元気&HealthのJunchanのblogにご訪問ありがとうございます。医療スタッフのメンタルパートナー かたよし純子です♪ 今週は、血尿がテーマです。初回は、潜血検査の示している意味、原理やの解釈の仕方、そして前回と今回は、血尿を症状とする疾患をお伝えしていきます。最終回の今日は、やはり心配、泌尿器科領域の「がん」をまとめていきたいと思います。血尿は、がんのサインでもあります。この泌尿器臓器がんの中で、血尿に関係するもの、特に「腎臓」「膀胱」「前立腺」のがんをまとめていきたいと思います。プラスαには、高齢者に多い、侮れない膀胱憩室の情報です。

 

1. 血尿は発見のきっかけ!尿路系のがんを知るポイント3つ 

1-1 腎臓がんのほとんどは、腎細胞がん

1-2 血尿を見たら、膀胱がんを疑う?!

1-3 高齢者に多発する前立腺がん  

今日のプラスα

2.その他の血尿を伴う、尿路系のがん    

3.高齢者の血尿、膀胱憩室からの出血性ショック

生理検査アティテュード®からのメッセージ

・超音波検査士の立場から、前立腺や下腹部超音波検査に対する考え

 

1.血尿は発見のきっかけ!尿路系のがんを知るポイント3つ

はじめに・・・

改めて泌尿器・泌尿器科とは?

泌尿器とは、尿の生成や排泄に関わる器官のことをいいます。

泌尿器科の対象臓器は、尿路系の臓器(腎臓・尿管・膀胱・尿道)と男性生殖器(睾丸・副睾丸・精索)、陰茎・前立腺、副腎の疾患です。これらの臓器疾患の外科的治療などをおもに行う診療科をいいます。腎臓の内科領域、腎機能障害などに関係する疾患を診る腎臓内科があります。女性生殖器は、産科、婦人科学の領域となります。

腎細胞がん、膀胱がんの初期症状としてチェックされるのが「血尿」となります。前立腺がんは、ある程度進行してからとなりますが、やはり「血尿」が症状としてみられます。

1-1 腎臓がんのほとんどは、腎細胞がん

通常、腎臓がんといわれると、腎細胞がんのことをいいます。

【腎臓の実質から発症する腎細胞がん】

腎細胞がんは、腎臓の腎実質、尿細管上皮細胞から発生したがんで、腎臓の中でも、最も頻度が高く、腎がん全体の約9割となります。腎がんで腎盂の細胞から発生したがんは、腎盂がんといわれ区別されています。一般的に腎がんといわれると、腎細胞がんのことをいいます。がん全体の約1%の割合で50~70歳代の男性に多くみられ、高齢になるほど効率になるとされています。

健診などで発見される腎蔵に限局したごく小さいがんでは、90%以上治癒率とされているようですが、5~6cmで20~30%、7~8cmで30~40%の割合で再発を認め、10cm以上のサイズや他の臓器やリンパ節転移が認められた場合、予後不良とされます。再発や転移は、肺にもっとも多く見られ、その他には、骨や脳、肝臓などにもみられます。

〔腎細胞がん、初期症状は不明瞭〕

腎細胞がんには、他のがんと同様に、特徴的な症状はなく、初期の小さなものは、健診や他疾患の検査で偶然に発見されることが多いようです。がんの転移か、かなりの大きさになるまで症状として現れないことがあります。

〔初期症状としての血尿をキャッチして欲しい〕

明確な症状が無いとされる中でも、血尿が最も一般的に見られる症状です。肉眼的血尿としての症状があれば必ず泌尿器科へ受診をしてください。しかし、潜血陽性のみの場合、初回の「顕微鏡的血尿」での症状の時、スルーされてしまうことも少なくありません。だからこそ、潜血陽性をしてきされたら、2次検査を受診することが大切となります。

がんの進行に伴い、血尿、側腹部痛、背部痛、腰痛、発熱、腫大した腫瘤を触知する、足の浮腫、食欲不振、吐き気や便秘、腹痛などの消化器症状も出現します。さらにがん病変が腫大することにより全身症状として、全身倦怠感、貧血、体重減少などもあらわれます。

腎細胞がんは、偶然に発見されることが非常に多い疾患だとされます。健診はもちろんのこと、別の理由で行われた画像診断で発見されることが最も多いとされます。腎臓の摘出により、転移が見られない症例では、根治されるようになってきています。

〔造血機能への関与〕

腎臓は、造血機能にも関与しています。赤血球数の異常増加に伴い、赤血球増多症になることがあります。赤血球産生を促すホルモン、エリスロポエチンが腎臓や腫瘍自体から分泌されるために、このホルモンの血中濃度が上昇するために骨髄が刺激され、赤血球の生産量が増加するためとされます。逆に、血尿量が増えることのより、貧血が進行が進行することもあります。そのため疲労感やめまいなどを起こすこともあります。造血機能が亢進し、赤血球数が増加しても症状が現れない場合もあります。その一方、頭痛、疲労、めまい、視覚障害などが出現する場合もあります。

〔腎細胞がんの原因〕

腎細胞がんのリスク要因としてあげられるものには、

  • 生活習慣に関する要因:喫煙と肥満、高血圧
  • 職業関連 :石油由来の有機溶媒への長期関与
  • 腎不全による透析:長期間(10年以上)の透析治療
  • 遺伝子異常

腎臓の摘出により生存率は向上しています。がんの他の臓器への転移がみられなければ根治しやすいがんとされるようになってきました。

〔転移性腎がん〕

多臓器のがんが、腎臓に転移することがあります。原発巣として多いのが、黒色腫、肺がん、乳がん、胃がん、子宮がん、卵巣がん、大腸がん、膵臓がん、白血病、リンパ腫などがあげられます。

 

腎細胞がん

<腎細胞がん>

【子どもに多い悪性腫瘍とされるウィルムス腫瘍】

その他、がん以外、腎臓に発生する悪性腫瘍としてウィルムス腫瘍というのものがあり、腎芽腫とも呼ばれています。1~4歳の子どもの発症が多く、子どもの悪性腫瘍の約5%を占める疾患とされて、約5%に両側に発症するとされています。遺伝的なリスクがあるとされています。

症状として・・・

腫瘍の腫大により、症状が出現するとされ、多くの場合は、腹部の腫れにより気づくことがあるようです。血尿の症状は、約20%の人にみられる程度とされますが、ときに肉眼的血尿もあるとのことです。その他、腹痛、腹部不快感などの症状がみられます。その他、目の虹彩が欠けている無虹彩、泌尿器系の形態異常、精神発達遅延など先天の異常や染色体異常をともなうことがあるとのことです。

 

1-2 血尿を見たら、膀胱がんを疑う?!  

膀胱がんは、膀胱壁粘膜の粘膜上皮から発生します。その他筋肉や脂肪組織から発生した悪性腫瘍は、肉腫とされます。膀胱がんの主な症状は血尿です。膀胱がんも以前のブログでまとめています。合わせてお読みいただければと思います。

【膀胱がんとは?】

膀胱がんが発見のきっかけは、血尿です。血尿には、これまでお伝えした無症候性肉眼的血尿、顕微鏡的血尿ともに見られ、その他の症状として膀胱刺激症状があげられます。この膀胱がんの症状の中では、無症候性肉眼的血尿がもっとも頻度の高い症状となります。腎盂、尿管、膀胱など尿路系のがんを尿路上皮がんといいますが、尿路上皮癌の中ではこの膀胱がんがもっとも多くの発症となり、尿路系がんの約半数となります。膀胱がんは、高齢者に好発する悪性腫瘍とされ、50歳以上で顕微鏡的血尿を認める人の中では高い頻度としてあげられます。男性に多くみられるがんで、あきらかな発生の危険とされるのが、喫煙です。

〔血尿以外の症状とは?膀胱炎?!〕

膀胱刺激症状としては、頻尿、排尿時痛、残尿感などがみられます。これらは、前回の膀胱炎のときにお伝えした症状と同様です。また、どうせ膀胱炎かぁ...と思って切り捨てないで検査をお勧めいたします。

【膀胱がんは移行上皮がん、膀胱がんの分類】

膀胱は、腎臓でつくられ尿を一時的にためておく袋の役割を持ちます。膀胱の内側は、移行上皮という細胞でおおわれ、膀胱の蓄尿機能に応じて伸縮し、形変化が見られる粘膜で作られています。膀胱がんのほとんどは、この移行上皮細胞のがん化によるものです。がんの深さや、転移性であるかどうかにより、三つに分類されます。

〔筋層非浸潤性がん〕

膀胱壁に発生したがんが、筋層にまで達していないがんとなり、表在性がんと上皮内がんが含まれます。

◯表在性がん

カリフラワー状に表面が、膀胱の内腔に向かって隆起状にみえ、乳頭状がんとも呼ばれます。表在性がんの多くは、他への浸潤が少なくおとなしいがんとされます。稀に進行して浸潤や転移を引き起こすハイリスク筋層非浸潤性がんと呼ばれるタイプのものもあるとされます。

◯上皮内がん

膀胱の内腔に突出が見られず、膀胱粘膜の中にとどまっているがんを上皮内がんしています。

〔筋層浸潤性がん〕

膀胱の筋層にまで浸潤が見られるがんです。浸潤しやすいがんとされ、膀胱壁外まで浸潤し、壁外の組織であるリンパ節や肺、骨にまで転移する可能性があります。

〔転移性がん〕

膀胱から発生したがんが、他臓器に転移したものをいい、リンパ節、肺、骨、肝臓などが膀胱がんが転移しやすい臓器としてあげられます。

【膀胱がんの症状】

膀胱がんのおもな症状は、血尿です。

◯ 血尿

初回にお伝えしたように肉眼的血尿と顕微鏡的血尿があります。

  • 肉眼的血尿:見た目の色調が赤色、あきらかな血尿だと分かる 眼で見てはっきりと血尿だと分かる
  • 顕微的血尿:見た目の色調は正常尿、顕微鏡レベルでの確認が必要

膀胱がんでは、肉眼的血尿が最も多く見られる症状です。言い換えると、肉眼的血尿が見られたら膀胱がんを疑い、早めに受診することが大切だということです。ただし、前回のブログでお伝えした、尿管結石も肉眼的血尿を伴うことも多いとされますが、その際は、激しい腰痛や側腹部痛を伴います。いずれにしても診療科への受診が必要となります。

◯ 膀胱刺激症状
  • 頻尿  :頻尿とは、通常1日8回以上をいいます。または、普段より多いと感じる回数
  • 排尿時痛:排尿時の痛み
  • 残尿感 :排尿後も尿が残っていると感じる

膀胱がんの人の約1/3認められ、膀胱壁の筋層への浸潤がみられる筋層浸潤がん、上皮内がんで多くみられるとされます。この膀胱刺激症状は、膀胱炎などでもよく見られる症状とされていますが、炎症を抑えるために抗生剤などを投与しても膀胱がんの場合は、炎症ではありませんので、症状の改善はみられません。

◯背部痛 膀胱がんの進行

膀胱がんの進行により、尿管の膀胱開口部が閉塞、尿が流れにくくなり尿管や腎盂の拡張をきたし、水腎症となることがあります。その影響による症状として背部痛が出現することがあります。

その他、上記以外にも出血により赤血球が減少し、腎細胞がん同様に、疲労感や顔面蒼白など貧血症状がみられることもあります。膀胱がんは、比較的進行が遅く、症状が出現したときには、がん腫は成長し、転移た状態となっていることもあるとされます。早期がんとされる、表在性がんは、治癒率が高く、根治が期待できます。症状がみられるときは、早めに受診すうことで早期発見ができます。

 

膀胱がん進行による障害

<膀胱がん進行による障害>

 

【膀胱がんの最大の原因は、喫煙】

膀胱がんに対し、現在確認されている最大の原因は、喫煙です。

喫煙者は非喫煙者と比べ、膀胱がんの発症を2~4倍、高めるリスクがあるとされています。また、男性の50%以上、女性の30%以上は、喫煙により膀胱がんを発症すると考えられています。

喫煙以外の原因として、職業性発がん物質の暴露が原因となることもあります。例えば、化学染料中に存在する有機溶剤等に対し、慢性的に接触することで発がんするケースがあります。特に芳香族アミンを取り扱うものは、一般の人よりも2~40倍、発がんリスクが高いとされています。
その他
● 食べ物ではワラビやゼンマイ
● 医薬品では抗がん剤のシクロフォスファミド、鎮痛剤(頭痛薬)のフェナセチンの使用
● 骨盤内疾患で放射線治療を受けることによる膀胱への被ばく
● エジプト、ナイル川流域の風土病であるビルハルツ住血吸虫への感染
など、さまざまな危険因子があります。

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1-3 高齢者に多発する前立腺がん 

前立腺がんのリスクは、加齢とともに上昇すると言われています。

【前立腺がんとは?】

60歳頃から高齢にかけてリスクが高くなるとされるがんで、男性のがん罹患率4番目とされています。前立腺がんは、小さな領域で発生し、その進行は、ほとんどの場合、極めてゆっくりした増殖を繰り返し、非常に遅いといわれています。症状があらわれるまでに数十年かかることもあるようです。前立腺がんは高齢の男性に多く、がんが発症していても、気がつかずに生涯を終える人も多いとされています。がんの増殖が速く、周囲への転移するものもあるとされ、前立腺がん発症の原因もあきらかではないとのことです。

【前立腺がんの症状】

他のがん同様、早期がんでは自覚症状がはっきりしません。尿が出にくい、排尿回数が多いなどのみです。尿意切迫など、前立腺肥大症によく似た症状となることが多く、そのことにも注意が必要とされます。ある程度のがん進行後、血尿、排尿困難、頻尿、急な尿意などの症状が出現しますが、言い換えると、がんの腫大に伴う前立腺腫大のために、前立腺肥大症と同様の症状となっているにすぎません。さらに骨転移などにより、腰痛などの症状があることもあります。転移臓器としては、骨、リンパ節、脊髄などがみられます。

〔前立腺がん進行による転移での症状〕

前立腺がんの転移としては、骨が多く、骨盤、肋骨、脊椎などに見られます。骨転移は、痛みを伴うことが多いとされ、骨折しやすくなるとされています。脊髄に転移がみられると、痛みやしびれ、筋力低下、失禁などを引き起こし、がん転移をすることにより貧血症状が見られるようになります。一般的に、脊椎への転移では脊髄に影響を及ぼし、痛み、しびれ、筋力低下、尿失禁を生じます。がんが転移すると貧血がよく起こります。前立腺がん発覚が、このような骨転移の症状で発覚する場合も少なくないようです。

【前立腺がんの診断】

症状のない男性の前立腺がんをチェックするためには、直腸指診や血液検査が行われます。その結果、前立腺がんの疑いがある場合に、超音波検査や前立腺生検が行われます。

〔スクリーニングに対する考え方〕

前立腺がんの検査としてPSAの測定がよく知られている検査かと思います。スクリーニング、ふるいわけ検査として、このPSAと直腸指診が通常行われていることと思います。

◯PSAとは?

PSAとは、前立腺特異抗原(prostate-specific antigen)の略、前立腺の上皮細胞から分泌されるタンパク質です。基準値は、4ng/ml以下とされ、多くは、精液中に分泌され、精液のゲル化に関係しています。極微量血液中に取り込まれることによりその量を測定し、前立腺疾患の指標とされている検査です。

健康診断や人間ドックで測定さる方も増えているのではないでしょうか。どのように検査結果を見るかということが必要になってきます。

◯PSAの高値は何を示しているのか?

PSAが高くなる疾患とは、

  • 前立腺がん
  • 前立腺肥大症
  • 前立腺の炎症

などがあげられます。

PSAの測定値が、

  • 4ng/ml以下 :基準値以下でも、前立腺がんが発見されることがある
  • 4~10ng/ml  :25~40%の割合でがんが発見されるグレーゾーン
  • 100ng/ml以上:前立腺がんを強く疑う、転移も疑われる

PSAは、通常、年齢とともに上昇するほか、前立腺肥大症や前立腺炎などの疾患の場合も上昇します。PSA検査で10ng/ml以上の場合でも、前立腺がんが発見されないこともあるとされます。前立腺がんがあってもPSA値が正常と出る場合や、前立腺がん以外の原因でPSAの異常がしてきされることも有るということです。

若年者では、この基準値を下げる傾向があるということです。

◯画像診断、超音波での前立腺サイズの測定や形状確認

腹部からの超音波検査も手軽にできる検査として、前立腺のサイズを測定し、形態評価もよく行われる検査です。経直腸的超音波検査は、直腸にプローブを挿入して行う検査のため、苦痛を伴います。

◯その他の診断方法

直腸触診で前立腺腫大有無、硬結が有るか否かも含め、結果が解釈されます。がんが疑われるようであれば前立腺生検が勧められます。前立腺が硬い、不規則に肥大している、あきらかにしこりとして触知されるなど場合やPSAの上昇がみられる場合は、前立腺がんの可能性が高くなります。自覚症状や、尿検査などを含めて、前立腺に炎症の有無を判断していきます。PSAを含めてこのような検査を評価し、前立腺がんが疑われる場合に、前立腺生検が行われることがあります。

〔前立腺生検〕

前立腺生検は、自覚症状、PSA値、直腸診、経直腸エコーなどから前立腺がんが疑われる場合の最終的な判断として、行われる検査です。

経直腸的超音波:直腸に超音波プローブを挿入し、前立腺をエコーで確認しながら、会陰(陰嚢と肛門の間)から前立腺に針を穿刺し、組織を採取します。この検査でがん組織があれば診断がくだされますが、前立腺生検でがんが発見されなかった場合でも、完全に否定はできない状態です。継続的にPSA検査を行うことや、再生検が必要になることもあるということです。

・前立腺生検は、簡単ではない検査です

検査は男性に不快感を与え、また感染症などの合併症のリスクもあります。合併症には、出血、感染、排尿困難などがあげられます。よくみられるものには、血尿、血便、精液に血が混在する血精液などです。重篤な感染症は、まれだとされていますが、しっかりとその検査の説明を聞き、検査内容を確認してから行うことが大切です。

◯医師の間でもさまざまな見解があるPSA検査

スクリーニング検査を行うことで、進行の速いがん発見できるという利点があります。前立腺がんがよくある疾患とされ、しかしながら、場合により致死的な状態となることがある疾患だということです。スクリーニング検査によって、発見され治療に至ることもあります。その際に、治療により、勃起障害や尿失禁などの副作用が起きてしまうこともあり、治療しないほうがよかったと思うような、不利益を受けることになるということもあるということです。そこまでの起こり得るリスクの説明を正しく医師から受け、理解し、判断した状態でスクリーニング検査を受けることを勧めるべきだと、専門医の間でも意見が別れているということがあるようです。

通常は、進行するまで症状が出ないこともがあるとされるために、スクリーニング検査が勧められているという背景があるということを、十分に理解された上で行うことが大切だと言われている検査です。スクリーニングの効果は年齢とともに下がるとされ、75歳以上の人、10年以上の生存が期待できない人にスクリーニングを実施しないことを推奨しているとのことも記載されています。

【前立腺がん診断後の検査】

画像診断では、CT検査、MRI検査、骨シンチグラフィ検査などの検査が行われることもあります。CTでは、リンパ節や肺転移の有無、MRI検査では、がんの場所の確定、前立腺外への浸潤の有無などを見ていきます。骨シンチグラフィ検査では、骨転移の有無が確認できます。

前立腺がんの病期の次の3つの基準
  • 前立腺内での広がりの範囲
  • 前立腺周囲リンパ節転移の有無
  • 遠隔転移の有無 前立腺から離れた臓器への転移

がんの診断が確定したら、病期を診断するため上記の検査で病期を判断することがあります。

 

前立腺がん

<前立腺がん>

 

2.その他の血尿を伴う、尿路系のがん

さて、血尿を主訴とする代表的な疾患をまとめてきました。上記ものも簡単のまとめておきたいと思います。

【腎盂・尿管がん】

腎臓の腎盂と言われ部分に発生する腎盂がん、腎臓で作られた尿を膀胱に送るための尿管にできるがんを、尿管がんといいます。腎盂がんと尿管がんは、その他の、腎細胞がんや膀胱がんに比べるとはるかに少数となります。

〔腎盂・尿管がんの症状〕

通常、最初の症状としてみられるのが、無症候性肉眼的血尿です。痛みや発熱などをともなわない血尿です。その後、排尿時痛、灼熱感、尿意切迫などが現れます。尿管で血栓が形成されるなどが原因で、尿管が閉塞され、尿の流れが阻害されることにより、側腹部痛や下腹部痛など、激しい痛み、疝痛発作を伴うこともあります。

膀胱への浸潤が見られる場合、排尿困難や、頻尿などの症状が生じることもあります。まれに、腎盂の腫瘍により、水腎症を発症することもあります。

〔腎盂・尿管がんの診断〕

尿路症状の原因があきらかでない場合に行われる、CTや超音波検査など通常画像診断で発見されます。尿細胞診検査でのがん細胞の確認、その他X線検査などが必要に応じて行われます。比較的早期の場合や、転移がみられない場合、完全切除することで5年生存率も比較的よいとされます。周囲への転移や、遠隔転移が見られる場合、治癒の可能性は低いとされています。約5%の人では、左右両方の腎盂や尿管にがんが発生がみられることがあり、片側だけの場合でも、がん病巣が腎盂・尿管の別の場所に、複数できることもあるとされています。

 

腎盂・尿管がん

<腎盂・尿管がん>

 

【尿道がん】

尿道がんは尿道に発症するがんで、稀ながんとされます。ほとんどが50歳以上で男女ともに発症します。尿路系のがんでは唯一、男性より女性に多くみられるがんとされます。尿道の腫瘍は、周辺組織に早期に浸潤することが知られています。そのため診断されたときには、進行しているケースが少なくないとのことです。

原因は、特定の種類のヒトパピローマウイルスが原因とされているようですが、それ以外の場合は不明とのことです。女性の発症では、初期症状は、血尿とされ、顕微鏡的血尿および肉眼的血尿となることもあります。男女ともに尿流が妨げられ、排尿困難や排尿の勢いが弱くなるような症状がみられます。女性の場合、もろく出血しやすい腫瘍が尿道開口部に発症した場合、尿道がんの可能性があるとされます。

〔尿道がんの症状〕
  • 女性が尿管がんを発症した場合、血尿と閉塞性の排尿症状または尿閉(尿が排泄できない)の症状がみられます。多くの場合、頻尿または尿道症候群(骨盤底筋の過敏性)の病歴を有するとされます。
  • 男性の場合、尿道狭窄の症状が出現し、血尿や血液様分泌物をはわずかだとされます。腫瘍が進行した場合腫瘍を触知されることがあります。
〔尿道がんの診断〕

膀胱尿道鏡検査により確認される。尿道がん、尿道脱,および尿道カルンクルの鑑別診断に生検が必要になることがある。病期診断にはCTまたはMRIが用いられる。

 

3.高齢者の血尿、膀胱憩室からの出血性ショック

この話は、私の父の身の上に実際にあったことです。

【膀胱憩室から、肉眼的血尿】

家族の中で身体に異常があるといちばん初めに連絡があるのが、私のところです。私が、臨床検査技師として病院に勤務したときから私の役割でした。

父が亡くなる1年半くらい前から、肉眼的血尿が見られていました。当初、膀胱がんが疑われ、手術直前まで予約したという経緯もあったのですが、実際は、膀胱憩室からの出血でした。膀胱憩室とは、膀胱壁の弱い部分が、膀胱内の圧が高くなった時、膀胱外に突出した状態となることです。そのような膀胱ですから、粘膜も弱くなり、出血しやすくなっていたようです。その憩室内に凝血塊がたまり、膀胱腫瘍のように見えたようです。

・反省するべきこと、肉親は正常な判断を欠く。

悲しきかな、肉親になると正しい判断力を失われます。近くの開業医で超音波を見させて戴いた私は、よくBモードで確認し、ドプラーを用いれば容易に判断できたのに。。。待ったくの初心者同様で、私が痛く反省した事実です。その1年後も父は、時々血尿が見られましたが、近所の開業医さんに処方していただき様子見をしていました。

異変が起きたのは、母の一周忌の当日です。父は、リハビリを兼ねて、老健施設にいました。担当医師から血尿が朝からあるけれども病院に行きますか、と言われたのです。父に確認したところ、お寺に行くと言われたので、そのまま向かいました。気丈な父は、歩くのがやっとな状態でしたが本堂に向かう途中で呼吸困難となり救急搬送となってしまいました。住職が救急要請、救急隊の指示を的確に伝えて戴いたおかげで、私は心臓マッサージを行うことが出来、無事に呼吸が戻り一命をとりとめた次第です。

・膀胱出血も失血死に至ることがある

父が意識消失したその原因は、膀胱が血液で充満状態まで、出血したことが原因だとされています。

その時のヘモグロビン数値はいつもの父の数値の半分、通常Hbの数値が8mg/dl前後が、4mg/dl台まで失っていたのです。担当医師に、命の保証が出来ない状態だといわれました。しかし輸血を行い、その後回復し、奇跡的に手術まで行うことができました。膀胱内でも血液で充満するまでの出血を起こすのです。侮れません、膀胱出血。

・高齢化によりよく見るようになった膀胱憩室とは?

ちなみに、膀胱憩室は、超音波検査を行っているとよく見られる所見です。憩室の中に、腫瘍を形成することもあるために、憩室内の結石、憩室炎など周囲を含めて観察することが大切です。比較的似たものに、尿管瘤というものもありますが、膀胱内部との連続性が確認できれば膀胱憩室は、容易に診断が出来ます。

 

生理検査アティテュード®からのメッセージ

・超音波検査士の立場から、前立腺や下腹部超音波検査に対する考え

◯腹部超音波検査で得られる前立腺の情報とは

超音波検査士として、泌尿器科がある総合病院に勤務をしていた立場から、私自身、多くの方の前立腺の超音波検査を担当させて戴く機会をいただきました。前立腺がんが好発すると言われる辺縁領域を丁寧に観察し、形状の異常や腫瘤の有無を観察していきます。必要に応じて、カラードプラーを用いて評価判断していきます。実際に、PSAの高値を示す方の場合、前立腺肥大症を多くみます。その際も丁寧にスキャンニングしていきます。定期的に慎重に腹部超音波を行うことでも経過観察は可能だと私は思っています。

超音波検査を行う若い技師さんたちへお伝えしたい。

通常、健診などで上腹部検査を行っている場合、下腹部は見ない、とする方がほとんどなのではないでしょうか。私が勤務していた施設では、「エコー室に見えた方」に対して、

負担なく可能な検査を実施すること

これが前提条件として行っていました。だから、必ず健診の場合の腹部エコーも尿検査の前に実施するように健康管理科のスタッフとの連携をはかり、徹底して行っていました。健診の順番をちょっと意識するだけで得られる情報量が大きく変わってしまうということを意識して欲しいと思います。そして、「この超音波検査室のベッド」に横たわって戴いたのだからできる限りの身体情報をキャッチすることを考えて欲しい、膀胱・前立腺・子宮・卵巣のスキャニング2~3分もあれば十分なのではないでしょうか。確かにまれにシビアな結果となり、時間を消費することもあるのかも知れません。でも、その時間が被検者にとっては、命にかかわる「貴重な時間」となるということを意識したことがありますか。何のために行われている検査なのか、そのことを忘れて状態での検査は、単なる事務員であり、臨床検査技師ではないと私は思っています。

多くの前立腺生検のサポートも行ってきました

実際に、多くの前立腺生検例に対して、超音波診断機器のサポート役として立ちあった経験もあります。そのたびに大変な検査だと感じたことも否めません。この検査を行うことで、進行度の速い前立腺がんが発見され、治療に至れば本当によかったと思える検査ではあります。

しかし、男性が不快だと思う検査だということは否めません。女性の婦人科健診と同様だといえばそれまでだと思いますが、かなりの抵抗ある検査だと私は感じます。担当の医師と相談し、納得して行うことが大切だと心から思います。

 

今日のまとめ

  • 腎臓がんの多くは、腎皮質に発症する、腎細胞がん
  • 膀胱がんの主訴は、血尿、そしてもっとも多いとされる原因は喫煙
  • 前立腺がんは加齢とともにリスクは上昇、高齢者に急増。多くの場合は非常に進行が遅い

 

 

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今日も最後までありがとうございました。

☆アンコモンセラピー読書会☆

毎月、大崎ゲートシティ スターバックスコーヒーで開催しています。ミルトン・エリクソンの戦略的手法を紹介されている名書「アンコモンセラピー」この読書会を毎月開催しています。次回は、6月25日(月)となります。HPイベント、Facebookイベント準備できましたらこちらでもUPいたします。