元気&HealthのJunchanのblogにご訪問ありがとうございます。医療スタッフのメンタルパートナー かたよし純子です♪今週は、尿と膀胱に関連するあれこれをまとめています。初回は、膀胱のメカニズム、2回目は、排尿トラブルに関して、そして最終回は、尿路系にみられる疾患をまとめていきたいと思います。女性が気になる膀胱炎、激しい痛みをともなう尿管結石など、そして膀胱がん、前立腺がんなどなどちょっと気になる疾患も多くあります。なかなか聞きにくいことをまとめていきたいと思います。

 

1.尿路系の疾患を知るための3つのあれこれ 

1-1 尿路感染あれこれ:腎盂腎炎の関連疾患、女性に多い膀胱炎

1-2 尿路結石のあれこれ:腎結石 尿管結石 膀胱結石

1-3 尿路の腫瘍性疾患あれこれ:腎がん、膀胱がん、前立腺がん

今日のプラスα

2.尿潜血陽性から疑われる疾患 

3.男性ならどの年代でも罹患します!急性前立腺炎

 

1.尿路系の疾患を知るための3つのあれこれ

1-1 尿路感染症あれこれ:腎盂腎炎の関連疾患、女性に多い膀胱炎

尿路感染症とは、尿路系、腎臓から尿管、膀胱、尿道までのあいだで起こる細菌感染などによる疾患です。上部尿路感染症と下部尿路感染症とに分けられます。

【上部尿路感染症:急性腎盂腎炎とは?】

膀胱よりも上部の腎臓から尿管までの尿路のおもに細菌感染のよりおこる疾患をいいます。おもな疾患に、急性腎盂腎炎や急性巣状細菌性腎炎などがあげられます。

【腎盂腎炎とは?】

腎盂腎炎は、腎臓の細菌感染により炎症を起す疾患です。感染経路として、尿道からの感染が多く、尿道が短く、肛門と尿道口とが近いために女性が多い疾患です。

〔急性腎盂腎炎とは?〕

急性腎盂腎炎は、腎臓に細菌が侵入し引き起こされる感染症で、急激な症状として現れます。早急に治療をすることで3~5日で落ち着くとされますが、放置すると症状が悪化することもありますので注意が必要となります。慢性腎盂腎炎に移行することもありますので早めの受診が勧められます。

〔急性腎盂腎炎の原因:女性に多い、膀胱炎からの発症〕

腎臓への細菌感染経路として、尿道から膀胱内に侵入した細菌が膀胱から尿管に逆流した尿を介して腎臓に移行し、腎盂、腎杯や腎実質へ感染することがもっと多いようです。尿道から膀胱炎を起こし、さらに急性腎盂腎炎を発症するという感染が女性に多いようです。その他の感染経路としては、腎臓周囲のリンパからの感染(リンパ行感染)身体の他の臓器での感染源から血液を介しての感染(血行感染)などがあげられます。

〔尿逆流の原因〕

ほとんどが尿の膀胱からの逆流が原因で、その逆流の原因として、前立腺肥大などが原因の尿道の狭窄、前立腺がん、尿路系の結石、腎盂や尿管の形態異常、神経因性膀胱、膀胱尿管逆流などがあげられます。また妊娠による尿路系の圧迫などによる狭窄による基礎疾患がなどの発症リスクがあげられます。

細菌感染への免疫力が低下している疾患をお持ちの方、糖尿病、抗がん剤やステロイド剤を使用されている方も尿路感染症が多くみられるようです。こうした感染は全身が弱ったときにおこりますが、こういう場合、原因となる細菌は、おもにブドウ球菌をはじめとするグラム陽性球菌です。

〔急性腎盂腎炎の原因細菌〕

大腸菌、プロテウス、緑膿菌、クレブシエラ、セラチア、シトロバクターなどのグラム陰性桿菌がほとんどです。ブドウ球菌や腸球菌などもみられます。若い女性で多くみられる膀胱炎にともなう急性腎盂腎炎は、大腸菌がほとんど原因とされています。

〔急性腎盂腎炎の症状〕

震えを伴う38℃以上の悪寒発熱で始まるとされ、悪心、嘔吐、全身倦怠感などの症状が強く現れます。さらに局所症状(炎症を起こしている腎臓周囲)として、腰痛、背部痛、脇腹痛など(体型により症状の位置がことなります)の腎臓の位置の痛み、頻尿、残尿感、排尿痛、尿の白濁(膿尿)、血尿などの膀胱炎症状などが出現します。

高齢者の場合は、全身症状が乏しく、高熱が出ないこともありますので注意が必要です。感染の多くは片側の腎臓にみられ、腰の片側の症状となりますが、両側に感染を招くこともあるとされます。

 

<生理検査アティテュード®からのメッセージ>

【腎盂腎炎の超音波画像とは?】

急性腎盂腎炎が疑われるときには、症状、身体所見、血液検査、尿検査などが行われます。

  • 症状  :悪寒発熱、腰背部痛、吐き気や嘔吐など
  • 身体診察:腰の叩打痛(叩くと痛みがひびく)
  • 採血結果:CRP、WBCの炎症所見
  • 尿検査 :膿尿(細菌感染による白濁)、尿沈渣での細菌尿

腰痛などの症状みられることがありますので、腹部超音波の依頼も受けます。エコー実施の時は、必ずこのような血液検査や臨床症状を確認してから検査を行います。でも、腎盂腎炎のとき、超音波画像としては、あまり所見が現れないのです。腰背部痛を訴えている身体の場所を伺いながら、その場所に何が描出されるかをきちんと判断し、腎蔵周囲に炎症性の浸出液などに有無を報告します。

〔超音波画像でみられる腎臓の感染症とは?〕

上部尿路感染症としてあげられたもう1つの「急性巣状細菌性腎炎」とは、腎盂腎炎からさらに感染が拡大された腎実質の感染症です。超音波で確認できるのは、形態異常です。腎臓の細菌感染が進行し、腎そのもの腫大や膿(うみ)がたまる膿瘍形成を起こしている状態ではじめて超音波画像として捉えられ確認されることがほとんどです。

〔急性巣状細菌性腎炎(AFBN:acute focal bacterial nephritis)とは?〕

急性腎盂腎炎の進行により急性巣状細菌性腎炎を発症します。さらに進行した状態が、腎実質に膿瘍形成した状態、腎膿瘍(renal abscess)となります。このように急性巣状細菌性腎炎は、急性腎盂腎炎と腎膿瘍の中間の状態とされています。

〔若い検査技師さんへ〕

私たち検査技師が、急性腎盂腎炎の疑い依頼で検査実施させて戴く時は、この病期をちゃんと把握して行うことが大切です。腎臓のサイズを計測し、左右を確認することで、腎臓の炎症性の腫大を疑うことが出来ます。その時に大切なのは、検査を行った時の腎臓に対する第1印象です。腫大感が有るか否かです。炎症があるときには必ず何らかの変化が臓器の中で起こっている状態です。その腎臓が訴えている微妙な変化をキャッチしてください。そして、明文化して、ことばとして依頼医に伝えてください。伝えなければ検査を実施した意味は半減、いやまったく意味をなさなくなります。正常範囲だからOKと切り捨てすることなく、「正常範囲だけれども、左右差として現れている」または、左右で腎皮質の輝度が異なるなどのメッセージを伝えてください。所見を書くのを面倒がらずに伝えることが私たちコメディカルの大切な使命です。

〔慢性腎盂腎炎にも注意が必要〕

腎盂腎炎には、急性腎盂腎炎と慢性腎盂腎炎に分けられます。慢性腎盂腎は、急性腎盂腎炎が慢性化して起こることがありますが、別の疾患により持続的に炎症が起こっている場合もあります。急性と慢性では症状が異なるとされています。慢性腎盂腎炎では症状が現れないこともあり、症状が出たとしても微熱、倦怠感、頭痛などのみで、慢性腎盂腎炎に気づかずに進行し腎不全につながることもあるようです。

 

正常腎臓・腎盂・腎杯

<腎臓・腎盂・腎杯>

【下部尿路感染症】

尿路系の膀胱より以下の感染症で、通常、発熱は伴いません。ただし急性前立腺炎は例外とされます。膀胱炎、尿道炎、急性前立腺炎などがあげられ、順番にまとめていきます。

【女性に多い膀胱炎】

膀胱炎は、膀胱の細菌感染によりに起こる炎症で、急性膀胱炎、慢性膀胱炎、間質性膀胱炎に分けられます。慢性膀胱炎は急性膀胱炎が慢性化、間質性膀胱炎は原因がはっきりとわかっていないとのことです。

原因がはっきりしない膀胱炎で、アレルギーがかかわっていると考えられていますが、治りにくい病気です

【膀胱の細菌感染、急性膀胱炎とは?】

急性膀胱炎は、細菌感染によるものと、細菌以外によるものとがありますが、多くは細菌感染が原因となります。通常健康な膀胱では、膀胱粘膜の防御機能により尿とともに、膀胱に侵入した細菌も排泄されています。そのため健康な身体では膀胱炎から守られています。

〔急性膀胱炎の原因〕

急性膀胱炎は、細菌などが尿道から膀胱内に侵入し感染、炎症を起こした状態です。原因菌は、ほとんどが大腸菌で、肛門や外陰部などから尿道口へさらに尿道から膀胱内に侵入するとされています。通常は、膀胱の免疫機能により細菌が侵入しても炎症を起すことはありませんが、疲労やストレスにより自己免疫力が低下し抵抗力の低下がみられると、原因菌の増殖、感染となり急性膀胱炎を発症となります。

[女性の多い急性膀胱炎]

冷えや排尿を我慢すること、また水分摂取量が少なく1日の尿量少ない場合も原因となることも少なくありません。特に女性は、男性よりも肛門と膣や尿道口が近く、骨盤底筋が傷つき尿道括約筋のはたらきが弱い、尿道が短いために急性膀胱炎を発症しやすいなどが発症リスクも高くなります。膀胱炎はくせになるのではなく、このようなリスクを排除すれば予防できる疾患ともいえます。

[男性の急性膀胱炎は?]

男性の場合は、急性膀胱炎は起こりにくく、単純な細菌の侵入ではなく前立腺炎が合併していることが多いとされます。その他に、前立腺肥大症、尿道狭窄、膀胱がん、尿路結石などなんらかの原因があると考えられることが多く、検査を受けることが勧められます。

尿沈渣検査で、多数の白血球と細菌が観察されることで尿路感染症は診断されます。糖尿病などの合併症として膀胱炎を発症することもあり細菌性膀胱炎となります。細菌以外では、ウイルス感染よる急性出血性膀胱炎、アレルギー反応によるアレルギー性膀胱炎があるとさます。

〔急性膀胱炎の症状〕

急性膀胱炎の症状としてあげられる主なものは、排尿痛、頻尿、尿混濁です。膀胱炎は、膀胱壁が細菌感染により、炎症を起こした状態です。

  • 排尿痛 排尿時の痛み、特に排尿時

排尿による急激な収縮による刺激で痛みが起こります。下腹部や尿道口の痛みとしてあらわれることが多く、悪化すると、鈍痛や焼けつくような痛みがあるとされています。

  • 頻尿  残尿感をともなう頻回な尿意

頻回に尿意を感じても、ほとんど尿が出ない、しかし、またすぐに行きたくなり、残尿感が伴う。1日10回以上におよぶこともあり、数分後にまた尿意を感じることもあるようです。

  • 尿混濁 膿尿(尿中白血球の増加による白濁)

尿中に排泄される白血球が増加し、尿の色調として白く混濁した状態です。悪化すると、血尿となることもあります。

その他、下腹部の重苦しい痛み、鈍痛や腹部違和感、尿の臭いが強くなるような症状もみられ、熱はみられても微熱程度とされ、高熱の時は、腎盂腎炎の発症が疑われます。

※関連ブログ 尿沈渣「健診結果を読む③ 尿検査

【尿道炎】

膀胱にためられた尿は、尿道から体外へ排泄されます。この尿道に炎症が起こり、発赤や痛み、膿などが出るのが尿道炎です。尿道炎とは、尿道粘膜での細菌感染が見られる状態で、薬物などによる刺激やアレルギーによってもおこりますが、多くは細菌感染が原因で、性感染症(STD)とされ、淋菌やクラミジア感染症により発症します。

〔性感染症による尿道炎〕

おもに、排尿時痛と違和感、尿道口からの膿の排出です。一般的に淋菌感染の場合は、黄色の膿、クラミジア感染は白っぽい膿とされるそうです。尿中の白血球や細菌の有無で診断されます。

健康人の尿道には、淋菌とクラミジアは存在せず尿道に存在すると必ず炎症を起こすとされます。尿道、子宮頸管、咽頭、直腸が感染場所で淋菌やクラミジア感染している際に、人から人の直接感染とされる性感染症です。

女性の感染は、子宮頸管のため自覚症状が無く、母子間での感染も見られ、卵管閉塞など不妊や子宮外妊娠の原因となる場合もあるとされます。受診される機会がなく、潜在的なSTDが多いとされているようです。

男性の感染を放置すると、淋菌やクラミジアが、精巣上体炎を起こし不妊の原因にもなります。

〔異物による尿道炎〕

通常膀胱の中に細菌は見られませんが、尿道口近くには、多くの細菌が常在菌としてブドウ球菌、レンサ球菌などが、誰にでも存在しているとされます。しかし、人の身体はその免疫力でバランスが保たれています。しかし尿道カテーテルなど挿入時などは、常在菌の増殖などにより尿道炎を引き起こすこともあります。

 

1-2 尿路結石のあれこれ 腎結石 尿管結石 膀胱結石

尿路結石とは、尿路系の腎臓、尿管、膀胱、尿道いずれかの部位で形成される硬い固形物で、結晶となったものを結石といます。結石が原因となり激痛を伴うさまざまな疾患が引き起こされます。疼痛、悪心、嘔吐や血尿を引き起こすことがあり、続発性の感染症から悪寒や発熱を伴う場合もあり、尿路系の感染症や尿路の閉塞の原因となることがあります。

結石が小さい場合は、症状がみられませんが、大きな結石が発生すると、激しい痛みを生じます。中年以上の成人および男性で比較的多くみられます。結石の診断には、X線やCT、超音波などの画像検査や尿検査が行われます。

【尿管結石の分類】

尿管結石は、尿路系に出来る結石の総称となります。

〔結石の存在部位による分類〕 ※ほとんどが上部尿路結石とされます。
  • 上部尿路結石:腎結石、尿管結石、
  • 下部尿路結石:膀胱結石、尿道結石
〔結石の構成成分の種類による分類〕

シュウ酸カルシウム結石、リン酸カルシウム結石、尿酸結石とこれらが混在するものが多くみられます。他に、尿路感染によるリン酸マグネシウムアンモニウム結石、遺伝性に発生するシスチン結石がります。

〔特殊な名称の結石〕
  • サンゴ状結石:腎臓の腎盂、腎杯のほぼ全体を埋め尽くすように鋳型状に増大した結石を認めることがあります。
  • 嵌頓(かんとん)結石:尿管内の同一部位に長期間存在し、嵌頓状に尿管と癒着した状態でみられる。

【どうしてできるの、尿管結石?】

結石の大きさはさまざまあります。肉眼で見えないほどの微細なものから、数cmにおよぶ大きなものまで、腎盂に出来る結石では、特殊なサンゴ状結石までさまざまなものがみられます。尿管結石の成因には、結晶形成、凝集など結石形成にはさまざまな要因が関与しているとされます。

〔塩類の代謝異常〕

塩類の代謝異常は最も重要な危険因子とされ、結石の材料となるカルシウムなどの塩類が、尿中で過飽和となることや、尿中での結石形成の阻害物質が不足すること結石が形成されるとされています。高カルシウム尿症、高シュウ酸尿症、高尿酸尿症、低クエン酸尿症、低マグネシウム尿症などが結石形成に大きく関与するとされています。

〔尿のpH関与〕

尿pH、酸性度も結石形成に影響するとされます。

  • アルカリ尿:リン酸カルシウム結石、リン酸マグネシウムアンモニウム結石
  • 酸性尿  :尿酸結石、シスチン結石
〔内服薬の関与〕

内服薬が原因で結石が形成されることもあり、緑内障治療薬、活性型ビタミンD、尿酸排泄促進剤、AIDS治療薬などがあげられるようです。

〔尿路系疾患による成因〕

尿路系に通過障害や変形などがある場合にも、尿の停滞により結石を作りやすくなると考えられます。

腎盂に尿がたまった状態となる水腎症では、腎結石、前立腺肥大症や神経因性膀胱では膀胱結石を作りやすいとされます。長期間寝たきりによる人では、骨吸収が促進される状態となり結石の原因とされます。慢性的な尿路感染も結石形成のリスク因子です。

〔食事と尿管結石〕

生活習慣との関連性も無視できないようです。動脈硬化と類似の発症とされ、メタボリックシンドロームとの関連性もいわれて、予防にも多くの共通点があります。水分を多くとる、肥満防止、食生活改善が基本とされ、動物性タンパク質、茶、紅茶、アルコール、とくにビールを減らす、ホウレンソウなどシュウ酸の豊富な野菜に気をつけること、カルシウムを適量とることなどとされています。

【尿路系結石の症状】

尿管結石を経験された方は、その激しい痛みの記憶を呼び覚まされるのではないでしょうか。

尿管結石の特徴的な症状は、疝痛発作(突然の激しい痛み)と血尿です。尿管結石が、尿管や腎盂など尿の排出経路を塞ぐと、背部痛や腎疝痛という特徴的な激しい痛みをおこします。腎疝痛とは、尿路系が結石により妨げられ、腎盂の内圧が急激に上昇するために起こる激痛です。間欠的で激しい痛みで、肋骨から腰にかけて生じることが多く、腹部から陰部まで痛みが拡がり、下腹部から鼠径部、精巣、外陰部などに放散する場合もあります。

波のような強弱がある痛みを生じる傾向があり、吐き気や嘔吐、発汗、血尿といった症状がみられます。頻繁に尿意切迫を覚え、結石が尿管を通過するときに著明に症状がみられます。ときどき悪寒や、発熱、排尿時の灼熱感や痛み、尿の濁りと悪臭、腹部の腫れなどもみられます。

〔痛みの無い腎結石〕

尿路結石が作られても、ごく小さいものは何の症状もないものがあります。また、健診の腹部エコーで偶然見つかる腎結石などもあります。1~2cmくらいのしっかりした結石を腎臓内部にみることがありますがまったく何も症状みられない結石もあります。このように腎臓に結石があっても、尿が排泄される尿路系に影響なく、感染症の原因としても問題がないような場合は経過観察とされます。腎結石は、ごくわずかな腰部の鈍痛のみで見過ごされ、結石周囲で細菌感染を起こし、膿尿や細菌尿を認めるということもあるようです。

腎臓で形成された腎結石は、このように無症状で経過することが多く見られますが、尿管内に落下し、尿流が閉塞されると腎盂内の圧が急激に上昇し、腰背部から側腹部にかけて激痛や下腹部へ放散痛が生じます。尿道結石や膀胱結石では膀胱刺激症状の他に尿流が途絶され痛みが生じることがあります。結石が排出される時には、通常排尿痛や違和感を伴いますが、無自覚に排石されることもあります。

尿路結石は、尿流が閉塞されことで生じます。結石が動き、刺激されることで激しい痛みを伴います。

結石の長径が5mm以下では、自然排石される可能性が高いとされます。結石が自然に排出されず、閉塞や感染によって腎機能が障害されている場合です。

 

水腎症

<水腎症>

 

1-3 尿路の腫瘍性疾患あれこれ:腎細胞がん、膀胱がん、前立腺がん

尿路系にできるがん、腎細胞がん、膀胱がん、前立腺がんなどをまとめていきましょう

【腎細胞癌】

腎細胞がんは、腎臓の腎実質、尿細管上皮細胞から発生したがんです。腎盂の細胞から発生したがんは、腎盂がんといわれ区別されています。腎細胞がんは腎がん全体の約9割と多く、一般的に腎がんといわれると、腎細胞がんのことをいいます。腎細胞がんは、がん全体の約1%の割合で50~70歳代の男性に多くみられ、高齢になるほど効率になるとされています。

健診などで発見される腎蔵に限局した小さいがんでは90%以上治癒率とされているようですが、5~6cmでは20~30%、7~8cmで30~40%の割合で再発を認め、10cm以上のサイズや転移が認められた場合は予後不良とされます。肺にもっとも多く、再発や転移を認め、骨、脳、肝臓などにもみられるようです。

〔腎細胞がんの症状〕

腎細胞がんには、特徴的な症状はなく初期の小さなものは、健診や他疾患の検査で偶然に発見されるものが多いようです。他の臓器への骨転移による疼痛や骨折、肺転移による血痰などの症状で発見される場合も少なくありません。

がん進行により腹痛、血尿、背部痛、腰痛、腹部腫瘤の触知、足のむくみ、食欲不振、吐き気や便秘、腹痛などが生じたりすることもあります。さらにがん細胞が拡大すると、発熱や全身倦怠感、貧血、体重減少などの全身症状がみられるようになります。まれに、赤血球増多症や高血圧、高カルシウム血症もみられます。

〔腎細胞がんの原因〕

腎細胞がんのリスク要因としてあげられるものには、

  • 生活習慣に関する要因:喫煙と肥満、高血圧
  • 職業関連 :石油由来の有機溶媒への長期関与
  • 腎不全による透析:長期間(10年以上)の透析治療
  • 遺伝子異常

【膀胱癌】

膀胱は、粘膜の粘膜上皮細胞からできた悪性腫瘍をがんといい、その他筋肉や脂肪組織から発生した悪性腫瘍を肉腫といっています。

〔膀胱がんの症状〕

膀胱がんの症状としては肉眼的血尿(赤~茶色)があげられます。また、頻尿、排尿痛など膀胱炎のような症状を示します。

膀胱がんは、比較的ゆっくりとした進行で、症状が軽く、そのため症状が感じられた時点で初期であるとは限らず、すでに筋層への浸潤、転移を認めていることも少なくないとされます。

・肉眼的血尿

見た目に血液のような色調、肉眼的血尿を認めます。一般的に痛みを伴わず、無症候性となります。凝血塊(血液のかたまり)が見られることがあります。血尿がそのまま尿路系のがんにつながることとは限りませんが、尿路系に何らかの異常があることになりますので、必ず診療機関の受診は必要となります。数日経過すると血尿が止まるなど一過性の場合がありますが、そうした場合も早めの受診が必要です。

・膀胱刺激症状

膀胱刺激症状とは、頻尿、尿意切迫感、排尿時痛や下腹部の痛みなどをいい、これらの症状が出現することもありますが、膀胱炎の症状に似ていて、抗生剤を用いてもなかなか治癒しないことが特徴ともいえます。

・背部痛

膀胱がんが拡大し、尿道口を閉塞することにより、尿流が妨げられ、上記の水腎症のじょうたいになり、背部痛を感じることがあります。

〔膀胱がんの原因〕

膀胱がんの最大の原因は、喫煙です。

その他、ゴム、皮革、織物や色素工場で使用されるアニリン色素、ナフチラミンやベンチジンなどの染料など慢性的な接触など。食物では、ワラビ、ゼンマイなど、抗がん剤のシクロフォスファミド、鎮痛剤のフェナセチンなどがあげられています。

このような発がん物質が接触することで、発がん抑制遺伝子の変異がおこるとされています。

【前立腺癌】

前立腺がんは、前立腺細胞が無秩序に増殖をくり返す疾患とされます。65歳以上で多くみられ、年齢とともに増加するとされます。おもに辺縁領域に発生比較的ゆっくりと進行し、発症初期に発見できれば他のがんに比較し、治りやすいがんともいわれています。

しかし中には、比較的速い進行がみられさまざまな障害をまねくものもあります。がんの進行により、精囊や膀胱に浸潤していくものや、リンパ行性転移することや、リンパ節転移、骨転移することが多く、転移が肺や肝臓におよぶこともあります。

〔前立腺がんの症状〕

前立腺がんは、多くの場合初期症状がなく、同時に存在する前立腺肥大症による症状(排尿障害、頻尿、残尿感)と類似した症状で、前立腺にしこりが出来ることにより尿道が圧迫されて起こる症状となります。そのほか下腹部の不快感などがあります。がんが進行することで血尿、骨転移などによる腰痛が見られるようになることもあります。がんが進行していくと、膀胱や尿道などへの浸潤を認め、血尿や血性液症などの症状が見られることがあります。前立腺がんは進行すると骨に転移しやすく、腰痛などでの検査で発見されることもあります。

〔前立腺がんの発生リスク〕

前立腺がんのリスク要因としては、喫煙があげられます。肥満やカルシウムの過剰摂取などもリスクとなるようです。また、男性ホルモンが関与しているともいわれ、加齢にともなうホルモンバランスの変化が関係していると考えられているとされます。

 

2.尿潜血陽性から疑われる疾患   

血尿は、健診などの尿検査でよく発見されることが多いようです。尿路系の疾患、尿をつくる腎臓、尿が通る尿管、尿をためる膀胱、体外に排泄する尿道の疾患を見つかるためのサインとなります。男女差でみると女性が多くみられるとされます。

【肉眼的血尿と顕微鏡的血尿】

  • 肉眼的血尿 :尿の色調が赤い
  • 顕微鏡的血尿:見た目には赤くない、尿定性法で潜血陽性となる

膀胱がんの多くは、肉眼的血尿で発見されることが多いとされますが、顕微鏡血尿でも、腎細胞がんなどの重要な疾患のサインとなります。

【血尿の原因】

血尿の原因は、尿路系、腎臓、尿管、膀胱、尿道この4つの場所での出血を意味しています。

原因として多くみられる疾患は、感染症による炎症、結石、腫瘍などがあげられます。その中でも腎臓の糸球体腎炎も重要な原因になります。潜血とともに、尿タンパクの混在が疾患を考える上での重要なサインとなります。がんなどの悪性腫瘍は、早期発見がのぞまれますが、尿潜血が、発見の契機となることもあります。

膀胱がんは、肉眼的血尿とされますが、顕微鏡的血尿でも発見され、尿路結石症では、ほとんどの場合、顕微鏡的血尿を伴います。

【血尿がみられる疾患】

〔腎臓〕

腎盂腎炎、腎結石、腎がん、腎盂がん、糸球体腎炎、急性糸球体腎炎、IgA腎症、膜性腎症、急速進行性腎炎、巣状糸球体硬化症、腎外傷、腎血管異常(ナットクラッカー症候群、腎動脈瘤など)

〔尿管〕

尿管結石、尿管がん

〔膀胱〕

膀胱炎、膀胱結石、膀胱がん

〔尿道〕

尿道炎、前立腺炎、尿道結石、尿道腫瘍、前立腺がん、尿道損傷

このような尿路系の疾患の早期発見には、尿検査が重要となります。血尿がみられた場合には、早めの受診をお勧めいたします。血尿は、自分の身体からのサインです。大丈夫と思いこむのは、発見を送られることにもなりかねません。

※関連サイト 身体がみえる臨床検査 §3 健診結果を読む③ 尿検査

 

3.男性ならどの年代でも罹患します!急性前立腺炎

【急性前立腺炎とは?】

前立腺の細菌感染による、急激な前立腺の炎症です。

多くの場合が、尿道から前立腺への細菌侵入による感染ですが、体内の他の場所から血行性やリンパ行性の感染も起こります。原因菌は、大腸菌、緑膿菌等の腸内細菌がおもなものとされ、その他に腸球菌やブドウ球菌のような球菌の場合もあるようです。

思春期以降の男性は、年齢に関係なく罹患し、高齢者の前立腺肥大症に合併して起こることも多いとされます。また、糖尿病がある場合、他の感染症同様、免疫力の低下が影響し、急性前立腺炎にかかりやすいともいわれています。

【急性前立腺炎のおもな症状】

前立腺が腫れるために、排尿困難、尿道、会陰部痛、頻尿などの症状が見られます。38℃以上の高熱、食欲不振などの全身症状などが現れる場合もあります。膀胱炎を併発することも多く、それに伴う排尿痛、残尿感、筋肉痛、関節痛などもあります。尿は混濁し、排尿の終わりの血尿などもみられるようです。下腹部痛や、会陰部痛のために歩行や座位が困難な場合もあり、入院治療となることもあり、激しい炎症の場合は、敗血症を併発し、多臓器不全などで命にかかわることもあるようです。

 

今日のまとめ

  • 女性に多い腎盂腎炎、尿道からの細菌混入、尿の逆流による腎盂の感染症
  • 尿路系の結石は、結石の位置する場所で激しい痛みを伴い、痛みも動く
  • 血尿は、尿路疾患、身体のサインです。症状無くてもちゃんとチェック

いよいよスタートします!

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・関連サイト 泌尿器科学会日本夜尿症学会

<Pure Medical attitude のblog>

「今週のテーマ関連ブログ」

・身体がみえる臨床検査 §1 健診結果を読む① 身体の数値 2017.7.17

・身体がみえる臨床検査 §3 健診結果を読む③ 尿検査 2017年7月21

今週のテーマblog

「尿と膀胱のきになるあれこれ」 2018.3.26 ~

・§1 排尿のメカニズム  2018.3.26

・§2  悩ましい排尿トラブル 2018.3.28

「最近のブログ」

「胃への気づかい」2018.3.19~

・§1 胃の働きと機能の理解 2018.3.19

・§2 胃潰瘍と胃の炎症性疾患  2018.3.21

・§3  治りやすい胃がんそのための早期発見 2018.3.23

「膵臓の声を聴く」2018.3.12~

・§1 膵臓の位置と役割 2018.3.12~

・§2 膵臓の炎症性疾患「膵炎」とは? 2018.3.14

・§3  発見が遅れる、膵がんとは? 2018.3.16

 

「CKDを知って欲しい」 2018.2.26~

・§1 腎臓の構造と慢性腎臓病(CKD)の定義 2018.2.26

・§2 腎臓のはたらき、機能を知る  2018.2.28

・§3 CKDのステージ理解と対応その1  2018.3.2

・§4 CKDのステージと対応その2 2018.3.5

・§5 メタボへの対応でCKDから守る 2018.3.7

・§6 食事療法と運動のポイント 2018.3.9

「糖尿病を知る」2017.2.19~

・§1  知って欲しい糖尿病の基礎 2018.2.19

・§2 症状を自覚する前に知って欲しい合併症 2018.2.21

・§3 病識高めて合併症も予防しよう 2018.2.23

 

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