JunchanのHealth attitude blogにご訪問ありがとうございます。医療スタッフのメンタルパートナー かたよし純子です♪ 先週に引き続き「心の在り方」メンタルヘルスを考えていきたいと思います。先週は、常識という視点から見た時のマイノリティの受けとめ方など、今週は「依存症」をまとめていきたいと思います。依存症という表現方法から、物質使用障害という言い方へ統一化されてきています。そして、基準も、明確化される方向性に。依存症は、誰でも起こり得る心の疾患であり、家族も巻き込むことや、社会的な問題を生じます。そして、さまざまな対象物に対して依存することや、その結果、健康を害することもあります。
※先週のブログは「誰が決めたの?その「常識」」「弱者・少数派が生きやすい社会 」
1. 自分ごととして考える、依存する心の理解のポイント3つ
1-1 心の疾患「依存症」とは?
1-2 依存症はさまざまな問題や、健康障害をもたらす「病気」
1-3 依存症…どうしてやめられなくなるのか?脳のメカニズム
今日のプラスα
2.アルコール依存症にみる「共依存」
3.嗜癖:アディクションにおける否認とは
生理検査アティテュード®からのメッセージ
・私にもある依存したい心
1.自分ごととして考える、依存する心の理解のポイント3つ
はじめに、「依存症」WHOの診断基準とは… (ICD-10)
- 使用欲求・脅迫的な使用
- コントロール障害
- 離脱症状・禁断症状
- 耐性増大
- 薬物中心の生活
- 有害な結果があっても使用する
このうちの3項目以上で診断されるとのことです。これは、1992年のこと。
<依存症ICD-10の診断基準>
1-1 心の疾患「依存症」とは?
依存症と聞いてアルコールを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。依存症とはからまとめていきたいと思います。
❍嗜癖から依存症そして物質使用障害への変化
トップであげたものは、国際疾病分類、ICD-10(ICD:International Classification of Disease 1992年)での診断基準です。この数年間で、依存症の講座も何回か受講していますが、嗜癖から依存、そして近年は、「物質使用障害」という言い方に変化してきているとのことです。
依存症とひと言で言ってもその状態はさまざまだということになります。
依存症:Dependenceと嗜癖:Addictionとは?
「依存症」とは…
「特定の物質や行為・過程に対して、やめたくても、やめられない、ほどほどにできない状態をいわゆる依存症という」とあります。
依存とは、身体的依存を伴う、もしくは伴わない、薬物や化学物質の反復的使用をおこなうこと。行動的依存、身体的依存、心理的依存は物質関連障害の特徴とされる。
「嗜癖・しへき」とは…
嗜癖とは、物質使用を繰り返し、使用量が増加(乱用)し、使用できない状態となると重篤な症状となり、使用に対する押さえがたい衝動が高まり、身体的・精神的悪化に至る状態となること とあります。
❍嗜癖から依存症へ
1950年代に世界保健機関WHOにより嗜癖は、有害な結果にもかかわらず、報酬刺激に対しての強迫的関与を特徴とする脳障害だされています。嗜癖は、依存症のような意味で定義されたとありますが、依存症とは異なる意味となる「乱用」の意味でも用いられるために、WHOの専門用語から除外したとあります。現在の厚生労働省のHPでは「依存症」とされています。
嗜癖は、2013年のDSM-5において大分類名として分類され、その下位にDSM-IVの依存症と乱用が統合された物質使用障害があるとされています。
※DSMとは(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)アメリカ精神医学会の診断基準です。1960年代に嗜癖(Addiction)と習慣(Habit)の2つの用語は破棄され、依存(Dependence)に変更されています。
❍そして、依存症から「使用障害」への変遷
依存症という言葉も古くなっているという説明で、分類も軽症・中等度・重症とされているとのことです。
アルコール依存症で例えると、以前は、アルコール中毒、すなわちアル中といわれていましたが、診断基準に曖昧な部分が多く、厳密な境界がない状態だとされます。
アルコール中毒・薬物中毒から、アルコール依存症・薬物依存症となり、現在は、アルコール使用障害・薬物使用障害というように呼ばれようになってきています。
問題となっていることに対して、「取り組む」という姿勢へと変化しているとのことです。
<依存症診断の変遷>
❍依存する対象となるもの
大きく分けて「物質依存」「プロセス・行為依存」「関係依存」この3つに分類されます。
- 物質依存 :物に対する依存
- プロセス依存:行為・行動に対する依存
- 関係依存 :人に対する依存
●物質への依存
アルコール、薬物、ニコチンといった依存性のある物質の摂取による依存状態。精神に依存する物質を原因とする依存症状です。摂取を繰り返すことにより、以前と同じ量や頻度では満足できない状態となってしまい、次第に量や回数に対して際限が無くなり、自己コントロールできなくなってしまう。身体への害が起こることが懸念され、比較的医療が関わりやすい依存対象とされます。
- アルコール
- ニコチン:喫煙
- カフェイン
- 薬物 : 麻薬、覚醒剤、大麻
- ベンゾジアゼピン:睡眠薬、不安薬
- アドレナリン :交感神経作動薬
- 砂糖 :ジャンクフード
●プロセス・行為依存
特定の行為やプロセスに対して必要以上に熱中し、のめりこんでしまう状態、何度も繰り返す、より強い刺激を求めるような、度が過ぎるという状態をやめようとしても、やめることが出来ない。常にその行動が頭から離れない状態。
- 自傷行為
- 過食・拒食 :摂食障害
- ギャンブル
- インターネット、ゲーム、携帯電話、メール
- 買い物・浪費
- 窃盗・万引き、下着泥棒
- テレビ・活字・仕事
- 強迫的ホーディング:居住空間での大量の物品の蒐集
●関係依存
自分と特定の人との関係性に対して、過剰に依存する状態とされ、その人との人間関係にとらわれていること状態への嗜癖(アディクション)とされています。恋愛という名の支配であることや、子どもや人の世話を過剰にしすぎること、介護などをすることへの依存状態とされます。
相手から依存されることに対して、自分自身の存在価値を無意識のうちに見出しているとされます。依存する対象者に自分の望む行動を取らせること、コントロールすることによって、自分の心の平安を保とうとすることにより起こるとされています。
- 共依存
- 性依存症:セックス依存症
- 宗教 :カルト依存症
- ドメスティックバイオレンス:暴力依存
- 完璧主義
<依存・嗜癖の対象>
1-2 依存症はさまざまな問題や、健康障害をもたらす「病気」
依存症は、その嗜癖によりさまざまな問題を引き起こします。
❍依存症により引き起こされる状態とは?
依存する対象によってさまざまなことが起こります。
●依存症の症状とは
依存症の症状として出現する状態には、精神症状・依存と身体依存との大きく分けられます。
《精神症状:精神依存》
あらゆる物質や行為に対して。使用の抑制、コントロールができなくなる。中止すると精神的離脱症状として強い不快感を生じ、対象となる物質を探すなどの行動がみられる
《身体的離脱症状:身体依存》
使用中止により見られる、手の震えなどの痙攣症状、いわゆる禁断症状と言われる、退薬症状が出現することがあります。おもにアルコール、モルヒネ、バルビツール酸系の薬物に見られるようです。
身体依存は、すべての依存に必ずしも見られるわけではないとされます。薬物依存の場合も身体依存を伴わない物質があり、薬物以外の場合の依存では、身体依存は見られません。
●依存症成立や悪化の要因の分類 3段階
- 個人要因:心理状態、報酬系機能、高位脳における抑制
- 対象要因:陶酔感誘発、有能感誘発、離脱症状
- 環境要因:共依存、自動販売機などによる 手軽な入手手段がある環境(ニコチンやアルコール)
❍依存症の特徴
●異常な執着
依存症は、大量、長時間、長期間におよび、依存する対象物に対して、異常な執着を見ることがあります。
⇛ 異常執着による弊害
さまざまな活動、重要な社会的、職業的、娯楽的活動を放棄させ、減少させることになります。さらに精神的、肉体的、社会的問題が生じていることに対しても、さらに対象に対して異常なまでの執着を継続し続ける。
●否認
依存症は、病的な心理防衛機能とされる否認を多用します。そのため、「否認の病気」とも言われることがあります。そして、家族、恋愛関係にある人などが、依存症の人に対して共依存している場合には、共依存している側も否認を行うことになります。
⇛ 嗜癖の対象となる物質否認による弊害
嗜癖の対象の物質への依存は、離脱症状の発現を抑えることが病気利得となるために、否認行動が強化されることになります。薬物の場合は、法的規制の対象となる⇛麻薬・覚せい剤・大麻など
●衝動性:セルフコントロール
依存の特徴として、衝動性や、刺激追求が高いとされています。衝動性とは、将来、健康被害など有害となる結果をもたらす可能性があるにもかかわらず、目前の欲求満足のために、手を出す行動特性とされます。
⇛ セルフコントロール出来ないことによる弊害
喫煙者(ニコチン)の禁煙場所での喫煙や、携帯電話依存による車内通話など社会での迷惑行為に対して、依存行為を阻止されたことに対する衝動的な暴力事件などは、セルフコントロール不能となっている状況とされます。
●行為の強化
報酬による行為の強化には、「行為A」のあとに必ず「報酬B」が与えられる定型的強化と、「行為A」のあと、気まぐれに「報酬B」が与えられる間欠的強化がある。間欠的強化のほうが、「行為A」への執着が高まることが知られており、これはギャンブル依存症発症の機序のひとつとされる。
❍依存の複雑化
軽症化・多様化・クロスアディクションなど、個々にさまざまな症状がみられます。軽症化や多様化は、依存のタイプがわかりにくいことや、クロスアディクションとなることもあります。
クロスアディクションとは、複数を対象とする嗜癖が次つぎと移り変わっていくこと、同時に2つ上の嗜癖が重複して起こる状態をいいます。嗜癖は、その対象であっても、発症につながるメカニズムは同じなので、対象が移行しながらも嗜癖行動が続いてしまうことになります。
見た目ではわからないことが多く、サポートが難しい場合も少なくありません。いちばんのサポート者は、身近な家族となります。
❍依存症によるさまざまな影響
●社会への影響
依存症になると、社会へもさまざまな影響を及ぼします。依存対象となる物質や行動を得ることへ、異常な執着をもちますので、合法非合法問わず、社会的責務を放棄し、学習意欲、勤労意欲を喪失することになります。さらに依存対象物質を得るために、金銭の入手として、借金や犯罪行動に及ぶことも厭わなくなり、正しい判断が出来なくなることもあります。
本人が困ること以前に周囲への影響が大きく、疲弊してしまうことも大きな問題となります。アダルトチルドレンという言葉がありますが、元来は「アルコール依存症の親元で育った人」を意味するとのことです。このように、依存症は、本人の問題と、その周囲への影響として、機能不全家族を作り出していることも問題視されています。
厚生労働省の「依存症についてもっと知りたい方へ」というページがあります。あわせてお読みいただけたらと思います。
1-3 依存症…どうしてやめられなくなるのか?脳のメカニズム
習慣から、依存へとつながる。どうしてやめたくても、やめられないのでしょうか。以前のブログ「アルコール依存症」のところでもまとめていますが、再掲していきましょう。
❍やめたくても、やめられないない...依存症
やめたいという気持ちがあるのにもかかわらず、やめられない状態に陥った場合、それは、「依存症」かも知れません。依存症は、やめられない習慣行動、自己コントロール不能となってしまう状態です。
習慣と依存症との差は、自己コントロール出来るか否かです。
●脳を乗っ取られている
依存症は、「意志が弱い人」と思われがちな心の疾患です。この依存症の発症には、快楽物質とされる脳内物質のドーパミンが関与しています。依存症のことを「脳の乗っ取り」とよく表現します。どうしてコントロール不全となってしまうのでしょうか?
ひと言でいうと「脳に与えられる報酬、ドーパミンが欲しくて行動、行為を行ってしまう」というメカニズムです。ドーパミンが関与する、脳内報酬系が作用しています。
ドーパミンは、食行動、性行動などの本能的行動の快感をもたらし、行動を持続し、種の保存を図ろうとする回路とされています。いわば本能的な「快」を求める行動につながってしまっている「脳疾患」が依存症なのです。言い換えると、誰にでも発症する可能性があるということになります。
❍依存に陥るか?否か?その違いとは何なのでしょうか?
その人の報酬系に対して「快」と感じられる刺激があり、その快が得られないと渇望をもたらすことになります。その渇望の強さは、食行動、性行動などの本能的行動の時と、薬物を乱用した時の快は格段に異なるとされ、薬物の場合は、本能的行動の数十倍も強く、かつ、その渇望も大きいとされます。さらに個人差が加わるために、快の体験を得やすい人は、確実に薬物依存にはまるということになるとされます。
●ドーパミン受容体の感度
人によりドーパミン受容体の感度「生理的機序」の違いがあきらかにされています。
依存性物質として、精神刺激薬メチルフェニデートに対する反応、感情体験がその違いをあきらかにしているとされています。ドーパミン受容体感度の低い人が「快」と感じる量では、感度の高い人は「不快」と感じるとされ感度のより低い人は、「快」も「不快」も感じないということです。
❍薬物や物質は、ドーパミン系とセロトニン系のパスウエイに関与している
依存症対象となる物質や薬物のほとんどが、ドーパミン系とセロトニン系のパスウエイに影響することが分かっているとされます。脳の中脳腹側被蓋野から側坐核を経て前頭前野に投射している中脳辺縁系ドーパミン回路は、脳内報酬系の中心であるとされています。
●やる気を出す「ドーパミン」
報酬系に刺激が加わると、ドーパミンが放出され、不安やイライラが解消され、この回路をドーパミン系とされます。ドーパミンは、「やる気を出す」脳内物質とされ、血圧上昇、血糖値上昇、戦闘準備をします。
●興奮抑制する「セロトニン」
一方、興奮を抑制する回路がセロトニン系とされ関与する物質がGABA神経系となります。セロトニンは、ドーパミンの過剰を抑え、冷静な判断を委ねます。
●コントロール出来る状態とは、この2つのバランス関係と
バランスが崩壊し、依存症の状態となると、不安やイライラなどのストレスを感じ、興奮を引き起こす回路が強まると、依存対象(アルコールや薬物など)と直結して思い出されることになります。
●脳は学習される、そして、依存症へ嵌まり込む回路形成
脳は、学習します。ストレス状態に耐えられなくなり、その苦痛状態から逃れるために、アルコールやニコチン(タバコ)、甘いものを食べるなどという行為で報酬が得られる、心地よい「快の状態」になれるのだと学習します。学習により脳内に報酬を求める回路が作られてしまうことになります。アルコールや薬物が体内に取り込むことが習慣化されることで、快楽物質が強制的に分泌される状態が繰り返されることになります。
逆に、抑制回路は、弱められることになり、セロトニン系は、ドーパミン系の暴走を止めることが出来なくなってしまいます。結果、不安状態が継続されてしまうことになり、暴力的な行動を引き起こすことになります。次第に喜びを感じる中枢神経の機能が低下していきます。快感・よろこびが感じにくくなるにしたがい、以前のような強い快感や喜びを得ようと、ますますアルコールや薬物量、頻度が増すことになります。
さらに快感・よろこびは感じにくくなり、焦燥感や不安、物足りなさばかりが増していく…という悪循環に陥っていきます。エスカレートするのは、このような脳のメカニズムが原因、自己の意志に反して、「脳が乗っ取られた状態」依存症です。
報酬系の刺激は、アルコールやニコチン以外にも多くの状況でもたらされます。ギャンブル依存、ゲーム依存、インターネット依存、買い物依存など多くの状況で脳は同じ様な作用を招き、依存症が発症します。
❍依存症は心の病です
●依存症は、「孤独の病気」ともいわれています
人と関わることが苦手で、周囲との適切な関係性が維持できない、負担になり、常に生きづらさを感じている、自分に自信が持てない、こんな不安や焦りから一時的に逃れるために、アルコールや薬物、ギャンブルなどに頼るようになってしまうことから依存症に至ることも少なくありません。
●依存症は、「否認の病気」ともいわれています
自分自身の現実を認めない、抱えている問題を認めない、病気だということを否認することが特徴です。周囲の家族を巻き込み、疲弊させていることに対しても否認し続ける。
❍依存症は、誰でもあり得る疾患、脳の報酬系メカニズム
依存症は、上記でまとめたように、意志の弱さや性格の問題も関係ありません
上記の、報酬系メカニズムの条件が作用した時に、だれでも依存症を発症する可能性があるということです。
- ゲームが面白くて、夜中まで行ってしまっていること、あるのではないでしょうか。
- 嫌なことが続き、やめようと思っても、ついつい飲みすぎてしまうこと、あるのではないでしょうか?
これらの状態に、重篤なストレスなど、複数の要因が加わるなどの条件さえそろえば、誰でも依存症になる可能性があり、特別な人だけがなるわけではないのはこのような理由からです。周囲の人が早めに気づき、必要な治療や支援につなげることが重要です。
2.依存症にみる共依存
嗜癖対象が「対人関係」となる共依存をもう少し詳しくまとめていきたいと思います。
共依存者とは
共依存という概念は、看護の現場から生まれたとのことで、アルコール依存症の家族に対して用いられ、アルコール依存となっている家族の依存行動のために、犠牲となった他の家族の状態を説明するために使われていた用語とされます。アルコール依存者の世話や介護を行う家族は、アルコール依存者に依存し、アルコール依存者も世話をしてくれる家族に依存するという関係性を表していることばです。
共依存にある状況下では、依存者とそのパートナーとが相互的に依存する環境となるために、成立し、持続される人間関係とされています。
❍他者との関係性、どうして起きるのか「共依存」
共依存とは、自分とある特定の人との関係性において、過剰に依存する状態にとらわれて状態とされます。
●アルコール依存症の配偶者もまた、依存する
アルコール依存症の場合をみると、依存者の配偶者は、巻き込まれてしまった被害者とも言えることになります。アルコール依存者と配偶者や家族の関係性は、共依存という関係性が成立していることが多いとされます。この共依存の関係性は、配偶者や家族が依存する状態を維持することを助けていると言う見方です。いわば、依存症の共犯関係ともいわれています。
アルコール依存者から必要な存在とされることで、自分の存在価値を見出しているともいわれています。依存症の被害者でありながら、その疾患に加担していると関係性だといわれています。依存症は、発症した本人のみではなく、その周囲の配偶者や家族も巻き込んでしまう疾患だということです。
●共依存は家族の疾患です
依存症は、病的な人間関係とされます。病的なまでに、執拗に必要とされることに対して自己の存在価値を見出していると考えられます。共依存者は、自尊心、自己肯定感、自己効力感が低く、そのために他者からの依存に対して自分の存在価値を見出しているともいえます。お互いが、依存しあうことで関係性を維持しているという状態が成立しています。依存者から依存されることにより無意識的にこの関係性を脳に創り上げ、維持しようとします。
依存症は、身近な家族を巻き込みます。共依存となったいちばんの協力者のみならず、依存者を親に持つ子どもにも大きな影響をもたらすことになります。
❍生きにくい現在社会という背景
嗜癖・アディクションを抱えるということは、すなわち生きにくい社会環境の影響、対人関係障害が影響しているということが根底にあると考えられます。そこには、自尊心や自己不全感、依存心などの問題があると考えられます。特定の人間関係に依存する状態であり、自己の存在意義を認めてもらおうとして過剰な献身的な行動をくり返すことになります。
●維持される歪んだ人間関係
ドメスティックバイオレンスを受けた女性が、「自分が至らないから、自分が悪いから、だから起こっている」、自己否定をする精神状態のために、自分が我慢する必要があると考え、過剰な暴力行為にも耐え、関係性を維持し続けてしまうということも聞かれます。
このような共依存の関係性は、一見すると、献身的にも、自己犠牲的にも見えますが、依存状態を改善させることを、拒んでいるということにつながり、結果的には依存からの自立を阻害している状態となる、自己中心性が潜在的にあると言われています。
※引用サイト「共依存」e-ヘルスネット
3.嗜癖:アディクションにおける否認とは
否認( Denial)とは、一般的には、事実として認めないこと。承認しないことをいいます。嗜癖:アディクションには、この「否認」という思考による行動が、自己制御として大きく機能していることになります。
❍自己制御反応として人がもつ反応
精神分析家ジークムント・フロイトは、否認を防衛機制として挙げています。人が「現実」を受け入るということが、あまりにも不快だとされる状態において、圧倒的な証拠が存在するにも関わらず、それを真実だと認めず拒否することであると言われ、次のような行動がとられる
- 単純な否認 : 不快な事実について、その現実をすべて否定する
- 否認の最小化: 事実については認めるが、重大性は否認する(否認と合理化の組み合わせ)
- 他者への投影: 事実と重大性はともに認めるが、責任は否認し、他者を責める
❍否認の分類
●現実の否認
人の目をごまかし、だますような行動や思考となる、欺瞞を利用することで事実を否認する。自分自身や周囲の他の人にとって苦痛となるような事実遠ざけようとするために、典型的行動として、嘘を使用する。
●責任の否認
- 非 難 : 犯罪性を直接的に、他人に転嫁するような声をあげる行動をとる
- 最小化: 依存行動による効果や結果に関して、現実よりも害が少ないように見せる
- 正当化: 自分が行った選択に対して、正しい選択であったと主張する
- 退 行: 年齢にふさわしくない行動:例として大声で泣き叫ぶなど
❍嗜癖 アディクションにおいての否認
否認の概念は嗜癖の理解において大変重要だとされています。否認は、依存をし続けるための言い訳として、病的な自己防衛として、病的な利得を得るために、否認という行動思考ととして行われています。
嗜癖行動障害にはおいては、習慣化された行動の延長上にあるとも言えます。習慣化された行動とは、行動を可能とする条件と一定のプロセスがあるという前提が伴い、必要なときに必要な分だけにおさまればその行動は望ましいとされます。しかし、条件が消失した場合においても行動が繰り返される場合とされると、行う必要性が無いということを否認しているということになります。
●「否認」の例、言い訳=自分都合の自己解釈 をあげるとみると...
- 世の中、面白くないことばかりだ ⇛ 自分が依存するのは世の中のせいだ
- 私はかわいそうな人なの ⇛ だから依存し続けても仕方がない、当然の行動だ
- 人間は誰だって死ぬんだ ⇛ 依存し続けても、やめても同じだ
- 使っていれば落ち着くんだ ⇛ 依存することが自分にとっては必要、メリットがある
- 法律に違反しているわけではない ⇛ だから何の問題もない
このような、例が ウィキペディアに提示されていた否認するための自分都合の解釈です。そう、否認とは、行っていることに対する自分都合は自己解釈だともいえます。
この否認の非常に強力な自己都合となる支えが、「自己制御不能な渇望」だとされています。
❍嗜癖にみられる 否認の3つの段階
嗜癖における否認は、3つの段階がみられます。
《第1の否認:自分は大丈夫!》
自分が嗜癖であることを認めようとしない。認めることで、嗜癖行動をし続けることが出来なくなるため、行動の有害性を過小評価し、歪曲し、自分の現状持つと考えられる深刻な状況や、問題性を否認する。
・第1の否認の例
- 喫煙が有害だと言われるが、自分は健康だから関係ない
- 自分はアル中ではない、ウイスキーよりも、ビールはアルコールが低いから大丈夫
- アルコール依存と認めると、大好きな酒が飲めなくなる
- 少し多めに買い物をしても、返せないほどの借金があるわけではない
《第2の否認:いつでもやめられるから大丈夫!》
嗜癖だとは認めても、自分は意志硬いから、自己コントロールできるとして、セルフコントロール不能ということを否認する
・第2の否認の例
- 自分の意思でいつでもやめることができる、だから大丈夫
- 回数、量が減ったから大丈夫
- あの人ほどひどくはないから大丈夫
《第3の否認:やめさえすれば大丈夫!》
嗜癖を認め、セルフコントロール不能もともに認めても、その他の行動に対しては、何の問題も生じていないとして否認する。嗜癖が原因となったことにより発症した問題の存在を認めない。嗜癖により起こった、周囲との人間関係、コミュニケーション、経済問題など自分の内面に生じているさまざまな問題を否認する。自分は、嗜癖さえなければ、他者と何も変わるところがない、立派な人格者だと思い込むことにより、
・第3の否認の例
- アルコールさえやめれば、以前のようにいくらでも働ける
- 薬物をやめれば自分も家族も何の問題もない
- パチンコさえしなければ、すごくいい人なのに
※引用サイト「否認」Wikipedia
いかがでしょうか、嗜癖、アディクション、依存症、物質使用障害と言い方には変遷が見られ、その症状の程度も分類されるようになってきたようです。しかしながら、自分はお酒飲まないし、タバコも吸わないし、だから関係ないこと、とは思わないでください。その心の隙間に、不穏な感情が忍び込み、脳を乗っ取られてしまうのかもしれません。
生理検査アティテュード®からのメッセージ
・私にもある依存したい心
依存症、アディクション、実際にアルコール依存症の家族の方、当事者、薬物依存、ギャンブル依存などを体験された多くの人の話を伺う機会がありました。人それぞれさまざまな症状や、体験、離脱へのきっかけ、いろいろです。
共通して思うことは、身近にいる人の信じる心がいちばんの力になること、そしてともに前に少しでいいから進んでいっているということを信じることのように感じました。
❍自分も紙一重ではないのか
多くの話を聞き、そして思うことは、自分にもあり得ること、そこに怖さを感じたことです。依存は孤独の病気 といわれます。社会から閉ざされたときに、うつとともに、脳の報酬系の乗っ取りもありのかも知れません。
さまざまなストレスが重なり、心の疾患、心身症を引き起こし、ネガティブなサイクルに陥ると、何かに依存することもあり得ることだと感じるからです。依存症のきっかけとなる行動が、ストレス解消として用いたことが引き金になることが多いからです。
日常からストレスを溜め込まない生活習慣を心がけることが大切です。そして、依存性のあるストレス解消は避けることも必要です。
❍効果的なストレス解消法を持つこと
「その日のストレス、その日のうちに」ということを意識的に行うことや、ネガティブな思考をチェンジすることも、もし、イライラするようなことが生じた場合は、別の行動をすることも効果的です。
私がよくやることは、ウォーキングです。思考がまとまらない時や、イライラすることが生じたら、一息つくなど別の行動に切り替えます。お茶やコーヒーなどとともに別のことを考えるようにします。曲を聞くのも効果的です。
❍夜の反省会は、マイナスです
嫌なことがあった日など、夜、寝ながら頭の中で反省会していたりしませんか?
それは、NGです。自分でダメ出ししながら眠りにつくと、そのまま脳はずーっと反省会したままとなります。
- 今日の失敗から何を学べたのか?
- どうすればもっと良くなるのか?
- 明日は、きっとうまくいく
- どんな楽しいことが起きるのだろうか?
こんな思考にチェンジしてみたください。寝酒も、睡眠の質を下げますので、就寝時間の2時間前までにしたほうがよいですよ。
ストレスを溜め込まないこと、ポジティブなストレス解消法を持つこと、そして、依存性ある物や行動は、ほどほどにすることが大切です。
Pure Medical attitude
生理検査アティテュード®
Junko Katayoshi
今日のまとめ
- やめたくても、やめられない依存症は、物質使用障害とDSM-5で統一されています
- 依存対象は、「物質依存」「プロセス・行為依存」「関係依存」この3種がある
- 依存症はさまざまな問題や、健康障害をもたらす「病気」
- 依存者とその家族を巻き込む共依存
《臨床心理を学んだ・臨床検査技師が行う実践セミナーワークショップ》
毎日に活かせる健康知識&オリジナルワークのご案内
自分自身で毎日の心のバランスと
ボデイスキャンニングとコンデショニング
実践済みのオリジナルワークの公開です!
Pure Medical attitudeのオリジナルメニュー
生理検査アティテュード®
※ブログや、セミナーに関する、ご意見・ご質問は、こちらからお気軽にどうぞ
みなさまのお声を楽しみにしております!
パーソナルセッション
3,000円 OFF!11月末まで!!
いつもブログをお読み戴いていますみなさまに、特別料金でお受け戴けます。
お申込み時にお知らせください。
本日の情報関連・引用サイト
<Pure Medical attitude のblog>
関連ブログ
- 私は大丈夫だから...という過信は、通用しない?! 2017.3.16
- 依存症は特別ではない、アルコール依存症とは? 2018.5.2
最近のブログ
個性を生きる心の在り方 2018.11.19~11.22
- §1 誰が決めたの?その「常識」 2018.11.19
- §2 弱者・少数派が生きやすい社会 2018.11.22
知って欲しい 2018.11.12~11.15
- §1 1型糖尿病は2型とは違う 2018.11.12
- §2 膵臓から分泌されるインスリン 2018.11.15
身体のバリア・皮膚 2018.10.29~11.8
- §1 皮膚の機能と体性感覚 2018.10.29
- §2 皮膚感覚を知る 2018.11.1
- §3 皮膚によくあるトラブル 2018.11.5
- §4 皮膚のトラブル悪性腫瘍 2018.11.8
- 今 話題の健康情報、感染急増中「風疹」を知ろう 2018.10.22
- 口腔ケアの大切さ、老化は口からやってくる?! 2018.10.25
のどに気をつけたい季節 2018.10.8~2018.10.18
- §1 のどを意識してみると… 2018.10.8
- §2 口腔・咽頭の疾患 2018.10.11
- §3 喉頭の炎症性疾患と喉の腫瘍性疾患 2018.10.15
- §4 摂食嚥下と味覚に関与、舌を知る 2018.10.18
眼の健康を考える 2018.9.24~2018.10.4
- §1 視覚をになう、眼の構造と視力低下 2018.9.24
- §2 眼のトラブルその1 視力 2018.9.26
- §3 眼のトラブルその2「エイジング」 2018.10.1
- §4 眼のトラブルその3「炎症性疾患」 2018.10.4
鼻の健康を考える 2018.9.17~2018.0.21
- §1 鼻の構造と嗅覚の不思議を知る 2018.9.17
- §2「嗅覚障害」意識したことありますか? 2018.9.19
- §3 記憶とつながる香りのある生活 2018.9.21
※ご意見・ご質問は、こちらからお気軽にどうぞ
みなさまのお声をぜひお聞かせください!お待ちしております!
Pure Medical attitude
生理検査アティテュード®
代表 かたよし純子 Junchan♪ ※自己紹介はこちらから
臨床検査技師/超音波検査士/健康管理士一般指導員/健康管理能力検定1級/介護予防運動指導員/米国NLP協会認定NLPトレーナー/臨床心理学 基礎エキスパート取得
THINK YOUR LIFE -ミドルエイジとともに-side by side-
共同代表 Junko Katayoshi
今日も最後までありがとうございました。
☆アンコモンセラピー読書会☆
セカンドバージョンスタート致しました!
ヒプノセラピーにご興味ある方、ご参加お待ちしております!
毎月、大崎ゲートシティ スターバックスコーヒーで開催
米国の精神科医ミルトン・エリクソン博士は、発達障害だった?!
催眠療法の大家とされる、精神科医エリクソン博士は、変わった子どもと言われ、さまさまな感覚障害を持ち、読字障害、失読症ともいわれ、さらに色盲に音痴だとされています。そのエリクソン博士「ミルトン・エリクソンの戦略的手法」を紹介されているこの本の読書会、次回は、12月17日(月)となります。