元気&HealthのJunchanのblogにご訪問ありがとうございます。医療スタッフのメンタルパートナー かたよし純子です♪ 今週は、糖尿病の3合併症のひとつといわれる、「糖尿病性神経障害」をまとめておきたいと思います。今までも糖尿病は何度も、まとめてきました。その情報量は膨大で、お伝えしきれていません。先週、東京都医学総合研究所主催の都民講座を受講する機会を得ることが出来ました。その内容のシェアを中心に「糖尿病神経障害」の症状の中でも注目されているフットケアを中心に今週ままとめていきたいと思います。初回の今日は、糖尿病神経障害はどうして起きるのか?発生機序から理解を深めて戴けたらと思います。
1.放置すると足切断!糖尿病性神経障害の機序を知る3ステップ
1-1 糖尿病性神経障害とは?
1-2 糖尿病性神経障害の具体的症状とは?
1-3 どうして起きる?神経障害のメカニズム
今日のプラスα
2.神経障害の診断で行われる検査
3.下肢動脈硬化で発症「末梢動脈疾患」に対する超音波検査
生理検査アティテュード®からのメッセージ
・若い検査技師さんへ、痛い検査をどう行っていますか?
1.放置すると足切断!糖尿病性神経障害の機序を知る3ステップ
いきなり怖い、ショッキングなタイトルから入りました。でも、本当なんです。職業柄、多くの切断された「足」を見ています。
1-1 糖尿病性神経障害とは?
2型糖尿病の合併症として、トップに挙げられるのが「細小血管障害」です。そしてこの血管障害がもたらすのが、3大合併症と言われる「糖尿性網膜症」「糖尿性腎症」「糖尿性神経障害」です。
【2型糖尿性の合併症】
国内には、自覚されていない糖尿病予備軍は、1,000万人いるとされています。
2型糖尿病の合併症とは、細小血管障害(3大合併症 ①網膜症 ②腎症 ③神経障害)、大血管障害(①冠動脈疾患 ②脳血管障害 ③足壊疽)がん、認知症、骨折などがあります。これらの慢性合併症は、生活の質QOLを著しく低下させます。
これらの合併症によって、糖尿病性網膜症は、網膜剥離から失明する危険性、糖尿病性腎症は、腎不全を発症し人工透析へと、そして、糖尿病性神経障害は、動脈硬化から末梢神経障害をもたらし、足切断ということもあり得るということをご存知でしょうか。
- 糖尿病性網膜症:網膜剥離による失明
- 糖尿病性腎症 :腎不全から人工透析
- 糖尿病神経障害:足壊疽をもたらし足切断
※関連ブログ「症状を自覚する前に知って欲しい合併症」
【糖尿病性神経障害とは?】
その中でも、足を失うことにも成りかねない「神経障害」をまとめていきたいと思います。糖尿病性神経障害は、糖尿病罹患者の中でもっとも多く見られる合併症とされています。神経は脳と身体全体の情報をやり取りする役割を持ちます。神経は、脳、脊髄ならなる中枢神経と中枢神経から枝分かれし、身体の末梢の方までのびる末梢神経があります。糖尿病で障害がみられるのは、より細い末梢神経に症状がみられます。
糖尿病は、血液中の血糖濃度が上昇した状態となります。この高血糖値状態が続くと体内のさまざまな臓器に合併症が発症します。時にしびれや痛みを感じることや、逆に感覚がなくなることもあります。高血糖により、全身の神経に障害が引き起こされる状態が糖尿病性神経障害となります。
高血糖で初期に障害される神経は、身体の末端まで伸びる末梢神経です。身体の血管の中で、高血糖状態が続くと、この末梢神経の代謝に異常をきたします。身体にとって不要な物質が堆積し、血管が傷つけられ、末梢への血流が減少し、神経に栄養が行き渡らなくなり機能障害がもたらされます。その結果、神経障害は、先にあげた重篤な疾患につながることがあります。身体の末梢へ行くほど栄養や血液が行き届かなくなるために、足先や手などの感覚神経障害として、出現しやすくなります。
〔糖尿病性神経症障害は、末梢神経で起きます〕
神経神経の中でも、高血糖で障害が起きるのは末梢神経です。末梢神経には、身体の知覚、痛みなどを感じる「感覚神経」、運動制御に関係し、筋肉を動かす「運動神経」、内臓や血管などを自動的制御し、心臓や胃腸などの、血圧や体温をコントロールする「自律神経」の3つがあり、これらの神経で障害が引き起こされます。
末梢神経の種類
- 感覚神経:身体の知覚、物を触って温度や触感、痛みなどを感じる
- 運動神経:手足を動かす
- 自律神経:心臓、血圧の調整や消化管動かす自律神経
感覚神経障害の初期症状とは?
- 足先のしびれ感
- 足の冷感、逆に熱感
- 手や足の感覚が鈍る。ただし、鈍っていることに自分では気付かないことが多い
- 足の裏感覚異常(足に紙が貼りついているような感覚)、皮膚表面のモゾモゾ感(虫が這うような感覚)
- 神経痛が起こる(坐骨神経、腕や手の神経、肋間神経など)
このような障害は、比較的初期段階に起こるとされています。この時点での適切な対応が大切だとされています。何となく変だなぁ・・・くらいのあまり意識されない症状がほとんどのために、見過ごされ、症状が悪化する原因にもなっています。これらは、感覚神経の症状ですが、睡眠中などの安静時に足がつるといった症状もよく起こります。
【神経障害よってもたらされるおもな症状】
神経障害によってどのような全身症状が起きるのでしょうか。もうすこし詳しくまとめていきたいと思います。
●皮膚感覚異常
- 両側の足先のしびれ感、痛み、冷感など
- 接触時の感覚が鈍麻(画鋲やガラス破片を踏んでも気づかない)
●胃腸運動機能異常
- 胸焼け、吐き気、食欲低下、消化不良などの胃腸障害
- 便秘や下痢
●心臓・血圧調節機能
- 無痛性心筋梗塞 ※心筋梗塞時の胸痛を感じない
- 起立性低血圧(血圧低下によるたちくらみ、失神、転倒)
- 致死性不整脈 頻脈・徐脈
●四肢の運動神経障害
- 筋力低下、筋萎縮(足や臀部の筋肉萎縮、筋力低下など)
- 足の変形
- 上肢や下肢の痛みやしびれ症状 など
●眼球運動や顔面の筋肉の障害
- 眼球運動の障害
- 顔面神経麻痺など
●泌尿器・生殖器系の異常
- 膀胱の機能障害(排尿障害、残尿感)
- 勃起障害(ED)
●発汗障害
- 汗をかかなくなる
- 乾燥肌
1-2 糖尿病性神経障害の症状とは?
健康な人は、指先にけがをしてもちゃんと痛みを感じます。人の身体は、全身が神経で網羅され、痛みや感覚神経で身体を守っています。そして、臓器は自律神経で正常に機能するように神経支配されています。日常生活に支障なく動けるのも、神経が関与しています。
【3つの末梢神経】
末梢神経には、痛覚や温度などを感じる感覚神経、手足の動きに必要な筋肉などに関係する運動神経、心臓や内蔵をコントロールしている自律神経があります。
◯感覚神経障害: 身体の知覚、物を触って温度や触感、痛みなどを感じる
神経障害は、身体の末梢ほど血液が行き届きにくくなるために、感覚神経障害は、足先など神経の末端部分の症状、足のしびれで気づくことが多いとされます。両足のしびれ、こむら返り、疼痛、感覚低下、感覚異常などがおもな自覚症状としてみられます。足の先や手などに神経障害は、比較的初期に現れます。この段階で適切に治療することが重要です。
安静時や夜間の痛みの出現や、両側の同じ部分に症状がみられるとされます。また、血糖コントロール休息に改善されたときなどに症状が起きやすいということもあります。
〔感覚神経障害の陽性症状と陰性症状〕
感覚神経障害は、その症状の現れ方で刺激症状と欠落症状として分けられます。
陽性症状:刺激症状
- しびれ感、感覚異常
- 疼痛:夜間に増強し、睡眠障害やうつ症状を引き起こしやすい
- 痛覚過敏症状
- 筋けいれん
陰性症状:欠落症状
- 感覚鈍麻 :けがややけどに気づかない、壊疽や潰瘍症状を引き起こす
- 深部感覚障害:手先が効かなくなる、ふらつき症状、
陽性症状は、正常な残存神経が病的な状態になると出現します、しかし、神経障害が進行し、神経線維が脱落することにより陽性症状が消失して、陰性症状といわれる感覚鈍麻などの感覚低下症状が強く出現することとなり、痛みを感じなくなるようになります。
◯運動神経障害:手足を動かす筋力の低下
糖尿病の運動神経障害は、筋力が低下するという症状として現れます。進行する事により筋萎縮などの症状として出現します。安静時、夜間などに痛みが強くなることや、両側の手足の同じ部分に症状が出るのが特徴とされます。場合により、関節の麻痺で運動機能が損われることもあります。脳神経の一部の障害が起きることにより顔面神経麻痺や寄り目などの症状として見られることもあります。
◯自律神経障害: 心臓、血圧の調整や消化管動かす自律神経
自律神経障害は、全身に影響を及ぼします。血圧や心拍のコントロール、体温調節機能、胃腸に関与し食後消化を活発化します。生命維持のための身体全体のバランスを交感神経、副交感神経のバランスを整える機能を持ちます。なかなか気づきにくい障害で始まり、便秘や排尿障害が現れやすいとされています。
- 血管運動神経機能障害による起立性低血圧、糖尿病腎症による腎性貧血が原因の場合もある
- 消化管運動神経機能の低下、嘔気、嘔吐、便秘や下痢を繰り返す、体重減少、消化管症状
- 食物が胃に残り血糖値が不規則に変化して、そのコントロールが大変になる
- 勃起障害(ED)、オーガズム障害
- 膀胱の感覚神経障害による尿意の低下や消失、尿閉(尿が出ない)に至ることもあるとされます。
- 排尿筋収縮力の低下による残尿、排尿障害、尿路感染症の合併
- 無自覚性低血糖:低血糖が起きても自覚症状が無く、突然の意識消失
- 無痛性心筋梗塞:胸痛に気づかず心筋梗塞の発作を起こし、手遅れとなる。
- 致死性不整脈
◯神経障害といわれたら気をつけてほしいこと
・感覚障害や足に変形が見られる場合は、足病変を起こしやすくなります。フットケアの大切さをよく理解していただくことが求まられます。足の傷や感染疑われるときは、早めの受診をお勧めいたします。フットケアについては、次回のブログで詳しくまとめていきたいと思います。
・定期的な心電図検査もお勧めいたします。自覚症状が無い状態でも心疾患を引き起こすこともあります。症状がない状態での冠動脈疾患を発症していて突然死に至ることもあります。自律神経機能障害による立ちくらみやふらつきなどの症状が気になる時には受診することをお勧めいたします。
・神経障害が進行すると、無自覚での低血糖を引き起こしやすい場合があり、いきなり意識消失してしまうこともあります。適切な血糖コントロールが求まられます。
・神経障害を指摘されると、眼の症状も現れやすくなります。糖尿病性網膜症や糖尿病性腎症の発症を引き起こし、気がつかないうちに進行していることもあります。定期的な受診により、その他の糖尿病合併症も気をつけることが大切です。
◯フットケアの大切さとは
感覚神経がおかされると、熱さや痛みに対する感覚が鈍くなります。痛みを感じにくくなってしまうのです。温度感覚も感じにくくなりますので、足のやけどやけがに対して気づきにくくなるということです。熱いものに触れても気づかずに重度のやけどを負ったり、切り傷にも気づかなかったり、重症化しやすくなります。小さな傷ややけどから潰瘍形成や壊疽へと進行してしまうことが少なくない状態になります。壊疽を引き起こしてしまうと、最悪足の切断ちなることも少なくないのです。だからこそ、日常的に足をよく観察し、適切にフットケアをおこなうことが重要となるのです。
<糖尿病性神経障害症状>
1-3 どうして起きる?神経障害のメカニズム
糖尿病性神経障害はどうして起こるのでしょうか。その機序には、アルドース還元酵素の働きが重要だとされています。
【ソルビトールが与える神経細胞へのダメージ】
人の体中で、グルコース(ブドウ糖)は、身体の筋肉や脂肪組織のエネルギーとして利用されています。このグルコースをエネルギーとして取り込むためには、インスリンが重要な役割を果たしています。しかし、糖尿病を発症すると、インスリンが正常に機能しなくなり、組織内でのグルコースの取り込みが阻害されてしまいます。組織で過剰となったグルコースは、インスリンを必要としない末梢神経、腎臓、網膜など組織で取り込まれます。
糖尿病によりこの高血糖状態が続くと、体内で余剰となったグルコースは、アルドース還元酵素 (AR)の働きで、ソルビトールやフルクトースという物質に変換されることになります。そして、この物質から、最終糖化産物が生成されることになり、組織へ蓄積され、血液中へも余剰に放出されるようになるとのことです。
この代謝過程において、アルドース還元酵素により末梢神経のシュワン細胞中にソルビトールという物質を蓄積させ、その結果、糖尿病性神経障害などのさまざまな疾患の要因になると考えられているそうです。
【ポリオール代謝亢進がもたらされること】
糖尿病性神経障害の発症には、ポリオール代謝活性が関与していると考えられています。細胞に取り込まれたグルコースの多くは、解糖系からクエン酸回路を経て、ATP産生に関与しています。しかし血中のグルコース濃度が高くなると解糖系のみでは処理しきれなくなるためにポリオール代謝経路を用いるようになります。
〔ポリオール代謝経路とは?〕
ポリオール代謝経路の通常の利用は3%くらいの割合で迂回経路とされています。しかし、血糖の高値状態となると、迂回路の利用割合が30%くらいにまで上昇するとされます。その結果アルドース還元酵素活性が上昇し、ポリオール経路への流入が増加します。最初の迂回路がポリオール代謝経路となることで、グルコースは、ソルビトールへと変換されることになり、フルクトースの上昇、グリケーション、酸化ストレスなどの上昇をもたらすとされます。
健康な人ならば、ソルビトールは、エネルギーに変換され体内で使われていきます。しかし、高血糖の場合はこのソルビトールも過剰となるためにシュワン細胞内に蓄積されていくことになります。
〔糖化:グリケーションとは?〕
糖尿病により、血中のグルコースが過剰となり、触媒を介さずにタンパク質と結合してしまうことを言います。
<糖尿病性神経障害メカニズム>
2.神経障害の診断で行われる検査
糖尿病で神経障害が疑われると、神経障害診断のためにさまざまな検査が行われます。
【末梢神経障害でよく行われるおもな検査】
◯アキレス腱反射:運動・感覚神経障害の指標
腱反射用のハンマーでアキレス腱を叩いて反射を確認します。
◯モノフィラメント検査:感覚障害の有無を確認
プラスチックのフィラメントで足底や足背を軽くさわり、感覚の有無を確認
◯振動覚検査:感覚障害の指標
踝の内側に振動させた音さあてて感覚の感じ方を見る。感じる秒数も確認する
◯心拍変動検査:CVRR検査
心電図検査のひとつで、心拍のゆらぎを測定します。心臓の拍動回数は一定ではなく、息を吸う時(吸気位)と息を吐く時(呼気位)で変化しています。この呼吸に伴う心拍のゆらぎは、自律神経がコントロールしています。この心拍の変動を心電図のR-R間隔で測定できます。心拍の変動が弱い場合には自律神経障害疑われます。
〔CVRRとは?〕
CVRRとは(Coefficient of Variation of R-R intervals )の略で、心電図のR-R間隔の変動係数を算出します。この呼吸性変動をみる検査CVRRは、心電図の一定時間測定し、心電図波形のR-R間隔のバラつきを測定することでも求められます。CVRRとして計算することができます。CVRRが低下して入れば糖尿病によって自律神経障害が疑われるということになります。
※関連ブログ:R-R間隔「自律神経と疲労との関係性」「糖尿病の合併症をみる検査」
◯神経伝導検査
末梢神経障害を調べる検査に神経伝導速度(NCV : Nerve Conduction Velocity)を、計測する検査が行われます。皮膚の上から神経に対してを電気刺激を与え、刺激の伝わる速度を波形での振幅で測定します。電気の刺激を与えるので、嫌な感覚の痛みを感じる検査となります。以前のブログでもまとめていますが、簡単に再掲おきましょう。神経伝達速度という検査がありますが、総合病院レベルで主に行なわれる検査になるかと思います。
神経伝達速度の検査
- 運動神経伝導速度(MCV : Motor Nerve Conduction Velocity) : 筋活動電位の潜時を指標とする
- 知覚神経伝導速度(SCV : Sensory Nerve Conduction Velocity) : 神経活動電位の潜時を指標とする
この2種類があります。ここでは、この2種類の検査を簡単に説明していきましょう
運動神経伝導速度 MCV
筋肉を刺激して、刺激が与えられてから反応のおこるまでの時間を潜時(せんじ)といいます。MCV検査では、近位部と遠位部の2ヶ所の皮膚の上から(例、手首と肘など)、神経が通る筋肉を順番に電気刺激を加えます。それぞれを波形に示し、両部位の潜時差で2点間の距離を割りm/secの単位で表します。(※活動電位とは、与えられた刺激に対して細胞膜に生じる一過性の電位の変化です)上肢では測定される神経は、正中神経、尺骨神経、下肢では後脛骨神経、総腓骨神経が主に束帯されます。
知覚神経伝導速度 SCV
SCV検査は、「神経活動電位の潜時」です。直接神経を刺激し誘発された神経電位を測定する方法です。つまりは、運動神経は、筋肉働きに関係しますので、筋肉の活動電位を測定します。MCV検査は、知覚となりますので、直接、神経の活動電位を測定します。検査には、末梢部を刺激し中枢部で導出する順行性法と、中枢部で刺激し末梢部で導出する逆行性法の2種類方法があります。通常は、逆行性で導出する場合は多いかと思います。
いずれの検査も刺激が神経につながるズンズンした嫌な感覚刺激、またピリピリした、しびれるような電気刺激が加えられますので、生理検査室で行なわれる検査としては、「痛いです」と説明される検査となります。
おもにおこなわれる神経
- 正中神経(Median Nerve)
- 尺骨神経(Ulnar Nerve)
- 脛骨神経(Tibial Nerve)
- 腓腹神経(Sural Nerve)
- 腓骨神経(Peroneal Nerve)
などがあげられます。 ※関連ブログ「糖尿病の合併症をみる検査」
3.下肢動脈硬化で発症「末梢動脈疾患」に対する超音波検査
閉塞性動脈硬化症 ASOに対して、最近良く行われるのが、下肢動脈の検査です。最近では、末梢動脈疾患 PAD:Peripheral Arterial Diseaseと呼ばれるのが一般化されているとのことです。
【閉塞性動脈硬化症とは?】
閉塞性動脈硬化症とは、糖尿病などが原因となり、足の血管の動脈硬化が進行し、血管の狭窄や閉塞を引き起こし、血流障害が生じている状態です。特徴的な症状が、間欠跛行と言われる歩き方です。歩行中に、足のしびれや、痛みなどで歩けなくなり休息する、しばらくすると症状が消失しまた歩けるようになる、この症状を繰り返すのが特徴です。さらにそのまま放置すると、持続的な痛みに変わります。
よく行われる検査で簡単に血管の動脈硬化の状態をみることができる検査に、ABI、PWV、CAVIの検査があります。過去のブログでも説明しています。過去のブログはこちらから
【最近行われる下肢動脈エコー】
末梢動脈疾患により、下肢の切断となることを防ぐために行われる治療として、下肢動脈の経皮的血管形成術・ステント留置術が行われるようになってきています。そしてこの術前評価や術後の経過、その後のフォローアップ検査として行われようになってきたのが、下肢動脈超音波検査です。
この検査もかなりの熟練を有します。症状がある血管ほど難しく技術を必要とし、ドプラーを駆使しなければ正しい流速の測定もできないことになります。知識と技術ともに有する検査です。
◯下肢動脈エコーの検査を行うことになったら
そして、いちばん気づかって欲しいのが検査を行う部分が鼠径部から末梢です。場合により、腹部動脈、総腸骨動脈あたりから確認することもあります。言い方そのままですが、下半身は、下着1枚になっていただかないと検査を行えません。長い肌着の類はすべて脱いでいただくことになります。もし、検査を行うことがある場合は、そのことを知っていて欲しいのです。そして、予約時に検査説明することがある方は、検査の内容に関して、検査時に下着1枚だということを事前に説明して欲しいのです。
特に、女性は、気にされる方もいらっしゃいます。当然、タオルで覆うことはしますけれども、事前に知っているかいないかで心の準備もいくばくかは、あるのではないでしょうか。私はそう思っています。
生理検査アティテュード®からのメッセージ・検査技師さんへ、痛い検査をどう行っていますか?
基本、私は痛みのある検査をやりたくないです。誰でもそうだと思うのです。だからこそ思うこと。 今、自分が行っている検査のやり方そのままを、 自分自身で受けられますか? 自分が受けたい検査方法で行うことが大切だと思っています。あたりまえだと思っていても、実際には実行されていないことがある。被検者に何気に行っているその「行い」そのままを自分が受けたいかどうかです。自分ではなくても、自分の家族や大切な人にそのままの方法で本当にできるかどうかです。 ◯ その説明で理解できますか?そして、若い技師さんたちへきちんと説明することを怠らないで欲しいということをお伝えしたい。同じ説明でもわかる人と、そうでない人がいます。表現を工夫することも大切だということを知ってほしいと思うことがあります。 神経伝導速度の検査は、「痛みを伴う」ということをどう説明するかです。そして、その痛みを検者として、どこまで実際に体験しているかどうかも関係します。そして、神経伝導速度を行うためには、かなりの熟練が必要となります。解剖学を正しく理解し、筋肉名も当然覚える必要がありますし、その筋肉を支配する神経の走行を熟知していなければ検査をすることができません。神経の走行も当然個々に走行位置も異なります。そして測定する神経にしっかりと刺激を加えなければなりません。 生理検査の中にもさまざまな検査があり、検者による差があるものが少なくありません。そこで大切なのが実践です。いきなり患者さんに対してではなく、学ぶことが大切です。座学も実践もともに大切だとされますが、いちばんは、モデリングです。模範となる人の一挙手一投足、身振り手振りから、言語パターン、行動パターンそして、思考パターンも真似てみることです。その中から自分にフィット感のあるものを取り入れること。 教えて貰おうと思っても学べません、自らの視覚情報と聴覚情報、そして、実際の身体感覚で身につけることです。神経伝導速度の検査も超音波以上に、身体感覚を身につけることが問われます。神経刺激ポジションを探し出すためのコツは、自分でやってみることです。そのためには自分自身が痛みを知ること。 どの程度の刺激でどれくらいのどのような刺激が感じられるのかということを含めての痛みを知ることです。 痛みを知ることで、検査に心をこめることができる 私はそう思っています。 |
今日のまとめ
- 糖尿病の合併症はいちばん初めに末梢神経障害として足に症状がみられることが多い
- 末梢神経には、「感覚神経」「運動神経」「自律神経」がある
- 糖尿病性神経障害は、シュワン細胞へのソルビトール蓄積が原因とされ、AR活性が関与
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参考資料
- 都医学研都民講座「糖尿病足病変の発症メカニズム」
東京都医学総合研究所 糖尿病神経障害プロジェクト 三五 一憲氏
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共同代表 Junko Katayoshi
今日も最後までありがとうございました。
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