疾患、筋力低下
- 神経過敏、不安症状、躁状態、うつ状態、無気力、落ち着きない、怒りやすい、集中力欠如
- 睡眠障害(不眠症・過眠症)
- 食欲増進、多食にもかかわらず体重減、
- 強い疲労や脱力に反して活動レベルの上昇
- 消化機能の亢進、排便回数増加、ときに下痢、嘔吐、吐き気
●適切な対応で診断・対応が必要
甲状腺機能亢進症では、現れ方は人それぞれでさまざまな症状が現れます。多くの場合、甲状腺腫大(甲状腺腫)がみられます。甲状腺全体が腫大することや、部分的に結節状に腫大することもあります。若い人の発症時に甲状腺の腫大や体重増加が目立つようですが、高齢者での腫大はさほどではなく、体重減少が目立つようです。
精神的ないらつき、不眠、集中力の低下などを招くことで、作業能率の低下や性格の驚くような変化がみられることもあるとされます。感情の変化に本人も戸惑うような感覚に陥ることもあるようです。そのため、周囲とのコミュニケーションが上手くいかなくなることもあるようです。中年期の女性では、更年期障害と思うようなこともあるようです。適切な対応で、コントロールしていくことが必要です。
バセドウ病では多彩な症状が認められますが、その現れ方は個人差が大きく様々です。また、図2-1,2-2で示すように様々な年代で現れる症状は違います。甲状腺のはれは若い方に目立ち高齢者はあまり認めず、体重減少は高齢者に多く、若い方では逆に食欲が亢進して体重が増える方が多いようです。
<甲状腺機能亢進症の症状>
1-2 甲状腺機能低下症 慢性甲状腺炎(橋本病)
甲状腺機能低下症は、甲状腺の働きが低下し、甲状腺ホルモンの分泌が低下する疾患です。甲状腺ホルモンは、全身の代謝に関与し、エネルギー利用を促進するホルモンのため、身体活動が低下することになります。
◯甲状腺ホルモン低下により全身の新陳代謝が下がる
甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモンの分泌量が低下します。甲状腺ホルモンの量が少なくなると全身の代謝が下がることになります。寒気や、皮膚の乾燥、食欲がなくても体重が増加する、身体がだるく、無気力状態となり、常に眠気を感じるようになることもあります。圧倒的に女性に多く見られる疾患で、幅広い年齢層でみられますが、特に40代以降の高齢女性に多く見られるとされます。治療は、おもに甲状腺ホルモンの補充が行われます。
放置することでむくみがひどくなり、心臓周囲に水が貯留し、心機能が低下することもあります。代謝が下がるために、太りやすくコレステロールの増加による動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳梗塞などの疾患を招きやすい状態になることもあります。
◯甲状腺ホルモン低下の原因
原因がはっきりとしない場合が多く、甲状腺機能が低下する場合、慢性甲状腺炎(橋本病)の場合がほとんどとなります。甲状腺ホルモンの材料とされる、ヨウ素の摂取不足が原因で甲状腺ホルモンを合成できないこともあります。このほかには、手術による甲状腺の摘出なども場合もあります。
●甲状腺機能低下症の分類
甲状腺機能低下症を招き、甲状腺ホルモンが低下する状況を、「原発性」「二次性」「三次性」の3つに分けてまとめていただけますと思います。
- 原発性 : 甲状腺に問題があり、ホルモン分泌ができない場合 原発性甲状腺機能低下症と言う。
- 二次性 : 甲状腺刺激ホルモン(TSH)の低下のために、甲状腺ホルモンが分泌されない状態
- 三次性 : 甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)の低下のために、TSHが分泌されないために、甲状腺ホルモンが分泌されない状態
●原発性甲状腺機能低下症のおもな原因
- 橋本甲状腺炎:自己免疫疾患として、徐々に甲状腺を攻撃され、甲状腺機能低下を生じます
- 甲状腺の炎症
- 甲状腺機能亢進症や甲状腺がんの治療による摘出
- ヨウ素不足
もっとも多いのが橋本病で甲状腺自体の疾患です。二次性、三次性の甲状腺炎機能低下症は、脳腫瘍が原因となることが多いとされます。
◯慢性甲状腺炎:「橋本病」とは
橋本病の名前の由来は、世界で初めてこの疾患の症例報告を行った九州大学橋本策(はかる)博士の名前から呼ばれています。
自己免疫性甲状腺炎とされる橋本病は、甲状腺が慢性炎症を起こしている状態で、慢性甲状腺炎とされ甲状腺機能が低下します。甲状腺機能としては、正常の場合もあり、機能低下の場合もあり、まれに機能亢進状態となることもあり、最終的には、機能低下の状態となり、生涯甲状腺ホルモンの補充が必要とされます。
甲状腺ホルモンの分泌量低下のため、全身で必要とされるエネルギーが不足するためにその症状も全身で起こります。強い全身倦怠感、無力感、発汗減少、代謝が低下しますので体重増加、低体温、皮膚の乾燥、脱毛、消化機能低下による便秘、全身のむくみなど多岐にわたります。
精神活動も低下するために、気分が落ち込みうつ症状、緩慢な動作になります。循環機能も低下するために徐脈や不整脈の原因にもなります。また、全身の機能低下は、動脈硬化の原因となります。子どもの先天性甲状腺機能低下症をクレチン症といいますが、甲状腺ホルモンは生育には不可欠のため発育障害や知的障害の原因となります。
◯甲状腺機能低下症・橋本病の症状とは?
●甲状腺の変化:甲状腺腫 甲状腺のびまん性腫大
甲状腺機能亢進症でも甲状腺が腫れますが、機能低下症でも甲状腺が腫れることがあります。腫れ方は正常な場合からさまざまです。超音波で見た印象は、機能亢進症よりも、粗雑で硬い印象を受けます。
●甲状腺ホルモン減少による心身の変化、おもな症状
甲状腺機能低下症は、血中の甲状腺ホルモンが不足するために代謝が低下します。
橋本病で甲状腺ホルモンが正常の場合がありますが、その場合には症状はみられません。
-
特徴的なむくみ
通常むくみを見るときに、指で押しても元に戻りませんが、元に戻るむくみが特徴です。全身症状としてみられ、顔が腫れぼったくまぶたが腫れる、唇、舌、喉の奥などの粘膜のむくみにより、声がかすれ、低くなることもある。
-
皮膚症状
発汗が減少し、夏でも皮膚が乾燥、毛髪が薄くなり脱毛などの症状もあります。
-
寒気
新陳代謝の低下により熱産生減少、寒さに弱くなり、疲れやすくなります。
-
食欲不振、でも体重増加
消化機能の低下、食欲が減るが新陳代謝の低下により、むくみが生じ体重増加します。消化管の低下は便秘をまねきます。
-
無気力
意欲や気力の低下によるうつ傾向のような状態、物忘れ、眠気をもよおす、動作が緩慢化し、ろれつが回らないためにゆっくりした話し方になる。
-
徐脈 脈が遅くなる
循環機能低下するために、脈が少なく弱くなり、息切れなどの症状。甲状腺機能低下症が強くなると、心臓周囲の心嚢水の貯留や、心肥大をまねくこともあります。
-
筋肉症状
筋力の低下、肩こりがひどくなることもある。
-
月経の異常
月経過多や月経不順
●粘液水腫
重症の甲状腺機能低下症として、粘液水腫があります。粘液水腫は、進行した甲状腺機能低下症に続発して皮膚や組織症状として発症がみられます。
<甲状腺機能低下症>
1-3 甲状腺機能で行われる血液検査
甲状腺機能を調べる血液検査をまとめておきましょう。
◯基本的検査
通常健康診断などで行われるようなふるいわけのための検査、血液・生化学的検査が行われ、主訴や症状と合わせて甲状腺疾患が疑われる場合は、甲状腺機能の検査を行います。
- 生化学:TC,AST、ALT、LDH、CK、ALPなど
- 血液一般(WBC、RBC、Hb、Ht、PLT)、血沈
※関連ブログ「健診結果を読む② 血液検査」
◯甲状腺機能検査
通常、甲状腺機能の検査には3種類、行われます。
前回のブログでお伝えしましたように、甲状腺ホルモンには2種類、トリヨードサイロニン(T3)、サイロキシン(T4)があります。検査で測定するのは、血中に遊離している2種類のFT3(フリーT3)とFT4(フリーT4)を測定します。さらに、甲状腺ホルモンの分泌を促進する、下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモンを測定します。
甲状腺機能検査
- FT3:遊離トリヨードサイロニン
- FT4:遊離サイロキシン
- TSH:下垂体ホルモン、甲状腺刺激ホルモン
●3項目検査することの意義
甲状腺機能の検査は、通常、この3項目を血液検査として測定します。甲状腺刺激ホルモン(TSH)と有離型の甲状腺ホルモンであるFT3、FT4を同時に測定し、総合的に判断していきます。
FT3、FT3の測定で甲状腺機能が正常か、亢進しているか、低下しているかを判断します。
TSHの測定の意義
血中のTSHの測定は、甲状腺機能の把握するためには有用で、不可欠となります。健常者の血中TSHは、年齢や性別、食事や運動などの生理的変化(測定結果に誤差を含まないという意味です)も無く、疾患を見極めるためには、甲状腺ホルモンと同時に測定されます。
- TSH高値:明らかな高値:原発性甲状腺機能低下症、軽度高値:単純性甲状腺腫
- TSH低値:原発性甲状腺機能亢進症、甲状腺中毒症
●結果の解釈
《バセドウ病》:ほとんどが、TSHは低値、甲状腺ホルモンが高値
※バセドウ病の場合、甲状腺を刺激する自己抗体の測定、TSHレセプター抗体の検査が重要となります。
《橋本病》 :TSHが高値で甲状腺ホルモンが低値
※確定診断として、超音波検査、サイロイドテスト、マイクロゾームテスト、穿刺吸引細胞診など
2.甲状腺疾患の確定診断でおこなわれる検査
上記に上げた検査で異常がみられた場合など、確定診断として行われる検査をまとめておきましょう。
◯その他の血液検査
●甲状腺抗体検査
- TRAb(抗TSHレセプター抗体) :甲状腺を刺激する自己抗体、バセドウ病では90%以上が陽性
- TSAb(甲状腺刺激抗体) :甲状腺を刺激する自己抗体、バセドウ病では陽性率が高い
- TgAb(抗サイログロブリン抗体):甲状腺でつくられるサイログロブリンに対する自己抗体、慢性甲状腺炎(橋本病)で陽性が多い、バセドウ病でも陽性となる
- TPOAb(抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体):甲状腺ペルオキシダーゼに対する自己抗体、慢性甲状腺炎(橋本病)で陽性が多い、バセドウ病でも陽性となることがある
- サイログロブリン:結節性甲状腺腫、亜急性甲状腺炎、バセドウ病や慢性甲状腺炎などでも上昇
サイログロブリンとは?
甲状腺の細胞で作られるタンパク質で、甲状腺ホルモンの産生や、ホルモンの貯蔵を行っています。よく腫瘍マーカーとして、甲状腺悪性腫瘍での甲状腺全摘出術後の経過観察に用いられます。得意性にやや乏しく、良性でも上昇することがあります。
◯甲状腺の画像診断:超音波検査
甲状腺の腫大を見るために超音波検査が有効です。甲状腺エコーでは、実際にエコーで甲状腺を観察します。多くの甲状腺エコーを担当させて戴く機会に恵まれましたが、症状が明確では無いときにはやはり特徴的な超音波画像ではありませんが、腫大の有無や、とくに橋本病の場合、甲状腺内部に結節を作ることもありますので、定期的な超音波検査は勧められます。
●何を観ているの甲状腺エコー
左右の甲状腺の腫大の有無、大きさを計測し、左右のバランス、実質エコーの変化、甲状腺内の腫瘤性病変の有無を確認します。結節状の腫瘤ができているために甲状腺が腫れているのか、炎症のみのびまん性に全体的に腫れているのかなどを確認します。
さらに、カラードプラーを用いて、甲状腺内の血流の増加がの有無も確認していきます。バセドウ病の時には、甲状腺の栄養血管の拡張が特徴となります。著しい血流の増加が見られることも機能亢進症の診断には有効となります。
●超音波検査士からのメッセージ
機能亢進症と機能低下症は、甲状腺実質からのメッセージが異なる
また、訳のわからないような表現ですが、プローベをあて、超音波を送信すると、甲状腺の細胞からの細胞の状態がメッセージ画像として超音波が戻ってきます。その時の画像は、リアルタイムでその瞬間の細胞の状態が戻ってきます。上手く文章にできないのですが、イケイケドンドンのときの細胞と慢性的な炎症となっている状態の細胞とでは、当然見え方が変わります。機能亢進症と低下症とでは超音波で見分けがつくのです。この辺りは、次回具体的に説明できたらと思いますm(_ _)m
3.他の疾患と間違われやすい甲状腺疾患
甲状腺機能異常の症状は、全身症状としてさまざまです。人の身体症状は、メンタル的にも弱い部分に描出すると私は思っています。当然、他に基礎疾患がある場合などもあり、疾患と間違われることもよくあると聞きます。
◯間違われやすい他の疾患とは?
中年期の女性は、更年期障害のような症状や、高齢者の場合は、認知症と思われることもあります。肝機能障害を併発することもあり、内科以外に、婦人科、心療内科などを受診しても症状が改善しないようなこともあると聞きます。
●更年期障害
《甲状腺機能亢進症》
- 多汗(バセドウ病)
- ホットフラッシュのようなのぼせ
- 動悸、頻脈
《甲状腺機能低下症》
- 皮膚の乾燥
- 無気力
- 月経過多、月経不順
●うつ症状
《甲状腺機能低下症》
- 気持ちがふさぎ、意欲の低下、無気力、
- 傾眠傾向
●認知症
《甲状腺機能低下症》
- 思考力の低下
- 物忘れ、記憶力の低下する
●精神疾患・躁うつ病
《甲状腺機能亢進症》
- 興奮しやすい
- イライラ、怒りっぽい
- 集中力欠如
●糖尿病
《甲状腺機能亢進症》
- 血糖値の上昇
- 尿糖
●貧血
《甲状腺機能低下症》
- スプーン爪にみられる爪の変形
- 疲労感
- 皮膚の蒼白
なかなか症状改善が見られない場合は、甲状腺疾患なども視野にいれてみることも必要かも知れません。今どきですから、総合診療科を開設している病院も増えています。総合診療科を利用して相談してみることもお勧めです。
生理検査アティテュード®からのメッセージは、比較的若い検査技師向けに私からのメッセージとして書いていますが、臨床検査を受けて戴く側の立場でもぜひ知っていて欲しいことして、社会に向けてのメッセージです。私の医療者としての経験からみなさまへの「医療の在り方」としてのメッセージです。
生理検査アティテュード®からのメッセージ
自分の制限を外すということ
若い検査技師さんに伝えたいこと
やったことが無いと検査はできない
「研修に行かせてもらわないと出来ない」
そう思っていませんか?
初めて行う領域での検査や仕事に対してときどきそんな言葉を聞きます。
◯自分に枠組していませんか?
誰でも初めてはあります。その職場で、はじめてのこと、他では日常的に行われていることに対して、経験ないからここでは無理として、断ってしまう。
総合病院では、医師がよく変わります。そして、変わると専門分野も多少変わるので検査科は結構混乱することもあります。「この検査出来ないの?」という具合です。
私が超音波検査を始めた頃は、腹部と心臓のみといっても過言ではありません。乳腺・甲状腺などの体表領域は、水槽を使いタイプだったと。さすがにそのタイプの超音波診断装置を使ったことはありませんが、検査科にはそのタイプの診断装置がありました(笑)何十年前?と思われてしまいそうですが、デジタル化された汎用型の診断装置が出回り始めた頃から私は、超音波検査を行っています。
あるとき、その当時の検査科の部長だった循環器医師から「頸動脈エコーやってくれない?」そう依頼されたことがありました。さまざまな文献を持ってきてくれて、ノギスもデジタルの高級品をポケットマネーで購入して持参。「。。。。^^;」でした。
『やるしか無いじゃん!』
頸動脈の評価は、プラーク評価、頸動脈のIMT厚が1mmを超えると通常肥厚あり、プラークとされ、1mm以下小数点以下2桁までの評価が必要となります。しかし、その当時の診断装置では1mm以下、小数点以下1桁の計測しか出来ませんでした。そこで、MAXに拡大したフリーズ画面をプリントした写真からノギスで計測、そんな時代があったのです。言い換えると、かなり早期から頸動脈エコーを実施し、学会発表など検査が進化する過程を経験するという幸運な環境下で過ごすことが出来たのです。
半ば強制的ではありましたが(笑)、医師からの援助を戴きながらも、貴重な経験を得ることができたということは言うまでもありません。初めてのことにトライするということ、試行錯誤で、医師に相談することも出来たこと、そして、そこからさまざまな勉強会に出席し、多くの検査を行うことができたことが自分自身のスキルアップにつながり、自信につながります。臆せずにチャレンジするときも必要な場合があります。
そして、透析科からの頸部エコーの依頼は、多くの症例との出会いとなり、副甲状腺を見る機会につながり、甲状腺を見る機会となりました。
見ることも大切ですが、実際に検査を行うことがやはりいちばんのスキルUPにつながります。
※関連ブログ IMT厚「糖尿病の合併症をみる検査」
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生理検査アティテュード®
今日のまとめ
- 甲状腺機能の症状は、新陳代謝の異常となるため、全身にみられ多岐にわたる。
- 甲状腺機能亢進症の原因は、自己免疫疾患のバセドウ病が多い
- 甲状腺機能低下症の原因は、自己免疫性甲状腺炎といわれる橋本病が多い
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情報参考サイト・参考資料
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THINK YOUR LIFE -ミドルエイジとともに-side by side-
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