JunchanのHealth attitude blogにご訪問ありがとうございます。医療スタッフのメンタルパートナー かたよし純子です♪ 今日は、最近よく聞く、風疹をまとめておきたいとおもいます。中高年50歳台の男性に多くの感染が拡がっている「風疹」を学び、そして、ワクチン接種の大切さを考えて見て欲しい。そのためには、風疹や感染症への理解を持って欲しいと願います。先週16日の行政機関での報告で、風疹の患者数が1,000人を超えました。1,000人なら大したことないじゃないの?そう思っていませんか? この数字、昨年度の12倍です。感染症は、自分だけよければよいという問題ではありません。その理由を風疹とは? からまとめていきましょう。

1.風疹がどうして騒がれているか?罹るとどうなるか?

1-1 風疹増加その現状と注意喚起される理由、厚労省HPから

1-2 風疹とはどんな病気

1-3 大人が風疹に罹ると重症化する?!

今日のプラスα

2.先天性風疹症候群を理解する

3.風疹の予防 ワクチン接種

生理検査アティテュード®からのメッセージ

・ワクチン接種、受ける側のストレス 

 

1.風疹がどうして騒がれているか?罹るとどうなるか?

1-1 風疹増加その現状と注意喚起される理由、厚労省HPから

国立感染症研究所 感染症疫学センター 報告の10月16日現在の報告によると、2018年第1週から~第40週(10月1日~10月7日)の風疹罹患者累積報告数は1,103人とのことです。

❍急増していることに注意を!

1,000人なら、自分は大丈夫なのでは?そう思われている方もいるのでしょうか?

この夏7月のから、風疹 第39週と比較すると、累積報告数 952人から151人へと増加しています。2008年(平成20年)の全数届出開始以降で、2018年は、3編目に多い発症数となっています。昨年2017年の93名の12倍となっているとのことです。

この数字が何を意味しているのか?厚生労働省のHPをのぞいてみました。

❍厚生労働省の危惧している現状、数値を知っていますか?

厚生労働省のHPから厚労省の風疹関連の情報を抜粋してみました。

●過去の統計からその1:平成14年から平成16年の風疹の流行

平成6年(1994年)以降大流行が見られなかった風疹でしたが、平成14年(2002年)から局地的な流行が報告されています。

翌年、平成15~16年(2003~2004年)には、流行地域の増加がみられ、ここで注目してほしいのが、妊娠中の女性が罹患する風疹による胎児への影響とされる「先天性風疹症候群」の発症件数の報告です。例年0~1名の発症であった「先天性風疹症候群」の発症数が10名報告されているという現実です。

この現実に、厚生労働省関連機関の緊急提言として、予防接種の勧奨、風疹罹患女性への対応や、流行地域での疫学調査が強化されたことにより、一旦、風疹の流行が抑制されたという経緯があります。

これを受けて、厚生労働科学研究班による緊急提言が出され、罹患妊娠女性への対応、さらに流行地域における疫学調査の強化がなされ、その後、風疹の流行は一旦抑制されました。

●過去の統計からその2:平成23年以降

平成20年(2008年)以降風疹は、全数報告疾患となっています。発症があったら保健所に届け出ることになっているという意味です。

平成23年(2011年)から、海外での感染により、帰国後発症するという風疹感染の輸入例が散見されるということが見られるようになり、平成25年(2013年)には累計14,344例が報告され最も多い報告数となっています。そして、問題とされているのが、この風疹の流行の影響により、平成24年10月~平成26年10月(2012年10月~2014年10月)に、45人の先天性風疹症候群の発症が報告されたということです。その後は落ち着きを見せていましたが、

平成26年(2014年)~平成29年(2017年)の発症数
  • 2014年 319例
  • 2015年 163例
  • 2016年 129例
  • 2017年   93例

昨年は、落ち着きを取り戻しましたが、しかし、今年2018年7月下旬より、関東地方を中心に患者数の報告が増加しています。この結果を受けて厚生労働省は、風疹に関する特定感染症予防指針を改正しています。

 

特定感染症予防指針の改正

風疹および先天性風疹症候群の発生時に対して、迅速な対応を行うために、風疹の患者が1例でも発生した場合、感染経路の把握等の調査を迅速に実施するように努めること。さらに、原則として全例にウイルス遺伝子検査を実施することで、確実に風疹を診断する。 (平成29年12月21日一部改正、平成30年1月1日適用)

さらに、改めて定期予防接種に対する積極的な接種勧奨を行う、そして、妊娠可能女性とその家族への予防接種の推奨、また産褥女性に対する風疹啓発を行っており、2020年度までに風疹排除の達成を目指している。

このように示されているとのことです。

❍今年10月現在、報告されている先天性風疹症候群の感染者数

2018 年第 1~40週(10月7日)までに、先天性風疹症候群の報告は、ないとのことですが、過去の報告では、2012 年 2,386 人、2013年14,344人の風疹罹患者数の流行期に関連したとされる「先天性風疹症候群」が45人確認されているとのことです。

平成26年に出された「風疹に関する特定感染症予防指針」では、

「早期に先天性風疹症候群の発生をなくすとともに、平成 32 年度(2020年度)までに風疹の排除を達成すること」を目標としているとのことです。

※情報引用サイト「風疹について」厚生労働省HP

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 ※国立感染症研究所の「PDF印刷 風しん予防啓発ポスター」です。

1-2 風疹とはどんな病気

では、風疹とはどのような疾患なのでしょうか。風疹をまとめていきたいと思います。

❍「風疹」は、強い感染力を持つウイルスが原因

風疹(ふうしん: Rubella)は、風疹ウイルスによる、ウイルス感染、急性熱性発疹性感染症です。風疹への免疫力がない集団での場合、1人の風疹罹患者から5~7人に移すとされる大変強い感染力を持つウイルス疾患です。

感染力の指標である基本再生産数でみると、季節性インフルエンザウイルスの感染力 1.3 程度、これと比べて風疹は、6~7 程度と数倍高いといわれています。

●三日はしかともいわれる風疹

日本では一般的に、三日はしかとしても知られています。はしかに似た症状で、通常は3日ほどで軽快します。風疹は、感染症法に基づく5類感染症に指定されていて届出の対象とされています。

●対象年齢と終生免疫

子どもは、母親から貰った免疫があるため生後6か月頃までは、風疹にも罹りにくい疾患とされています。そのため、風疹に罹患するのは、通常3~10歳くらいの子どもに多くみられる疾患となります。風疹は、罹患することで、一生涯免疫を持つことが出来る、終生免疫とされ、1度風疹にかかると2度とかかることは無いと言われています。幼少期の罹患をまれに免れて青年期以降に罹患する人も見られます。

通常の春かた夏に先に多く発症する疾患ですが、大流行の時は今回のようにその限りではありません。

❍風疹ウイルスの感染経路

風疹ウイルスは、人から人への飛沫感染です。

●風疹ウイルスの感染経路、飛沫感染とは

風疹ウイルスの感染経路は、飛沫感染とされ、ヒトからヒトへ感染が伝播されることによる感染です。

飛沫感染とは、ウイルスが含まれる感染者の咳やくしゃみ(飛沫)が飛散することで起こります。飛沫(5~200μm)は、約2mの距離に飛び散るとされています。感染者から排泄された飛沫に含まれるウイルスが、鼻や口の粘膜に付着することで感染します。さらに、ウイルスが付着した手で口や鼻に触れることによる「接触感染」もあります。

●風疹発症したときは既に、周囲へ移していることもある

周囲へ感染させることができる期間は、発疹が出現する前後の1週間程度と言われています。言い換えると、発疹が確認されない、罹患したと認識されない状態ですでに、周囲に移しているということがあるということです。発症を自覚したときには、既に遅いということにもなります。

※関連ブログ 飛沫感染「予防を知ってシャットアウト!

❍風疹の症状とは

風疹ウイルスの感染後、約2~3週間(平均16~18日)の潜伏期間後に、特徴的な症状として、発熱、発疹、リンパ節腫脹(特に耳介後部、後頭部、頚部リンパ節)が出現します。はしか(麻疹)に似た症状とされ、およそ3日間の発熱、そのために、3日はしかと呼ばれ、特有な発疹、目の充血、軽い咳、後頚部(耳の後ろ)リンパ節腫脹などの症状がみられるます。

症状の現れない、不顕性感染も15%~30%ほど存在するといわれ、発熱、発疹、リンパ節腫脹の3徴候のいずれかを欠くものもあり、臨床診断は困難ともいわれています。似た症状を示す発熱発疹性疾患や薬疹との鑑別が必要とされ、臨床症状だけで風疹と診断することは困難とされています。

●発疹前の症状にも注意が必要

発疹が出る前の1~5日間くらいに初期症状がみられます。この初期症状では、微熱、頭痛、倦怠感、鼻水、咳、痛みのないバラ色の口蓋斑点とされ、成人が罹患すると90%以上にリンパ節腫脹が見られます。

発疹は、顔、耳の後部から、赤く癒合性のない点状の紅斑(発疹)が全身に広がり、多くは、3~5日くらいで消失します。また、この発疹が20~25%の割合で見られない症例もあるとされます。

発疹の出る前後約1週間は人に感染させる可能性があります。

●他の疾患との鑑別

典型的な3症状である紅色斑丘疹、発熱、頸部リンパ節腫脹が出現しない場合、溶血性レンサ球菌の発疹、伝染性紅斑などとの鑑別を行う必要があるとされます。

※風疹の湿疹が見れるサイト「緊急TOPIC 風疹対策2018 (2018年8月)

●風疹は、子どもにとっては軽い症状

風疹そのものは決して悪性疾患ではなく、通常は子どもの発症としてみられた疾患です。風疹の症状は、子どもでは比較的軽いとされますが、まれに2,000人~5,000人に1人くらいの割合で、脳炎、血小板減少性紫斑病などの合併症が発生することがあります。ここまででもお伝えしたように、妊娠初期の女性への感染が問題とされます。

発熱は、約半数にみられる程度で、感染しても症状が出ない(不顕性感染)場合もあります。基本的に予後は良好ですが、まれに、関節炎や血小板減少性紫斑病、急性脳炎などの合併症を起こすことがあります。一度感染し治癒すると、大部分の人は終生免疫を獲得します。

小児では、約25~50%に、38~39℃前後の発熱が3日間程度続くとされますが、咽頭炎のみの症状や、不顕性感染とされる、無症候性感染の場合も多いとされます。

●風疹の合併症

ごくまれに、肺炎、髄膜炎、脳炎、血小板減少性紫斑病などがおこることがあるとされます。

❍風疹になったら...

風疹は、感染症、学校伝染病です。

●風疹は、対処療法のみです

発熱、関節炎などの症状に対して投薬される解熱鎮痛剤くらいで、特異的な治療法はないとされ、症状を和らげる対症療法のみとされます。風疹ウイルスに有効な投薬は無いのです。高熱による熱性けいれん(ひきつけ)を避けるために、解熱剤の投与がされ、通常は入院することはありません。

●風疹と言われたら、本人・家族の注意

風疹を発症してから他の人へ移すとされる感染期間は、発病の約7日前から、発症後約7日程度、その間は他者との接触を避けるようにしましょう。発疹が現われて少なくとも5日後までの間、熱が下がっても、発疹がすっかり消えるまでは、学校や幼稚園へ登校・登園させてはならないとされています。風疹は学校伝染病に指定されているため、届け出ることにより、出校停止扱いとなるために欠席にはなりません。

学校保健安全法における取り扱い

風疹は第2種の学校感染症に定められ、発疹が消失するまで出席停止とされます。ただし、病状により医師にて感染の恐れがないと認めたときは、この限りでない。また、以下の場合も出席停止期間となる。

患者の家族、同居者、罹患している疑いがある者については、予防処置の施行その他の事情により医師にて感染のおそれがないと認めるまで。
発生した地域から通学する者については、その発生状況により必要と認めたとき、学校医の意見を聞いて適当と認める期間
流行地を旅行した者については、その状況により必要と認めたとき、学校医の意見を聞いて適当と認める期間

(2013年5月1日現在)

●風疹になったら周囲の妊婦へ注意と配慮

風疹に対する抵抗力を持たないと思われる、未罹患の妊婦や若い女性に接触しないように配慮することが求められます。子どもが罹患した場合でも、大人が風疹に罹患しても同様に注意することが重要なことです。

❍予防接種 風疹ワクチンの勧め

風疹は、現在、予防接種法による定期接種として、生後12~90ヶ月未満で1回接種、12~16歳未満に1回、合計2回接種とされています。
この風疹の予防接種は、効果が期待され、副反応はないといえるほど軽微と報告されています。 (※今日のプラスαでまとめています)

風疹ワクチンは、先天性風疹症候群の子どもが生まれるのを避けるためにも、免疫のない成人女性は、接種されることをお勧めいたします。

 

1-3 大人が風疹に罹ると重症化する?!

風疹そのものは決して悪性疾患ではなく、通常は子どもの発症としてみられる疾患です。

しかし、現在報告されている症例の9割が成人であり、男性が女性の約3.5倍とされています。男性は20~40代に多く、女性は20代に多い傾向があります。この流行の特徴は、日本の風疹の定期予防接種の制度で説明することができます。

❍大人が風疹にかかると...

成人の風疹罹患時の症状は、麻疹に似ているといわれています。無症候(症状のない)の例は、30~50%とされ、症状がみられる場合、小児より重症化しやすいとされています。

●入院となることもある成人の風疹

風疹の症状は、一般に子どもは軽く、成人は重いとされます。成人の風疹の症状は、感染症状を示さない不顕性感染から、重症例まで幅広くみられるとされます。成人の場合、発熱や発疹の期間が子どもに比べて長く、関節痛がひどいことが多いとされています。

成人が風疹を発症すると、高熱や発疹が長期間の継続がみられることや、頭痛や腰痛、関節痛などの症状を認めることもあります。軽い咳や、喉が赤く炎症を起こし痛むことや、眼球結膜の軽度充血、肝機能障害が見られる場合があります。

潜伏期は、同様に16~18日ほど、5日間程度の発熱、耳介後部、後頭部~頸部のリンパ節腫脹、小指の頭ぐらいに腫れ、押すと軽く痛み、このような症状が、発疹が出現する5~10日前から数週間にわたりみられることもあります。38℃前後の急な発熱とともに細かい発疹が多数、全身に現われます。

脳炎や血小板減少性紫斑病などの合併症を発症することもあり、入院となることもある疾患のため、小児よりも重症化することも少なくない状態となるために、軽視することはできません。

●妊娠20週までの妊婦は特に注意が必要

風疹に対する免疫力が不十分な妊婦の場合、特に注意が必要です。妊娠20週頃までの妊婦が風疹ウイルスに感染すると、先天性風疹症候群の子どもが生まれてくる可能性が高くなります。

妊娠中の女性が風疹にかかると、「胎児の発達」に大きく影響し、正常な発達に影響があるためです。

先日のHealth attitude Blog、「聴覚視覚」の項目の中でも、風疹の影響、胎生期の発達もまとめています。その中でも、先天性風疹症候群の大症状として取り上げています。

●先天性風疹症候群とは?

先天性風疹症候群とは、「先天性心疾患」「難聴」「白内障」これらの症状をいいます。先天性心疾患と白内障は、妊娠初期3ヶ月以内に母体が風疹に感染することで胎児に発症するとされています。

風疹に対する免疫力が不十分な、妊娠20週頃までの女性が風疹ウイルスに感染することにより、眼や心臓、耳などに障害を持った状態で子どもが出生することがあります。その確率は、妊娠1ヶ月で風疹に罹患した場合50%以上、妊娠2ヶ月では、35%などという結果が出されています。

妊娠中の女性は予防接種が受けられません。特に流行地域では、風疹に対する抗体を持っていない場合、または、抗体価の低い妊婦は、風疹が発生している地域では、可能な限り不要不急の外出を避けることが望ましいとされています。外出をする際は、可能な限り人混みを避けるなど、風疹に罹らないように十分に注意喚起が促されています。

また、妊婦の周囲の人(妊婦の夫、子ども、その他の同居家族など)に対しても、同様に風疹に対して感染への予防対策を行うことを奨励しています。

胎児の発達段階

胎児の発達では...

  • 妊娠6週で心臓と主要血管が形成されます
  • 妊娠10週までに、腎臓が働き始め、ほぼすべての器官の形成が完了する
  • 妊娠20週までには胎盤が出来上がる

胎児は、20週を過ぎると、子宮外でも生存することができるとされます。

※関連ブログ 聴覚の発達「耳に伝わる音の特性」、先天性風疹症候群「眼のトラブルその2「エイジング」」

胎生期の発達

<胎児の発達段階>

さて、今回いちばんお伝えしたい内容は、

ここから先のに書いたことかもしれません。

合わせてぜひお読みください(^^)

 

2.先天性風疹症候群を理解する

先天性風疹症候群(CRS:Congenital rubella syndrome)をまとめていきましょう。風疹のサーベイランス(調査・監視)やワクチン接種は、先天性風疹症候群の予防を、第1目的としているとのことです。

❍妊娠初期の風疹感染への注意が必要

先天性風疹症候群(CRS)とは、妊娠中の女性が風疹に罹患した場合に、子宮内の胎児に感染する疾患の一群を指し示します。風疹に対して免疫力を持たない女性が妊娠3ヶ月くらいまでの初期段階で感染した場合、風疹ウイルスが胎児にも感染してしまうことにより、出生児がCRSとされる障害を招くとされています。

● 風疹の流行と先天性風疹症候群の発症数との関係

風疹に関する調査の結果、風疹が流行した年と、CRSの発症件数にはあきらかな相関があると報告されています。

流行期での年毎の、出生数10 万人当たりのCRSの発生頻度は、世界的にみても差がなく、日本で1.8 〜7.7人とのことです。母親が顕性感染(あきらかに風疹に罹患した状態)の場合、妊娠1ヶ月で50%以上、2ヶ月で18%、4ヶ月で8%程度との結果です。

成人の感染の15%程度は、不顕性感染とされるため、母親が無症状であってもCRS を発生することがあるということです。

●先天性風疹症候群の原因は、風疹ウイルス

CRS の原因は、風疹ウイルスです。ウイルス株による発症数などの差は認められず、胎生期の身体の器官発達段階となる妊娠初期、特に3 カ月までにある量以上のウイルスの増殖があることで、CRSを発症すると考えられています。

❍先天性風疹症候群の症状

CRS の症状は、先天性心疾患、難聴、白内障とされ、3 大症状といわれています。このうち、先天性心疾患と白内障は、妊娠初期3ヶ月以内の母体の風疹感染で発症するとされ、難聴は、その後の3ヶ月間での感染でも発症がみられるとのことです。この難聴は、高度難聴であることが多いとのことです。

●先天性風疹症候群3大症状
  • 先天性心疾患:動脈管開存症
  • 白内障   :色素性網膜症
  • 難聴
●その他のCRSの症状
  • 網膜症
  • 肝脾腫
  • 血小板減少
  • 糖尿病
  • 発育遅滞
  • 精神発達遅滞
  • 小眼球

など多くの症状がみられることがあります。

●症状は、軽症・重症度もさまざまとなり異なります

どの妊娠時期に感染するかにより、重症度、症状の種類もさまざまとなります。先天異常以外にも、新生児期に出現する症状として、低出生体重、血小板減少性紫斑病、溶血性貧血、黄疸、間質性肺炎、髄膜脳炎などが挙げられ、さらに進行性風疹全脳炎、糖尿病、精神運動発達遅滞などが見られることがある。

❍先天性心疾患の診断

CRS の診断として、症状、ウイルス遺伝子の検出、さらに臍帯血や血液からの風疹IgM 抗体の検出が確定診断として用いられます。IgM 抗体は、胎盤通過性がありません。そのためIgM抗体は、胎児が感染の結果産生したものとされ、CRS発症の有無にかかわらず胎内感染の証拠となります。

CRSの感染、出生後6 カ月くらいまでは、高頻度にウイルス遺伝子が検出できるとされています。白内障手術により摘出された水晶体、脳脊髄液、咽頭拭い液、末梢血、尿などでも診断されます。

●胎児の感染診断

胎児の感染の有無は、胎盤絨毛、臍帯血や羊水などの組織中に風疹ウイルス遺伝子の検出で診断されます。母親が発疹を生じた時の、胎児への感染は約1/3とされ、CRSの発症は、その感染胎児のさらに約1/3とされています。

※参考サイト「先天性風疹症候群」国立感染症研究所

❍先天性風疹症候群への対応

先天性風疹症候群の疾患そのものに対する治療法は無いとされています。

●先天性心疾患

軽度の心疾患の場合は、自然治癒することもある。手術への適応性が可能となった時点での対応とされます。

●白内障

手術可能の時点での対応、濁り部分の摘出による視力を回復。人工水晶体の使用の場合もある。遠近調節には、いずれでも困難が伴う。

●難聴

現在では、人工内耳が開発されて適応されつつある段階。以前は、聴覚障害児教育の対象

❍先天性風疹症候群への対策、発生防止

この先天性風疹症候群の発生を防ぐためには、妊婦の感染防止を行うことが重要です。妊娠出産年齢女性と、その周囲にいる感受性者の減少が重要となります。感受性者とは、感染する人のこと、感染リスクが高い人たちのことをいいます。風疹の感染拡大防止のためには、感受性者が多いとされる30~50 代の男性への対応が必須となります。

  • 妊婦への感染防止
  • 妊娠出産年齢女性および周囲の感受性者の減少
  • 感染拡大防止対策として30~50歳代の男性の感受性者の減少
●対策は、感受性者が抗体を持つこと

感染防止に対して重要なことは、十分に高い抗体価を持つことです。風疹ワクチンの接種歴がわからない場合、文書による証明がない場合など、風疹に対して、感受性者となる場合には、風疹ワクチン接種による免疫をつけることが必要とされます。

妊娠可能年齢の女性で風疹抗体がない場合、風疹ワクチンを接種が必要となります。しかし、妊娠以前での抗体取得が必要となるために、妊娠中のワクチン接種は避ける必要があります。

しかしながら、もしワ クチン接種後に妊娠が判明した場合でも、過去の蓄積されたデータからみたところ、この場合の障害児の出生は、1 例もないとされているために、妊娠を中断する理由には値しません。

●感染症法における取り扱い  (2012年7月更新)

先天性風疹症候群は、全数報告対象(5類感染症)とされています。診断された場合、医師から7日以内に最寄り保健所にへの届け出義務があるとされている疾患です。

先天性風疹症候群

 

3.風疹の予防 ワクチン接種

ワクチンの接種は、風疹の予防のためには、最も有効な予防方法とされています。

❍風疹ワクチン 厚生労働省HPより

厚労省のHPには、予防接種法に基づく定期の予防接種について、2回の接種をそれぞれ95%以上の人が受けることを目標としています。さらに医療・教育関係者、海外渡航を予定している成人に対しても、風疹の罹患歴、予防接種歴が明確ではない場合は予防接種を検討して欲しいとのことを明記しています。

●風疹ワクチン(主に接種されているMRワクチン(麻疹風疹混合ワクチン)

MRワクチン接種によって、95%以上の人が風疹ウイルスに対する免疫を獲得することができるとされています。さらに2回の接種を受けることで、1回の接種で得られなかった人に対して、多くの免疫を獲得することが出来るとされています。また、接種後の経年により、免疫力が低下している場合、追加のワクチンの接種で免疫を増強させる効果があるとされています。

●ワクチン接種による副反応とは風疹ワクチン

1回目のワクチン接種後、最も多くみられる副反応として、発熱があげられます。ワクチン接種後、1週間前後が頻度としては高く、接種後、2週間以内に発熱を認める人が約13%とされています。

その他には、接種後、1週間前後で発疹を認める人が数%、アレルギー反応としてじんま疹を認めた人が約3%、発熱に伴うけいれんが約0.3%に見られたとの報告です。

2回目の接種では、接種局所の腫脹などの反応が見られる場合があるとされますが、発熱、発疹などの症状は、極めて低いのが現状とされているとのことです。

●ごく稀な副反応として

稀な副反応としてあげられているのが、脳炎・脳症で100万~150万人に1人以下の頻度で報告があるとのことですが、風疹ワクチンとの因果関係があきらかではない場合も含まれているとのことです。

麻疹含有ワクチンは、ニワトリの胚細胞を用いて製造されています。卵そのものの使用ではないため、卵アレルギーによる反応の心配はほとんどないとされています。しかしながら、アナフィラキシー反応の既往などの、重度のアレルギーがある人は、ワクチンに含まれるその他の成分によるアレルギー反応に対する可能性もあるため、必ず接種時に、かかりつけ医師へ相談することが大切です。

※参考サイト

❍2012~2013年(平成24~25)20歳代以上の人を中心に流行した背景

かつては小児のうちに風疹に感染し、自然に免疫を獲得するのが通常とされる疾患でした。しかし、風しんワクチンの接種率の上昇で自然に感染する人は少なくなってきています。

今年、28歳となる1990年(平成2)4月2日以降に生まれた人は、2回公費でワクチン接種を受ける機会がありましたが、1962年(昭和37)から1989年(平成元)に生まれた女性および1979年~1989年(昭和54~平成元)に生まれた男性(29~39歳)は受けていても1回のみとなっています。

そして、1979年(昭和54)4月1日以前に生まれた男性(今年39歳~)は、1回もワクチン接種の機会がなく、十分な免疫を持たない人、感受性者が蓄積していたものと考えられています。

さらに、風疹ワクチンの接種率の上昇に伴い、風疹の患者数が減少しているために、風疹ウイルスにさらされる機会が少なくなっています。その結果、幼少時でのワクチン1回のみ接種では、免疫力が強化されていないため、時間の経過とともに免疫が徐々に低下してきている人がいるということも、流行した原因の1つと考えられています。

❍さらに30~50歳代の男性が問題視される背景をさぐる

風疹ワクチンは、弱毒生ワクチンが実用化されたことで広く使用されています。

●MMRワクチンについて

先進国ではMMR(麻疹・おたふくかぜ・風疹)混合ワクチンとして使用している国がほとんどだとされます。

日本では、1989年4月~1993年4月までの4年間のみ、麻疹の定期接種(生後12カ月~72カ月未満)の際に、選択しても良いという形式で導入されていましたが、その後、おたふくかぜワクチン株による無菌性髄膜炎の多発により中止となり、以降 MMRワクチンは、使用されていません。

世界では、小児の定期接種に風疹ワクチンが導入されていない国も多く見られるとのことですが、これらの国では、大規模な風疹の流行と先天性風疹症候群の多発が認められているとのことです。

●国内での風疹ワクチンの導入

日本では、1977年8月~1995年3月までは中学生の女子のみが風疹ワクチン定期接種の対象とされていました。

1994年の予防接種法改正により、1995年4月から、風疹ワクチンの対象が、生後12カ月以上〜90ヶ月未満の男女(標準は生後12カ月〜36カ月以下)に変更されました。さらにその時の経過措置として、12歳以上〜16歳未満の中学生男女についても接種の対象とされています。

●ワクチン接種対象の、はざまの年代層となる30~50歳代

このような背景を持って、学校での集団接種から、保護者同伴での医療機関に受診して接種する、個別接種に変更となったために、幼児の接種率の高さに比較して、中学生での接種率は激減しているとの結果です。

この低い接種率に対して、2001年11月7日~2003年9月30日までの期間に限定し、1979年4月2日~1987年10月1日生まれの男女はいつでも定期接種(経過措置分)として受けられる制度に変更になっていました。しかしながら、対象者には、周知されず、接種率上昇には繋がらなかったという経緯があるとのことです。

●その後のワクチン接種への対応

2006年度からMR混合ワクチンが定期接種に導入さています。1歳と6歳になる年度(小学校入学前1年間)の幼児、2回接種となっています。

2007年に10~20代を中心とした麻疹の全国流行を受けて、2008年度~2012年度の時限措置として、中学1年生(13歳になる年度)あるいは高校3年生相当年齢(18歳になる年度)を対象にして、2回目の定期接種を、原則MRワクチンで行われることとされました。2回目接種は、生年月日により、第2期が小学校入学前1年間、第3期が中学1年生、第4期が、高校3年生相当、年齢の違いがあるが、第4期の接種率は特に大都市圏で低かったとの結果です。

 

生理検査アティテュード®からのメッセージ

ワクチン接種、受ける側のストレス 

~子どものワクチンスケジュール管理~

私自身が、この厚労省のワクチン接種の対策を改めて読みながら、なるほどと思うこともいくつかあります。そして、私の子育て時代、経験してきた自分の子どもの予防注射のスケジュールを組むのが大変だったという記憶が蘇っています。

❍関わる人の予定を考えていない行政

常勤、フルタイムで仕事をしながら、子どもが生まれると、次から次へと予防注射のスケジュールを立てる必要があります。なぜならば、自分の休みと、接種出来る日程とが限られているために、非常に困難な予定となるからです。子どもを病院に連れて行かなくてはなりません。予防接種以外以外にも、健診もあります。当然、平日の日中ですから仕事を休まなければなりません。そして、予防接種は、子どもの体調もあります。仕事をしている社会人は、病院にかかるということが非常に大変なのです。

さらに、以前行った、厚労省この風疹ワクチンに対する「中・高生に対しての時限処置」とやら、通常、中学生も、高校生も学校に行っている時間帯は、病院には行けません。健康なわが子を、予防注射だからと学校を休ませますか?中高生ならば、部活動もあります。早く帰宅できる試験機関もありますが、試験中に、わざわざ予防接種を受けさせる親などいないのではないでしょうか。どうして、厚労省の人たちは、そんなあたりまえのことを考えることができないのでしょうか!

子どもの予定、仕事を持つ保護者の予定と、診療機関の予定を合わせるのは至難の技です。診療機関では、予防接種は、健常児ため、感染を考慮して一般診療と予防接種の予定を通常分けているのではないでしょうか。多くの人へ接種を促すのならば、土日や夜間、保健所を解放して接種を促すなどの処置をどうしてしなかったのでしょうか。

今回の流行受け、ワクチン接種を率先して会社で行っている企業や、夜間、休日に抗体検査やワクチン接種行っているクリニックなどもあるとのことです。でも、本来は、厚労省に考えて欲しい、いや、考えるべき問題なのではないでしょうか。私はそう思います。

❍現在のような柔軟な意識改革、対応力に期待したい

風疹の流行を危惧して、「社員への予防注射を行った企業が。。。」

このニュースを聞き、なぜか私の頭に浮かんだのは、まさしく「ロート製薬」でした。

風疹の流行は、世界各地でも見られ、麻疹同様に、風疹の排除に向けて、予防接種率の向上などの風疹対策が強化されています。先天性風疹症候群の発症が、年間推定110万人ともいわれているそうです。グローバル化となった現代社会では、世界中を人が移動する時代です。我が身のことだけではなく、家族、地域、社会、さらには日本、から世界中の人へつながる健康です。

日本国内で風疹などの感染症が蔓延すると、海外からの旅行者への感染も懸念される事態にもつながるのではないでしょうか。必要なワクチン接種していない場合は当然、入国を拒否されることにもなります。

❍さまざまな疾患へのワクチン接種を考えて欲しい

小さなお子さんを持つ、お母さまたちのワクチンに対する副作用への疑問・不安として、先週15日にも書いていますが、我が子となる胎児へのウイルス感染が原因となる「先天性風疹症候群」を発症すると考えたら、風疹の予防接種は必須となるのではないでしょうか?

そこから考えると、他の疾患でも同様にワクチン接種から得る利益を考えることが出来るのではないでしょうか。この機会に、予防接種・ワクチン接種への理解を、私は求めたくなってしまいます。

横浜の総合病院退職後、都内の総合病院のパート労働者として勤務の際は、すべての職員に対して、必要な感染症の抗体価を測定し、抗体を持たない職員に対して、すべてワクチン接種を行っていました。かなりの経費です。その経費はすべて病院の持ち出し経費となります。でも、医療者としては、あるべき姿だと思っています。

追加情報!

❍風疹の検査は血清抗体価を測定します

赤血球凝集抑制反応(HI)、酵素抗体法(ELISA)が代表的とされますが、風疹抗体価の測定は、保険適応となっています。風疹の診断には、急性期と回復期の双方の血清で抗体価が陽転あるいは有意上昇(HI法:4倍以上、EIA法:2倍以上)することにより診断されます。

急性期に風疹の特異的なIgM抗体が検出されれば、急性期血清のみ診断も可能とされます。発疹出現3日以内では、抗体価が陽性になっていない場合もあり、偽陰性となってしまうこともあります。その場合は、発疹出現後4日以降に再検査が必要となまします。

また、風疹以外の疾患で弱陽性になる場合(偽陽性)や、長期間風疹IgM抗体価の弱陽性が続く場合もあるとされています。

2020年、健康な赤ちゃんの誕生のために、先天性風疹症候群が根絶することを願います。DSC_1248

 

 

 

Pure Medical attitude

生理検査アティテュード®

 

Junko Katayoshi

 

今日のまとめ

  • 妊娠20週までに風疹に罹患すると胎児は「先天性風疹症候群」を発症するリスクが高い
  • 成人が風疹に罹患すると子どもよりも、重篤な症状となることがある
  • 風疹の患者数は、10/16現在1,000人を超え、風疹ウイルスは、強い感染力を持つ飛沫感染

 

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