JunchanのHealth attitude blogにご訪問ありがとうございます。医療スタッフのメンタルパートナー かたよし純子です♪ 先週から眼の健康をまとめています。今日は、その4回目、今日で一区切りの予定です。眼のメカニズム、視力の低下、眼のエイジング、そして今日は「炎症性疾患」です。結膜炎を中心にまとめていきます。さらに、プラスαでは、失明原因としてあげられる「糖尿性網膜症」とそれに関連する「網膜剥離」をまとめていきます。そして、私自身の忘備録として、コンタクトレンズに関する眼への影響です。
これからの人生を楽しく過ごすためには、良好な視界は必須です。眼の健康確保のためにも、今日もぜひ最後までお読み戴けたら幸いです。
1.眼の炎症性疾患へのアプローチ3つ
1-1 結膜のアレルギー反応、アレルギー性結膜炎
1-2 感染性結膜炎 ウイルス性結膜炎と細菌性結膜炎
1-3 ものもらい、めばちこは、正式名称「麦粒腫」
今日のプラスα
2.糖尿病の3大合併症「糖尿病網膜症」そして、網膜剥離
3.コンタクトレンズの眼への影響、そして涙は大切なパートナー
生理検査アティテュード®からのメッセージ
・眼にまつわる私の想い、視覚は「個人概念」そして、涙の浄化
1.眼の炎症性疾患へのアプローチ3つ
眼のトラブルの3回目は、眼の炎症性疾患をまとめていきたいと思います。
1-1 結膜のアレルギー反応、アレルギー性結膜炎
アレルギー性結膜炎は、結膜のアレルギー反応により引き起こされます。
❍アレルギー性結膜炎とは?
眼の表面に、花粉などのアレルギー反応を引き起こす物質、アレルゲンが結膜に付着することにより発症する疾患です。結膜とは、強膜(白眼)のいちばん表面部分、まぶたの裏側と白眼の部分をおおう粘膜です。
アレルギー性結膜炎は、アレルギー反応のひとつとされ、他のアレルギー疾患であるアレルギー性鼻炎、気管支喘息、アトピー性皮膚炎などと同様のアレルギーのメカニズムにより発症します。アレルギーのメカニズムは、以前のブログをご参照ください。アレルギーは、免疫反応のひとつです。そして、アレルギーの場合は、本来無害なものに対する身体の過剰反応です。アレルギーになりやすい体質は遺伝しやすいとされています。
※参考ブログ「アレルギーのメカニズム」
❍増加しているアレルギー性結膜炎
近年、花粉症の増加とともに、当然眼のアレルギー性結膜炎も、ほとんどが花粉症を原因とする花粉性アレルギー性結膜炎が増加しているとされています。日本ではとりわけ、アレルギー性結膜炎の大半が花粉性によると推定されているそうです。
●花粉症の対象は、スギだけではない
花粉症の原因は、スギのみならず、イネ科の雑草となるカモガヤ、ヨモギ、ブタクサ、ヒノキなどでも引き起こされます。結果、通年を通して何らかの花粉により発症することがある疾患です。
❍眼は、アレルギーに注意が必要
アレルギーは未知の部分が多く、未だ研究途上とされる疾患です。大気汚染などの環境の変化、密閉性の高い最近の住宅環境の変化は、ダニの発生を増加させているとも考えられています。眼は他の臓器と比較し、アレルギーを起こしやすい臓器とされています。その理由とは…
●眼にアレルギー症状が多い理由
- 結膜が直接外部に接しているために、抗原が侵入しやすい
- 涙液が持つタンパク質を溶解しやすい性質のために、抗原成分のタンパク質を受け入れやすい
- 結膜には、免疫細胞や血管が多くあるために、炎症細胞が侵入しやすい
このように、眼はアレルギー反応を起こしやすい臓器です。眼のかゆみ、ゴロゴロするような異物感などがおもな症状とされますが、涙目になることや、目やにが出ることもあります。このような症状がアレルギー反応の場合もあります。ちなみに、私は鼻よりも眼のアレルギー反応で花粉症を指摘されました。言われてから、そう言われてから、朝、目脂(めやに)がでること、くしゃみを連発していたことなどが腑に落ちたしだいでした。
❍アレルギー性結膜炎の症状
アレルギー症状として最も多いのが、眼のかゆみと異物感です。
かゆみは、眼そのもののかゆみと、まぶたや眼のふちなどの、部分的なかゆみも伴います。かゆみは、アレルギー反応の特徴となり、掻くほど症状が強くなりますので注意が必要です。さらに、アレルギー反応によって、まぶたの裏側の結膜表面が粒状となり、まばたきによって、角膜との接触により感じるゴロゴロとした感覚です。涙が出てきて、ゴミが入ったような感覚にもなりますので、こすることで角膜に傷がついてしまいますのでこの症状にも注意が必要です。
目脂は、はやり目と言われる流行性角結膜炎に比較して多くはないとされますが、両眼にみられる、目やには、アレルギー性結膜炎の特徴とされます。アレルギー性結膜炎の重症例とされている春季カタルでは、さらに角膜の合併症によって目に痛みを生じることや、角膜の混濁のため、視力低下を引き起こすこともあります。
アレルギー性結膜炎で起こる眼の症状の種類
- 眼のかゆみ
- 眼の充血
- 眼の異物感 ゴロゴロした感覚、まぶたの裏の炎症反応による
- 目脂:サラサラした涙状のもの
- 涙が出る
❍その他のアレルギー性結膜疾患
結膜に起きるアレルギー性疾患の総称を、アレルギー性結膜疾患といいます。結膜疾患にはそのほかに、アトピー性角結膜炎、春季カタル、巨大乳頭性結膜炎が含まれます。
●アレルギー性結膜炎
結膜の増殖性変化の無いアレルギー性結膜疾患とされます。花粉によって引き起こされるものを、花粉性結膜炎ともいいいます。アレルギー性結膜炎のうち、季節により症状がみられるものを季節性アレルギー性結膜炎、1年中を通して症状がみられるものを通年性アレルギー性結膜炎といいます。
●アトピー性角結膜炎
アトピー性角結膜炎はアトピー性皮膚炎の方にみられる慢性アレルギー性結膜炎のことをいいます。他のアレルギー性結膜炎と同様、ひどいかゆみ、涙が出る、結膜が厚くなり、充血、混濁するなどの症状がみられます。まぶたが肥厚し、感染を起こすため、まばたきや涙液の角膜保護作用が低下し、角膜上皮障害を伴うことがあります。
アトピー性角結膜炎は、増殖性変化を伴わない場合が多いとされますが、巨大乳頭などの増殖性変化を伴うこともあるとされています。
●春季カタル
春から夏の時期にみられる重症のアレルギー性結膜炎を春季カタルといいます。結膜の増殖性変化が見られるアレルギー性結膜疾患です。この春季カタルの多くにアトピー性皮膚炎があるとされています。子どもに多く発症するとされ、大人になると改善するとされていますが、特に小学生男児~青年に多く、激しい眼のかゆみ、白い糸状の目脂が多く出るとされます。症状として、かゆみ、結膜充血、浮腫、異物感、眼脂、眼瞼腫脹などがあげられます。
角膜に傷ができることもあります。春季カタルに特異的な病変の一つは、上まぶたの裏側である上眼瞼結膜に、乳頭状のブツブツができることが特徴です。重症の場合は、巨大乳頭となり、石垣状巨大乳頭と呼ばれているそうです。
点状表層角膜症、角膜びらん、潰瘍、角膜の混濁、血管侵入などの重症の角膜障害を合併することが多く、視力にも影響するとされていますのできちんとした対応が求められる疾患です。
●巨大乳頭性結膜炎
機械的刺激による上眼瞼結膜に増殖性変化を伴う結膜炎を巨大乳頭性結膜炎といいます。原因となる刺激には、コンタクトレンズ、義眼、手術縫合糸などがあります。春季カタルと類似していますが、乳頭の形状が異なること、そして巨大乳頭性結膜炎ではほとんどの場合は角膜病変は伴わないなどの違いがあるとされます。
※参考サイト 「アレルギー性結膜疾患診療ガイドライン」日本眼科学会
非常に症状が強い場合には、仕事や学校などの日常生活にも支障を来すことがあります。
アレルギー以外の原因で起こる結膜炎、例えばウイルスによって起こるはやり目の際にみられるように、目が赤くなるのは、この血管がたくさんあることによって起きているものです。
ただし、抗原は目に直接触れる以外に鼻を通して吸い込むことによってもからだに入り、全身のアレルギー反応の結果、目に症状が出ることも少なくありません。
1-2 感染性結膜炎 ウイルス性結膜炎と細菌性結膜炎
不快な眼の症状を伴う感染性結膜炎とは、結膜の細菌やウイルスへの結膜の炎症をいいます。結膜は、強膜(白眼)のいちばん表面の部分となります。
❍感染性結膜炎とは
結膜に炎症を引き起こす疾患がほとんどですが、咽頭痛や発熱などのカゼに似た症状を引き起こすこともあります。結膜の炎症により眼が赤くなり、流涙や目脂がよくみられ、光に対して過敏になる人もいます。
●多いのはウイルス感染
結膜に感染をもたらす原因はさまざまありますが、細菌感染よりも、ウイルス感染が多くそのなかでもアデノウイルスが最も多いとされています。ウイルス性結膜炎も細菌性結膜炎も感染力が強いとされ、人から人へ、あるいは感染した眼からもう一方の眼へとたやすくうつります。周囲への感染を防ぐ必要があります。
●感染性結膜炎の種類
感染性結膜炎は、大別してウイルス感染と細菌感染とに分けられます。それぞれの詳細をまとめていきましょう。
❍ウイルス性結膜炎
ウイルス性結膜炎は、結膜がウイルス感染することによる日常的によく見られる疾患です。眼の炎症により、充血、目脂、涙目、ゴロゴロとした眼の違和感などの刺激性症状を伴います。
もっとも多い原因のウイルスは、アデノウイルスです。その他にエンテロウイルス、ヘルペスウイルスなどがあげられます。
●ウイルス性結膜炎は、人から人の感染です
ウイルス性結膜炎は、ウイルスが体内に入って発症する「人⇨人」の感染となり、周囲へ感染させる力が強く、家族内感染や学校内での集団感染などの原因となり、周囲に移さない注意も必要です。
●ママたち必読! ウイルス性結膜炎は学校伝染病に指定されています
- 咽頭結膜熱(プール熱)
- 急性出血性結膜炎(アポロ病)
- 流行性角結膜炎(はやり目)
この3つの病気は全て感染症法で届け出義務がある疾患です。毎週指定された医療機関(咽頭結膜熱は小児科、急性出血性結膜炎と流行性角結膜炎は眼科)から保健所に報告されている疾患です。学校保健安全法では、咽頭結膜熱は「主要症状が消退した後2日を経過するまで」出席停止となります。また急性出血性結膜炎および流行性角結膜炎は、感染の恐れがないと認められるまでの間は出席停止となる疾患です。
※「学校伝染病」Wikipedia
《咽頭結膜熱:プール熱》
6月頃から増加、7~8月にピークとなり、1~5歳の子どもの感染が多く認められます。学校教育の中で、プールの使用後に流行することが多く「プール熱」とも呼ばれます。
- 原因: アデノウイルス
- 症状:感染後、5~7日で38℃以上の発熱、咽頭炎、結膜炎による眼の充血、ゴロゴロした違和感や痛み、目脂、涙の増加などの症状が3~7日間継続
目の症状は流行性角結膜炎(はやり目)よりも弱く、特徴として、発熱、咽頭炎などの眼以外の症状があり、罹患者の咳やくしゃみからの飛沫感染をすることです。
《急性出血性結膜炎:アポロ病》
最近での流行は、見られないとのことですが、アポロ熱の名前の由来は、月面着陸したアポロ11号の頃に流行したことだそうです(驚愕!笑)
- 原因: エンテロウイルス、コクサッキーウイルス
- 症状:感染後、1~3日でゴロゴロした違和感や痛み、目脂、異物感、光を異常にまぶしく感じるなど
所見の特徴として結膜の充血、白眼の部分が出血し、眼が赤くなります。多くの場合、両眼に症状が出現し、発熱や頭痛などの症状を伴うことがあります。通常は、約1週間で治癒しますが、ごく稀に、手足の麻痺をおこすことがあるとされます。
《流行性角結膜炎:はやり目》
感染力が強いことから、はやり目と呼ばれています。黒眼の部分の角膜、結膜の両方に炎症がみられます。
- 原因: アデノウイルス
- 症状:感染後、8~14日でまぶたの裏側のぶつぶつした隆起、目の充血、目脂や涙の増加などが出現
角膜の炎症のため、異物感、目の痛みなど、さらに耳や顎周囲のリンパ節腫脹を伴います。片眼の感染から、数日後に反対側にも発症し、通常2~3週間で治癒します。
●その他のウイルス性結膜炎
《ヘルペス性結膜炎》
単純ヘルペスウイルスによる結膜炎で、眼の周囲の皮膚に小さな水疱がみられることがあります。子どもが初めてヘルペスウイルス感染したときにみられることが多い結膜炎とされ、両眼に発症することは少ないとされています。
●ウイルス性結膜炎への対応は二次感染予防
ウイルス性結膜炎に効果のある薬剤は無く、自らの抗体産生を待つのみです。炎症の抑制と、最近感染予防のための目薬、まぶたの発疹への眼軟膏のみとされています。
他者への感染予防には、眼をこすった手やタオルなどから感染を拡大させてしまいます。手洗いを意識し、眼を吹く時は、ティッシュペーパーなどを使用する、入浴はいちばん最後にするなどの適切な対応が望まれます。
❍細菌性結膜炎
結膜炎の原因が最近となる場合で、その原因菌には、黄色ブドウ球菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌などのヘモフィルス属とされます。
●細菌性結膜炎の症状
症状は、急激に眼脂が増える、眼の充血など、まぶたの裏にも充血がみられます。その他、結膜の浮腫、異物感、かゆみ、羞明(まぶしさ)、熱感など、重症化すると眼痛などです。
●新生児や子どもに注意したい
常在菌として健常者がもつ黄色ブドウ球菌は、感染力が弱く、通常の場合では危険性はありませんが、身体の抵抗力が低下した場合や、子どもなどへの注意が必要とされます。
新生児は、化膿性眼脂が出る場合、産道からの淋菌感染や、涙のう炎による結膜炎が疑われます。角膜炎から角膜穿孔となることもあるために注意したい疾患とされています。成人でも性感染症として発症することがあります。
細菌性結膜炎は、ウイルス性結膜炎とことなり、抗生物質が効くために短期間で治癒するとされていますが、淋菌感染は角膜に影響し、視力低下を招くことあるために注意が必要とされる感染性結膜炎です。
<ウイルス性結膜炎と細菌性結膜>
1-3 ものもらい、めばちこは、正式名称「麦粒腫」
まぶたのふちが腫れる「ものもらい」、誰でも罹ったことがあるのではないでしょうか。正式名称は、「麦粒腫:ばくりゅうしゅ」といいます。
❍麦粒腫は、急性化膿性炎症です
ものもらいという呼び名は、東日本だそうで、その他、「めばちこ」「めいぼ」などとも言われているらしい…
まぶたにあるマイボーム腺や、まつ毛の根元の皮脂腺の急性化膿性炎症です。マイボーム腺にできるものを内麦粒腫、まつ毛の根元にできるものを外麦粒腫といいます。
●麦粒腫の原因
麦粒腫の原因として、まつ毛の根元の汗腺や、皮脂腺の細菌感染とされ、原因菌の多くがブドウ球菌です。細菌感染が原因となるため、日常生活の中で、汚れた手などで眼をこすったりしないように気をつけることが感染予防となります。
●麦粒腫の症状
初期は、まぶたの一部分に赤みを帯びた腫れが見られ、軽度の痛みやかゆみなどを伴います。炎症が強くなるに従い、まぶた全体が赤みをおびて腫脹し、痛みがつよくなり、目脂や白眼が赤く炎症を帯びます。炎症が進行し、化膿が進むと、膿が排出し、やがて症状は快方にむかいます。場合により、切開して排膿することもあるようです。
2.糖尿病の3大合併症「糖尿病網膜症」そして、網膜剥離
眼の疾患には、ここまでまとめてきた以外にもまだまだ多くの疾患があります。しかし、失明原因として上位にあげられる、糖尿病の合併症となる糖尿病網膜症を最後にしっかりとまとめておきたいと思います。
❍糖尿病網膜症
糖尿病網膜症は、「糖尿病腎症」「糖尿病神経障害」とともに糖尿病の3大合併症のひとつとされ、日本では成人の失明原因の上位に位置します。日本の失明原因の上位を占める疾患です。現在のトップは、眼のトラブルその1でまとめた緑内障ですが、糖尿性網膜症が以前高い水準にあることには相違ありません。
●糖尿病網膜症の発症メカニズム
糖尿病網膜症は、糖代謝異常による高血糖が原因となる網膜の血管障害です。
網膜が、物を見るために重要だということは、もうご理解いただけているかと思いますが、この網膜には、多数の神経細胞と毛細血管が無数に存在しています。糖尿病による高血糖状態が長期間続くことで、網膜上毛細血管はゆっくりと損傷を受け、傷害されていきます。血管げ詰まってしまうと、細胞への酸素が不足する状態となり、新生血管が増殖することになります。新生血管が脆く、出血しやすいことは、前回のブログ「滲出型・加齢黄斑変性」のところで説明したとおりです。
❍糖尿病網膜症の病期と症状
糖尿病網膜症の症状は、病期により変化します。進行の程度により3段階に分類されます。
- 初期:単純網膜症 自覚症状無く、小さな点状出血、白斑などの軽い病変
- 中期:前増殖網膜症 視界がかすむなどの症状、軟性白斑、静脈異常、線状出血など
- 末期:増殖網膜症 視力障害、飛蚊症、失明、その他網膜剥離や緑内障など併発
定期検診と早期の治療により、進行を抑えることも可能となります。
この過程は、糖尿病発症後、数年~10年以上経て発症するといわれています。初期~中期では、ほとんどの場合は、自覚症状がみられないことが多く、気づいたときにはかなり深刻な状態にまで進行していることも少くありません。糖尿病を指摘された場合には、眼の自覚症状がない状態でも、定期的に眼科受診が求められます。
●初期:単純網膜症
糖尿病網膜症の初期段階、自覚症状がほとんどありません。
最初に出現する異常は、細い血管の壁が盛り上がってできる血管瘤(毛細血管瘤)や、点状、斑状出血の微細出血です。タンパク質や脂肪が血管から漏れ出て、網膜にシミのような硬性白斑を形成することがあります。これらは血糖値のコントロールが良くなれば改善することもありますが、初期では、自覚症状はほとんどありません。詳しい網膜の状態を定期的に血管造影で、眼底の状態を確認することが大切です。
●中期:前増殖網膜症
単純網膜症よりもやや進行した状態です。網膜の微細な血管が閉塞すると、網膜の酸素不足が生じ、網膜全体へ酸素が行き渡らなくなります。その酸素不足を補うために新生血管の増殖準備が開始されることになります。症状としては、まったく感じないこともありますが、多くの場合、かすみ目などの自覚症状があるようです。
●末期:増殖網膜症
糖尿性網膜症が末期となると、新生血管の増殖がみられます。新生血管はもろく、衝撃や、高血圧に対して出血しやすい状態となります。新生血管は、網膜や硝子体に向かって進展していきます。硝子体出血の原因とされ、治療しても元に戻ることが出来ないために、失明の危険性が危ぶまれる状態となります。
網膜は、眼底にある薄い神経の膜で、物を結像させるために大切な部分となります。(眼のメカニズム参照)この網膜にある微小血管が、高血糖の継続により障害を受けるのが、糖尿病網膜症です。網膜は眼底にある薄い神経の膜で、ものを見るために重要な役割をしています。
硝子体は、眼球の大部分を占める透明な組織です。この硝子体に出血が起きると、物をみるための情報となる光の通過する部分のために、とうぜん視野に影響が及ぼすことになります。前回のブログでまとめた飛蚊症の原因になることや、出血量が多い場合には、急激な視力低下を招くことがあります。
末期の増殖網膜症になると、血糖の状態に関係なく網膜症が進行していきます。若年者ほど、進行は早いといわれていますので十分な注意が必要とされます。
●新生血管から網膜剥離へ
網膜で増殖した新生血管が出血を引き起こすことで、網膜上には、増殖組織が作られることになり、この増殖組織が網膜剥離の原因となることがあります。増殖組織は繊維製の膜で、この増殖組織が網膜を引っ張ることになり、牽引性網膜剥離を招くことがあります。
手術適応となる状態ですが、術後も十分な視野が確保しにくいこともあるようです。
<糖尿性網膜症の病期と症状>
●糖尿病黄斑症
網膜の中心部分が黄斑となり、物をみるために重要な部分となります。この部分に毛細血管瘤の形成が多発したり、タンパク成分から硬性白斑が生じたりすることで、黄斑にむくみを生じた状態が糖尿病黄斑症です。初期段階の単純網膜症の段階でも、黄斑に障害が生じると視力が低下などの症状が見られることがあります。糖尿性網膜症が初期段階で、黄斑以外の網膜が正常な場合でも黄斑症を発症すると、著しく視力低下してしまいます。この黄斑が傷害されると、早い時期で自覚症状として現れることになります。
●怖い糖尿病の合併症
糖尿病は、血中の血糖値が高濃度となり、血液の流れを阻害するために、さまざまな合併症を発症させます。眼の鏡でご自身の眼球を見たことがありますか?唯一「眼」は、組織が外部に漏出している組織です。白眼の中に微細な血管が見えるのではないでしょうか。高血糖の影響を非常に受けやすい組織なのです。
網膜の血流障害や血管障害は、毛細血管瘤が形成により網膜にむくみを引き起こすことになります。黄斑にこの状態となると、変視症(物が歪んで見える)の原因となります。また、黄斑の中心部分となる、中心窩には、血管が存在しないため周囲の血管から酸素や栄養の供給を受けています。そのため黄斑が傷害されると、視細胞の機能低下を招くことになります。
❍網膜剥離とは?
網膜は光を感じる部分となる、神経網膜と、その下層、土台となる網膜色素上皮の2層になっています。神経網膜がその下層の色素上皮から何らかの原因で、剥がれてしまう状態を網膜剥離といいます。網膜剥離が生じると当然、視野や視力が障害されることになります。この網膜剥離の多くが、神経網膜に裂孔(孔)ができることで発症し、裂孔原性網膜剥離といいます。これに対して、裂孔を伴わないものを、非裂孔原性網膜剥離といっています。
●裂孔原性網膜剥離
網膜剥離の中で最も多く、網膜に孔が開いてしまう状態となります。網膜裂孔、網膜円孔と言われています。そのため眼の中にある液化硝子体が、その孔から網膜の下層に入り込むことで発生するとされています。通常孔が小さいことが多く、初めは剥離部分に範囲が小さいことが多いのですが、時間経過とともに剥離範囲が拡大していきます。孔が大きい場合は一気に網膜剥離が進行し、やがてすべての網膜が剥がれてしまうことになります。
《裂孔が発生する原因》
網膜に裂孔が生じる原因として、老化や網膜の萎縮、外傷などがあげられます。近視の場合に多くみられ、特に強度の近視により多く発症するとされています。剥がれてしまった網膜は、光を伝えることが出来なくなります。この状態が長期間継続すると網膜の機能が低下し、機能回復することができなくなり、視力に影響を与えることになります。
《裂孔原性網膜剥離の症状》
網膜剥離の前駆症状として、無症状のこともありますが、飛蚊症、光視症(視界の中に閃光のようなものが見える)などがみられる。進行すると、視野欠損、視力低下など、網膜には痛覚がないため、剥離による痛みはありません。
●非裂孔原性網膜剥離
非裂孔原性網膜剥離には、牽引性網膜剥離と滲出性網膜剥離の2種類があります。この非裂孔原性網膜剥離の原因、経過はさまざまであるとされ、裂孔原性網膜剥離とは大きく異なります。
-
牽引性網膜剥離
末期の糖尿病網膜症など、網膜が増殖膜の形成や硝子体になど牽引され剥離する
-
滲出性網膜剥離:
ぶどう膜炎など、網膜内、網膜色素上皮側から滲出液が溢れだすことで剥離する
❍眼の疾患は、生活の質に関わります
今回、よく聞く眼のトラブルをまとめてきました。当初、2回でまとめる予定でしたが、その多さに4回でまとめてきました。それでもまだまだ多くの疾患があげられるのです。
まとめていて私が感じたことは、眼の構造はすごく緻密な構造とメカニズムで機能していること、老化により視野、視力が低下することに対しても抗えないことが多く、通常両眼で物をみているためにその進行に気がつかないことが非常に多いということもあげられます。気づいたときには、「視覚」という感覚機能を失うことにもつながりかねない重篤なことにもなりうるという事です。
眼に限りませんが、自らの眼の健康は、自分自身で意識的に守らないとならないということを実感するきっかけとなりました。ただ、願うならば「健康寿命」ということから考えると、生活習慣病ばかりではなく、五感を守るための健診検査も入れていただきたい、つまりは、特定健診の中に、視野・視力・聴力・口腔ケアも大切な健診項目なのではないかと私は考えます。
※関連ブログ「症状を自覚する前に知って欲しい合併症」
3.コンタクトレンズの眼への影響、そして涙は大切です
私自身が、20代の頃からコンタクトレンズを使用しています。コンタクトレンズの影響をまとめてみたいと思います。
❍コンタクトレンズの影響とは?
コンタクトレンズの装着することで起こる、眼への悪影響としてあげられるものは、
- レンズ装着による酸素不足
- 感染
- レンズの汚れ
- 機械的な刺激
- アレルギー反応
- ドライアイの原因
●コンタクトレンズ装着することによる酸素欠乏
角膜は、空気中の酸素を涙液から取り入れています。コンタクトレンズを装着することにより、角膜の表面はレンズで覆われてしまうために、涙液中の酸素が不足することになり、角膜は酸素不足に陥ります。
●酸素不足から眼障害
酸素不足となることで、角膜に傷がつきやすくなり、感染症の引き起こしやすくなります。最悪の状態となると、眼障害を引き起こす可能性もあります。眼障害の原因として、長時間の装着による酸素欠乏、感染、レンズの汚れ、レンズによる機械的刺激、アレルギー、ドライアイなどがあります。
●適切な使用は必須
さらに、長時間装用、レンズの洗浄不良、使用方法の問題、レンズの汚れ、キズ、劣化、破損などコンタクトレンズに問題がある場合も少くありません。コンタクトレンズは、医療器具となりますので定期検査や適切な指導、処方、ケアが必要となります。
❍涙に浮かんでいるコンタクトレンズ
コンタクトレンズは眼に入れ、角膜の上に装着した状態で使用します。その角膜とコンタクトレンズの間には、涙があり、レンズは涙に浮かんだ状態となっています。ハードを使用しているとその感覚が分かるのではないでしょうか。
コンタクトの使用には、涙はなくては無くてはならないものとなり、涙液が少なくなると、不快感がの原因となることや、角膜を傷つけるなどの眼のトラブルの原因となります。涙液のコンディションを整えることでコンタクトレンズも快適に使用することができることにつながります。
●コンタクトレンズと酸素の関係性
眼にとって涙は、なくてはならない存在です。角膜は透明で血管がありません。涙によって角膜に酸素を取りこみ、老廃物を排出しています。角膜を覆ってしまうコンタクトレンズは、角膜を覆ってしまう状態となります。当然この涙に影響があることはいうまでもありません。
最近は、酸素透過性のコンタクトレンズが多く見られるようになりましたが、その機能は、さまざまなようです。そして、まばたきをすることでコンタクトレンズ下の涙が交換されるのですが、コンタクトレンズのソフトかハードかによってその交換方法が異なるそうです。
●ソフトとハードで異なる涙の交換方法
ハードの場合は、レンズが硬いために涙の上にレンズが浮き上がる状態になり隙間から涙液が交換されますが、ソフトコンタクトレンズの場合は、レンズが柔らかく、さらに大きいために角膜全体が覆われ他状態となっています。そのために、涙液の交換回数が少くなるとのことです。当然、ソフトコンタクトレンズのほうが、酸素不足を招くことになります。
角膜の酸素不足を防ぐために、使用時間を短くすることが必要となります。しっかりとまばたきをするように意識的に行い、回数も多くすることが勧められます。涙には抗菌作用物質も含まれ、角膜を守ってくれている大切な役割をもちます。コンタクトレンズの使用には、涙の分泌を意識することも眼の健康のためには必須です。
生理検査アティテュード®からのメッセージ
・眼にまつわる私の想い、視覚は「個人概念」そして、涙の浄化
前回の「老視」を扱いましたが、これを書いている私自身が、まさにその世代です。幸いなことなのか、単に鈍感なだけなのかは、考えないことにしておきますが老眼は意識していません。初回に書いたように、眼はコンプレックスと思っていて、「私は眼が悪い人」という思い込みがずっとあるからかも知れません。
物の見え方は、視力の良し悪しによりあくまでもその人、個人の見え方です。色の感じ方も個性です。ある人は「緑」と言い、他の人は「青」ということや、青みのある「ピンク」と「紫」もよくある表現です。自分の視細胞を通し受け取った情報が色味感じているからです。そして、その情報は、その人個人の感性であり、感性を生み出すのは、個性だからです。まったく同じ人がいないということに繋がります。
❍生体認証技法のひとつとなる虹彩認証
眼の虹彩を見る時に、いちばん個性を感じるかもしれません。指紋以上に、遥かに異なると私は感じています。眼の虹彩は、その人独自のもので、認証システムとして持ちられるようになりました。眼圧測定にときに、この虹彩のさまざまな紋様の違いを実感したのです。そんなことを思い出していました。
❍個性に感じる共通性に安心する脳
まったく同じ人がいない=違い、この中に同じ物を発見した時に、人は親しみを覚え、共有できる部分を見出すことで「安心感」を感じるのです。この、共通することが些細なことでも安心でき、その数が多いほどおそらくは、親近感としてお互いに近づいて行くのではないでしょうか。チャンクを拡大していき、「人類」という部分で考えることができたのなら、世界で揉めることはないとも考えれると良いのになぁ。。。とつぶやきます。
❍眼のコミュニケーション機能
人と人とのコミュニケーションとしての、眼の役割に気づいていますか。NLPの学びの中に「表象システム」というものがあります。視線の方向(上下左右)で、相手の優先感覚(視覚・聴覚・身体感覚)を表わすといわれています。
眼は、その人の表情を構成する重要な要素とされています。その人感情が眼に表出されるからです。視覚の部分での情報交換、いわゆる非言語コミュニケーションの大きな部分を担っています。よくいわれる眼にまつわる表現で「眼は心の窓」「目は口ほどにものを言い」というようなことばがあります。また、「目が泳ぐ」「目が据わる」「眼が笑っていない」などは、眼の感情表現における役割を示していることが多く、眼と眼での会話をしている状態を表している「目線を交わす」などということばもあります。
❍眼の大切な守り役、涙の機能とは?
涙を流すことで、副交感神経が優位になることをご存知ですか?泣くことで、ストレス解消できるのです。人の涙は、3つに大別されといわれています。
●涙の役割その1 「涙の基礎成分」眼の保護作用
ドライアイのところでお伝えしたように、眼の保護作用です。乾燥や、眼に酸素や栄養素を届ける機能を持ちます。涙の成分バランスが崩れると保護機能が低下してしまい、ドライアイとなります。「目のトラブルその1」
●涙の役割その2 「刺激に対する反射」眼の防御作用
異物に対する反射性の涙です。玉ねぎを切った時の刺激物や、煙、ゴミの侵入を防御反応です。さらに温度に対する反応も持ち、角膜の知覚神経がこれらの刺激をキャッチすると反射的に涙が分泌されます。異物を洗い流す作用があります。涙の成分には、傷を修復作用もあります。
●涙の役割その3 「情動に対する浄化」ストレス解消
感情に伴う涙、悲しいとき、嬉しいとき、感動したときなど人の情動に関る涙です。脳の前頭前野での共感性が関係しています。感情にアクセスし、副交感神経が活性化されることにより涙が分泌されます。この涙には、副腎皮質ホルモンが含まれることから、ストレス物質を体外に排出する役割を、持つのではないかとされています。泣いたあとにスッキリとすること、あるのではないでしょうか。
❍喜怒哀楽をメリハリを持って表現することも大切です
人は、あまりにも深い悲しみの中にいると、泣くことも忘れてしまうことがあります。あまりにも辛い状況に、自らの感情を押し殺してしまう状態となります。押し込めることで身を守ろうとする、自己崩壊を防いでいるのかもしれません。涙を流すこと、思いっきり泣くことで心が浄化されます。
泣くことを我慢すると、心が壊れてしまいます。
喜怒哀楽の感情表現を思いっきり表現してみてください。その瞬間にきっと何かが変わります。
※関連ブログ「感性豊かな表現力」
Pure Medical attitude
生理検査アティテュード®
Junko Katayoshi
今日のまとめ
- 眼はいちばんアレルギー反応を起こしやすい
- ウイルス性結膜炎は学校伝染病、移りやすいので注意が必要
- 通称「ものもらい」麦粒腫は、マイボーム腺や、まつ毛の根元の皮脂腺の急性化膿性炎症です
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情報参考サイト
- 「アレルギー性結膜疾患診療ガイドライン」日本眼科学会
- 「目の病気」日本眼科学会
- 「ウイルス性結膜炎」神奈川県衛生研究所
- 「学校伝染病」Wikipedia
<Pure Medical attitude のblog>
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共同代表 Junko Katayoshi
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