心と身体の健康を語る、健康管理士・臨床検査技師、そしてメンタルサポーターのかたよし 純子です。ブログ再会後「健康」というワードにフォーカスして書いています。前々回のブログでは「健康の力」、前回のブログでは「ヘルスリテラシー」ということまとめました。健康を維持するために、ストレスマネジメントも必須と考えますが、このストレスに強い力としてのひとつに…

自己効力感

この分かりそうでよく分からないワード「自己効力感」を考えていきたいと思います。心の健康力を高めるために、理解したい自己効力感です。健康生活への行動変化を考えるのであれば、生活習慣の改善が求められているならば、自己効力感を高めることは有効です。

1.健康力をたかめるために必要な「自己効力感」とは

1-1 自己効力感とは何か?

1-2 健康力を高めるための自己効力感を高めるために

1-3 自己効力感を高めるために必要な4つの経験

2.今日のプラスα ~自己効力感を高めるために~

2-1 自己効力感が低いとどうなる

2-2 自己効力感を高めるために必要な「社会的認知」への理解

生理検査アティテュード® ホンネの話

❍自己効力感が下がっているなぁ…

 

1.健康力をたかめるために必要な「自己効力感」とは

1-1 自己効力感(Self-efficacy)とは何か?

自己効力感とは、心理学者アルバート・バンデューラが提唱したとされ、社会的認知理論に含まれる概念とありますす。もう少しわかりやすくまとめていきたいと思います。

❍自己効力感(セルフ・エフェカシ- Self-efficacy)とは

はじめに自己効力感として定義から

自己効力感の定義

ある結果を成し遂げるために必要な行動を

成功裏に実行できるという確信

自分の可能性を認知していること

※引用サイト「自己効力感」Wikipedia

すなわち、ある行動に対して、その行動が結果に結びつくか「効力予期」ということへの期待となります。自己可能感

❍自己効力感を左右するの2つの予期

自己効力感には2つの期待・予期があるとされています。

  • 効力予期(efficacy expectation)
    • 結果を生み出すための必要な行動をうまく遂行出来る確信
  • 結果予期(outcome expectations)
    • ある行動がある結果に結びつくかということ推測、期待

自己効力感とは、自分自身がどの程度効力予期を持っているかということを認知することとあります。効力予期を持つことによって、行動し結果予期を持ち、成果として期待された結果が得られることになります。

この自己効力感によって、人は自分の考えや感情を持ち、自己の行動コントロールをしているとも言えます。

効力予期と結果予期

<効力予期と結果予期>

上記の図に示したように自己効力感は、その行動を開始するかどうか、そして開始した行動を持続出来るか否かに影響します。行動を実行出来るという自信が高いほど、その行動を開始する可能性が高く、またその行動が持続する可能性が高いということになります。

❍自己効力感の行動決定要因

バンデューラの社会的学習理論では、人の行動を促す要因として3つが挙げられています。

  • 先行要因
  • 結果要因
  • 認知的要因
●先行要因

先行要因は行動を起こす前の条件で、体調や気分的なもの、上記で示した結果予期などがこれにあたります。体調の良し悪し、やる気の有無、高揚感、きっとうまくいくという期待予期などが行動を促す要因となります。

●結果要因

行動したことによる結果から学んだことが結果要因となります。自分が学習したこと、次項でまとめる他者の成功経験を観察すること、見聞きして学習したこともこれに含まれます。自分も同じような環境にある、過去にうまく行った経験がある、次もきっと結果を得られるなど結果につながる前向きの要因となります。

●認知的要因

認知的要因は、行動をどのように認識しているのかということです。結果を得ようとする行動に対する感情、気持ちです。楽しくチャレンジする心情か、自信が無い、辛い、難しいなど、どのように認識しているのか、感情を持っているのかによって大きく変化します。

この3つの要因が相互に関与し、人の行動への意思決定に影響しています。

 

1-2 自己効力感を決める3つの軸

もう少し自己効力感を決める要素をまとめていきます。

❍自己効力感の3つの変動要因

この自己効力感は、3つの軸のもとに変動するとされています。

  • マグニチュード(magnitude)大きさ、重要性
  • 一般性(generality) 一般的な行動か、特定的行動か
  • 強度(strength) 行動を実行できる確信の程度
●マグニチュード(magnitude) 大きさ、重要性

自己効力感の対象行動の難易度にかかわります。結果を得るための目標行動が自分にとって簡単に行えるものか、高いハードルと感じられるものかということです。

●一般性(generality) 行動の種類 一般的な行動か、特定的な行動か

自己効力感が特定の行動や状況に限定されているものか、それとも、その他の類似行動や状況などにおいても適用可能かどうかということです。特定条件での特定行動においての成功体験が多いほど、人は自信を得ることが出来るため、似たような行動を行う場合でもうまく出来るという確信を得やすいということです。

より多くの経験を有するほど、この一般性が高まり、自己効力感の高めることが出来るとされます。

●強度(strength) 行動を実行できる確信の程度

自信の程度とも言い換えられ、自己効力感の強度が低い場合、わずかな失敗でも諦めてしまうことも少なくありません。強度を高めることで、多少の失敗でも挫折すること無く、行動を持続させることができます。

❍自己効力感の評価は3つの軸で変化する

自己効力感を評価しようとする場合どのような行動をどのような状況で行うのか、行動別、その行動の難易度も評価の対象となり、その行動への習熟度などが一般的レベルなのか、特定の状況においても習熟されているのか、行動の達成経験の頻度などによっても大きく変動することになります。

自己効力感の3つの軸

<自己効力感の3つの軸>

 

1-3 自己効力感を高めるために必要な4つの経験

バンデューラは社会的認知理論の中で、自己効力感の源を「4つの経験」を挙げています。

❍自己効力感の4つの源

4つの源とは、

  • 達成経験 (performance accomplishments)
  • 代理経験 (vicarious experience)
  • 言語的説得(verbal persuasion)
  • 生理的状況(physiological states)

これらの経験をどのように認知するかによって、自己効力感への影響が異なるといわれています。この4つの経験をまとめていきましょう。

❍達成経験(performance accomplishments)

人は何らかの行動や成果を達成することによって自己効力感が向上し、もっとも影響を与える経験とされます。しかし、その逆、失敗の経験は自己効力感を低下させることがあります。達成経験や失敗経験による自己効力感の変化は、同じ経験でもその経験の認知によって変化します。

失敗経験は経験する時期にも左右されることがあり、行動を始めたときに失敗の経験を続けてしまうと自己効力感は低下してしまいますが、ある程度の成功経験がある場合、影響は少ないと考えられます。

●達成経験の認知

達成経験や失敗経験は認知的な要因の一つとされ、自己コントロール出来ると考えるか、環境にコントロールされると考えるかということにも影響されます。

❍代理経験(vicarious experience)

他者の課題達成経験を観察することによっても向上させることができます。自己の達成経験よりは影響力は弱く、変化に対しても弱いとされています。

この代理経験もその経験をどのように認知するかによって変化します。観察する対象者の年齢、能力、根気やモチベーションなどがどれくらい自分と似ているか、観察対象者の達成する課題の難易度、観察者の成功経験の状況、経験の多様さなども影響するとされています。

❍言語的説得(verbal persuasion)

言語的説得によって誘発された自己効力感は達成経験よりも弱く、単体では弱くても他の経験と組み合わせることによって効果が期待できます。

誰が声をかけるのか、声掛けをする人への信頼感、能力などによっても大きく変化します。自分が信頼できる情報とどれだけ接することができるのかということによって、自己効力感は大きく変化します。

❍生理的・感情的状態(physiological states)

感情も自己効力感に影響することはいうまでもありません。

しかしながら、ストレスフル状況や困難な場合に引き起こされる感情は、自分自身の能力の他係となることもあります。不安を感じた時の身体に現れる生理的変化(震え、発汗、ドキドキ感など)は、自分の能力を判断する手がかりとなる現れです。健康を意識するときにこれらの変化を客観的に知っておくこともプラスになると考えます。

❍自己効力感の先行要因として

上記の4つの源を基本として、他者の成功経験を代理経験とするために、想像的体験・イメージをすることも有効です。さらに、他者から認められること、承認されることもさらに自信を得ることが出来自己効力感の向上につながります。

 

2.今日のプラスα ~健康行動を促す自己効力感~

2-1 自己効力感はどうして必要なのか?

❍自己効力感が低いと…

  • 自分には出来るはずがない
  • やっても無理、ムダなだけ
  • きっと失敗するに決まっている

自己評価の低下、他者からの評価など社会的自信を失い、ネガティブの悪循環に陥り、能力を有していても結果に結びつけることが出ないために、成果を成すことは出来ません。

❍自己効力感を高めると…

  • さらに自己効力感を高める好循環を生み出す
  • 行動達成、目標達成できる可能性が高まる
  • 積極的に成功経験につながる行動、努力することが出来る
  • 失敗しても容易に立ち直れる
  • 過去の経験した類似体験から、達成可能と考え、同様の行動をとることが出来る
  • 自己効力感が高いことによって、生理的・心理的反応の変化が得られる
    • 不安感や、恐怖感が減少し心拍数を安定させやすい

自己効力感を高めることによって、目標達成につながる行動を起こすことが出来ます。目標達成することにより、自信につながり、何事にも積極的にチャレンジする行動に移すことができます。前向きに思考が拡がり、周囲の代理経験を取り入れ、行動する力が強化されます。

たとえ失敗しても、そこからヒントを得ようとする思考の転換につなげ、乗り越えることが出来るというメンタル強化となります。自信を得ることも容易くでき、次のアクションプランへと修正させ、さらに自己効力感を向上させるというポジティブなサイクルとなります。

自己効力感を高めると

<自己効力感のメリット>

2-2 健康力を高めるための自己効力感

自己効力感は多種ある状況の中で特定の行動遂行のために確信度とされていることをここまでまとめてきました。そのことを踏まえて、主観的健康管理能力(Perceived Health Competence)というもの、この測定尺度として、PHCS(Perceived Health Competence Scale)と、状況や行動を特定しない一般的な自己効力感として一般性自己効力感(General self-efficacy)が挙げられます。

●主観的健康管理能力尺度(SHCS:Perceived Health Competence Scale)

●一般性自己効力感(General self-efficacy)

❍主観的健康管理能力とは?

健康を維持するための考え方として自己効力感として、主観的健康管理能力があります。運動や食事の管理など特定の健康行動よりも広範囲の管理力として、一般的な健康管理を行う能力に関する信念とされています。自己効力感の結果に対する期待(結果予期)と行動に対する期待(効力予期)の両方を含みます。

考え方は人それぞれです。性格ももちろん異なるし、価値観の違いから、一般的な状況や環境でも行動は異なります。自己効力感も性格や自己概念に近いものを有用とする考え方もあります。PHSCは、身体的・心理的健康との関連や健康に関する信念とされ、健康行動との関連が提唱されています。

❍一般性自己効力感

一般性自己効力感とは、健康からさらに領域を拡張されたスケールが提示されています。

その定義として、

「厳しい状況やあたらしい状況一般に対する

能力についての全体的な自信」

とされていますが、領域特定的な自己効力感の代替としては用いられないとという指摘もあります。

❍最後に…

生活習慣の改善に向けて

変わりたいけどどうせ無理…

目標を立ててもどうせ実現できない…

すぐに飽きてしまう…

続かないから頑張っても仕方ない…

こんなネガティブなサイクルから抜け出すための行動変容を促す概念として、自己効力感はとても有力が考え方です。人はどうして行動するのか?そのようなことに対して、自己効力感と行動との関連性が示されています。

あらゆる分野にて用いられ、医療教育の場でも多く取り入れられています。コロナ禍の生活を背景とした今、健康に多大な影響を与える行動を、社会の中でひとり、ひとりが自分の健康を考え、選択が求められる、そして、その選択において、自己効力感を向上させることも左右されるのではないでしょうか。

健康を意識した行動を行うことができるのか、どこまで努力できるのか、自己目標を掲げ、その目標に向かい、幾多の失敗に対しても、継続して努力することが出来るのかということに影響するのが自己効力感です。

新型コロナウイルス感染症のリスクとして、喫煙や肥満、糖尿病などの生活習慣に起因する疾患が挙げられています。禁煙や生活習慣病の改善には健康を意識した行動への変容が求められ、自己効力感の向上だと私は考えます。

自己効力感を向上させよう

※関連ブログ「肥満はリスクになる⁉肥満のメカニズム

生理検査アティテュード® ホンネの話

自己効力感が下がっているなぁ…

 

「何を書こうかなぁ…」そんなことをいつも考えているのですが、いろいろ模索しながら、意識に上った、気になったそんなワードが「自己効力感」でした。

自己肯定感ではなく「自己効力感」なのです。今回まとめたように、効力感は結果に対する効果です。何か成してその成果に対する期待感です。

なかなか成果が得られないとき、まさにモチベーションはガクンと下がります。2020年に始まったコロナ対策で、対面イベントはすべて中止…コミュニケーションにおいては、対面が必須と思ったことも事実ですが、オンラインでもまぁまぁなのですよね。オンラインにはそのメリットも感じられましたがやはり気分は半減されます。対面で得られるノンバーバルの比重は私にとって非常に大きなウエイトだったようです。

今年には入り、ひょんなことから(実際は自分の無意識が求めていたことだったのでしょう)半年間トライしていたこと(後日書きたいと思っています)がありました。それを終えた今、思うこと…

今の自分に何が出来るのだろうか?

そんな呪文のような思いに囚われているのがホンネです(笑)

やはり若くない、体力的にはさほどの変化を感じないけれども、確実に視力が低下しているという身体的事実も自覚しています。でも、今だから出来ることが確実にあると信じている自分自身との葛藤もそこには存在しています。

DSC_2805~2

Pure Medical attitude

生理検査アティテュード®

Junko Katayoshi

今日のまとめ

  • 自己効力感とは、結果を成し遂げるために必要な行動、成功裏に実行できるという確信
  • 効力予期によって行動し、期待予期によって実現へと行動できる
  • 健康習慣行動への変容を促すために自己効力感を高めることは有効

 

<Pure Medical attitudeからのお知らせ>

『ことばに出来ない…だから心と向き合う時間を』

何を話していいのかも分からないけど

すごく苦しい、痛みを感じること

そんな心を抱えているとき

身近にいない人だから役に立つこともあります。

『ことばに出来ない…だから心と向き合う時間を』

Pure Medical attitude

かたよし 純子

 

今日の情報引用・関連サイト
  • 自己効力感 Wikipedia
  • 放送大学出版 「健康への力の探求・自己効力感」 米倉 佑貴 聖路加国際大学大学院教授

Pure Medical attitude 過去のブログ

●今日のテーマの関連ブログ
Pure Medical attitude 生理検査アティテュード®

かたよし純子 Junchan♪  ※自己紹介はこちらから

臨床検査技師/超音波検査士/健康管理士一般指導員/健康管理能力検定1級/介護予防運動指導員/米国NLP協会認定NLPトレーナー/臨床心理学 および 基礎エキスパート取得

今日も最後までありがとうございました。