JunchanのHealth attitude blogにご訪問ありがとうございます。医療スタッフのメンタルパートナー かたよし純子です♪ 今週のテーマは、転倒防止、地元のボランティアとして参加させて戴いている「ふらっとカフェ」で転倒予防運動をやらせて戴きました。その関連で、介護予防運動指導員としてのスキルをこちらでもまとめていきたいと思います。高齢者が転倒することでその後の生活の質QOLにも大きく関係することになります。転倒の初回は、リスクの大きさを知って欲しいと思います。高齢者のいるご家庭のみなさま、さらに私も含めた予備軍としてミドルエイジのみなさまにもぜひお読み戴きたい内容でまとめていきます。

1. その後のQOLの関わる、2つの転倒リスクと冬場の危険性

1-1 高齢者が「転ぶ」リスクその1 骨折すると…

1-2 高齢者が「転ぶ」リスクその2 転倒後症候群

1-3 高齢者の現状と冬こそ気をつけたい転倒

今日のプラスα

2.転倒とサルコペニア、運動機能との関係性

3.廃用症候群ということばをご存知ですか?

生理検査アティテュード®からのメッセージ

・大腿骨頚部骨折の術前スクリーニングの経験から

 

1. その後のQOLの関わる、2つの転倒リスクと冬場の危険性

以前のブログで「健康寿命の延伸」関連をいくつか投稿しています。しかし、気づいたら、高齢者の転倒ということに関してはあまり書いていないことに気づきました。高齢者の転倒することで多く分けて2つのリスクが生じます。そして、寒いこの時期こそ、さらにさまざまな問題が含まれています。

1-1 高齢者が「転ぶ」リスクその1 骨折すると…

若い人が転んでも膝を擦りむいてしまった、ストッキングが破けてしまったひどくても捻挫程度で済んでいることが多いと思います。

高齢者の定義

国連の世界保健機関(WHO)の定義では、65歳以上の人のことを高齢者としています。

65~74歳までを前期高齢者、75歳以上を後期高齢者としています。

※出典 e-ヘルスネット「高齢者

❍高齢者に多い、大腿骨頸部骨折の原因は、転倒

転倒による外傷・骨折のリスクです。骨粗鬆症では、骨折リスクが上がる、内的リスクとされますが、注意して欲しポイントはそれだけではありません。骨粗鬆症との関連性は、次回のブログでも取り扱いたいと思います。

高齢者が転倒してしまうと、大きな事故につながることも少なくありません。1940年頃より、イギリス、欧州から転倒関連の研究が成されてきました。超高齢化社会となる日本では、今日、高齢者が転倒することで寝たきりの原因となるとされその予防対策が急務といわれています。

●高齢者が転倒すると

転倒することにより引き起こされるリスクが問題となっています。日常生活の自立、QOLを阻害する要因だといわれています。

QOL(quality of life)とは

クオリティ・オブ・ライフとは、一般的にどれだけ人間的な豊かな生活ができるか考え方を意味し、qualityは質、lifeは生命や生活、「生活の質」、または「生命の質」と解釈されます。

国内の高齢者のうち約10~20%の人が、年間に転倒し、そのうちの約10%が骨折に至っているとの報告があるとのことです。高齢者の大腿骨頸部骨折と診断されているうちの原因、80%以上が転倒だとのことです。この数字をどう思いますか?

●高齢者がベッド上安静になると

もし、転倒してしまった結果、骨折すると機能回復まで、当然、長期間の入院加療が必要になります。特に大腿骨頸部骨折は、歩行困難となり、当然ベッド上生活を余儀なくされることになります。筋肉は使われないとどんどん痩せていきます。その結果、筋力は低下してしまいます。

骨折後のベッド上安静は、筋力や身体機能が加速度的に低下してしまうことは否めません。骨折は改善されても、歩行困難の状態や、杖歩行となってしまうことも少なくありません。この状況は、さらに活動を制限されてしまうことになり、寝たきり状態への負のスパイラルとなってしまいます。

❍大腿骨頚部骨折とは大腿骨頸部骨折

大腿骨頸部骨折とは、脚の付け根、股関節部分の骨折です。ほとんどの場合、立つこと、歩行ができなくなってしまいます。ます。

●大腿骨頚部骨折の症状

人の身体は、股関節で曲がることで機能を維持しています。股関節は、大腿骨頚部で身体を支えているために転倒や転落などの衝撃に対して外部からの力が集中しやすく非常に骨折しやすい場所ともいえます。

骨粗鬆症がある場合、骨折しやすい場所として骨粗鬆症のブログでもでもお伝えしました。そして、歩行することができなくなってしまう方も少なくなく、この骨折がきっかけとなり、日常生活での行動が制限されてしまい、寝たきりや、閉じこもりになってしまうこともあるとされています。

●大腿骨頸部骨折の病態

整形外科では、骨折部位により大きく2つに分けられるとのことです。関節の中で折れる場合を大腿骨頸部内側骨折、もう少し膝側(末梢側)の関節外で折れる場合を大腿骨頸部外側骨折と2つに分けて考えるとされています。この2つは、病態が大きく異なるとのことです。

《頸部内側骨折》

骨粗鬆症がある場合、足を捻るくらいの動作で簡単に起こる。何となく足の付け根が痛いと思っていたら、急激に歩けなくなったなどの、骨折が起こっていた部分に力が加わり、ずれが生じて気づくというエピソードが多いとされています。

血液循環が悪く、そのため骨がつきにくいといわれていますが、関節内での骨折のため、周りにスペースが無いことから内出血が少ないされています。この血流障害のために、骨頭壊死を生じやすく骨がつぶれてしまうという合併症への注意が必要だとのことです。

《頸部外側骨折》

明らかな転倒や転落による骨折。骨は内側骨折よりもつきやすいとされますが、受傷時の外力が大きいために、内出血が起こり全身状態への影響が大きいとされています。

※情報引用サイト 日本整形外科学会「大腿骨頸部骨折

 

1-2 高齢者が「転ぶ」リスクその2 転倒後症候群

若い人は、「転んじゃったよ~」笑い飛ばして終わります。しかし、高齢者の転倒は、たとえ骨折しなくても、歳を重ねるごとにやはりさまざまな問題を抱え込んでしまう結果になるということが指摘されています。

❍転倒恐怖感を示す数字

1995年のデータですが、2,000件の大腿骨頸部骨折の受傷者のうち、その84%にあたる1,689件の原因が、転倒だという報告があると学びました。その他、転落、病的骨折、不明と続きます。

さらに、転倒恐怖感による外出制限として、紹介されたデータ(2003年)は、下記となります。

健常者 要支援者
男性 65~74歳 10.3 25.0
75歳以上 13.2 66.7
女性 65~74歳 10.4 70.6
75歳以上 28.5 60.4

※介護予防運動指導員 テキスト内「日本公衛誌」より引用

❍転倒後症候群(Post-Fall Syndrome)

転倒後症候群ということばをご存知でしょうか、激しい転倒恐怖感による歩行障害のことをいいます。

転倒への激しい不安感、恐怖感から歩く能力があるにもかかわらず、行動規制や歩行障害を引き起こすことがあります。転倒したという記憶が、歩くことへの不安や恐怖を感じてしまうのです。歩く=転倒という関係性がせいりちしてしまうのです。歩くということへの自信喪失が転倒後症候群です。

一般的にはあまり知られていませんが、転倒後症候群は、転倒リスクと転倒後のケアにおける主たる課題のひとつです。転倒後症候群による弊害を少しでも減らすためにはどのようなことができるのか、どういったケアが必要なのかを考えていきましょう。

●心因的要因となる転倒後症候群

1度転倒すると、転倒を経験することで歩くことに不安や恐怖を感じることや、精神的なストレスを招きます。転倒することに対しての恐れや恐怖感が、無意識的にもADL(Activities of Daily Living:日常生活動作)を低下させることにつながり、転倒リスクを高めることになります。

幸い、転倒してケガしなかった場合でも、歩行ということへの自信を失ってしまうこともあります。うつ状態になることや、歩くことに対してこわさを持ち、転倒後症候群に陥り、その結果寝たきり状態になってしまうことあるのです。日常生活での活動量の減少は、ADLの低下をもたらし、さらに転倒リスクを高めることになるという悪循環・負のスパイラルをもたらすことになります。

❍心が負ったケガへの手当 心のケア

このように、転倒後症候群が疑わしい場合には、心理的なケアも含めたリハビリなどのケアも考えていくことが大切です。定期的なリハビリや運動などを通して、メンタル面もあわせてサポートしていくとが必要となります。

居住空間などの外的要因をチェックし、リスクを除外すること、小さな出来ることを積み重ねて、メンタルサポートをしていくことも必要となります。

●高齢期の心への理解、過剰過ぎるサポートしていませんか?

もし、家族が転倒後症候群に陥った時、過度な励ましや、過度の負担排除をしてしまうことを避けたほうがよいこともあります。うつを発症していると、過度な励ましの声かけが負担に感じることもよくあります。

高齢者の場合、加齢による体力の衰え、転倒を起こすまでの、日常生活への自信喪失も、不安リスクとなっていることもあります。「やっぱりもう何もできなくなってしまった」「何もかもがわからない」そんな言葉を高齢者から聞くこともよくあります。実際にうつになった私の母が言っていたことばです。このような高齢期の心の病を持つ人も少なくないということを知っていて欲しいと願います。ほんの小さな心のつまずきから、転げ落ちるように症状が進行していくこともあります。

転んだら最後と言っている方にもお目にかかることがあり、転倒することへの不安、恐怖心があることを物語っているということです。1度、転倒することが引き金になり、再び転倒するリスクを向上させています。

次の転倒を予防するためにも、高齢者本人の不安感を取り除く心理的なケアが重要となります。ゆっくりと無理しない確実なサポートで転倒前の日常をとり戻すことをぜひ、目標としてください。

※関連ブログ「自分らしい人生、成年期~高齢期の心

高齢者の転倒による2つのリスク

<転倒による2つのリスク>

転倒 ⇨ 転倒後症候群 ⇨ 廃用症候群・寝たきり、このサイクル

この、転倒後症候群から、実際に、要支援・要介護となる方も少なくありません。転びそうになった方は、日常生活の中での多くのリスクを低減させ、予防に注意が必要です。日常のリスクや予防に関しては、次回のブログ(木曜日AM7時UP)でまとめていきます。

日常の活動量が減少することで、以前にもお伝えいした「廃用症候群」を引き起こし、最終的には寝たきりになってしまうケースも多くみられます。 ご家族が上記で説明したように「危ないから歩かないように」と注意することから日常生活での活動量が減少していき、その結果、廃用症候群となってしまうこともあることを知っておいてください。過保護もほどほどだということです。自分たちの負担を逆に増やすことにもなりかねないことになってしまいます。

1-3 高齢者転倒の現状をご存知ですか?

❍転倒の定義とは?

一般的な転倒の定義は、「自分の意志からではなく、地面または、より低い場所に、膝や手などが接触すること」とされています。」

❍数字から見る国内の転倒の状況

国内の転倒発生状況に対して、高齢者を対象とした複数調査では過去1年間の転倒経験は、ほぼ10~20%とのことです。またWeb検索により2018年9月 消費者庁から発表された「東京消防庁 救急搬送データ」によると、救急搬送された事故のうち、「転倒・転落」による事故が最も多いとされ、全体の約8割を占めているという報告があります。

●高齢者の転倒・転落事故の発生状況

高齢者の転倒・転落事故による死亡者数を年代別に人口 10 万人当たりで見ると、加齢とともにその数は雑家傾向があり、特に後期高齢者とされる75 歳以上になると、5歳上昇ごとにほぼ倍になるという傾向があるとされています。

人口10万人あたりの死亡者数 平成28年》 (単位 万人)
  • 55-59歳 2.6
  • 60-64歳 3.6
  • 65-69歳 4.5
  • 70-74歳 6.6
  • 75-79歳 12.9
  • 80-84歳 25.1
  • 85-89歳 50.9
  • 90歳~   123.3

人生100年と言われている状況です。この現状をどのように受けとめたらよいのでしょうか。

さらに、高齢者の要介護が必要となる原因として、厚生労働省「国民生活基礎調査 平成28年」の報告では、「骨折・転倒」は、認知症、脳血管疾患、高齢による衰弱に次いで、4番目に多い原因として上げられ、疾患以外の自己では、トップとなっています。

❍日常で発生している転倒事故

数字で見るように、転倒や転落による事故は、高齢者の日常の生活の中であたりまえのように発生しているということが分かるのではないでしょうか。ついうっかり というという状況から死亡事故につながる事もあるということです。転倒や転落が原因で、骨折や頭部外傷などの重大な傷害を残すということもあり、要介護となることが多いという現状があります。前期高齢者とされている65~74歳ころより事故が発生しやすくなっていること、そして、そこからさらに歳を重ねるに連れ確実に増加して、死亡例も増加しているということも視野に入れておきたい数値です。

身の回りの予防できることから、ぜひ意識的、かつ積極的に対策を始めていくことが必要だと考えます。

❍寒い季節気を冬こそ気をつけたい転倒

私の生活する関東地方では、今年はまだ降雪はありません。

都心で雪が降ると大変な騒ぎになります。友人の住む札幌や、冬場の降雪が日常的な地域ではあたりまえのこと7日も知れません。でも、積雪や凍結により、やはり転倒にはそれなりの注意が必要です。厚生労働省のページに情報を見つけました。労働者用として書かれていますが、まとめておきましょう。

●冬の季節の転倒防止対策

冬場は、積雪や路面の凍結などにより、転倒がやはり多く発生する傾向があります。

《転倒予防のための注意するポイント》
  1. 天気予報のチェック:降雪予測の日の外出は、予め変更するなど事前の対策を行う
  2. 時間に余裕もつ  :やむ得ず外出する際は、余裕持ち行動する、交通機関の情報をチェックすることも必要です
  3. 歩き方に注意   :小さな歩幅で、靴裏全体を地面にしっかりとつけて歩く
  4. 滑らない靴    :雪用の滑りにくいものを履く、しかし、靴を過信し過ぎないこと
  5. 雪のない場所の凍結:雪がなくても、濡れている路面は、凍結していることがあり注意が必要です

※情報引用サイト「冬季における転倒防止対策」 厚生労働省

2.転倒とサルコペニア、運動機能との関係性

加齢とともに人の筋肉は日々痩せていく、筋力は日々低下している、使わないとさらに低下する。筋肉は使うためにある。

❍サルコペニアとは?

オーラルケアのところでお伝えしましたサルコペニアです。サルコペニアは、加齢に伴う筋力の減少、老人に伴う筋肉量の減少をいいます。加齢により骨格筋量の減少は必須、それ以外に筋力、運動機能の低下のいずれか認められる状態だとされています。

サルコペニアとは?

サルコペニア(Sarcopenia)ギリシア語の造語、筋肉減少症のことです

ギリシア語のSarco=Muscle(肉・筋肉)+Penia=lack of(減少・消失)

Sarcopenia サルコペニア(筋肉減少症)

加齢による骨格筋の低下とされ、筋力や有酸素能力の低下を生じる

※情報引用ウィキペディアより

●サルコペニア診断
  1. 筋力量減少
  2. 筋力低下  ※握力などの低下
  3. 身体機能の低下 歩行速度など

※ 1は、必須、その他に2 or 3の両方またはどちらかがある場合、サルコペニアと診断されます。

❍サルコペニアは、要介護の入り口

筋力の低下は、運動量の低下につながります。使わない筋肉はどんどん衰えます。年をとることだけで減少します。これは、誰に対しても、逆らえない事実です。そして、食事の量を制限する食餌療法は、サルコペニアのリスクを高めるとされています。

 ※関連ブログ「口腔ケア、オーラルフレイルが健康寿命を変える!?

❍どうして転ぶのか?

高齢者の転倒は、むしろ、身体機能の結果起こると考えた方がよいようです。サルコペニアの定義として、50歳を超えた頃から加速度的に、通常の身体機能低下以上に筋力が低下する状態をサルコペニアとされています。

そして、転倒は、歩行やバランス障害、筋力低下といった身体虚弱が原因となり引き起こされます。65歳を超えると加速度的に転倒するという数字を上記でお伝えしました。転倒は、特に75歳から急激に上昇、大腿骨頸部骨折も急激に増加していきます。

これらの外因リスクは、次回まとめていきますが、室内でうっかりつまずくことなども、大きく関係しています。しかし、つまずいても、バランスが維持とられることや、しっかりと手で身体を支えることができれば、転倒しなくいて済む場合もあります。転倒には全身の筋力が関係してきます。

コードや、わずかな段差、布団の端につまずくなどのあっという間の「偶発的環境要因」が30%も関与しているとのことです。この中でも、半数以上が、歩行やバランス障害、さらに筋力低下といった身体虚弱がリスクとされています。このようにサルコペニアの状態と転倒は深い関係性があるということです。

❍運動機能の老化

運動機能は、加齢はとともに当然低下していきます。しかし、個人差があることもご存知の通りです。性別があることはもちろん、低下する程度や低下する速度には、日常の活動量やさらに、疾患の既往の有無によっても個人差が大きく異なることになります。

●運動機能の老化と原因

運動機能の老化原因は、形態学的変化、運動学的変化、循環器変化、神経感覚機能の変化の4分類だとされます。

  • 形態学的変化  :骨や関節の変化、身長、円背などに伴う姿勢の変化、
  • 運動学的変化  :筋力、柔軟性、俊敏性、平衡性、歩行動作、リズム運動(タッピング)の変化
  • 循環器変化   :血圧や脈拍数などの循環機能、肺活量を含む呼吸機能の低下
  • 神経感覚機能変化:知能や感覚など感覚神経細胞の低下

❍関節・骨の老化と原因

さまざまな身体機能に関するブログでもお伝えいしてきていますが、人は誰でも加齢に伴い、筋肉を構成する筋繊維数が減少し、さらに筋繊維が萎縮してしまうことにより、筋肉量は低下していきます。それは、どうすることも出来ないという事実があります。

●筋肉低下が加速されるリスク

加齢による筋変化は、筋繊維そのものの変化よりも、筋肉量の低下、筋肉の痩せ・萎縮によるものとされています。20歳頃の筋肉量を基準として、70歳くらいでは、男女ともに30%の低下がみられるとのことです。10年間でおよそ6%ずつ低下しているという計算になります。高齢者になると、定年を迎え、多くの人が、社会活動性が低下し、活動量も減少し、体力が低下してしまいます。過去に何らかの疾患や外傷などの既往があるとさらに加速リスクが上がり、筋肉の萎縮を急速させてしまうこともあります。

この状態を回避するために、適切な運動の継続が必要となります。高齢者であっても90歳の方でも、筋力の維持・回復が出来るという報告もあります。

❍女性に多い骨粗鬆症も関与

さらに骨の問題も関係してきます。以前のブログでもお伝えしている、骨形成の低下・骨粗鬆症の問題です。加齢により、骨吸収が増加し、骨形成が減少していきます。特に女性は閉経後、骨粗鬆症のリスクが急激に増加していきます。

※関連ブログ「骨代謝、骨量が減るとは?! 何か?

さらに加齢による関節軟骨の変形も問題とされています。関節の軟骨が徐々にすり減っていくことにより、発症する変形性関節症です。関節の痛み、可動域に制限が生じすことで、日常生活の活動量が低下し、さらに関節を動かさなくなるという悪循環が生じてしまいます。関節は動かさないと、ますます動かなくなってしまいます。特に、膝関節や股関節の痛み、動きには注意が必要とされ、運動機能の低下にも大きく関係しています。

❍運動機能低下を示すフレイル・サルコペニアとはフレイルの関連性

フレイルということばも以前お伝えしています。フレイルとは「加齢に伴い身体の予備能力が低下して健康障害を起こしやすくなった状態」と定義されています。

フレイルとサルコペニアの関係性を先の表にしめしたことがあります。

※関連ブログ「人生100年での向き合うべき課題

●サルコペニアの3段階

サルコペニアは「身体機能」の低下を含めて3段階に区分すると以下のよう規定されます。

  • プレサルコぺニア:単なる筋肉量の低下
  • サルコぺニア  :筋肉量低下に身体機能(筋力または歩行速度)の低下がみられる
  • 重症サルコぺニア:筋肉量、筋力、身体機能、すべてが低下した状態

サルコペニアの原因は、筋肉量の維持、増進することがサルコペニアの予防となります。適度な運動、適切なアミノ酸補給(タンパク質)さらに、ビタミンDなども関係してきます。筋力の維持につながります

※情報引用サイト 公益財団法人長寿科学振興財団「転倒とサルコペニア」「運動機能の低下

3.廃用症候群ということばをご存知ですか? 

高齢者は、「寝たきり」になってしまうということに対してさまざまな原因となるリスクを持っています。以前、心不全の「プラスα」でこの「廃用症候群」をまとめています。簡単に再掲しておきましょう。

❍廃用症候群とは?

廃用症候群とは、長期にわたる安静状態の結果、身体活動が低下したことにより引き起こされる心身の機能低下などのことをいい、何らかの疾患などのより、寝たきり状態になることで引き起こる症状が多いとされています。

骨折によるギブス固定による強制的安静、さらに、転倒後症候群により、非強制的安静もその原因です。身体的、精神的とも大きく悪影響を及ぼす症候群となります。

●高齢者の廃用症候群

高齢者では、気づかないうちに進行し「起きられない」「歩くことができない」などの状況が少なくありません。今回取り上げた「転倒」が原因で、ベッド上となり、牽引、関節を固定され、筋肉を動かさない状態となってしまうと、1週間で10~15%の筋力低下が起こると言われています。高齢者では2週間のベッド上安静で、下肢の筋肉が2割も萎縮するともいわれています。

❍転倒から、廃用症候群へ

もともと減少している筋肉量がますます痩せ細ることになってしまいます。身体を動かさないことにより、筋肉は痩せ衰え、関節の動きもますます悪くなります。そしてこのような状況がさらに活動量を低下させるという悪循環を生じてしまいます。全身の身体機能に悪影響を来たし、最悪、寝たきりとなってしまうことも少なくないということです。

●廃用症候群の症状と種類
  • 筋・骨格系 :筋委縮、筋力低下、筋持久力低下、骨粗鬆症 など
  • 心・血管系 :*起立性低血圧、静脈血栓症、心予備力低下 など
  • 呼吸器系  :沈下性肺炎、肺の予備力低下など
  • メンタル関連:認知症、うつ傾向 など
  • その他、尿路系疾患、消化器系疾患など
  • 褥瘡(床ずれ)など
*沈下性肺炎とは

長期間、仰向けで寝たきり状態となると、分泌液や血液などの体液が肺の後背部で鬱滞し、炎症を引き起こし、細菌が繁殖しやすくなりために引き起こされる肺炎のことを言います。

以前のブログでは、14種類上げています。転倒をだけではありませんが、たった1回の転倒の記憶が寝たきりになってしまうことも少なくないということを知って欲しいということを願います。

※関連ブログ「高齢者の多くに潜む慢性心不全

❍でも、転んでしまったら…早めの予防への対応を

高齢者が廃用症候群になると、元の状態まで改善させることは大変難しくなるとされますが、可能な限り早めに元の生活に戻すことがいちばん大切です。入院治療となった場合は、出来る限り早めに自宅に戻すことが、廃用症候群を予防することにつながるとされ、廃用症候群は治療よりも予防が重要とされています。

●治療中、安静臥位でも廃用症候群への対応

下肢骨折の場合、安静臥床を余儀なくされ、同じ姿勢を長時間過ごさなければならないことになります。その結果、筋肉の萎縮や関節の拘縮、その他、起立性低血圧や、静脈血栓症、誤嚥性肺炎や褥瘡なども起こしやすい状況となります。この状態を避け、廃用症候群予防のためには、出来る限り、ベッド上での上肢・下肢を動かす運動を行うようにすることが求められます。

●高齢者は転倒を恐れる

多くの高齢者は転倒を恐れていますが、それには十分な理由があります。転倒は高齢者によくみられます。自宅で暮らしている高齢者の約3分の1は少なくとも年に1回転倒し、介護施設に暮らす高齢者は約半数が少なくとも年に1回転倒します。米国で、転倒は事故死の主要な原因であり、65歳以上では死亡原因の第7位を占めています。

今日お伝えしたような理由で、転んだことがある人は、再び転倒しやすくなってしまうという傾向があるということです。

生理検査アティテュード®からのメッセージ

・大腿骨頚部骨折の術前スクリーニングの経験から

総合病院に在籍中、大腿骨頚部骨折の方の術前スクリーニングとして、深部静脈血栓の有無をみるために、多くの方の下肢静脈の検査をさせて戴きました。下肢の太もも、ふくらはぎにあるヒラメ筋に血栓を作りやすいということを聞かれた方も多いのではないでしょうか。震災後、車内生活で足の血流が停滞することや、エコノミー症候群としても聞かれたことがあるのではないでしょうか。

❍冬に多いと感じる救急搬送

都心で雪が降ると大騒ぎです。転倒による骨折の方が搬送されてきます。特に、山の上の病院、別名「横浜のチベット」と私は言っていまました。駅からのバスが上がってくることが出来ない、バス停から病院入口までの坂で滑った…そんな話もよく聞きました。

高齢者の整形外科での入院中の急変として、整形領域ではチェックしたいのが、この深部静脈血栓の有無です。大腿骨頚部骨折の術後の後遺症として肺塞栓症のリスクがあげられるからです。大腿骨頚部骨折で救急搬送が増えるのが冬場のようです。布団やカーペットの端に足を取られて転倒し、頸部骨折ということも多いようです。

●数カ月後に再度お目にかかることも…

右足の骨折で検査を行った方に、あれまた依頼が…今度は、反対側、左の頚部骨折での術前依頼、そんな方もすくなくありません。1度骨折をすると、繰り返すことが多いのです。手術を終え、リハビリを行い、歩けるようになって、今度は反対側の足、いかに初回の骨折を引き起こさないようにすることが大切なのかが実感されます。ぜひ、瞬発的な防御行動が出来るように日常からトレーニングをおこなってください。手首も、しっかりと忘れずに(^_-)-☆

❍所詮は、想像でしかありませんが…

救急搬送され、ストレッチャー上で、入院前にそのまま下肢静脈の検査を行いました。骨折された足をある程度動かさないと検査は行なえません。仰向けに休んでいる状態で、ふくらはぎの検査ですから、股関節もある程度動かさないと検査出来ないのです。どれほど痛みがあるのかは、私にとっては骨折の経験が無いので、あくまでも想像の域を超えることは出来ないのです。しかし、少しずつ最低限の動作で行うことを常としています。

転んでしまったことをすごく後悔されていること、その後様子から察します。DSC_8701

1日でも起き上がり歩けることをこころから願います。

健康なみなさまも、冬の季節は、寒さで筋肉もかたくなっています。ゆっくりと身体を温めながら運動するようにしてください。

Pure Medical attitude

生理検査アティテュード®

Junko katayoshi

今日のまとめ

  • 大腿骨頸部骨折の原因の80%が転倒です
  • 転倒により、骨折しなくても、転倒後症候群を発症することがある
  • 加齢とともに転倒・転落は確実に増加傾向、要介護者数も増加する

 

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臨床検査技師/超音波検査士/健康管理士一般指導員/健康管理能力検定1級/介護予防運動指導員/米国NLP協会認定NLPトレーナー/臨床心理学 基礎エキスパート取得

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