元気&HealthのJunchanのblogにご訪問ありがとうございます。医療スタッフのメンタルパートナー かたよし純子です♪ 今週は、脂質異常症をまとめています。初回は。脂質異常症の定義、脂質異常からの動脈硬化のなりたち、2回目は、コレステロールとリポタンパク質の種類、そして、その最終回は、高中トリグリセライド(中性脂肪)血症を中心に、動脈硬化との関係性、脂肪肝、急性膵炎などの関係性をまとめていきたいと思います。肥満、脂肪、というと、コレステロールが...と思いがちですが、中性脂肪もあなどれないという意識を持って欲しいと思います。脂質異常症の基準となる、中性脂肪をまとめていきたいと思います。中性脂肪が高くなると確実に動脈硬化が進行します。
1. 中性脂肪が脂質異常症となる理由を3つ
1-1 中性脂肪:トリグリセライド(TG)
1-2 高トリグリセライド血症の理由
1-3 高トリグリセライド血症は、膵炎にも注意!
今日のプラスα
2.中性脂肪と脂肪肝の関係性
3.脂質異常症への対応策とは?
生理検査アティテュード®からのメッセージ
・健診用の検査結果を作っていませんか?
1.中性脂肪が脂質異常症となる理由を3つポイント3つ
脂質異常症の診断基準のひとつとされる中性脂肪:トリグリセライドとは?
1-1 中性脂肪:トリグリセライド(TG)とは
中性脂肪とトリグリセライドとは何者か?
❍脂肪酸を3つ持つ中性脂肪:トリグリセライド(TG)
ではまず、頭の中の整理から、
中性脂肪とは?
中性脂肪とは、脂肪酸のグリセリンエステルを示しています。狭義の意味として常温で固体の中性脂質を中性脂肪されています。脂肪酸とグリセリンが結びついて中性を示しているため「中性脂肪」いわれています。
この「グリセリン脂肪酸エステル」には、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリドがあり、血液中に含まれる中性脂肪のほとんどがトリグリセリドです。そのため、中性脂肪は、脂肪酸を3つ持つトリグリセリド(トリグリセライド)と同義とされTGと略して書かれることが多いです。
※引用サイト「中性脂肪」Wikipedia
中性脂肪の構成成分である脂肪酸は、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸とに分けられます。動物性脂肪には、バターやラードなどのように常温で固体として存在する飽和脂肪酸が多く、それに対して植物性脂肪では、常温で液体で存在する不飽和脂肪酸が多く含まれます。脂肪酸は、前回のブログの「今日のプラスα」最後のところでまとめていますので、ご確認いただけたらと思います。
❍中性脂肪が高くなると
中性脂肪は、人や動物にとって重要なエネルギー源です。
●中性脂肪の役割
- ブドウ糖が足りなくなると、エネルギー源となる
- 体温を一定に保ち、臓器を守る働きをする。エネルギーの貯蔵庫となっています
- 肝臓で合成され、皮下脂肪、内蔵脂肪として蓄えられているます
●中性脂肪は、エネルギーの貯蔵庫
脂肪は、タンパク質、炭水化物とともに三大栄養素の一つで、1gにつき約9kcalのエネルギーを放出し、エネルギー源として重要な働きをしています。体温を一定に保つ機能を持ち、皮下脂肪や内臓脂肪は、さまざまな状況下から臓器を守る機能もあります。
中性脂肪は、体内に取り込まれた、糖やアルコールが代謝されてできたグリセロールに、脂肪酸が3つ結合したものです。皮下、内臓などに貯蔵され必要に応じて脂肪酸に分解され身体のエネルギーとなります。このように身体のエネルギー源として利用される中性脂肪は、脂溶性ビタミンや必須脂肪酸の摂取も不可欠です。しかし、過剰に摂取され残った中性脂肪は、全身の脂肪細胞や肝臓に蓄積されることになりますので、脂質の過剰摂取は、体脂肪として蓄えられ肥満の原因となり、生活習慣病を引き起こすリスクとなります。
●中性脂肪が分離され遊離脂肪酸となる
遊離脂肪酸は、中性脂肪が分解されて血液中にある状態です。直接働く脂肪とした身体のエネルギー源になり、細胞膜の構成成分になります。しかし、この遊離脂肪酸が増えすぎると脂質異常症の原因や、インスリン抵抗性が強くなり糖尿病の原因となります。
中性脂肪から分離した遊離脂肪酸が脂肪細胞から血中に放出されると、インスリンの正常な分泌が妨げられることになります。肝臓に蓄積されると脂肪肝になります。血液中に増加すると、HDLコレステロールを減らしてLDLコレステロールを増やし、動脈硬化を促進させてしまうことになります。
❍高トリグリセライド血症の血管への影響
血中の中性脂肪が高値になると、中性脂肪の分解が遅れるために動脈硬化の原因となるリポタンパク(中間比重リポタンパクIDLなど)が血中に残されることになります。このIDLは中性脂肪値が150mg/dl以上で出現し、この150mg/dl以上が高トリグリセライド血症とされます。
《中間比重リポタンパクIDL》
中間比重リポタンパクIDLとは、超低比重リポタンパク質VLDLと低比重リポタンパク質LDLの中間の比重となるリポタンパク質です。VLDLやカイロミクロンが加水分解され中世脂肪を失う過程で生じます。レムナントともいわれています。
リポタンパク質
- カイロミクロン
- VLDL:超低比重リポタンパク
- IDL :中間比重リポタンパク
- LDL :低比重リポタンパク
- HDL :高比重リポタンパク
高トリグリセライド血症は、HDLコレステロールが減少する低HDLコレステロール血症を伴います。そして、高血圧、肥満、インスリン抵抗性を伴い糖尿病を合併することがあります。
●LDLの粒子は、動脈硬化を起こしやすい?!
高トリグリセライド血症になると、低比重リポタンパク(LDL)の粒子サイズが小さく、血中にを移動中に、重く血管に留まりやすい状態となり、内皮細胞を通過しやすく、酸化を受けやすいという動脈硬化のリスクが高い状態といえます。冠動脈疾患、脳血管疾患などのリスクが上昇します。
●高脂血症の持続
血中の中性脂肪の濃度が高い状態(100~150mg/dl)で、高脂肪の食事を摂取すると終日高脂血症が持続することになります。その持続性が動脈硬化を加速させる要因となり冠動脈疾患、脳血管疾患ののリスクになります。食事をした後の中性脂肪の測定も必要だといわれています。
❍血糖と中性脂肪との関係性
身体に脂肪をたくさん蓄えた状態、高中性脂肪血症は、内臓脂肪として蓄積される中性脂肪の影響肥満と関係が深いとされています。肥満の状態は、インスリン感受性の低下、インスリン抵抗性を招くことになり高血糖を招きます。
中性脂肪の多くは体内で糖から作られます。糖は、中性脂肪の材料となるために、高血糖状態は、たくさんの脂肪作れる状態だということを意味し、その結果、中性脂肪値は、高値となります。そして、体内の脂質量を調整する酵素、LPL(リポタンパクリパーゼ:前回のブログで扱っています)の機能は、インスリンによって活性化されています。LPLは、VLDL(超低比重リポタンパク質)をLDLへと変化させる酵素です。この機能に、インスリンが関与しているために、より中性脂肪を多く含む、VLDLの濃度は上昇することになります。このように、糖尿病の高血糖状態は、高中性脂肪血症の原因となります。
●食後の血糖値の血管への影響
食後の血糖値が最近よく問題視されますが、食前の血糖値がコントロールされていても、食後の血糖値のコントロール不良が血管への影響が高いとされ、中性脂肪の血中濃度の上昇が問題とされ、食後に上昇する中性脂肪が、血管障害に関わっているとさてています。
●糖尿病は続発性(二次性)脂質異常症の原因になる?!
初回のブログでお伝えした脂質異常症の原因の、続発性脂質異常症の中に1つです。上記のように高血糖が中性脂肪の上昇をもたらします。肥満・やメタボリッシンドロームからの発症とする場合は、インスリン抵抗性を中心として糖代謝と脂質代謝が同時に生じることもあるとされています。その場合は、続発性脂質異常症とはいえないのかも知れないようですが、中性脂肪の高値を指摘された場合には、血糖値にも注目してみてください。そして、インスリン抵抗性を意識して、血糖値を正常化することで中性脂肪も低下すると考えられます。
1-2 高トリグリセライド血症の原因
中性脂肪のメカニズムがいくらか理解できたでしょうか?ここで、高トリグリセライド血症の原因を再度まとめていきましょう。
初回のブログでお伝えしました脂質異常症の原因は、遺伝や体質によるもの原発性と、生活習慣やその他の原因(疾患・薬剤)による続発性とされるとお伝えしました。この中で、内因性高トリグリセライド血症として、「家族性Ⅳ型高脂血症」「特発性高トリグリセライド血症」があげられています。
●家族性Ⅳ型高脂血症
家族性Ⅳ型高脂血症は、肝臓で作られる超低比重リポタンパク質:VLDLが増加する高脂血症の1つとされます。VLDLは、リポタンパク質の中でも多くの中性脂肪を含むリポタンパク質とされますが、その発症原因はまだあきらかにされてません。
●特発性高トリグリセライド血症
特発性高トリグリセライド血症は、遺伝子異常ではないとされる原因不明の脂質異常症です。自己免疫の関与や、肝性リパーゼの異常が関与していると考えられているとのことです。
●家族性高トリグリセリド血症
家族性高トリグリセライド血症では、中性脂肪値が高くなります。この家族性高トリグリセライド血症の家系では、動脈硬化が若年性に見られる場合と、そうでは無いと場合とはあるとされています。体重コントロールと飲酒量の制限で、中性脂肪は、コントロールできるとされています。糖尿病を合併している場合は、適切な血糖値コントロールは必須となります。
●家族性複合型高脂血症
家族性複合型高脂血症では、コレステロールと中性脂肪のいずれかもしくは、両方が高くなります。通常、30歳を過ぎてから脂質異常が出現するとされています。生活習慣と関連し、特に過体重、脂肪成分の多い食事、またはメタボリックシンドロームを指摘されている場合発症傾向が強くみられるとされています。運動は必須、体重コントロール、食事療法として、脂肪やコレステロール、糖質の摂取制限が必要となります。
❍トリグリセライド上昇する生活習慣の原因
- 脂質の過剰摂取 糖質、果物、菓子類
- 肥満
- アルコールの過剰摂取
- エネルギーのバランスの不均衡 ⇨ エネルギーの過剰摂取と運動不足
1-3 脂質異常症の症状とは?
脂質異常症は、通常は無症状とされ、特別な自覚症状には現れません。
❍脂質が異常に高い時に出現する黄色腫
血中濃度が極端に高い場合、皮膚や腱、上瞼の内側、角膜の端に黄色腫と呼ばれる脂肪のたまりがコブ状になり出現することがあります。(前回のブログの「家族性高コレステロール血症」のところでもお伝えしています)黄色腫は、酸化したLDL関係しているとされ、血管外に漏出した酸化LDLが、マクロファージにより貪食されて堆積したものといわれています。この症状は、高コレステロール血症ではよく見られる症状となります。
動脈硬化も疾患を発症しないと気がつかない症状です。唯一目に見える症状が、この黄色腫でしょうか。これ以外は、合併症の症状とし出現して初めて気づくものがほとんどとされます。
❍高トリグリセライド血症のときに発症する急性膵炎
高トリグリセライド血症は、急性膵炎の発症に注意することが必要だとよくいわれます。
膵炎は、何らかの要因により、膵臓の酵素が活性化してしまうことで、自分の膵臓を消化してしまうことで発症します。膵臓やその周囲の臓器に炎症が起こる疾患です。
※関連ブログ「膵臓の炎症性疾患「膵炎」とは?」
●中性脂肪と急性膵炎の関係性
中性脂肪の値が異常に高くなると、肝臓や脾臓の腫大、手足のチクチク感や灼熱感、呼吸困難、錯乱が起こる可能性があり、膵炎になるリスクも高まるとあります。膵炎は、非常に激しい腹痛を伴います。
急性膵炎と慢性膵炎に分けられ、急性膵炎は、心窩部、みぞおちから左上腹部に激しい痛みを伴い発症します。急性膵炎は過度の飲酒で発症することや、血液中の中性脂肪の数値が極端に高い状態、1500 mg/dl以上の場合に発症することがあるとされます。
●異常な高トリグリセライド血症はどうして起きる?
中性脂肪の数値が1000mg/dlを超えると膵炎のリスクが上がるとされています。とくに2000㎎/dlを超えてくると非常に危険とされ、動脈硬化の問題ではなくて、急性膵炎のリスクとして考えることが必要だとされています。
●イメージしてみてください
この中性脂肪が異常に高くなるという状態には、さまざまな原因があるとされていますが、まず体質そのものがあげられます。これまでお伝えしたように、血液中の中性脂肪の代謝障害がある遺伝性体質がある場合に加えて、飲食の悪習慣があげられます。アルコールの多飲や、脂質の多い食品摂取、動物性脂肪、ラーメンのなど中性脂肪が豊富に含まれる食事を大量に食べさらに飲酒、そのような場合の体内では、著明な高トリグリセライド血症が出現しているという状況になります。
飲み会で、多量のアルコール、唐揚げ、焼き鳥、ポテトフライなどなど、さらに締めのラーメン…他人事ではありませんが、どれほどの中性脂肪を摂取しているのか。。。笑
❍自分の数字を知っていますか?
前項では、食後の数値n大切さを訴えましたが、絶食時のご自分の中性脂肪の数値は当然知っていて欲しいです。脂質異常症の診断基準は、空腹時採血の数値がベースとなっています。
絶食のデータも、病型判定には当然必要です。健診のときなどちょっと意識して「中性脂肪:TG」の数値も確認してみてください。
1000mg/dlという極端な中性脂肪の上昇ではないけれども、中性脂肪の数値が、150mg/dl以上の異常の場合は何をどうなるのでしょうか。
●中性脂肪が脂質異常症の基準としてある理由
つい最近まで血管に堆積し、動脈硬化の原因となるのは、LDLコレステロールで、中性脂肪は動脈硬化巣には堆積していないなどといわれ、動脈硬化を引き起こす原因は無いという考え方があったのです。しかし最近では、あきらかに中性脂肪が高いほうが動脈硬化を引き起こしていることが分かり、冠動脈疾患のリスクとなり、注意が必要とされています。
空腹時の中性脂肪の基準値は、150㎎/dl以下とされるため、食後では180mg/dl程度がリミットとされています。それを超えることで高トリグリセライド血症となります。中性脂肪が300~400mg/dlという状態が、動脈硬化へ高リスクレベルとされ、1000mg/dl以上となると急性膵炎のリスクとなるとされています。
中性脂肪のみ、その他のリスクが無い場合、高コレステロール、低HDLコレステロール、喫煙無し、高血圧無し、肥満なし、糖尿病無しという場合は冠動脈疾患のリスクにはならないのではないかとも言われているようです。
2.中性脂肪と脂肪肝の関係性
脂肪肝は、ほとんど症状がありません。
❍脂肪肝とは、肝細胞への多量の中性脂肪の蓄積
たまに、疲労や腹部の軽い不快感などが生じることもありますが、特別な症状としての自覚がありません。しかしながら、脂肪肝は、肝細胞の30%以上に中性脂肪が過剰蓄積されている状態です。肝臓が腫大し、触診で触れることがあります。
❍脂肪肝のおもな原因
メタボリックシンドロームに合併する脂肪肝がよく見られます。脂肪の過剰摂取のみで肝臓に蓄積されるわけではなく、体内の脂肪代謝の異常により、肝細胞に脂肪が蓄積された状態です。
- アルコールの過剰摂取
- 肥満
- 毒素
- 薬剤(コルチコステロイド、タモキシフェン)
- 妊娠
- 遺伝性代謝疾患
- 過体重、糖尿病によるインスリン抵抗性、中性脂肪の血中濃度上昇などの代謝異常
●脂肪肝の診断
- 血液検査・生化学的検査(肝機能検査など)
- 超音波検査などの画像検査
- 場合により肝生検が行われる
脂肪肝は、そのまま放置すると炎症を起こすこともあり脂肪肝炎を発症します。この状態から線維化を起こし、しばしば肝硬変に進行することもありますので脂肪肝は改善することが大切です。(※関連ブログ「脂肪肝を知るための肝機能」)
❍非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)
アルコール以外の原因で発症した脂肪肝は、NAFLDといわれます。多くの場合、下記のメタボリックシンドロームの診断基準の1つには該当する原因がみられます。
- 過体重(内臓脂肪の蓄積・腹囲)
- 高血糖(インスリン抵抗性)
- 高トリグリセライド血症
●非アルコール性脂肪肝炎(NASH)
NAFLDによる肝臓の炎症は、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)と呼ばれます。この肝炎は、線維化し、肝硬変に進行することがあります。
❍脂肪肝と肝炎
脂肪肝から肝炎を引き起こると、将来的に肝硬変につながることもあります。そのため早めの改善を心がけることが必要です。
脂肪肝の原因への対処をすることで脂肪肝は改善できます。アルコールが原因の場合、禁酒により改善できます。その他、体重コントロール、高血糖がある場合には、血糖コントロールすることで、中性脂肪もコントロールされるようになります。薬剤性の脂肪肝の場合は、薬剤を中止する、などで脂肪肝は改善されます。
※関連ブログ「肝臓の話 脂肪肝」
- §1 脂肪肝を知るための肝機能
- §2 アルコールが原因の脂肪肝
- §3 非アルコール性の脂肪肝
3.脂質異常症への対応策とは?
脂質異常症は、原発性でも続発性でも脂質をコントロールする必要性は同じです。脂質異常症を引き起こす原疾患があればその改善を行うことは必須となります。そして、基本は、生活習慣の改善となります。
❍生活習慣の改善
- 禁煙、受動喫煙にも注意が必要です
- 摂取エネルギーの制限、体重をコントロール
- 動物性脂質、乳製品、卵黄など脂質を多く含む食品の摂取制限し、魚類、大豆製品の摂取を増やす
- 過食を抑え、標準体重を維持する
- 野菜、果物、海藻類、未精製の穀物類の摂取を増やす
- 食塩摂取を控える(6g/日未満)
- アルコールの過剰摂取を控える
- 有酸素運動を行う
❍中性脂肪の異常 高トリグリセライド血症への対応
まずはじめにあげられるのは、摂取する中性脂肪の量を減らすことが大切です
- 中性脂肪を多く含む食品を減らす
- アルコール量を減らす
この食事療法での2点が重要とされ、プラス消費エネルギーあげるための運動療法です。中性脂肪が高い方の多くにアルコール多飲が見られるようです。
●高トリグリセライド血症が避ける必要がある食品
- 食事や飲み物などからの過剰な糖質
- 焼き菓子などに使用されている小麦粉(精製されたもの)製品
- イモ類、米類などのデンプン質の食品
中性脂肪の高値の原因は、カロリー過多です。甘いもの、アルコール、揚げ物などの油脂、炭水化物のとり過ぎなどにも注意が必要です。ソフトドリンクに含まれる糖質にも注意が必要です。思っている以上の糖質が含まれるものがあります。食品表示を見る習慣も持つようにすることをお勧めいたします。
●食物繊維を多く摂る
野菜から先に食べるということをよく聞きませんか?食物繊維は消化の吸収速度を抑える働きがあります。血糖値の抑制や、中性脂肪の上昇を抑え、コレステロールを低下させる機能があります。
野菜、全粒穀物は脂肪が少なくコレステロールを含みません。しっかりと食べることが推奨され、さらに水溶性繊維は、腸内で脂肪と結合しコレステロールを下げるの機能があります。オートブラン、オートミール、豆類、米ぬか、大麦の穀類や、かんきつ類、イチゴ、リンゴの果肉などがありコレステロールの低下を促します。
●果物は野菜ではありません
果物には、多くの糖質を含みます。そのため、果物は野菜の代わりにはならないので注意してください。摂らないのもお勧めできませんが過剰摂取は、カロリーオーバーとなります。
これらを改めて運動や減量を行うことで、中性脂肪を下げることができます。また背の青い魚には、中性脂肪を下げる働きがあります。
●乳びした血清
高トリグリセライド血症の方の血液は、「乳び血清」という状態がよく見られます。採血された血液を遠心分離して上澄みを血清といいます。血清は、通常やや黄色みを帯びた透明な液体です。乳び血清とは、その透明な状態が失われている、脂肪で白く濁った状態になってしまっている状態をいいます。
ある医師が、高トリグリセライド血症の方へ、自分自身の血液の状態を認知してもらうために、その濁った血清を見せて説明されるそうです。自分自身の血液の状態を「目前の事実」として見せられると納得されるそうです。自覚して戴くためには、実によい方法だと私は思いました。
<乳び血清>
※関連ブログ「健診結果を読む② 血液検査」
❍高LDLコレステロール血症
LDLコレステロールの高値の原因は、飽和脂肪酸の過剰摂取があげられます。飽和脂肪酸は、肉の脂身(白い部分)、バター、ラードなどの動物性脂肪、生クリームなどにも多く含まれます。さらに食事によるコレステロールもLDLコレステロールを上昇させます。コレステロールを多く食品は、卵黄や魚卵(タラコやイクラ)から摂取されています。LDLコレステロールが高い場合は、やはりこのような食品摂取を控えることで、比較的容易にLDLコレステロールを下げることができます。卵そのものを食べなくても、卵を含む食品の摂取の制限も同様となります。
●飽和脂肪酸を多く含む食品を控える
飽和脂肪酸は、牛肉脂身、豚バラ脂身、鶏肉の皮、ベーコンなどの肉、卵黄、全脂肪乳製品、マカデミアナッツなど一部のナッツ類、ココナッツに多く含まれています。
植物油は飽和脂肪酸の量が比較的少ない油ですが、含有量が本当に少ないのは一部の植物油に限られます。
●LDLコレステロールを下げる多価不飽和脂肪酸
多価不飽和脂肪酸(オメガ3とオメガ6を含む)は、血中の中性脂肪とLDLコレステロールを下げる働きがあります。ごま油、くるみ、サフラワー油、まぐろ(トロ)、ぶり、いわし、さば、亜麻仁油、えごま油などに含まれます。ほとんどの食品ラベルには、脂肪の含有量が表示されています。
※関連ブログ「コレステロールを知る」
<脂肪酸一覧>
●高LDLコレステロール血症は、動脈硬化を進行させるリスクです
メタボリックシンドロームの診断基準には、LDLコレステロールは、記載がありません。
メタボリックシンドロームの診断基準による脂質の項目は、HDLコレステロール40mg/dl未満、中性脂肪150mg/dl以上です。
前回のブログでもまとめましたが、LDLコレステロールは、動脈硬化の原因となること、進行させる要因です。メタボリックシンドロームと指摘されていなくても、LDLコレステロールの数値にも注意する必要があります。
<メタボリックシンドローム診断基準>
❍低HDLコレステロール血症
HDLコレステロールの低下は、肥満、運動不足、喫煙が原因としてあげられます。この逆を行うことで、HDLを正常化させることが期待できます。運動による減量、禁煙することでHDLコレステロールの改善が得られます。LDLコレステロールは、内臓脂肪の蓄積にはあまり関与していません。内臓脂肪に蓄積される脂質は中性脂肪となります。そのため中性脂肪は高くなりますが、HDLコレステロールは低値になりやすくなります。
トランス脂肪酸の摂取を控える、植物油の過剰摂取を控えるなどがあげられます。
❍脂質異常症の運動療法
有酸素運動が効果的です。ウォーキング、ジョギング、サイクリング、水泳などがあげられます。体脂肪の燃焼には有酸素運動が必要です。血糖値コントロールを意識して、インスリン効果を高めることで、HDLコレステロールを上昇させることもできます。HDLコレステロールは血管内部のLDLコレステロールを回収する機能があります。有酸素運動には、この療法の効果が期待できます。
20分以上の持続的な運動により効果があるとされていますが、続かない場合は、身体を動かうことを常に意識してください。日常行動の中で、エスカレーター、エレベーターを使わず、階段を利用する、一駅歩くなどです。
●中性脂肪のコントロール
中性脂肪は日内変動が大きいとされます。日内変動とは、食事や運動などでの消費エネルギーなどの影響を受けて、血中濃度の変化のことをいいます。食事療法や運動療法によるところの数値の変動が大きく中性脂肪の数値をどこまで低下させればよいのかということになります。
中性脂肪は、コレステロールほどには、注目されていなかったというところが大きいようです。LDLコレステロールは、血管障害の危険リスクとして注目されていますが、中性脂肪については「空腹時採血の検査で150mg/dl」という数値が示されているのみのような印象をうけます。でも、やはり意識したい脂質です。
生理検査アティテュード®からのメッセージは、比較的若い検査技師向けに私からのメッセージとして書いていますが、臨床検査を受けて戴く側の立場でもぜひ知っていて欲しいことして、社会のみなさまに向けてのメッセージです。私の医療者としての経験からみなさまへの「医療の在り方」としてのメッセージとしてぜひご一読ください。
かたよし 純子
生理検査アティテュード®からのメッセージ
健診用のデータを作っていませんか?
意外ににありがちではないですか…
「来週健診だからダイエットしないと~」
❍日常のデータを見ること
このような方「来週健診だから、お酒は今、禁酒中、だから今日は飲めない」時々出会います、このようなことばに。健診のために食事や飲酒をコントロールして、きれいなデータを作る。良い健康的な検査結果を得られるようにわざわざ行動する、というように感じます。
健診は、日常のそのままを受けることで、隠されたリスクが見えて来るのではないでしょうか。私はそう考えています。会社で健診を指示され、引っかかると指導が入るから、というような方や、体重測らないとなのでとかもよく聞きます。肝機能がひっかかるとお酒が飲めなくなるからなどなど、、さまざまな理由があるようです。
この健診の受け方だといつもの身体の状態とは、まったく異なるデータが出てくることになると思います。健診は通常、年に1回です。それ以外の生活習慣での健康状態がまったく反映されないということになってしまいます。
❍絶食でのデータを見ることの大切さ
むしろ普段の、ありのままの身体の状態の数値を見ることが健診の目的だ私は思います。健診の数値に隠された情報を読み取ることが大切なのだと思うのです。そのためには、一定基準で測定した検査結果の経時変化を見ることです。正常範囲内の数値だから、「L:⇓」「H:⇑」の異常マークが無ければOKと思います、よね。
私は、経時変化も是非見て欲しいのです。通常でも3年分くらいは、きっと同じ施設なら記載されているかと思います。それ以上以前の数値もある場合は、ぜひとも比較して見てください。長い期間だと結構推移が見られることがあります。その数値を、自分の生活習慣と比較すると、どのようなことに注意したらよいかも見えてくることもあります。その比較のためにも絶飲食での検査も大切なのではないかと私は思います。
●健診は体調を崩す?!不健康?!
絶飲食での検査は、身体のリズムを崩す、と私はいつも感じています。健診で胃のX線検査は、バリウムを排泄するために下剤を飲みます。そのため、腸内環境が乱れ体調も混乱を来すこともあったりします。胃カメラのほうがその点では、負担が少ないと思います。以前潰瘍性大腸炎に罹患しているので、大腸内視鏡も数年に1度は行っています。ものすごくストレスで、腸内細菌バランスがリセットされ、排便のリズムもしばらくは混乱状態です。身体には、食事を抜くこともバランスが乱れることにつながることになり、健診は不健康になると実感しています(笑)
それでも、身体の状態を1年に1回くらいはきちんと知っておきたいし、健康維持のためには必要だと思っています。自分の数字を知っていることの大切さは、日常生活にも関係します。
❍自分の「身体の数字」を知っていてください
このブログ上でも何度もお伝えしていますが、病院に受診するときは、「身体の数字」自分や家族の身長・体重は最低限知っていて欲しいのです。さまざまな場面で必要になり聞かれる数字です。
生理検査の時にはよく聞きます。呼吸機能、心エコー、ABI、負荷心電図などなどは必須です。そして、小児科にお子さんを受診させる場合、お母様、聞かれますよね、お子さんの「体重何キロですか?」と。問診票には必ず記入する欄があると思います。継続疾患の場合、投薬時にも体重を聞かれると思います。それは、体重で投薬量が決められるからです。
必要なのです、病院では、「身体の数字」。子どもも大人もです。ご高齢のご両親に付き添われる場合もできれば把握しておいていただけると検査技師はすごく助かります。
※関連ブログ「健診結果を読む① 身体の数値」
Pure Medical attitude
生理検査アティテュード® Junko Katayoshi
今日のまとめ
- 中性脂肪は、脂肪酸3個とグリセリンの結合した状態で中性のものをいう
- 高トリグリセライド血症は、原発性では、食事療法と運動療法は必須
- 中性脂肪が1500mg/dlを超えると動脈硬化よりも、急性膵炎への注意が必須となる
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※ご意見・ご質問は、こちらからお気軽にどうぞ
みなさまのお声を楽しみにしております!
引用サイト
- 中性脂肪 Wikipedia
<Pure Medical attitude のblog>
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不整脈を知る 2018.7.16~2018.7.20
- §1 不整脈理解のための心電図を知る 2018.7.16
- §2 不整脈その1 徐脈性不整脈 2018.7.18
- §3 不整脈その2 頻脈性不整脈 2018.7.20
夏こそ気をつけたい脳卒中 2018.7.9~2018.7.13
- §1 脳出血と くも膜下出血 2018.7.9
- §2 脳血管が詰まって発症 脳梗塞 2018.7.11
- §3 脳卒中の予防あれこれ 2018.7.13
アレルギーを知る 2018.7.2~2018.7.6
- §1 アレルギーのメカニズム 2018.7.2
- §2 アレルギーの原因と素因 2018.7.4
- §3 気管支喘息と咳喘息、食物アレルギー 2018.7.6
『今週は、気になる過去ブログの振り返り』2018.6.25~2018.6.29
『尿潜血いつも陽性?!』 2018.6.4~2018.6.8
- §1 尿検査で潜血陽性と言われたけど… 2018.6.4
- §2 血尿が症状となる良性疾患 2018.6.6
- §3 血尿にみる尿路系のがん 2018.6.8
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Pure Medical attitude
生理検査アティテュード®
代表 かたよし純子 Junchan♪ ※自己紹介はこちらから
臨床検査技師/超音波検査士/健康管理士一般指導員/健康管理能力検定1級/介護予防運動指導員/米国NLP協会認定NLPトレーナー
THINK YOUR LIFE -ミドルエイジとともに-side by side-
共同代表 Junko Katayoshi
今日も最後までありがとうございました。
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