今日もHealth attitude blogにご訪問ありがとうございます。今日は炎症性腸疾患のひとつ、潰瘍性大腸炎です。平成25年の厚労省の統計で16万人以上とのことです。思っている以上の数です。医療受給者証および登録者証交付件数の合計だとされているので、軽症や無症状の人数を考えると、さらに多くの罹患者が予想されます。決して少なくない「難病」なのです。そして、大腸疾患のためになかなか相談しにくい症状でもあり、潜在的には事情に多くの方が悩みを抱えていると考えられます。2018年4月に1度簡単にまとめていますが、先日公開講座を受講する機会を得ることができましたので、過去のブログの情報を加筆、更新していきます。

1.大腸に発症する潰瘍性大腸炎は炎症性腸疾患です

1-1 炎症性腸疾患(IBD)は特定疾患・難病、その定義

1-2 潰瘍性大腸炎の特徴的な症状と合併症

1-3 潰瘍性大腸炎の診断と治療

今日のプラスα

2.大腸の構造とはたらきとは?

3.最後に...負担の少ない検査を望む

生理検査アティテュード®からのメッセージ

・『潰瘍性大腸炎』潜在的な罹患者目線での意見

 

1.大腸に発症する潰瘍性大腸炎は炎症性腸疾患です

潰瘍性大腸炎は炎症性腸疾患のひとつです。はじめに炎症性腸疾患についてまとめていきましょう。

1-1 炎症性腸疾患(IBD)は特定疾患・難病、その定義

潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis:UC)は炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Disease: IBD)のひとつとされます。

炎症性腸疾患(IBD)は都市部を中心に急増しているとのことです。そして、世界中でも増加傾向にある疾患だとのことです。

❍はじめに...炎症性腸疾患とは

炎症性腸疾患(IBD)とは?

原因不明の腸管の炎症性疾患の総称

慢性あるいは寛解・再燃性で複雑な病態を有する

おもに以下の2種

潰瘍性大腸炎:ulcerative colitis:UC

クローン病:crohn’s disease: CD

●腸に炎症が起こる「炎症性腸疾患」

体内に異物が侵入すると免疫機能が働きます。この免疫機能の反応として炎症が起こり、腸管に起こるものが炎症性腸疾患となります。炎症性腸疾患はこの反応が過剰な状態となっている状態です。腸管の腫れや痛み、発熱などの炎症性症状が起こります。

●特異的炎症性腸疾患と非特異的炎症性腸疾患

この炎症性腸疾患の中で原因がはっきりと特定されるものを特異的炎症性腸疾患といい、感染性腸炎、薬剤性腸炎、虚血性腸炎、腸結核などがあげられます。一方、原因不明とされるものすなわち細菌や薬剤などはっきりとした原因がわからないもの特異的炎症性腸疾患とし、潰瘍性大腸炎とクローン病があげられます。

  • 特異的炎症性腸疾患
    • 感染性腸炎
    • 薬剤性腸炎
    • 虚血性腸炎
    • 腸結核 など
  • 非特異的炎症性腸疾患
    • 潰瘍性大腸炎
    • クローン病

特異的炎症性腸疾患は原因がはっきりしているため、原因を取り除くことによって完治できます。

炎症性腸疾患といわれると、非特異的炎症性腸疾患のことを指し「潰瘍性大腸炎」と「クローン病」の2疾患のことを示します。この2タイプはまったく異なる病態で、同時に発症することはありません。

※関連ブログ「ストレスが原因?炎症性腸疾患

❍炎症性疾患(Inflammatory Bowel Disease: IBD)は特定疾患・難病指定

炎症性腸疾患は特定疾患の難病に指定されています。そう聞くと治らない深刻な疾患なの?と思われる方もいるのでしょうか。

●炎症性腸疾患が難病指定されている理由

炎症性腸疾患は「長くお付き合いする病気」だということ、これだけは押さえておきましょう。

特定疾患・難病とは?

原因不明、明確化されていない

治療方法が、確定されていない

そのため

長期間の治療が必要となる疾患

●炎症性腸疾患、難病指定の理由

炎症性腸疾患は原因不明で完治が困難とされ、生涯治療を要するともいわれている疾患です。現時点では、完治治療が無い疾患であり、寛解・再燃を繰り返す疾患だとの説明を受けました。

すぐに命を奪うような重篤な疾患ではありませんが、放置はNGです。国内には非常に多くの人が罹患し、1970年以降は小児にも増加している疾患です。特定疾患に指定し、国の支援のもとに、原因究明、解明し、治療体型を隔離しようと研究対象となっている疾患です。

●難病指定…けれどもふつうの生活できることも多い

潰瘍性大腸炎は厚生労働省から難病に指定されています。しかし、適切な治療をして症状を抑えることができれば、健康な人とほとんど変わらない日常生活を続けることが可能です。安倍晋三首相が潰瘍性大腸炎だということは有名な話かと思います。症状の安定が保てれば、ごく普通に日常生活を送ることが出来るという、良い例ではないでしょうか。

長期にわたる治療のために医療費負担がある方は、治療費の助成を受けられることもあります。

※関連情報サイト「指定難病患者への医療費助成制度のご案内」難病センター

❍『寛解・再燃』を理解しておきましょう

  • 寛解 かんかい:症状が落ち着いて安定した状態
  • 再燃 さいねん:寛解状態から病状が悪化すること

症状が一時的に軽くなることや、継続的に沈静化した状態を寛解といいます。治ったと誤解されやすいことがありますが、炎症性腸疾患は根治が難しい疾患であることを理解しておくことも必要です。

炎症性腸疾患のような難治性の慢性疾患が治癒した状態を、完全寛解ということもあります。

●活動期と非活動期

活動期、非活動期という言い方もします。活動期とは寛解期の対象的な時期とされ、初発の未治療の時期や、寛解維持した状態から再燃した時の病期のことをいいますが、症状進行が活発化している状態です。

非活動期とは寛解維持の状態のことで、寛解と同義語とされます。

 

1-2 潰瘍性大腸炎の特徴的な症状と合併症

潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜に炎症が起きることにより、びらんや潰瘍ができる原因不明の慢性疾患です。

❍潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis:UC)の症状

潰瘍性大腸炎は大腸粘膜、その最も内側の内膜層にびらんや潰瘍を生じる炎症性腸疾患です。

血便 発熱 腹痛 下痢

潰瘍性大腸炎に性差はみられません。おもな症状は、上記にあげた項目、特に便の異常とされ、血便、粘液便、下痢などがみられます。さらに腹痛、発熱、血便による出血のために貧血などの症状が出現します。発症早期は軽度の血便とされ、下痢など他の症状は乏しく、痔の出血と思いやすために注意が必要とされます。

●病状の進行と症状の変化

軽症の場合は必ずしも血便を伴うわけではなく、自覚症状も無いこともあります。

病状が進行すると重症化した場合、血性の下痢の出現がみられます。その他、発熱や食欲不振、血便に伴う貧血などの症状がみられることも少なくないとのことです。

❍潰瘍性大腸炎の合併症

病状の進行とともにさまざまな合併症が発現することもあります。炎症が大腸の広範囲にみられるようになると、血便以外に下痢、軟便、腹痛などの症状が持続的、反復的に出現するようになります。

下痢がひどくなると1日に20回以上ということもあり、血性の下痢さらに症状が悪化すると全身の症状も出現するようになり、体重減少、貧血、発熱などがあらわれます。

合併症の進行度合いで腸管合併症と腸管外合併症と呼ばれています。

❍潰瘍性大腸炎の腸管合併症

大腸に限局して現れるといわれる潰瘍性大腸炎ですが、合併症を併発することがあります。

激しい炎症が長期間、腸管壁深部にまで進行し、腸にもさまざまな合併症を併発することになります。大量出血や、腸管の狭窄、穿孔などをおこすこともあります。強い炎症のために腸管の蠕動運動が低下することで、ガスや毒素貯留し、大腸が膨張し、全身に発熱や頻脈などの全身症状の出現、手術適応となることもあります。

長期間経過した潰瘍性大腸炎は大腸がん発症のリスクが高いといわれています。

〔急性合併症〕
  • 中毒性巨大結腸症:蠕動運動の障害によって腸管拡張をきたし、手術適応となる
  • 大量出血
〔慢性合併症〕
  • 腸管穿孔
  • 大腸癌
  • 狭窄

中毒性巨大結腸症

消化管の蠕動運動が障害されることによって腸管が拡張してしまう疾患の総称です。大腸・結腸が萎んだ状態となってしまいます。

症状として、

  • 重度の便秘、腹痛、腹部膨満感、吐き気、嘔吐など
  • 水分の吸収機能も低下するため、脱水症状も起こす
  • 重症化すると、虫垂炎や腸管穿孔などの合併症を発症

潰瘍性大腸炎の腸管合併症

<潰瘍性大腸炎の合併症>

❍潰瘍性大腸炎の腸管外合併症

腸管以外の全身にも合併症が起こることもあります。

関節、皮膚、眼などの症状や、アフタ性口内炎、肝胆道系障害、結節性紅斑などがみられることがあるとのことです。

❍潰瘍性大腸炎の慢性症状

潰瘍性大腸炎は、寛解と再燃をくり返しながら慢性化していきます。

症状が安定化して落ち着き寛解、そして再び、症状再燃するというパターンを繰り返し、10年以上長期間経過し、全大腸炎型が慢性化するとがん発症のリスクが上がります。

❍潰瘍性大腸炎の分類

潰瘍性大腸炎を罹患部位で分類すると、3タイプに分類されます。

潰瘍性大腸炎 3タイプ

<潰瘍性大腸炎の3タイプ>

病変は直腸から連続的に、そして上行性(口側に向かって)に進行する性質があります。最大で直腸から結腸全体に拡がります。直腸炎型はほとんど症状が無いことも多く、経過観察のみで治療されない場合も多くあります。炎症の範囲が進行し拡大するに従い、症状も重く、重症化していきます。

この疾患は病変の拡がりや経過などにより下記のように分類されます。

  1. 病変の拡がりによる分類:全大腸炎型、左側結腸炎型、直腸炎型
  2. 病期の分類      :活動期、寛解期
  3. 重症度による分類   :軽症、中等症、重症、激症
  4. 臨床経過による分類  :再燃寛解型、慢性持続型、急性激症型、初回発作型

潰瘍性大腸炎の分類

<潰瘍性大腸炎の分類>

❍炎症性腸疾患の原因と考えられている要因

炎症性腸疾患の原因はあきらかではありません。複数の要因が重複し発症すると考えられています。何らかのきっかけで発症し完治することなく、発症と再燃を繰り返します。

●炎症性腸疾患の発症リスク考えられている要因

免疫機能の異常、何らかの要因が引き金となることで、自分自身を攻撃してしまう自己免疫疾患だと推測されています。現在考えられているリスク要因として、

  • 都市圏に多く発症する傾向がある *国内発症者数:1位 東京、2位 神奈川
  • ストレス、喫煙、感染症、虫垂切除、環境汚染など
  • 薬剤の影響:抗生物質、非ステロイド性抗炎症薬、経口避妊薬など
  • 食事の影響:脂肪、炭水化物、タンパク質、果物、野菜、繊維、肉

これらのリスクが重複して発症していると考えられていますが、原因が分かれば完治する方法が分かる可能性があるとされ、研究が続けられています。

 

1-3 潰瘍性大腸炎の診断のための検査と治療

潰瘍性大腸炎の診断は問診からとされます。症状の経過と病歴などを聴取することから始まります。

❍潰瘍性大腸炎の診断のためのふるい分け検査

潰瘍性大腸炎は、類似した症状を呈する他の炎症性腸疾患と鑑別し、その後確定診断されます。

●問診:症状の経過・病歴

これでの気になる症状、経過、これまでの病歴などのヒアリングを行います。血便の有無、下痢や腹痛など自覚症状の詳細な聞き取りです。

●おもな採血検査:血液学的検査・生化学的検査
  • 白血球数  :炎症反応の状態
  • CRP値   :全身の炎症状態の把握
  • ヘモグロビン:出血などによる貧血の程度
  • アルブミン :身体の栄養状態
●便潜血反応:消化管からの出血の有無

炎症性腸疾患以外、痔疾患、大腸癌、その他口腔内に傷が有っても陽性に出ることがあるために鑑別が必要です。

●他の炎症性腸疾患との鑑別

血性の下痢の原因となる他の感染症との鑑別診断が必要となります。

※関連ブログ「健診結果を読む② 血液検査

❍潰瘍性大腸炎の確定診断

これらの基本的な検査を行ったのち、潰瘍性大腸炎が疑われる場合、確定診断として大腸内視鏡検査、X線造影検査、病理組織検査などを行い診断へと導かれます。内視鏡にて大腸の粘膜のびらんや潰瘍が生じている場合、組織診を行い確定診断が行われます。    結腸イラスト

通常、X線や内視鏡による大腸検査にて、結腸のどの範囲まで症状が見られるのか、その範囲と進行状態が確認されます。びらんや潰瘍などの症状が見られる場合は、その部位の大腸粘膜を採取し病理診断が行われます。

潰瘍性大腸炎は、このようにして類似した症状を呈する他の大腸疾患と鑑別され、確定診断されます。

❍消化管エコー・腹部超音波

腹部超音波検査の一環として、便潜血反応陽性の場合や、貧血などの精査として腹部超音波検査が実施されます。私が超音波検査をはじめた頃、まだ診断装置がデジタル化される以前では「消化管はエコーでは見れない」と言われていました。

しかし、近年、超音波診断装置の進化はめざましく、より詳細に、消化管に関しても明瞭な画像が得られるようになっています。虫垂炎の診断はもちろんのこと、腸閉塞の診断からその頃よく耳にするようになった、炎症性腸疾患の診断として、薬剤性大腸炎、感染性腸炎、さらにクローン病や潰瘍性大腸炎の診断、までカラードプラも良好な精度のもとに多くの腸管エコーが行われるようになっています。

〔US新人技師さんへのメッセージ〕

超音波検査は非侵襲性検査の代表格です。超音波検査士としてはファーストチョイスして欲しい検査です。消化管エコーが出来る人がいる施設では習うのも良いでしょう。しかし、

習う以上に慣れること!

そうお伝え致します。

新人技師にとって消化管領域はまだまだハードルが高い分野となりますが、上腹部のUSスクリーニングとともに、見る習慣をつけて欲しい領域です。腹部の炎症の有無の確認として、膀胱周囲の腹水の有無を見ることを習慣化する、そして、消化管を回盲部から上行結腸~横行結腸~下行結腸~S状結腸~直腸とスキャンすることを習慣化することよって、眼が消化管の画像に慣れていきます。

「習うよりも慣れる」ぜひお勧めいたします。

❍最近の新しい検査

便中カルプロテクチン検査とNUDT15遺伝子多型検査という検査が最近、保険適応となっています。

●便カルプロテクチン:潰瘍性大腸炎の診断補助検査

便中に排泄されている炎症により生じていると思われる物質を定量する

便中カルプロテクチン検査とは

潰瘍性大腸炎の病態把握の補助として開発、好中球に由来するカルシウム結合蛋白を測定する検査で、腸管粘膜の炎症程度を反映します。この数値が上昇すると好中球すなわち白血球の増加を示しますので、腸管に炎症が生じていることを反映する非侵襲性のマーカーとなります。

潰瘍性大腸炎の病態把握を目的として検査される場合、原則3ヶ月に1回保険適応検査として認められています。

慢性的な炎症性腸疾患が疑われる場合の内視鏡前の補助検査として実施することと記載されています。治療経過を見る際の補助診断として、効率的に内視鏡検査が行われることに対して、負担軽減などが期待されます。

●検査適応:慢性的な炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病など)
 ●NUDT15遺伝子多型検査:潰瘍性大腸炎に用いる治療薬の副作用

炎症性腸疾患、急性リンパ性白血病などの治療薬の代謝作用を判断します。2019年2月から保険適用となった検査です。

NUDT15遺伝子多型検査とは

Nudix hydrolase 15遺伝子多型検査はチオプリン製剤の重篤な副作用の予測に有用だとされる検査です。チオプリン製剤とは、免疫抑制薬とされ、炎症性腸疾患や急性リンパ性白血病、リウマチ性疾患、臓器移植後の治療です。膵炎以外の副作用の出現が事前に予測可能になりました。使用に先立ち投薬の可否や投与量の判断補助として有用な検査とのことです。

❍潰瘍性大腸炎の治療に関して

大きく分けておもに投薬などの内科的治療と大腸切除を行う外科的治療になります。

●内科的治療

現在、潰瘍性大腸炎は完治困難とされ、

潰瘍性大腸炎を完治する内科的治療はありません

しかし腸の炎症を抑制するための有効な薬物治療が多数存在します。この治療の目的は大腸粘膜の異常な炎症を抑えることによって、症状をコントロールすることにあります。

❍基本治療薬

最初の潰瘍性大腸炎に用いられる製剤として5-ASA製剤、その次の段階ではステロイドがあげられています。

●メサラジン製剤:アミノサリチル酸製剤5ASA製剤

5ASA製剤は潰瘍性大腸炎の基本治療として用いられる製剤です。内服、坐薬、注腸剤があり、炎症の持続を抑え、下血、下痢、腹痛などの症状を軽減する効果があります。

その特徴として、
  • 潰瘍性大腸炎の寛解導入、寛解維持として広く用いられる製剤
  • 基本的にすべての潰瘍性大腸炎の寛解維持に有効とされる
  • アミノサリチル酸(消炎鎮痛剤)を成分とし、全身の免疫を抑制することはない
  • 腸の粘膜に直接作用、腸膜で分解されますが、体内への吸収が少なく安全性が高い
  • ①再燃予防効果、②病変進行抑制、③大腸癌予防効果があるとされる
  • 薬剤への副作用がある場合には勧められない
●ステロイドホルモン剤

経口薬と直腸に直接注入する坐薬などがあり、泡状の製剤は注腸や坐薬よりも刺激が少なく使用しやすいと説明を受けました。

その特徴として、
  • 坐薬を注入したのちも通常の行動が可能なため、時間を選ばない
  • 副腎皮質ホルモンの作用を持つ
  • 再燃を予防する効果はない
  • 強い抗炎症・免疫抑制効果がある
    • 炎症性腸疾患の活動期に対して確実に治療効果がある
    • 炎症性腸疾患の治療薬剤として長年使用され、発癌性が無いとされる
    • 医師の指導の元、副作用に注意し、期間限定での使用する

〈副腎皮質ステロイド薬〉
代表的な薬剤としてプレドニゾロン(プレドニン)があります。れます。この薬剤は中等症から重症の患者さんに用いられ、強力に炎症を抑えますが、認められていません。

❍その他の治療方法

●白血球除去療法:GMA・LCAP

血液中から異常な活性化白血球のみを取り除く治療法です。副腎皮質ステロイド薬で効果が見られない場合などの活動期の治療に用いられます。

効果が出るまでに時間がかかること、さらに、週に1回の通院が必要となり、1回に1~2時間、合計5~10回を1~2クール行わなければなりません。

❍外科的治療が勧められる症状

潰瘍性大腸炎は、欧米では20%の割合で外科的手術が行われている疾患だとのことです。

多くの場合、内科治療で症状が改善しますが、経過不良の場合に際して、手術の検討も勧められるようです。

●手術が勧められる潰瘍性大腸炎
  • 内科治療が無効とされる、重症例、劇症の場合
  • 再燃や入退院が頻回となり、適切な日常生活が送れない場合
  • ステロイドの投与量が多く、副作用の可能性が懸念される場合
  • 大腸穿孔や大量出血、大腸癌などの重篤な合併症を発症した場合

基本は大腸全摘術が行われ、小腸で人工肛門を作ります。

しかし、近年では術後は通常の人とほぼ同様の生活を送ることができる方法が行われています。小腸に便をためる袋(回腸嚢)を作り、肛門につなぐ手術が行われているとのことです。

どのような方法が人に優しいのか、今後の医療へ期待するところです。

❍治療方法は多岐にわたる

今回まとめさせて戴いた内容は、公開講座で聴講したごく一部です。さらに多くの薬剤情報や子どもの炎症性腸疾患の発症も少なくなく、その症状の対してさまざまなストレスもあることを忘れてはならないと思っています。

今回は潰瘍性大腸炎を中心に基本的な内容にとどまっています。Web検索でも個人的に得たい情報を多数えることができます。

情報源を確認して最新の正しい情報を得てください。

原因不明でも治療方法はたくさんある

その他にもさまざまな製剤が開発されています。どの薬剤が効果があるのかも個人差があり、使用して効果がみられなければ諦めずに他の薬剤を使用すればよい、と説明されました。新たな製剤がいろいろあります。担当医師に相談してみること、セカンドオピニオンが大切だと医師からは丁寧な説明がありました。

潰瘍性大腸炎 情報冊子

 

2.大腸の構造とはたらきとは?

消化管、小腸と大腸の名称と位置関係を下記に示します。大腸のはたらきと機能を再掲しておきましょう。
大腸

❍大腸のはたらきとは?

大腸の消化機能は食事をしてから便として肛門から排泄されるまでに、約24〜72時間かかります。

●大腸の消化・吸収機能

消化管としての大腸に機能は、腸内細菌による難消化性成分となる食物繊維の発酵と一部の栄養素の吸収、そして水分の吸収となります。栄養分が吸収された後の食物は大腸に送られ、大腸内部を移動しながら水分が吸収されていきます。この水分吸収が上手くいかないと下痢を引き起こすことになります。

大腸に多数みられる粘液を分泌する胚細胞は、大腸壁の保護や内容物の送る働きを促しています。腸内細菌の活動により生成されるビタミンがあるとされています。

大腸での物質分解は、大腸菌を始めとする常在菌が担っています。アミノ酸の分解は、その過程で酪酸や酢酸またメタンなどのガスが生じるために、排泄物の臭いの一因ともなっています。

❍大腸の構造大腸の5層構造

大腸壁も胃壁も超音波で見ると同じ5層構造として確認できます。

潰瘍性大腸炎は大腸の最も表層にある粘膜と、その下の粘膜下層に潰瘍やびらんなどの所見がみられる炎症性疾患です。通常炎症の深達度は、粘膜層~粘膜下層までの表層に限られます。

胃のところでお伝えした胃壁の構造と同じように、内側から順に「粘膜」「粘膜下層」「固有筋層」「漿膜下層」「漿膜」の5つの層で構成されています。※下記イラストをご参照ください

※関連ブログ「消化されない食物繊維

 

3.最後に...負担の少ない検査を望む

自分の腸管、やはり心配にはなります。症状がなくても定期的に検査を考えます。

❍健診・検査は身体に負担です

大腸の検査、潰瘍性大腸炎の検査として思い浮かべるのが大腸内視鏡でしょうか。できれば受けたくない検査の1つではあります。今年の10月にも受けましたが、

受けたくない個人的な理由としては...

  • 下剤がかなりきつい:下剤による腹痛がかなりきつい、減量してもらっても辛かった
  • 腸内環境が悪くなる:強制的な排便は、腸内環境バランスがリセットされます

大腸内視鏡の検査を受ける前には、強制的に下剤によって排便を促します。下剤の効き方には個人差があるかと思いますが、日常で腹痛を経験することが成人してからほとんどないためなのか、かなりきつい腹痛に七転八倒するからです。

❍食事を抜いての意味

そして、食事を抜く検査はどれも身体には負担だと思っています。検査を行う立場の検査技師でも、私はそう考えます。しかしながら、健診で受けて戴く検査でも絶飲食が原則とされています。

その理由は身体の基準の状態で評価するためです。食事によって身体の中はいわば化学工場です。取り込まれる食材の栄養素によって、臓器が反応し、その結果、数値や身体の状態が必要に応じて変化します。出来得る限り、常に同じ条件で評価をできる絶飲食が望まれます。

血液検査はさまざまな項目があります。その検査項目によって、食事が影響する検査項目も少なく有りません。そのために健診では、基本「食事を抜いて」と指示されます。

●「朝食を抜いて」の指示に...

時々この「朝食をしないで・抜いて」の説明に対して、

「ごはんは食べないで、牛乳飲んで来ました!」

という方や「バナナを1本」という方も今までいらっしゃいました。ご飯が食べられないので、じゃぁ牛乳ならいいかぁ...と思われたようです。

言葉の解釈は人それぞれです。同じように説明しても、人によって解釈はそれぞれだということもあるために、私は必ず検査を始める前に、

「今日は何か飲んだり食べたりされていますか?」

このように、さり気なくお聞きして検査へのスケールを決めます。スケールとはすなわち、検査を進める中で飲食による内臓の変化に対しての基準設定です。コミュニケーションとして、会話のきっかけにもなることもあります。

❍身体に優しい検査スケジュール

いっしょに出来る検査は

『出来る限り同日に』

そう考えて予約枠を考えて欲しいと思っています。複数の検査を受ける場合、できれば同日にと考えて欲しいのです。特に、食事制限がある検査、胃透視や胃内視鏡検査と腹部超音波検査はよく同時に依頼されますが、同じ日に行えば、絶飲食が1回で済みます。CT造影も同様です。超音波検査で処置をすることはありませんので、先に腹部超音波検査を実施する予約スケジュールをお願いしたいと考えます。

内視鏡やバリウムが体内に入ると、それなりに身体の状態が変わるからです。

臨床検査技師・超音波検査士としても、ぜひお願いしたいことです

❍体調を整える「体内リズム」から見た食生活

1日3食の食事を1食抜くことは、身体には負担がかかります。以前の私は、体重減るから良いな~くらいに思っていました。3回の食事を出来る限り規則的に摂取することが、体内リズムを整えていることにつながります。体調はそんな身体への気づかいから整えることができます。お腹が空いたから食べるのではなく、自然なリズムで空腹を感じるようにリズムを整えることを意識することの方を優先することが望ましいと今は思っています。

朝食

 

生理検査アティテュード®からのメッセージ

『潰瘍性大腸炎』潜在的な罹患者目線での意見

過去のブログの潰瘍性大腸炎のまとめの中でも、自分ごとであること、潰瘍性大腸炎と診断されていることを書いていますが、今回の公開講座は患者の立場としても聴講してきました。

講演して戴いた総合医療センターの国崎先生ご自身のお父様が潰瘍性大腸炎だったことから、患者家族の視点からもお話戴き、すごく参考になる部分が多くこの疾患を患う人々や家族への配慮を強く感じ、とても有意義な時間を過ごさせて戴くことができました。この場から心から感謝致します。

❍場所が場所だけに...潜在的な患者数

私と同様の「直腸炎型」の場合、ほとんど症状が無いということも少なくありません。左側結腸炎型や全大腸炎型でも症状は人それぞれとのことでした。深刻な症状がない場合そのまま「大丈夫」だと自己判断し、受診しない人も多いのではないでしょうか。

冒頭で炎症性腸疾患、患者数16万人以上とお伝えしていますが、この数字は特定疾患申請者数です。私も定期観察の検査のみで受診・治療していませんので特定疾患申請も当然していません。私のような潜在的な罹患者数を考えると総数は2~3倍だとも推定されています。いわゆる生活習慣病ともいえると考えます。

❍女性医師・女性専門病院の必要性

便に血液が混ざるという自覚症状で受診を考えると、想像するのは「おしり」「肛門」です。ふつうに考えて医師でも見せたくない部分です。それが、一般的な感情だと思います。私自身やはりよく知っている自分の病院の医師には受診し難く、ましてその当時は、外科、消化器内科には女性医師がいませんでした。

やはり男性医師よりも女性医師のほうが抵抗感が無いと考え、せめて同性医師と思いネット検索しました。さらにすごく考えて「女性専門のレディースクリニック」を探して受診しましたが、それだけでも一大決心だったと今でも思っています。

乳腺外科や泌尿器科も女性専門という外来が近年少なくありません。女性医師も増加傾向であり、クリニックの段階では、男性専門、女性専門という医療機関も必要なのではないかと私は思っています。現在の医療体制を考えると、より専門的な治療を目的とする中規模の医療機関での必要性はいかがなものかと考えますが、ホームドクターが推奨される現在、クリニックは性差に分けられても良いのではないかと私は考えます。初診受診へのハードルが下がり、症状が深刻化する前の受診推奨につながるのではないかと考えます。乳腺・子宮がん健診などは特に、その傾向があるのではないでしょうか。

❍診断されているか、否かの違い

個人的なことをいいますと、潰瘍性大腸炎と細胞診でいわれていますので受け入れざるを得ない状況です。

そのことを知ってから、ストレスとの関連性を意識しています。自覚が無くても苦手なことに頑張ってトライしている時期に、便の状態が変わることがあるからです。比較的あからさまに変化することがあり、逆に潜在的なストレスがかかってることを自覚させられることもあり、いわば、メンタルレベルのバロメーターとなっていることもあるからです。

❍心の不調は身体のウィークポイントに出現する

メンタルレベルが低下すると自律神経バランスが乱れ、低いレベルでもバランスをとろうと身体は頑張ります。そのため免疫力も当然その低下します。免疫力が下がると、身体を守る機能が全体に下がりますので弱い部分から症状が見られることになります。

自分の身体機能のどの臓器部分が低いのかということを知っておくこともメンタルレベルを教えてくれることがあると考えます。

おしり事情が気になる方、便に血液が混ざる場合は、大腸癌、痔出血、炎症性腸疾患などが疑われます。症状が深刻化する前に1度、医療機関への受診をお勧め致します。

※関連ブログ「ストレスが原因?炎症性腸疾患」「どうして起こるの?春の体調不良 _20191201_111242

Pure Medical attitude

生理検査アティテュード®

Junko katayoshi

今日のまとめ

  • 炎症性腸疾患とは原因不明の腸管の炎症性疾患の総称、おもに潰瘍性大腸炎とクローン病がある
  • 潰瘍性大腸炎・クローン病は特定疾患・難病に指定され完治は困難、寛解と再燃を繰り返す
  • 内科的治療はさまざまな治療製剤があり、通常の日常生活を送ることも困難ではない

 

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必要なのは「変わりたい意思と行動」そして強い気持ちのみです。

Pure Medical attitude/Office PurePure Medical attitudeのカウンセリングともコーチングとも受け取れる、自分の可能性を引き出す「独自の心と身体の個人セッション」です。

会うだけで大丈夫です。

話せることだけで大丈夫です。

心と身体のトータルパーソナルセッション

人に会うことが一番大切です

じっくり、しっかりと寄り添いながら、新しい自分発見のケアとカウンセリングそして「自分基準」を明確にしていくサポートをさせて戴きます。

「健診結果」の評価・対策もいたします。年間サポートもぜひ、ご相談ください。

※ブログやセミナーに関する、ご意見・ご質問などお問合せは、こちらからお気軽にどうぞ

みなさまのお声をぜひ、お寄せください!楽しみにしております!

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Pure Medical attitude 

生理検査アティテュード®

代表 かたよし純子 Junchan♪  ※自己紹介はこちらから

臨床検査技師/超音波検査士/健康管理士一般指導員/健康管理能力検定1級/介護予防運動指導員/米国NLP協会認定NLPトレーナー/臨床心理学 基礎エキスパート取得

今日も最後までありがとうございました。

☆アンコモンセラピー「ワンコイン¥500」読書会☆

ヒプノセラピーにご興味ある方、ご参加お待ちしております!

毎月、大崎ゲートシティ スターバックスコーヒーで開催!詳細はイベントサイトより

米国の精神科医ミルトン・エリクソン博士は、発達障害だった?!

催眠療法の大家とされる、精神科医エリクソン博士は、変わった子どもと言われ、さまざまな感覚障害を持ち、読字障害、失読症ともいわれ、さらに色盲に音痴だとされています。そのエリクソン博士「ミルトン・エリクソンの戦略的手法」を紹介されているこの本の読書会です。心理療法にご興味ある方、ぜひ、ご参加お待ちしております。

次回は、12月6日(金)PM 19時~となります。2019年12月のアンコモンヘッダー

お申し込み・ご質問は、下記のイベントサイトまたはメッセージにてお申し込みください。