元気&HealthのJunchanのblogにご訪問ありがとうございます。医療スタッフのメンタルパートナーかたよし純子です♪ 今週のテーマは、ミネラルです。昨年一度ざっくりとまとめていますが、塩分補給といわれるこの夏にもう少ししっかりと伝えたいと思い、初回では、やはり熱中症対策の一環として、塩=塩化ナトリウム、クロール、カリウムからスタート、2回目の今日は、同じく多量ミネラルの残りのカルシウム、マグネシウム、リンおもに骨にあるものたちの機能と過不足になるとどうなるのかです。プラスαでは、骨粗鬆症、骨が脆くなるリスクとの関係性も含めて無理なダイエットによる「痩せ」のリスクを知って欲しい。
1.身体に必要不可欠な多量ミネラル3種を知る
1-1 身体の中で最も多いミネラル「カルシウム Ca」
1-2 骨を構成、酵素を助ける「マグネシウム Mg」
1-3 エネルギーを産生、細胞膜を作る「リン P」
今日のプラスα
2.多くのミネラルが含まれる骨を知ろう!
3.若い時から注意して!骨粗鬆症やさまざまなリスクとなる「痩せ」
生理検査アティテュード®からのメッセージ
・私たちの次世代への危機感を持つ!伝えたいから書く!!
1.身体に必要な多量ミネラルと3種を知る
前回は、「塩」にフォーカスしてお伝えしました、ナトリウム、カリウムは多量ミネラルとされています。
◯多量ミネラルとは?
体内にあるミネラルの中で日本人の食事摂取基準(2015年版)で、16種類が栄養素として欠かせないとされています。その内の1日に100mg以上の摂取が必要とされているのが、多量ミネラルです。ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、硫黄、塩素の7種類です。100mg以下のものを微量ミネラルとして分けています。
16種類の内、13種類について、食事摂取基準では、摂取基準値が定められています。13種類は以下の項目です。
多量ミネラル 5種
- ナトリウム
- カリウム
- カルシウム
- マグネシウム
- リン
微量ミネラル 8種
- 鉄
- 亜鉛
- 銅
- マンガン
- ヨウ素
- セレン
- クロム
- モリブデン
初回にお伝えした、ナトリウム、クロール(塩素)カリウム、以外のミネラル、カルシウム、マグネシウム、リンについて今回は、以前のブログよりもパワーアップして、まとめていきたいと思います。 ※関連ブログ「身体の5%でもすごいミネラル」
1-1 身体の中で最も多いミネラル「カルシウム Ca」
カルシウムは、体内に最も多く含まれるミネラルです。
◯カルシウムの体内での機能
カルシウムは、成人の場合、体重の1~2%を占め、その99%は骨や歯などの硬組織に存在しています。
残り1%は血液、筋肉、神経などの軟組織にイオンや種々の塩として存在しています。その1%も非常に大切な役割を果たしています。
●骨と歯の形成
カルシウムは、歯や骨をつくるもとになり骨格の形成、細胞機能の発現と維持に不可欠なミネラルです。体内のカルシウムの量、細胞内や血中濃度は、厳密に制御されています。血液中や細胞内でカルシウムの不足が生じると、骨から溶け、体内の各組織に送られます。血液中のカルシウム濃度を一定に保つために、カルシウムは必要に応じて骨から血液中に移動します。
●筋肉の収縮・
カルシウムは、筋肉の収縮にも欠かせないイオンです。カルシウム濃度よって筋肉の収縮がコントロールされています。血液中のカルシウム濃度を一定に保つことが必要となります。
●心筋への作用、心拍リズムの維持
心筋への作用も当然カルシウムが作用しています。
●神経の興奮抑制
細胞内や血中のカルシウムは、神経情報伝達の興奮抑制など、筋肉の興奮性を抑制する筋肉・神経・心臓の機能が正常に働くためにもカルシウムが必要となります。よく、イライラするのは、カルシウム不足ともよく言われますが、それは、カルシウム機能の持つ、神経の興奮抑制効果があるため、ストレスなどの刺激に対しても抑制されます。
●血液の凝固
血液が固まる作用、血液凝固系の第Ⅳ因子としてカルシウムイオンは重要な役割を行っています。
◯カルシウムの吸収に必要なビタミンDと日光
このようにカルシウムには、多くの酵素が正常に機能するためには必要不可欠なイオンです。カルシウムは、腎臓でビタミンDの活性化を促すことで腸管から吸収されます。
ビタミンDともに、日光も効率的摂取のための重要な要素となります。ビタミンDは、カルシウムの吸収に必要なタンパク質を合成し、カルシウムの骨への沈着を促進する働きがあります。さらにビタミンDは、日光を浴びることにより体内で生成されます。 ※関連ブログ 「元気のもとビタミン」
◯カルシウムが不足すると?
●よく見られる症状とは?
・強い痛みを伴うけいれん、神経過敏な症状、錯乱、抑うつ症状、健忘、唇や指、足のチクチク感、筋肉症状が現れることもあります。背中や脚の筋肉に、強い痛みを伴うけいれんがよくみられます。
・カルシウム濃度が極めて低くなると、チクチク感(唇、舌、指、足など)、筋肉痛、喉の筋肉のれん縮による呼吸困難、筋肉の硬直、れん縮(テタニー)、けいれん発作、不整脈が出現します
・長期間カルシウム低下が続くと、皮膚や爪の乾燥、角質化、髪の毛にも症状が現れます。脳に影響し、錯乱、記憶障害、せん妄、抑うつ、幻覚といった精神症状や神経学的症状が出現、これらの症状はカルシウム濃度が回復すると消失します。
血液中のカルシウム濃度がある程度低下しても、症状は出ないことがあります。
●低カルシウム血症の原因
一般的な原因としては、尿中への過度のカルシウム排泄、骨から血中へのカルシウム量の移行の低下、カルシウム濃度の低下は、副甲状腺の問題や、食事、腎疾患、特定の薬剤などが原因で発生します。
- 副甲状腺ホルモンの低下(副甲状腺機能低下症)
- 副甲状腺ホルモンのへの反応の欠如している(偽性副甲状腺機能低下症)
- 先天性の副甲状腺の欠損
- 低マグネシウム血症による、副甲状腺ホルモンの機能低下
- ビタミンD欠乏症(摂取が不十分、日光量が少ない)
- 腎機能障害による尿中へのカルシウム排出量が増加、ビタミンDを活性化する腎臓の機能が低下
- カルシウムの摂取不足
- カルシウム吸収低下を引き起こす疾患
- 膵炎
- 薬剤
●骨粗鬆症との関係性
不足すると骨の発達が悪くなり、骨粗鬆症・骨、歯が弱くなります。カルシウムの慢性的な不足は、上記に示したような肩こり、腰痛、イライラなどの神経過敏の状態を招きます。
カルシウム不足は、副甲状腺ホルモンなどの働きにより、骨からのカルシウムを放出させ、血中のカルシウム濃度を保つ働きをしています。そのため血中濃度が減少すると、骨量が低下し、骨粗鬆症の原因となります。
日常から、十分なカルシウムを摂取していないと、骨のカルシウムが大量に流出されることになるために、骨が弱くなり、骨粗鬆症になることがあります。
◯カルシウムの効率的な摂取
日本では、カルシウム摂取量は、栄養所要量を下回っている栄養素と言われています。そのため意識的に摂取して欲しい栄養素となります。カルシウムは、体内に吸収されにくく、吸収率の高い食品や吸収率を上げる食品との食べ合わせることで効率的に摂取できます。
食品により、吸収率が異なり、乳製品が約50%、小魚が約30%、野菜が約20%の吸収率とされ、牛乳やチーズなどの乳製品が最も吸収率が高い食品となります。牛乳に含まれるタンパク質カゼインが、カルシウムの吸収を促します。逆に、豆類や穀類に含まれるフィチン酸、ほうれん草に含まれるシュウ酸は、カルシウムの吸収を阻害しますので注意が必要となります。
●カルシウムを多く含む食品
牛乳、チーズなどの乳製品、大豆製品の納豆、ナッツ類、小煮干し、干しエビ、小松菜、水菜などに多く含まれます。乳製品は比較的カルシウムが吸収されやすい食品です。
骨を維持しながら、血中カルシウム濃度も維持するためには、1日に少なくとも1000~1500mgのカルシウムを摂取する必要があると言われています。血液中のカルシウム濃度は、主に副甲状腺ホルモンとカルシトニンという2つのホルモンによって調整されています。
◯高カルシウム血症になると?
血中のカルシウム濃度が上昇原因には、副甲状腺、食事、がん、骨の疾患が原因で高値となります
●カルシウム上昇時の症状とは?
消化管の不調、喉の渇き、多尿などがみられます。さらに重症化すると錯乱、やがて昏睡に至ることもあり、危険な状態となります。飲水で改善することもあるようですが、カルシウムの排泄を促す、利尿薬などが用いられることがあります。
●高カルシウム血症の原因
- 副甲状腺機能亢進症 :カルシウム量を制御するホルモンが亢進した状態
- カルシウムの過剰摂取:ミルク・アルカリ症候群(消化性潰瘍の痛み緩和のための牛乳過剰摂取+カルシウム制酸薬の服用)
- ビタミンDの過剰摂取:数カ月にわたって毎日大量のビタミンDを摂取する
- がん :腎がん、肺がん、卵巣がん
- 骨の疾患 :骨の分解、再吸収による
- 運動不足 :まれに麻痺や寝たきり状態の場合、高カルシウム血症になることがある
1-2 骨を構成、酵素を助ける「マグネシウム Mg」
血液中に含まれるマグネシウム量は微量で、60~65%が骨に存在し、カルシウムやリンなどとともに骨を形成しています。残りの35~40%は筋肉、血液、細胞内に存在しています。
◯マグネシウムの機能
マグネシウムは、骨や歯の形成、神経や筋肉が正常に機能するためにはに欠かせないミネラルです。体内のさまざまな300種類以上の酵素の機能をサポートし、エネルギー産生を行うためにもマグネシウムは重要な役割を持っています。マグネシウムは余分なカルシウムが細胞内に入るのを防ぐと考えられています。
●脳卒中、心筋梗塞を防ぐ効果
カルシウムの増加は、脳卒中や心筋梗塞の要因とされていますが、カルシウムが血管細胞内へ増加を阻止するためにマグネシウムが機能していると考えられています。
マグネシウムの働き
- 酵素の働きをサポート
- カリウム・ナトリウムの量を調節、バランスを正常に保つ
- エネルギー生産、核酸やタンパク質の維持
- 血管拡張による血圧降圧作用
- 体温調節
- 神経の興奮抑制、筋肉の収縮、ホルモン分泌
◯マグネシウム代謝
マグネシウムは、小腸で調節されています。通常の食事では過剰摂取の心配はありません。食物から摂取され、尿や便とともに排出されます。しかし、健康食品、サプリメントなどでの過剰摂取により、下痢などの症状を示すことがあります。血管が拡張して過度な充血や心悸亢進、興奮しやすくなるとされます。
◯低マグネシウム血症になると?
低マグネシウム血症とは、血中のマグネシウム濃度が異常に低い状態をいいます。血中のマグネシウムは、ごく微量ですが、骨や歯の形成および、神経や筋肉の正常な機能にはある程度のマグネシウムが欠かせません。
筋肉の収縮には、カルシウムが関与していることは、前項でお伝えしましたが、このカルシウムの働きの調節をしているのがマグネシウムです。そのため、マグネシウムが不足すると、筋肉症状が現れます。筋肉の収縮が上手く行かなくなる、手足の震えなどのけいれん、などの症状が出現し、抑うつ状態、不安感を訴えることもあります。心機能の異常、不整脈などもみられることがあります。
マグネシウムの不足は、神経の興奮を招き、イライラしやすくなり、慢性的に不足すると不整脈や虚血性心疾患のリスクとなります。必要な量は、カルシウムの半分とされますが、ストレスなどでも失いやすく不足する場合もあります。
●低マグネシウム血症の症状とは?
吐き気、嘔吐、眠気、脱力、性格の変化(神経の興奮、イライラなど症状)、筋肉のけいれん、振戦、食欲減退など。重度の低マグネシウム血症では、けいれん発作を起こすことがあります。
●低マグネシウム血症の原因
飢餓状態などによる摂取量の低下、腸からの吸収不良などのより生じます。腎臓や腸から過度にマグネシウムが排出されることで低マグネシウム血症が生じることもあります。
マグネシウムの排泄が増加する場合
- 大量飲酒に伴う食事量の減少 ※アルコール依存症の場合はマグネシウムを投与
- 長期の下痢
- アルドステロン、抗利尿ホルモン、または甲状腺ホルモンの高値
- 利尿薬
マグネシウムの必要量の増加する場合
- 授乳
●マグネシウムの効率的な摂取
ミネラルバランスでは、マグネシウムとカルシウムの比率は1:2が望ましいとされ、カルシウムとのバランスを意識しながら摂取するとよいとされています。
●マグネシウムを多く含む食品
アーモンド、ピーナッツなど、未精製の穀類(玄米、小麦胚芽など)、豆類(大豆、納豆など)そば、豆腐、ほうれんそう、小エビ、スイートコーンなど
◯高マグネシウム血症になると?
体内のマグネシウムは、ほとんどが骨に含まれ、血液中に含まれる量は微量です。血中のマグネシウム濃度が、異常に高い状態を、高マグネシウム血症とされますが、高マグネシウム血症はまれです。通常、利尿剤で尿からの排泄を増加させますが、腎機能障害や高マグネシウム血症が高度である場合は、透析が必要とされます。
●高マグネシウム血症の症状とは?
高マグネシウム血症の症状は、脱力、低血圧、呼吸障害など、重症の場合、心停止が起こることもあります。
1-3 エネルギーを産生、細胞膜を作る「リン P」
体内に存在するリンの約85%は、骨に含まれています。残りは主に細胞の中にあり、エネルギー産生に関わっています。体内にあるリンは、ほとんどすべて酸素と結合し、リン酸を形成しています。
◯リンの働きとは?
リンは、カルシウムに次いで体内に多く含まれるミネラルです。成人では、体重の約1%を占め、筋肉、脳、神経、肝臓、肺臓、その他すべての組織に含まれているミネラルです。カルシウムやマグネシウムと結合し、骨や歯を形成しています。その他は、炭水化物やタンパク質、脂質代謝に関与、細胞膜の構成成分としてあらゆる体内の細胞に存在しています。細胞がエネルギーを作るために必要で、重要な物質の構成要素でもあります。
リンは、食物から摂取され、尿や便とともに排出されます。
●リンの機能
- カルシウムと結合、リン酸カルシウムとして、骨や歯など硬組織を構成
- 細胞膜、DNAの構成成分
- 遺伝子や核酸の成分として、リン脂質を構成
- エネルギー源となるATPの産生、神経伝達
- 腎臓機能、心機能に関与
- ナイアシン(ビタミンB群)の吸収
- 血中で酸やアルカリの中和
◯低リン血症とは?
低リン血症とは、血液中のリン濃度が非常に低い状態をいいます。
リンの不足は、骨軟化症や疲労の原因となります。歯が弱くなる、骨折しやすくなるなどの症状が出現します。保存料として加工食品や清涼飲料水に多く含まれるために、不足はほとんど考えられないミネラルです。慢性の低リン血症は、通常、リンの排出量が過剰になることで発症します。
●低リン血症の症状とは?
通常は、無症状ですが、重度の慢性的な欠乏状態となると、食欲不振、筋力低下、骨軟化症など、重篤な神経筋障害を招くこともあります。呼吸不全、心不全、痙攣や昏睡などが起こることもあるとされます。急性アルコール中毒症の場合の低リン血症は、横紋筋融解症が付随するとされます。
●リンの過剰排泄による低リン血症とは?
アルコール依存症、熱傷、飢餓、利尿剤の使用があげられます。
- 糖尿病性ケトアシドーシスの回復期
- 急性アルコール中毒、重度のアルコール依存症
- 重度の熱傷
- 重度の呼吸性アルカローシス
- 副甲状腺機能亢進症
- クッシング症候群、甲状腺機能低下症などのホルモン異常
- 低マグネシウム血症、低カリウム血症などの電解質障害
- 慢性的な下痢
- 重度の低栄養(飢餓など)
- テオフィリン(喘息治療)の大量使用
●症状は、極端な低下や急激な低下で出現
このような症状が出現するのは、血中リン濃度が極度に低下した場合に限られます。筋力低下、昏迷から昏睡、死に至るとされ、突然の低下では、重篤な不整脈が発生し死に至ることもあるとされています。
軽度の慢性低リン血症では、骨がもろくなり、骨の痛みや骨折、筋力低下や食欲の低下などです。低リン血症が軽度、症状が無い場合は、低脂肪乳やスキムミルクなどで多量のリン摂取が有効です。
〔リンを多く含む食品〕
リン酸塩は、加工食品の食品添加物としてよく使用され、清涼飲料水には、酸味料としても添加されています。食品は、豚レバー、チーズ、卵黄、大豆など肉類、魚類、乳製品、大豆製品など幅広く含まれます。
◯高リン血症とは?
高リン血症とは、血中のリン濃度に異常に高い状態をいいます。高リン血症はまれにしか発症しません。重度の腎機能障害ではリンを十分に排出することができません。
●リンの過剰摂取をしていませんか?
食品添加物には、リンが含まれるために過剰摂取が問題になっているとも言われます。特に骨の吸収率が気になります。リン酸塩を含む加工食品のとり過ぎにも注意が求められます。カルシウムとリンとの摂取バランスが1:1~1:2のときにカルシウムの吸収率が高くなると言われています。
リンの過剰摂取は、体内のカルシウム不足を招くので注意が必要です。
リンとカルシウムは、血液中でバランスを保ちながら存在しています。リンの過剰摂取により血液中のリンの濃度が上昇すると、骨から血液中にカルシウムを放出させてしまい、低カルシウム血症となります。腎機能障害をもたらすことも知られています。
2.多くのミネラルが含まれる骨を知ろう!
「骨」骨粗鬆症のことを何度かまとめていますので、それなりに今までも扱っていますは、「骨」をその成分からまとめていきたいと思います。
◯骨に含まれる成分 ミネラルとコラーゲン
骨は、身体の構造を支えるとともに外部からの衝撃に対して内臓を守っています。さらに、血液細胞を作る造血機能としても大切な働きを担っています。骨は、コラーゲンの表面には、カルシウムやリンなどのミネラルが沈着しています。骨の構成栄養素は、カルシウムのほかに、マグネシウム、リン、ナトリウム、亜鉛など多くのミネラルも必要としますのでその他のミネラルも摂取を心がけてください。
<骨の成分と役割>
骨の約70%はカルシウムを主成分とする無機物・ミネラルです。残りのうち約20%は、コラーゲンを主成分とする有機物でできています。丈夫な骨の形成には、その両方の成分が必要です。コラーゲンは食物から摂取したタンパク質から作られます。タンパク質は分解されアミノ酸となり、コラーゲンの原料となります。このアミノ酸からコラーゲンを合成するには、ビタミンCや鉄が必要となります。
◯骨の役割
骨は身体の構成には欠かせない存在ですが、それ以外にもさまざまな役割を担っています。カルシウム摂取量の不足により、体内のカルシウム、などの電解質骨から補充し、体内バランスを整えています。
●身体を支える骨の役割
身体を支持作用
- 頭や内臓を支え、人体を支える支柱、姿勢を保つ
臓器の保護器官
- 骨格を形成して、脳、心臓、肺など大切な臓器を外部からの衝撃から守る保護器官としての役割も持つ
電解質の貯蔵 骨はカルシウムの貯蔵庫です
- カルシウムの蓄えと供給、血中や細胞質内不足すると、体内のカルシウム、リン、ナトリウム、カリウム濃度の不足に際して、骨からカルシウムを補充する
造血機能 血液細胞の製造工場
- 骨髄で血液細胞(赤血球・白血球・血小板など)をつくる造血機能
運動器官との関連
- 骨の結合により、運動の範囲と度合に関わる。骨に付着する筋の収縮により、関節を支点として運動を行う運動作用
3.若い時から注意して!骨粗鬆症やさまざまなリスクとなる「痩せ」
今週、いちばん伝えたかったことが、ここからかも知れない。
閉経後の女性の女性ホルモン、エストロゲンの不足は、骨量を低下させます。
◯閉経後の女性に多い骨粗鬆症
そのため骨粗鬆症は、高齢の女性に多いとされています。さらにビタミンDが不足するとカルシウムの作用が悪くなり欠乏症を起こしやすくなります。
骨粗鬆症のリスクはそれだけではありません。5月に骨粗鬆症をまとめていますが、その中で「改善できるリスクファクファー」をあげています。 ※関連ブログ「まだ若い今だからこそ気にして欲しい」
◯男性だから心配ない?!
改善できるリスクファクファーということは、すべてがリスクなのです。このような状態を続けていれば、女性、男性問わず、骨粗鬆症になることがあるといえます。
●骨粗鬆症のリスクファクファー
骨粗鬆症は、今日お伝えした、骨に多く含まれるミネラルの代謝に影響します。そして、男性の骨粗鬆症の原因は、骨破壊を促す生活習慣です。
生活習慣とは喫煙、飲酒、カフェインや、ストレスも大きな原因となり、プラス運動不足です。
喫煙、飲酒、カフェインは、カルシウムの吸収を低下させます。コーヒーに含まれるカフェインは、利尿作用があるために、尿中へのカルシウム排泄を促します。男性のみではありません。当然女性にも言えることで、女性の場合は、さらにホルモンが影響しますので、加速度的に骨粗鬆症を進行させるとも言えます。
カルシウムとリンは必須です。カルシウムを取り込むためにはマグネシウムも必要です。そしてカルシウムにところで上げた、よく聞くビタミンDと日光、さらにビタミンKも必要です。
ビタミンKは、骨へのカルシウムの沈着を促す役割があり、ビタミンDとともに、骨の形成に欠かせないビタミンです。骨からカルシウムが溶け出していくのを抑える働きもあると考えられています。
<骨粗鬆症のリスク 生活習慣>
◯骨粗鬆症の診断基準
骨粗鬆症の現在の診断基準は(2012年改定)には、主に骨密度と骨折の有無によって診断されます。
●脆弱性骨折がある場合
- 椎体骨折または大腿骨近位部の骨折
- その他の脆弱性骨折があり、骨密度がYAMの80%未満
●脆弱性骨折がない場合
- 骨密度がYAMの70%以下、または ―2.5SD以下 ※SDとは標準偏差
- YAMとは :若年成人平均値(腰椎20~44 歳 大腿骨近位部20~29歳)
- 脆弱性骨折とは:転倒やわずかな外力(立った姿勢からの転倒もしくはそれ以下の外力)で生じた非外傷性骨折
◯若い女性に警告したい
日本の女性は、痩せが多いとされています。BMI 18.5以下は、低体重です!
BMI Body Mass Index ボデイマスインデックス
BMI=体重(kg)/身長(m)×身長(m)
●痩せによるさまざまなリスクの上昇を知って欲しい!
痩せは、将来骨粗鬆症となるリスクがあります。骨粗鬆症は、寝たきりの原因となり、健康寿命短縮のリスクとなります。もっと問題なのが、妊娠力の低下、不妊の原因となっていることです。さらに、生まれくる子どもの健康にも影響する可能性があるとされています。極端なダイエットは、骨粗鬆症のリスクとして上げられています。
痩せは、免疫機能の低下、卵巣機能の低下により、月経不順や無月経になることもあります。女性の身体は、子どもを産み、育てるために強力なエストロゲンという女性ホルモンに守られています。無排卵が長期化することで、エストロゲンの値が低い状態が続くと更年期と同じような症状が現れます。骨形成が行われなくなり骨粗鬆症のリスクとなります。母親の痩せは、新生児へもさまざまな影響がもたらされ可能性があります。
加齢とともに骨密度は、誰でも平等に減少するリスクを持ちます。平均的な女性が、平均寿命まで生きると、約37%骨密度が減少するといわれ、骨密度は64%になるとされ、必然的に骨粗鬆症を発症するという計算が成りたつと学びました。そして、体重は重いほど、骨は強いとされます。
◯骨粗鬆症予防に、運動の必要性
宇宙飛行士が約3ヶ月間宇宙に滞在することで、骨からカルシウムが約5%減少したと言われています。無重力状態が作り出した「廃用性萎縮」です。
廃用性萎縮とは、長期の安静状態や、寝たきりにより、筋肉や関節が使われなく成ることによる萎縮です。使われない機能はドンドン衰えていきます。骨も負荷をかけないと老化が進行します。地球では、重力がかかるために、骨にも強度が必要とされていますが、宇宙の無重力状態では、強度が必要とされないために廃用性萎縮が進行してしまうのです。長期安静も同じように使われないことにより、骨もどんどん弱くなっていきます。
●骨の強化には運動刺激が必要
骨を強化するためには骨に刺激を加えなければ強化されません。骨は長軸方向に荷重され刺激が加わることにより、骨強度が増加するとされています。運動することで、物理的な負荷が加わりその刺激により骨にカルシウムが沈着しやすくなる性質があり、物理的な負荷が大きく重力がかかる運動の方が、骨密度が増えやすいことも言われています。
運動することで、骨の血液の流れが改善され、骨をつくる細胞の働きを活発にさせます。運動の効用はもうひとつあります。運動によって体の筋肉がきたえられ、身のこなしがよくなると、転びにくくなり、骨折防止にもつながります。
●体重と骨密度の関係性、レジスタンストレーニングの必要性
体重は重いほど、骨に負荷がかかりますので骨は強いとされます。言い換えると、骨を強くしたい場合には、骨に対して大きな負荷刺激を与える運動が効果があるとされます。高齢者でも骨の強化には、レジスタンストレーニングが効果があるとされます。
運動の種類によって、骨への負荷が異なります。骨に対して、物理的な過重負荷が大きいほど、効果が得られます。過重負荷の少ない水泳を行うならば、ジョギングのほうが骨粗鬆症予防には効果が期待できます。
ウエイトマシンなどを利用する筋力トレーニングも骨に刺激が伝わります。運動は、鍛えた筋肉が強化されます。目的に応じて、マシンを利用し筋肉に負荷をかけることができます。転倒で腕を付いて、手首を骨折することもある骨折です。運動マシンを選ぶことで、上半身の骨も鍛えることができます。マシントレーニングは、自分の弱い部位を選択的にトレーニングすることができて効果的です。
●骨粗鬆症の予防、骨の強化には
骨粗鬆症は、骨が脆くなって骨折しやすい状態となっています。脆くなった骨は、尻もちをついただけでも骨折します。骨折しやすい場所は、おもに腰椎と大腿骨骨頭の骨です。骨粗鬆症の予防のためには、カルシウムの摂取と日光浴さらに骨に刺激が加わる運動が必要です。
ただ単に食事で必要量のカルシウム摂取のみでは強い骨形成はなされません。常に骨に適度な負担をかけることが重要とされます。日常生活の中で、出来る限りの運動量を増やすように心がけることが大切です。骨粗鬆症を予防するためには、ウォーキングやジョギングのような重力のかかる運動が効果的だと考えられます。パワーウォーキングといわれる、軽いダンベルを持ったウォーキングは、自分の体重負荷がかかりますので、通常のウォーキングよりも効果的といえます。
骨粗鬆症となり、大腿骨頸部骨折の多くの方の検査をさせて戴いています。骨折は、転倒リスクに繋がります。そして、大腿骨頸部骨折の14%が寝たきりとなるという数字もでています。
生理検査アティテュード®からのメッセージ
このアティテュードからのメッセージは、私が思っていることを、けっこう言いたいことを書いています。今日のブログテーマからの連想で浮かんだことです。
昨年秋からこの春にかけて、様々な場所で介護予防のための運動プログラムを受講してきました。
そして、今の若い人たちに対して大きな危機感を持つことに。学べば学ぶほど、もっと多くの人に知って欲しいと思うことが、次から次へと出てくるのです。
私たちの次世代への危機感を持つ!!
だから、伝えたいから書く!!
私のビジョンの中には、若い技師さんへもっと臨床検査のことを伝えたい、知って欲しいという、臨床検査技師としての強い思いがあります。その一環としてさまざまなことを学び初め、そして、そこから社会に対して私に何が出来るのか?ということを考えた結果、このHealth Blogが始まっています。
HPをリニューアルして、1年半が経過し、半年くらい、医療者向けのメンタルに関連することを中心にUPしてきました。「Health Blog」として書き初めたのが、昨年の4月頃かと記憶しています。もっと一般向けに疾患を検査技師目線で綴って行こうと思ったことがきっかけです。疾患に関する記事は、当然、医師が書かれた物が多く出てきます。でも、検査技師だからこそ、何かできることがあるのでは無いのか?最新の情報を学び、検査関連の情報を盛り込みながら、検査技師目線でも書けるのではないかと思うからです。
さらに学びたい、知りたいことがどんどん増えます。その結果初めたことが、検査のデータをしっかりと把握し、健康管理士としてのスキルと、メンタルのプロとしてもっと社会に貢献していきたい!そう思っています。
話を戻すと、さまざま学ぶ中で、ミドルエイジと言われるもっと以前から知って欲しいと思うことが山のようにあるのです。
どんどん拡がる!伝えたい気持ちと好奇心
なかなか妊娠出来ない女性、妊娠出来ても切迫早産や切迫流産を多く見聞きします。それは、若い人の身体が危機的な状況にあるということなのです。
今日のまとめに中で、20歳から骨密度は減っていくということをどれだけの若い人が意識しているでしょうか?もっと以前、子どもの頃から気をつけてほしいこともたくさんたくさんあります。今の熱中症に対しても子どもと大人、高齢者それどれに身体の仕組みが異なるということをもう少し多くの人が知っていたらと思うのです。
骨密度だけではありません。日本の女性は、痩せすぎています。不要なダイエットは、体調不良につながり、さまざまな疾患を引き寄せます。美しさは内面から創るものです。あっ、私イメージコンサル、外見もアドバイスできます。これ、余談ですが、外見力も必要ですよ。
以前にも言いましたが、けっこうこのブログ書くのに時間かかるし、ストレスの時も...でも書かざるを得ないという強い気持ちがあるから、時に寝不足になっても書き続けています。ひとりでも多くの人に知って欲しい事ことだから書いています。
健康な毎日を過ごすための方法は、ひとりひとり対応の仕方が異なります。それは、身体の不調と、心は必ず相互作用があるということを意外に気づいていない方が多いからです。私は、臨床検査技師で、心理学を学んだメンタルのプロです。身体の不調の原因には、心の不調も何らかの形で関与していると考えています。自分自身で、意識はしていなくてもです。
いちばん知って欲しいのは、私の子どもたちかな...親としてのつぶやき
今日のまとめ
- カルシウムは、リン酸カルシウムとして骨の構成成分として70%存在する
- 酵素の働きをサポートし、カルシウムの調整を行うマグネシウム
- 骨を構成し、エネルギー代謝や細胞膜を構成するリン
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そしてもうひとつ耳寄りなお知らせです!
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〔大崎開催〕 7月・8月
〔海老名開催〕8月
〔横浜開催〕 8月
『気軽に健康トーク』の場がスタートいたしました!
HEALTH TALKING in Pure Medical attitude
当社Office での開催も決定いたしました!
〔横浜・鶴見 当社開催〕8月25日(土)・9月9日(日)
<Pure Medical attitude のblog>
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身体の5%ミネラルの話 2018.7.23~
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『夏本番前に熱中症を知る』 2018.5.28~6.1
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『心不全を知る』 2018.5.21~2018.5.25
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代表 かたよし純子 Junchan♪ ※自己紹介はこちらから
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今日も最後までありがとうございました。
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