元気&HealthのJunchanのblogにご訪問ありがとうございます。医療スタッフのメンタルパートナー かたよし純子です♪ 今週は、肝臓で作られる胆汁がテーマです。胆汁を貯蔵と濃縮する胆のうと胆汁が流れる胆管、初回は、胆のうと胆汁の機能を中心にまとめていきました。今回2回目は、胆のうの良性疾患をまとめていきます。何の症状も無く、超音波検査で指摘されてびっくりした方も多いのではないでしょうか。よくある胆のうポリープ、胆石、胆のう腺筋腫症をまとめていきたいと思います。そして、おまけで、総胆管結石と胆管炎についても今日のプラスαでお伝えしたいと思います。

 

1.胆のうによくある3つの良性疾患キーワード3つ

1-1 壁に見られる「胆のうポリープ」指摘された時の注意

1-2 「胆石症」そして胆石発作とは?

1-3 胆嚢腺筋腫症といわれたけど、よくわからない

今日のプラスα

2.拡張した総胆管の先に発見!総胆管結石

.胆のうの超音波検査の時に、注意して欲しいこと

生理検査アティテュード®からのメッセージ

小さいものは超音波向き

 

1.胆のうによくある3つの良性疾患

1-1 壁に見られる「胆のうポリープ」指摘された時の注意

胆のうポリープと指摘されたけれどもどうしたらよいのかよくわからないこともあるのかと思います。そんな疑問を中心にまとめていきたいと思います。

【胆のうポリープとは?】

胆嚢ポリープとは、胆のうの壁の内側に出来る隆起性病変のことを言います。健康診断や人間ドックなどで行われる腹部超音波検査で発見されることが多くみられ、けっして珍しい所見ではなく、ほとんどが良性のポリープで、日常的によく見られる超音波所見だということです。言い換えると、何の症状もないので、見つかってしまったというものかも知れません。

【胆嚢ポリープの症状は無いけれど...】

胆のうポリープの特別な自覚症状は、ほとんど何もありません。多くが、健診などで実施される腹部超音波検査で偶然に発見され、ほとんどが良性のため、経過観察となることがほとんどです。単数のことも、複数のこともあります。
通常は、半年から1年くらいの間隔で、腹部超音波検査で経過観察をするように担当医から指示がでます。
〔たかがポリープ、されどポリープ〕

その経過観察の間隔は、ポリープの大きさ、見え方などで医師が判断します。ポリープの多くは、良性とされますが、中には悪性の可能性もあります。その区別となる超音波所見もきちんと検査技師は確認しています。

その理由や基準とは?
  • 大きさ 胆のうポリープの場合、10mmを越えたら悪性の可能性を考えて、胆のうの摘出を勧められます。
  • 形状  有茎性か、広基性(隆起性)か この2種類で判断されます。
  • 数   多数みられるか、単発で比較的大きい

良性の場合によく見られる所見は、有茎性、小さいものが多発、有茎性、桑実状、金平糖状など

さらにワンランクアップの超音波所見の判断基準とは?
  • ポリープが付着している壁の状況
  • ポリープ内部血流、付着部位の血流の有無も確認します
※血流までの確認は、施設や技師の技量にもよることもあります。
さらに悪性の疑いがある場合はどうするの?
  • 超音波内視鏡で胆のう壁の層構造の確認
  • 造影CTなどによる血流の確認
など、良性、悪性の鑑別診断が行われます。胆のうがんの場合でも、深刻な状況にまで進行しないと症状は現れません。胆のうがんの詳しい所見などは、次回まとめていく予定ですので、あわせてぜひお読みください。
〔その他の所見の合併による症状〕
良性の胆のうポリープでも、胆石をいっしょに持つこともあります。その場合は、胆石による痛みを感じることもあります。また、前回のブログでお伝えしたように、胆のう炎などの可能性を併発することがありますが、あくまでもその症状は胆石による胆のう炎の症状となり、ポリープが原因ではありません。良性の胆のうポリープのみの場合、症状は何も無いといえると思います。
〔良性のポリープは放置しても良いの?!〕
胆のうポリープといわれて、何年も放置した場合、痛みが発生した場合は、良性の胆のうポリープではなく、悪性の胆のうがんということもあります。言い換えると、胆のうポリープを指摘されたら、定期的な腹部超音波検査を受け、経過観察していくことは必須だということです。

【胆嚢ポリープの原因と種類】

胆のうポリープの原因は、ほとんどの場合、コレステロールポリープとなります。
胆のうポリープには、胆汁中のコレステロール成分が原因となるコレステロールポリープなどの非腫瘍性のもの、胆嚢内部の粘膜細胞が増殖してできる腫瘍性のものとおもに2種類となります。
〔非腫瘤性のポリープ〕
非腫瘤性のポリープは良性で、がん化することはなく、大きさも10mm以下、数が多くみられ、有茎性(茎が見られる)で、桑の実状や金平糖状のような形状をしていることが多くみられるポリープです。
〔腫瘤性ポリープ〕
腫瘍性ポリープには、良性の腺腫と悪性のがんとがあります。原因ははっきりせず、単発で見られます。大きさは10mm以上となり、ポリープの表面が不整形の場合が多く見られます。超音波検査により、ポリープ内部の血流の有無をみることが必須となり、悪性が疑われる場合には、鑑別診断は必要となります。
◯胆のう腺腫
胆嚢腺腫は単発で生じて、基本的には良性であるが、一部に異型細胞を伴い癌化する可能性もある。大きさが10 mmを超えた場合は癌を疑う。
〔良性ポリープとされる各種〕
◯コレステロールポリープ
前回のブログで胆汁の成分の説明をしていますが、胆汁成分となるコレステロールが原因となるポリープです。コレステロールが胆のう壁の粘膜内沈着し、発生する良性のものとされます。多発することが多く、数mmのものが多く見られます。
◯過形成ポリープ
胆のう上皮細胞が過剰に増殖してできるポリープ
◯炎症性ポリープ
胆のう壁の粘膜固有層の増殖により発生する良性のポリープ、慢性胆嚢炎などにみられる

【注意したいサイズは10mm!そして...】

胆のうポリープが10mm以上の場合は、手術適応サイズとされています。もしくは、前回検査と比較して有意にサイズ拡大が見られる場合です。経時的に、10mm以下でも徐々に大きくなる物は、がんを疑い摘出術の対象となります。また、形状を大切な評価となります。10mm未満のポリープでも、広基性のポリープは、がんが疑われ、精査の対象となります。

【胆のうポリープの種類・分類】

ポリープの形状できのこの様に茎を持つものを有茎性ポリープ、茎がはっきりしないものを亜有茎性ポリープ、茎のない形状で扁平に壁から盛り上がる広基性ポリープなどがあります。亜有茎性ポリープと広基性ポリープは、良性ポリープに見られるとされますが、これだけでは判断はできません。

◯有茎性とは?

ポリープと壁とが茎でつながっているものをいいます

◯亜有茎性ポリープとは?

茎のはっきりしないものをいいます。しかし、隆起状ではないものをいいます

◯広基性とは?

粘膜の表面が盛り上がった様に隆起しているものをいいます

 

胆のうポリープ

<胆のうポリープ>

【胆のうポリープの鑑別方法と治療法】

良性のコレステロールポリープが疑われた場合でも、基本的には、経過を見ていくことが大切です。そして、5mmを越えてきたなどの大きさの変化や、形状の変化、血流が有るなどの超音波所見が確認された場合には、鑑別のための検査が必要となります。
ポリープの経過観察の頻度
  • ポリープサイズ5mm以下:超音波検査による1年に1回程度の検査
  • ポリープサイズ5〜8mm :超音波検査による半年に1回程度の検査
  • ポリープサイズ8mm以上:CT、MRI、EUS(超音波内視鏡)など他の検査をすることが勧められます

大きさ以外に、上記でお伝え致したように、数や形状、壁との関係性(有茎性か広基性か)、血流の有無なども合わせて担当医との相談が必要となります。

〔胆のうの摘出〕

胆のうを切除します。通常、腹腔鏡を使って胆のうを摘出します。術中診断などにより開腹術となることもあります。また、術後の病理診断で悪性の所見見られた場合は、追加手術として、開腹手術を行い肝床切除やリンパ節郭清などが行わることもあります。胆のうがんと診断された場合でも、早期での摘出術であれば、完治率は高いとされています。

生理検査アティテュード®からのメッセージ

【小さいものは超音波向き】

私は、胆のうの詳細検査には、絶対的にエコーをお勧めしたいと思っている超音波検査士の1人です。他のどのような画像診断よりも腹部エコーがチョイスされるべき選択肢です。その理由、小さいものが得意なのです。最近のCTも素晴らしとは思います。しかし、5mm以下の病変に関しては、超音波検査です。逆に、プローベ(腹部に当てる探触子)よりも大きなものは、不得手です。全体のオリエンテーション、つまり臓器周囲との関連性、位置関係が描出し難いからです。

特に、最近の超音波診断装置の開発には目覚ましいものがあります。何十年も超音波検査を行ってきた私には、かゆいところに手が届くような診断装置になってきてたなぁ~という思いもあるのです。ひとえに、開発に携わっておられる各メーカーの方々の努力の賜物です。使う側に取っては、心から感謝です。

〔しっかり活かして検査して欲しい〕

だからこそ、若い検査技師さんたちには、その開発技術の成果をしっかりと社会人の健康に活かして欲しいのです。診断装置の機械特性をしっかりと認知し、自らの検査技術を意識し、向上心を持って日常検査を行ってもらいたいのです。

今日取り上げた胆のうポリープの所見を確認するときに注意して欲しいことを3つお願いしたいと思います。

その1.誤差の少ない計測を心がけること

Maxサイズを描出して、静止画とすることが大切です。よく見るのは、ポリープのフォローだから、あッ有った!とすぐに静止画として、そのまま計測してしまう技師がいます。過小評価になったり、ブレのある過大評価になったり、きちんと経過が追えない検査をしている様な場面をみかけることもあります。

その2.詳細評価を行うこと

5mm以上のサイズのポリープに対して、上記にあげた有形性か、隆起性かの評価、壁との関係性、描出困難部位を描出し、観察することのプラスワンの努力を怠らないことが大切です。経過観察中のポリープが描出された時点で、胆のうのスキャンニングをやめてしまう人も多くいます。見つけたから安心してしまうのでしょうか。他の部分に、他の所見が隠れていることも有るということを念頭に置いて検査を勧めていくことが大切です。受ける方の「今」を検査しているのです。

その3.超音波診断装置を最大限利用して、最上の検査を行う努力

最近の診断装置の多くには、血流の評価が出来るものだと思います。きちんとポリープに有意な血流の有無を確認してください。

少しでも早く悪性所見を見つけることが大切となります。それが、検査を行う担当技師の義務だと私は思っています。

 

1-2「胆石症」そして胆石発作とは?

胆石(gallstone)とは、胆汁が固まって胆のうの内部や胆管内にたまった結石のことをいいます。前回のブログでも扱いましたが胆のう炎は、この胆石が原因となるものがほとんどとなります。

【胆石の種類】

胆石の成分によって何種類かに分けられます。胆汁成分おもにコレステロールやビリルビンが固まったものとなりますが、色も形も多様である数種類あり固まる胆石も成分により分類されます。

〔コレステロール結石〕

70%以上がコレステロールを主成分とした結石で、過剰なコレステロールが個体化したものとされます。脂肪分の多い物、カロリーの高い食事等でできやすいとされている。微小なコレステロールの結晶化が胆嚢内に蓄積し胆石となったものです。

胆汁のうっ滞により、胆のう内の胆泥となることがあります。この胆泥が、胆石へと変化したり、胆管内へと移行し胆管を塞ぐこともあります。

〔ビリルビンカルシウム結石:色素結石〕

胆汁中の主な色素ビリルビンを主成分としたカルシウム化合物の結石です。褐色の色素結石で、胆道系の感染により生じる結石とされ、総胆管結石によく見られる種類です。

〔黒色石〕

黒色の色素結石で、胆のうで形成されます。ビリルビンを主成分とした結石ですが、ビリルビンカルシウム結石とは異なり、感染の無い胆のう内に生じる結石です。アルコール性肝疾患の患者や高齢者、溶血性貧血の人によくみられるとされます。

【胆石症とは?】

胆のうの中に結石(胆石)が存在する状態となります。

胆のう中の結石を胆のう結石、胆石症と呼ばれ、胆のうで作られたものが、胆管内に落下することも、胆管内で結石が作られることもあります。胆管内の結石を胆管結石と呼んでいます。

〔胆石症の症状〕

胆石は、ほとんどの場合、無症状のことが多いようです。胆のうポリープと同様に、健診で指摘され知らさせることが多いかともいます。胆石が胆のう内にとどまっている限りは、症状がない場合がほとんどのようです。

〔胆道疝痛をおこす胆石〕

よくみられる症状が、胆道疝痛といわれるものです。胆石が胆のう管や総胆管などに入り込み、胆管を閉塞したときに激しい痛みを生じます。胆汁が流れなくなるために、胆のうが腫れ、胆道仙痛と呼ばれる痛みが起こります。この痛みは上腹部や右側腹部に生じ、痛みの場所を正確に特定できないこともあるようです。糖尿病や高齢者では特に痛みの場所が不明瞭となり困難なこともしばしばあるようです。救急搬送されるほど激しい痛みが持続的に続きます。後に、鈍痛となり吐き気や嘔吐もみられることもあるとのことです。

合併症として起こる胆のう炎は、重篤な場合、胆のう壁は侵食され、穿孔を引き起こすことや、さらに腹膜炎を引き起こすことがあります。また、まれに結石が小腸に入ったりすると腸管が閉塞され胆石イレウスを発症することもあります。

右上腹部圧痛・叩打痛
  • 右上腹部痛:心窩部痛~右脇腹の痛み、背中の痛みや張り感、腰痛、肩こりなど、強い痛みを訴えることがある
  • 悪心や嘔吐

※痛みに関しては、狭心症や胃痛などその他の疾患との鑑別が必要になります。

合併症の併発時
  • 発熱 :胆のう炎、胆管炎を合併する発熱を生じる。
  • 黄疸 :胆管結石の場合胆道閉塞をおこすと黄疸が生じます。ビリルビン尿をともなうこともあります。

重篤の合併症として、胆のう炎、総胆管結石による胆道閉塞症、胆管炎、胆石性膵炎などがあり、これらの合併症にともなう身体症状がみられます。

〔胆石症の経過〕

ほとんどの胆道仙痛は自然に消失するとされますが、再発や、合併症を生じることもあります。胆道の閉塞が長く続くと、急性胆のう炎を引き起すとされます。胆のうに炎症生じることで、細菌が繁殖し感染症を発症します。

【胆石症が作られる原因】

胆石がつくられる原因として考えられているのが、胆のう収縮機能の低下や、胆汁成分となるコレステロールの上昇も関与しています。コレステロールの上昇は、レシチンと胆汁酸塩のバランスが悪くなることで胆汁粘稠度が上昇し、胆汁のうっ滞、または細菌感染が原因で凝集した胆汁が胆のう、胆管内で結石を作るとされています。

〔胆石の危険因子〕

胆石を作りやすい因子として、女性、高齢者、肥満、急激な体重の減少、過激な低カロリー食、欧米風の食生活、家族歴などがあげられます。

【胆石性の診断・検査】

通常、腹部超音波検査により胆石の診断が可能です。余程見えにくい条件下出ない限りは比較的容易に診断できます。胆石症による胆石発作を頻回に起す場合や、合併症が生じた場合に胆のう摘出術が勧められます。

〔腹部超音波検査〕

超音波検査は、数mmの微小病変の描出には、非常に有効で他の画像診断よりも優れていると私は思っています。胆石以外においても、閉塞性黄疸の検査でも有効で、効果が期待できます。ただし、胆管内結石の描出には、熟練の技術が必要となることは否めません。熟練の技師による、指導は必須でより多くの経験を重ねることが大切です。

〔超音波内視鏡検査〕

内視鏡の先端に超音波装置をつけた装置にて行う。経腹エコーよりも消化管ガスの影響を受けないために良好な画像が得られる

〔CT:コンピュータ断層撮影〕

胆管や胆嚢の結石の有無を構造的に描出することができます。ただし、微小結石には不向きとされます

〔MRI・MRCP:核磁気共鳴画像法〕

胆嚢や胆管結石を3Dの立体画像として診断できる

〔ERCP:内視鏡的逆行性胆道膵管造影〕

胆管内の結石の有無を確認

〔検体検査〕

症状のない胆のう結石の場合では、検査で異常値を示すことは無いといえます。

胆管結石で、胆道系の閉塞を生じている場合には、生化学検査で、AST、ALT、ALP、γ-GTPなどの肝・胆道系酵素の上昇や、ビリルビン値が上昇します。また、胆石による胆のう炎などの感染症に際しては、炎症所見とともに胆道系酵素の上昇が見られます。尿が黄色くなるビリルビン尿もみられることがあります。

【胆石症の治療】

症状を起こさない胆石の場合は治療の対象にはなりません。しかし前回のブログで伝えしたように胆のう炎を起こすことや、胆石症の疝痛発作を起す場合には、一般的に胆のう摘出術が勧められます。

〔胆嚢摘出術〕

胆のうを摘出することで、胆道仙痛が予防できます。胆汁は継続的に腸管に流れることになりますが、消化には影響を及ぼすことはないとされます。手術後に特別な食事制限もありません。

通常、腹腔鏡下胆嚢摘出術が行われます。開腹術と比較して、手術の痛みの軽減、入院日祝の減少など受ける側の負担も最小限となります。腹腔鏡での手術が困難な場合は、通常の開腹術での摘出術が行われます。

〔投薬治療〕

胆汁酸などの服用により溶解する方法もあります。小さな結石ならば、6カ月くらい、大きな結石では1~2年かかるとされますが、溶けないことも多くあるようです。コレステロール結石で有効とされ、溶解されてもまた結石が出来ることが多く対象者は、手術をしたくない場合や、手術へのリスク高い場合が主に対象とされています。

【腹腔鏡下胆嚢摘出術】

急性胆のう炎に対しては、原則、胆のう摘出術が行われます。腹腔鏡による術式が一般に行なわれています。

腹部に3~4ヶ所の小さな穴を開け、腹腔鏡を挿入し、開腹しないで腹部に開けた穴から胆のうを摘出します。開腹手術に比較し、身体への負担も軽く、術後の経過が早く、入院期間も短期間ですみます。対象は、炎症の進行状態やその他の疾患の有無により判断され、腹腔鏡手術を行う中でも、術中に開腹手術に切り替える可能性が有ることを説明されると思います。

症状の再発とさらなる胆道系合併症を予防するために腹腔鏡下胆嚢摘出術の適応となる。腹腔鏡下胆嚢摘出術は,胆嚢癌に合併した磁器様胆嚢に対して特に適切である

1-3 胆嚢腺筋腫症といわれたけど、よくわからない 

胆のう腺筋腫症(アデノミオマトーシス)という疾患も健診でよく見られる胆のう良性腫瘍の1つとされます。

【胆嚢腺筋腫症とはRASを持つ良性腫瘍】

胆のう壁にRASと呼ばれる嚢胞性の所見が、肥厚した胆のう壁内部に見られるのが超音波検査で特徴です。壁の肥厚は、びまん性肥厚、限局性肥厚としてみられます。若年者から高齢者にまで、広範囲な年齢層にみられます。胆石や壁在性結石(壁内部に作られた結石)を合併していることがよくあります。

胆のう腺筋腫症の特徴とされるRAS(Rokitansky-Ashoff洞)とは、

胆のうの粘膜上皮が胆のう壁内部に憩室様に嵌入した増殖状に変化したものとされています。原因ははっきりとはしていないようで、RASの内部に、入り込んだ胆汁が濃縮して胆石や石灰化などを併発する所見(comet like echo)もよく見られます。RASに出来たものとされています。

胆のう腺筋腫症の定義

胆のう壁、10mm以内にRASが5個以上みられ、壁が3 mm以上に肥厚したものとされています。

〔胆のう腺筋腫症の種類〕

胆のう腺筋腫症は、3つのパターンに分類されます。

  • 底部型 :胆のう底部に病変が限局している
  • 分節型 :内腔が狭くなっている
  • びまん型:胆のう壁全体にRASの増生し、びまん性の肥厚を広範囲に認める

【胆のう腺筋腫症の症状と診断】

自覚症状も特有とされる症状も無く、まったくの無症状がほとんどです。健康診断などの超音波検査などで偶然発見される疾患です。

〔見られる症状は合併症の時〕

胆石症や胆のう炎を併発したときに右上腹部痛や違和感、吐き気、腹部膨満感などを伴うこともあります。

胆のう腺筋症の診断には、他の胆のう疾患同様に腹部超音波検査が優れています。特に胆のう腺筋腫症では、RASや壁在結石に見られるcomet like echoなどの特徴的な所見が得られることで判断されます。

〔胆のうがんとの鑑別が必要〕

胆のう内部に、複数の疾患がみられることも少なくありません。また、壁の肥厚を伴うために、胆のうがんとの鑑別が必要となります。超音波検査では、胆のう内膜の不整な印象や、胆のうと周囲との境界性の見え方、肥厚癖内部の血流の確認なども必要です。腹部超音波検査で、気になる所見が見られた場合には、超音波内視鏡、CT検査、MRI検査、ERCP検査などの方法を用いて確認することが必要となります。胆汁中の細胞診、血液検査にて、腫瘍マーカーCA19-9や、CEAなどが行われます。

【胆のう腺筋腫症の治療】

胆のう腺筋腫症の診断がなされても無症状の場合には積極的な治療は必要ありませんが、胆のう結石や胆のう炎を伴い、腹痛などの症状を認める場合には胆嚢摘出術の適応となります。また、胆のう癌との鑑別診断が困難な場合にも手術を行うことがあります。

手術方法には通常の開腹手術による胆嚢摘出術と腹腔鏡を用いた腹腔鏡下胆嚢摘出術があります.どちらを選択するかは、胆嚢壁肥厚や胆嚢の炎症の程度により判断することになります。胆嚢腺筋腫症のみであれば、手術後の予後は良好です。

 

胆のう腺筋腫症

<胆のう腺筋腫症>

 

2.総胆管結石 

総胆管結石とは、総胆管内に見られる結石です。肝臓内部の胆管で出来たものを肝内胆管結石といいます。

【総胆管結石は、胆のう摘出しても出来ます】

総胆管結石は、胆石が胆のう管を経て、総胆管まで落下したものと、総胆管内部で作られたものとがあります。そのため、胆のう摘出術を行った場合にはでも総胆管結石ができる場合があります。

【総胆管結石の症状】

総胆管結石は、サイズが小さく、障害とならない場合は、痛みがないこともあります。

結石が胆管に嵌り込むことで激しい痛みが発生します。心窩部~右季肋部に痛みを生じます。血液検査では、AST、ALT、γ-GTP、ALP、ビリルビンなどの上昇が見られ総胆管結石が疑われることになります。

〔急性胆管炎・急性膵炎の合併症〕

結石で胆管閉塞が生じると、感染症を引き起こすことで急性胆管炎を合併症することがあります。症状ととして、発熱、悪寒、黄疸などは現れます。

さらに重篤な症状として、細菌が血液中に侵入すると敗血症を発症し、意識障害やショックを伴うこともあり、非常に危険な状態となります。胆管の十二指腸乳頭部での合流部分で、結石が嵌り込むと、膵管もふさいでしまうこともあるために、急性膵炎を発症することもあります。

〔総胆管が閉塞すると〕

総胆管またはファーター乳頭での閉塞は、総胆管の拡張をしばしば伴います。場合により、黄疸を伴い、発熱や悪寒などの症状がみられることもあります。発熱は、胆管炎の併発を示します。

【総胆管結石の診断・検査】

〔腹部超音波検査〕

胆石ほどではありませんが、かなりの確率で総胆管結石が描出されます。しかし、超音波で総胆管を追えるのは、膵頭部までで、乳頭部まで描出することは出来ません。したがってその位置に結石がある場合には、残念ながら描出出来ないことになります。

〔 CT検査〕

石灰化した総胆管結石ならば高い描出率となります

〔MRI・MRCP〕

かなりの確立で、描出可能、5mm以下の小結石は描出されにくい

〔超音波内視鏡:EUS〕

腹部超音波検査よりも詳細に観察ができますが、胃カメラよりも長時間かかる

【総胆管結石の治療】

ERCP(内視鏡的逆行性胆道膵管造影)では、胆石をとることは出来ませんが、総胆管結石はこのERCPで結石を除去することができます。

 

胆石・総胆管結石

<胆石・総胆管結石>

 

.胆のうの超音波検査の時に、注意して欲しいこと

【検査を受けるにあたり注意してほしいこと】

食事などにより胆汁が胆のうから排泄された状態では、十分な検査が行なえません。胆のうがしっかりと胆汁で充満している状態での検査が前提とされています。胆汁が流出してしまうと胆のうは、袋状のために収縮してしまい、超音波での胆のうの観察では、不向きな状態となってしまいます。

〔朝食は食べないで〕

この説明を受け、ご飯をやめて、パンを食べてきました。牛乳だけ飲んできましたなどなど、さまざまな解釈の仕方があることを知ります。

喫煙なども影響は0ではありません。壁の肥厚などに影響が無いことなく、正しい評価ができなくなることもあります。そのために、基本腹部超音波検査の前は、8時間以上の絶飲食として受けて欲しいと思います。

〔胆のう無いから食べてもいいの〕

健康診断の場合は、当然、血液検査などに影響があります。腹部超音波検査でも、胃に食物が入るとその背面にある膵臓が非常に観察しにくくなることが多くあります。体型などの影響もありますが、やはり食事を抜いて戴くことが前提となります。

急性腹症などでの場合は、腹痛精査となりますので、食事の有無の確認はいたしますが、行われます。

最終回は、胆のうがんを中心にまとめていきたいと思います。

なお、来週のHealth blogはお休みさせていただきます。

 

今日のまとめ 

  • 胆のうのポリープは、10mm以上になると出術の適応サイズ
  • 胆石発作を頻回に繰り返す、胆のう炎を起こした場合は、胆嚢摘出術が勧められる
  • 胆のう腺筋腫症は、胆のうがんとの鑑別が必要

 

 

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今日も最後までありがとうございました。

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