医療スタッフのメンタルパートナーかたよし純子です。2018年、新たな年を迎え今年も早くも1週間が経ちましたが、今週から、テーマブログを再開です。どうぞおつきあいください。健康やメンタルを含めた内容で、臨床検査技師目線でのことばを加え、一般の皆さまにもわかりやすく、最新の情報提供の場と成るように更新していきたいと思っています。初回のテーマは、「医療者・介護者の在り方」です。昨年の最終テーマが「自分らしく生きること、在り方」でしたが、今年は当社の理念につながるテーマとさせて戴きました。多くの人たちに医療者、介護者のストレスを知ってもらいたい、医療関係者には自覚をして欲しいという意味を込めています。
1. 検査技師が見て、聞いて、感じた医療者のストレスとは?
1-1 ストレスの荷重が招く身体症状とは?
1-2 多くの心の叫びを聞いてきた
1-3 自分のストレスサインを押し込めることの危険性
今日のプラスα
2.医療者は、いつも元気で受け入れ場所を創ること
3.Pure Medical attitudeに行きついた原点とは?
1. 検査技師が見て、聞いて、感じた医療者のストレスとは?
1-1 ストレスの荷重が招く身体症状とは?
「ストレス」とは?もとは工学用語で、物質が歪みに反発する状態をストレスと呼んでいました。
【ストレッサーの再確認】
医学の分野にストレス理論を提唱したのが、以前のブログでもお伝えしていますが、生理学者ハンス・セリエ(Hans Selye 1907~1982)とされています。そして生体に加えられる力をストレッサーといいます。
<セリエのストレス理論>
【ストレッサーの分類】
ストレッサーは大きく2つに分類されます。外的な圧力と内的圧力との2つに大別されます。
〔外的ストレッサー〕
外的ストレッサーとは、外部圧力による物理的な身体に与えられるストレッサーとされるもの。身体に負担をかけことになる温度変化など。人の身体は、常に体温調節や血圧、心拍などの調節を身体の恒常生を維持するために無意識で行っています。血糖値スパイクや血圧サージなどのことばで聞かれたことがあるのではないでしょうか。また聴覚に負荷をかける状況、常時高音や異音など受け入れたくない音を聞かされる状況もストレスを感じることがあるのではないでしょうか。夜中の騒音や、電車などの公共施設の中での大きな喋り声や、ヘッドホンから漏れ聞こえる音など、聞きたくない音を無理やり聞かさせることもストレスとなる場合があります。
さらに、人間関係や社会情勢の変化による不安定さなどが社会的ストレスとされます。
〔内的ストレッサー〕
精神的にネガティブな感情にさらさせるような状況、喪失体験による強い悲しみ、侮辱や屈辱を受けた時の激しい憤りや憤怒などの感情、PTSDなどの恐怖感や、強い不安感などさまざまな感情や、憎しみなど心因性ストレッサーとなり自律神経に負担をかけます。
さらに年末年始の働き方改革が問題視されていますが、過労や極度の疲労から、不眠や健康障害、生理的、身体状況の変化も大きな内因性ストレッサーとなります。
<ストレッサーの分類>
【ストレスが招くさまざまな変化】
身体が不快なストレスを感じるとさまざまな変化が身体に現れます。
〔情動変化〕怒り、不安、恐怖、失望など
〔身体変化〕動悸、冷や汗、震え、息苦しさ
〔行動変化〕上記の症状を解消しようとしておこなわれる変化
このような、段階的な変化が現れます。現れ方は個人差がありますが、ストレスから自分自身を守ろうとする防衛反応の現れとなります。そのためこのような変化が現れた状態でキャッチすることが大切です。あまりにも強いストレスに晒され続けると、さまざまな身体症状となって現れることに成るからです。
<ストレス状態の兆候>
- 〔全身症状〕疲れやすい、だるさ、めまい、ふらつき、微熱など
- 〔睡眠障害〕眠気、入眠障害、中途覚醒、早期覚醒、熟睡障害など
- 〔頭部〕 頭痛、頭重感、偏頭痛など
- 〔感覚器〕 眼精疲労、痛み、耳鳴り、耳閉感、口渇、味覚障害など
- 〔四肢〕 手足のしびれ、脱力感、異常な感覚、冷えなど
- 〔皮膚〕 寝汗、発汗、かゆみ、じんましんなど
- 〔頸部〕 頸部の痛み、喉の詰まり、しびれ感など
- 〔呼吸器〕 息苦しさ、深く息を吸えないなど
- 〔心臓〕 動悸、息切れ、胸痛、不整脈など
- 〔消化器〕 吐き気、腹満、便秘、下痢、食欲不振、胃の不快感など
- 〔膀胱〕 頻尿、血尿、残尿感など
※上記のように、ストレスにより全身にさまざまな症状が現れます。
1-2 多くの心の叫びを聞いてきた
総合病院での勤務中には、さまざまな職種の方々と接する機会がありました。
【根底には後悔の記憶があります】
私が生理検査室のトップにいたとき、経費節減からパートしか採用してくれなかった時期に待望の新卒正規雇用が実現され新たに生理検査メンバーとして迎えた新人技師をうつ病へと追い込んでしまったことがありました。私自身が、プライベートで過大な問題を抱え込み、手に余るストレス状態でした。ちょうど拡大された検査対してサポートを考えなければならず新人にその職務を与え、担当の技師に任せていました。
社会に出たばかりで、1から10までマニュアルで教え込まれ、その通りに実践させることを求められ、次から次へと新しいことを押し込まれる。さらに生理検査という患者さんとのコミュニケーションも求められ、ミスをすると突っ込まれる。この繰り返しからかなりのストレスになっていたようでした。私が気づいたときには既に時遅く、このままではまずいと思いながらも何も対応できなく、医師から休養を言われやむなく退職してしまいました。私が大いに反省させられた事実です。どうしてもっと気配りできなかったのか今になっても悔やまれます。幸いその後新たな病院に就職が決まり、元気で過ごしていると聞いたときにはホッと安堵しました。
【体調不良の原因は?】
生理検査での勤務は、病院職員の人たちの検査も行う機会がよくあります。そんな中で、よくある症状が、ストレスからと思われるさまざまな身体の不調です。めまいや突発性難聴、胸痛や不快感、不整脈もありました。身体が疲れ果て、強制休養を求めているのです。
症状はその人のウィークポイントに現れるといわれます。私は、三半規管があまり丈夫ではありません。関越自動車道での横転事故の後しばらく車に乗るのが怖く、日常生活の中でも回転性のめまいに襲われることがしばしばありました。ある周期で、同じような症状を訴え来院される患者さんも少なくなく、半年や1年毎に腹痛で検査にいらっしゃる方もよくいらっしゃいますが、特別な所見も無い場合が少なくありません。
心の疲れは、何らかの形で身体症状が現れます。よくお腹の調子が悪くなる方や、呼吸器疾患をお持ちの方は関連する臓器にいちばんはじめに症状が出ると言われます。臓器そのものが不調なのではなく、ストレスからから来る症状。心身症となります。体調が悪く検査をしても数値に現れない場合は、何らかのストレスが原因になっている場合が少なくありません。
ただ、よく言われる胃痛、十二指腸潰瘍、最近では潰瘍性大腸炎もストレスから引き起こされる疾患としてよく聞かれます。何らかの症状があった場合は、放置せず受診することをお勧めいたします。
【多分にもれず大きなストレッサーとなる人間関係】
厚労省の健康状況調査で労働者のストレッサーのトップに上げられるのが人間関係です。ついで仕事の量、仕事の質などです。医療者のストレッサーも同じような項目があげられるのではないでしょうか。
これに加えて、医療者の場合、患者さんへの対応もストレッサーとしてはかなりの荷重がかかります。医療は常に命と関わる判断を余儀なくされます。臨床検査としても同様です。精密で複雑な検査業務を正確、迅速に報告することを常に求められます。特に、生理検査業務に携わる場合はストレスも倍加されます。患者さんを待たせてはいけない、予約時間を守らなければならない、毎日タイムトライアルをしているような状況で、時計とにらめっこをしていたことが私自身も懐かしく思い出されます。
予約時間で検査を行っているにもかかわらず、「早く来院したのだから早くやってもらって当然だ!何で後回しにされる!」と怒鳴られたこともあります。医療者も決して待たせて当然だなどと思ってはいません。より良い検査を患者さんにとって出来る限り提供していくことを最優先し、通り一遍な対応ではなく、適切な判断でひとりひとりに即した検査を実践することを目的としています。そして、ハードにもソフトにもその施設ごとに課題があり、思っている以上にいっぱいな状態で毎日の仕事をこなしているのが現状です。私が病院に勤務し始めた頃とは大きく変わっていることをさまざまな施設を見て実感しています。
【医療の質はコミュニケーションの質にある】
そして、医療はチームです。医師のみがいれば良いというわけでなないと思っています。医師はもちろん、看護師や他のコメディカルスタッフ、看護助手、クラーク、医事課スタッフさんたちとの連携も重要なのです。信頼できる人間関係の構築が良い医療チームと成ることが出来るのです。
以前私は、新人教育は、コミュニケーションから行うことが重要だと学会で発表したことがあります。その理由は、先にお伝えしたように技師がストレスにより辞めてしまったという苦い経験があるからです。新人は、まず職場の環境に馴染むことが大切だと思っています。初めての社会人として働くことになるわけです。アルバイトはしたことがあっても臨床検査技師として、国家資格を持ち働くわけです。意気込みもモチベーションも違うのではないでしょうか。その気持ちを受け入れる場を作ることが大切だと思うのです。学生だった技師が、国試に受かったからと言って、そのままでいきなり仕事ができるわけがありません。
ある病院の院長先生がとても良いことを言っていました。自分は院長として問題が生じた時に誤る覚悟はある。
「人は、注意していても失敗や間違いをしてしまいます。職員が失敗や間違いを残念ながらしてしまった場合は、自分が謝る、それが自分の仕事、役目だと思っている。その覚悟は常に持っている。そのことを反省し、またやってしまうからとそれ以降、何もやらないのではなく、失敗を真摯に受けとめ萎縮することなく再チャレンジしてもらいたい。」
すごくいい言葉だと思いました。信頼できる上司だと感じました。この姿勢を持って、新人を教育してもらいたい、何でも気軽に相談できる話せる環境とその器を職場にいちばんはじめに造ってもらいたいのです。そして、常に風通しのよい人間関係を保つこと、そのことが医療の場にはいちばん大切だと思っています。同職種のみならず、多職種との関係性も、もちろん同様の関係性の構築が大切とされると私は考えます。この状況は、医療だけではありません。よい業績を上げている企業すべてに共通しているのではないでしょうか。
さらに日進月歩の医療は、最新の情報を常にチェックし、高度な専門知識と技術を更新していくことは必須課題です。さらなる専門分野の資格取得には、勉強しなければ試験にも合格できません。私自身も1日仕事終え、家事をこなし、子育ての合間に勉強して資格習得をしてきました。
1-3 自分のストレスサインを押し込めることの危険性
上記にあげたストレスサイン、わずかでもキャッチして欲しいと思います。気のせいだとか、気にし過ぎると思わないでください。自分の身体のわずかなサインは、心の叫び声です。
【若い人こそ自己を見つめて欲しい】
ある程度、私くらいの年齢になれば、自分の年を考え若くないのだからと思い返すこともあるかと思います。若いときは、無理が利くために突っ走りがちになりやすく、ギリギリの状態まで自分自身を追い込んでしまいがちです。電通の若い女性社員(当時24歳)が自殺したという痛ましい事実、労災とされましたが、私たちがどのように受けとめるかです。きちんと受けとめ、考えることが、亡くなられた女性の供養になるのではないでしょうか。ストレスを抱える人にとって、クリスマスや年末年始、世の中が賑わう季節、ある意味特殊な時期だと私は感じています。どうして自分ばかりこんなに辛い思い、淋しく孤独な立場に置かれているのだろうか、世間の人たちはあんなに楽しそうに笑っているのに、と思ったかも知れません、仕事の荷重に心が押しつぶされた心は、反発することもできなくなり、おそらく正常な判断ができなくなるまで追い込まれていたのではないでしょうか。
若い人、そして働き盛りの30代、40代の人こそ注意をして欲しいと私は思っています。
【日常の変化を知ること】
微妙な変化を本人が気づかなくても、身近にいる人がいちばんに変化をキャッチして上げてください。
人は年を重ねるに従い、社会での役割も増えていくのではないでしょうか。親の介護の問題、結婚や出産、子どもの成長後は、子どもを取り巻く環境の変化に親の立場もさまざまに変化していきます。家庭環境でもいろいろな課題や問題が生じることも少なくありません。夫婦間のトラブルも大きく影響します。子どもの教育費などの経費の問題もあるのかも知れません。現代人はストレスフルだともいえます。それらに加え、仕事上の失敗や人間関係の問題などのトラブルが重なると、心身ともに大きな荷重とならざるを得ないのではないでしょうか。
【自らの経験が大きく影響した事実】
ひところ私の中での大きなストレスは、プライベートに関するものでした。その時は、職場がストレス解消の場だと豪語していたこともあります。私にとっては、存在価値を認められていたと自負する居場所が、生理検査室だったとも言え、その職場にいられたことが私には重要な意味があったのです。
どんなに辛い日常でも仕事があることが私にとっての心の支えであり、うつ病に落ち込まずにいられたことを考えると、言わばケートキーパーが職場だったようです。仕事のウエイトは大きいです。収入に繫がります。この世に存在する価値が私にもあるのだと思える一方、このまま、仕事と家のみの状態では自分がダメになるとも感じたため自分のために投資をすることを決心しました。学びにつながり大きく行動を変えるきっかけにも繫がりました。
しかし、学んでからも自らを酷使していることに気づかずに、心の叫びに気づかなければ今頃、大きく健康を害していたかも知れません。退職という選択は、自分の身体にとってギリギリの状態だったようです。今振り返るとそのとき気づかなかったことに気づくことができます。
2.医療者は、いつも元気で受け入れ場所を創ること
新人をうつ病にまで追い込み、退職させてしまったという事実は、私にさまざまなことを考え学ばせて貰いました。
【理由にならない理由づけをするならば】
中間管理職として、今ならば通常の会社ならば何らかの処分をされてもおかしくない状況だったと今さらながら思い出され、反省いたします。
自分自身がストレスを抱え、まともなメンタル状態ではなかったことも思い返さますが理由にはならないと今ならそう考えます。人は、さまざまな顔、役割を社会の中で持っています。そのすべてに自分なりの責任を持たなければならないということ、そしてうまく自分の中ですべての役割に対してバランスよく対応していかなければならいということです。今ならそのようにはっきりと言えます。
私は、資格を持ち働きたいと高校の時、進学を考えた時にそう決めていました。父と働く母を見ていたからかも知れません。だから国家資格を取得することを目的としていました。仕事を持ちながら働く女性は多くいます。結婚後も、出産後も仕事を続けている人も少なくありません。そんな女性は多くの顔、社会の中で多くの役割を持ち、それぞれの役割の中でさまざまな人間関係や悩みを持ちます。子どもが学齢期に入るとさらに多くの課題や問題が起こりえます。仕事のストレス以外にもプライベートでのストレスもさまざまです。
【自己開示の大切さを痛感できた】
私自身が自己開示を行うことですごく心が軽くなることを体験できました。スクールカウンセリングや、ママ友たちとのおしゃべりがストレス解消に繋がっていたことを実感しています。そのためにももっとカウンセリングを行うという習慣を持つ必要性を感じています。よく言われる井戸端会議は、ストレスになることも否めませんが、それなりに有意義なこともあるのです。自分なりにストレス解放する手段を持つことが望まれます。
今職場でストレスチェックが50人以上の企業では必須となりました。受けられたからも多いのではないでしょうか。私がここでお伝えしたいのは、ストレスの原因が仕事のみではないということです。
【受けとめる柔軟な心とは?】
心に負荷を負った状態で最高の仕事が出来ていたのか?と、今思うと大きな疑問があります。ストレスはどこかに必ず歪みが生じます。仕事もプライベートも円滑であることが求められます。仕事だから割り切っていても行動や思考の中に淀みとなり必ず現れています。小さなこと、些細もないことで必要以上にイライラしたり怒りを感じたり、私自身の過去でもさまざまなことが思い返されます。
ストレスは、心の器の中に淀みとなって堆積されます。日常のストレスも少しずつでも器の中にたまっています。貯められたストレスにより器の容積は上昇しています。その状態は、閾値が下げ、ちょっとしたことでイライラや怒りの行動となって反映されてしまいます。貯められたストレスは、何かの拍子にことばのトーンや行動にも必ず反映されます。そんな人たちを自分の周囲や職場で見ること、感じることが日常の中で少なくなく体験しているのではないでしょうか。「最近、〇〇さんすごく、イライラしているよね、元気がないよね」このような印象です。
医療に関わる人たちには、元気でいて欲しい。仕事もプライベートもストレスを溜めること無く、大きな心の器を持ち常に底にある笑顔が見える状態であって欲しいと強く願います。そんな大きな器で患者さんたちをいつも受け受け入れる状態を作っていて欲しいのです。 5分で出来るストレスチェック 厚生労働省サイト
3.Pure Medical attitudeに行きついた原点とは?
医療者でも、うつや不安障害を持つ人が少なくありません。
【今ならわかる身体のサイン】
社会の人の健康をサポートする立場のスタッフが心のバランスを崩しているのです。その経験をされた医師の方にも私自身、心理を学ぶ中で何人かお目にかかっています。看護師さんにも多く出会います。診療機関での医療者の置かれている心の状態が決してよい状況ではないこと、自らが心身ともに健康であることを求められているにもかかわらず、かなり厳しい状態であるといえると思います。介護業界でも同様なことが言えます。
退職の表向きの理由は、自分の体力の限界を感じたということと、実家の親のことも理由としました。その当時、潰瘍性大腸炎、不自然な姿勢から腰椎ヘルニアからの左足のしびれ、右手の橈骨神経麻痺で超音波のプローベも力が入らず落としそうになることもあり、実際にも身体が悲鳴をあげていたのです。心理学を既に学び始めていたため、ストレスマネジメントを出来ていたにもかかわらず、身体にサインが現れていたのです。実際にそれらのサインは、今ではまったく見られません。
【温かな医療】
以前、かつての私の中での仕事の価値観とは、検査技師にもとめられること、それは正確な結果を迅速に提供すること、そして私にとっては、唯一自分らしくいられる場所、生きがいだったのです。
その後、さまざまな学びの中で私が社会に対して何が出来るのだろうか、自分のミッションを考えるようになり価値観も変化していったのです。検査結果を正確かつ迅速に提供することは、価値観ではなく当たり前なことであること。そして、誰のために検査を行っているのかを見直すと、検査を受けていただく患者さん本人に寄り添う検査であること、患者さんがいなければ臨床検査は成立しません。そのことが一番重要であり、そのために医療者は存在し、何が出来るのかを常に120%考えながら行動することを最も大切にし、判断基準とするべき価値観だということです。
このことが私の臨床検査に対する
「在り方=アティテュードattitude」なのです。
患者の立場で物事を考えることを最優先させることの大切さ、私が退職した本当の理由は、自分の価値観に反していた現状を意識したからです。
仕事つまり臨床検査技師としての価値観を見直した時に、価値観に反している現実が耐えられなかった、そして自分自身の心がそのことに対して、許すことが出来なかったということです。常に集中と緊張を問われる超音波検査を主に行う仕事を任せられていることに対して、常にベストな状態、完全なコンディションで検査に望めないことに強い抵抗感が生じたからです。
【仕事に対する価値観】
日勤の多忙で、昼休憩をとることもままならないときもありました。さらに月に2~3回の当直勤務に対して、日勤からそのままその日の当直勤務をこなし、翌日も超音波検査に半日勤務しなければならない状況、翌日は、またいつもように朝からの勤務をこなす毎日。若い時ならばまだしも、50代に入ってからも同様の勤務です。人数の足りない状態では半日でも勤務することが必須とされる状況に心身ともに疲れたのです。当直がなければおそらく退職まで考え無かったかもしれません。勤務状況は厳しく、改善されないままスタッフ全員が疲弊していました。私が退職すると他のスタッフの負担が増すことも予想されました。逃げ出したと思われても仕方がないかもしれませんが、自分の信念を押し殺してまで働くことに耐えられなかったと言っても良いかもしれません。
臨床検査技師に限らず、過大な緊張や不安な状態が長引くことにより、ストレスは堆積します。しかし、身体の不調として何らかのサインを心は送っています。私自身も身体が表現していたさまざまなストレスサインを、自分は大丈夫だと思っていたのです。実際、退職後は、いくつかあった症状はすっかり消失してしまいました。昨年9月に胃カメラと大腸内視鏡を行いましたがまったく問題なく、足のしびれも、撓骨神経麻痺も改善しています。
ストレスサインに耳を傾け自分の意識を押し込めること無く、向き合うこと、気付かない振りをしないで何らかの対応をしましょう。
そして、周囲の人にも気を配り、手を差し伸べる、何らかのアクションを起すことが大切です。
【大変さを知っているからこそ何ができるのか?】
退職してから5年が経ちました。その後もいくつかの診療機関に関わりながら自分の夢を模索しながら、なおかつ両親を看取ることもできました。思い返すとあのままの勤務状態では両親を看ることもできなかったように思います。
医療現場の過酷さを、ストレスを目の当たりに感じて来たからこそ私に何が出来るのかを模索して得た結果が、ストレスマネジメントです。ストレスに負けないしなやかなめんたるづくりをサポートしていくことを目的とし、その中でその人なりの人生、医療の在り方を考えることが出来る人材育成です。
臨床検査技師が働く医療機関は、非常にストレスフルです。なかなか働き方改革が進まない部門の1つなのではないでしょうか。今一番私がやりたいことは、社会に出る前の学生にストレスマネジメントを学んで欲しいということです。どのような社会に出ても人間関係の問題は必ずあるといっても過言ではありません。だからこそ学生のうちから、自らのストレスケアをして欲しいのです。
私が自らの経験から得て数年かけて得たこれからの人生の目的とは、Pure Medical attitudeに込めた理念です。
社会人が笑顔で活き活きと生活するために医療はある
Pure Medical attitude は、そう考えます
今日のまとめ
- ストレッサーは、まったく関係ないような症状も招くことがある
- 人によりストレスの感じ方もそれぞれだが、サインを受け入れることが重要
- 人はさまざまな人間関係に中で多くのストレスの中で生活している
<Pure Medical attitude のblog>
「今週のテーマ関連ブログ」
・漢方で心も身体もスッキリと! (セリエのストレス理論) 2017.11.22
「最近のブログ」
- 2018年 新年の目標設定のポイント&落とし穴!? 2018.1.3
- 2017年 ありがとうございました♪ 2018.12,31
- 「人は考える葦」心理学からの自分哲学! 今年最大の気づき 2017.12.25
「2018年へのメッセージ」 2107.12.18~
- §1 健康の基本「身体・歩く・呼吸」 2017.12.18
- §2 個から集 仲間 社会 2017.12.20
- §3 在り方を考え、未来に生きる 2017.12.22
「冬のウイルス感染症」2017.12.11~2017.12.15
- §1 冬の感染性胃腸炎、ノロウイルスを知る 2017.12.11
- §2 インフルエンザ流行期突入! 2017.12.13
- §3 予防を知ってシャットアウト! 2017.12.15
「循環器を知る」 2017.12.4~2017.12.8
- §1 心機能を正しく知って身体をいたわる 2017.12.4
- §2 よく聞きませんか!? 心不全とは? 2017.12.6
- §3 循環器疾患の原因と発症予防 2017.12.8
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Pure Medical attitude
代表 かたよし純子 Junchan♪ ※自己紹介はこちらから
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