JunchanのHealth attitude blogにご訪問ありがとうございます。医療スタッフのメンタルパートナー かたよし純子です♪ 今週は、「動脈硬化」をまとめています。前回は血管の構造、動脈硬化となるメカニズム、動脈硬化を引き起こす危険因子などをまとめていきました。今回は、動脈硬化の危険因子を踏まえながら、そのメカニズムを再認識し、どうしたら動脈硬化から身体を守ることができるのかということをまとめていきたいと思います。さらにプラスαでは、血管の疾患「大動脈瘤」についてと、タバコがやめられない理由となる薬物「ニコチン依存症」です。
1.健康の要、しなやかな血管「動脈」を得るための3ステップ
1-1 動脈硬化の5つの危険因子と心臓左室肥大
1-2 動脈硬化の5つの危険因子のそれぞれ
1-3 動脈硬化の予防
今日のプラスα
2.大動脈にできる瘤「大動脈瘤」とは?
3.なかなかやめられない喫煙の理由
生理検査アティテュード®からのメッセージ
・身体目線で血管を意識すると...
1.健康の要、しなやかな血管「動脈」を得るための3ステップ
1-1 動脈硬化の5つの危険因子と心臓左室肥大
動脈硬化の原因はさまざまです。前回ブログの最後にもまとめていますが、「5つの危険因子」の詳細を確認しておきましょう。
❍アテローム動脈硬化の5大リスク
動脈硬化のリスクとして是正することができない要因として、
「加齢」と「男性」
若年者でのアテローム動脈硬化の家族歴がある場合や、加齢、男性であることなどがあります。アテローム性動脈硬化の発生リスクは、女性より男性の方が高いものの、冠動脈疾患がある場合の死亡率は、男性より女性の方が高いという報告があります。
加齢も性差もどうすることもできません。しかし、それ以外のリスクは意識的に改善することができる因子もあります。前回あげた5大危険因子に対しては改善することも可能なリスクファクターです。
「高血圧」「脂質異常症」「喫煙」「肥満」「糖尿病」
そして、ストレスもリスクファクターとなります。
つまり、生活習慣を改善し、生活習慣病のリスクをさげるということになります。このリスクが重複することにより加速度的に動脈硬化が進行するといわれています。危険因子の中でも「高血圧」「脂質異常症」「喫煙」は特に重要で、3大危険因子になっています。運動不足や、食事などリスクも同時にあげられます。食事に関しては、果物や野菜の毎日の摂取量の減少、多量飲酒があげられます。
❍リスク因子の数の増加で加速する心臓疾患
この危険因子と心臓疾患の関係性があることも調査されています。(関連サイト:循環器病情報サービス)
総コレステロール(脂質異常症)に高血圧、喫煙、糖尿病(耐糖能異常)そして心電図の左室肥大、これらのリスク因子の数が増えるほどより高率に心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患の頻度が上昇するという調査結果が示されています。
●心機能を左右する左室肥大
左室肥大とは?
心臓の下側半分を心室といいますが、その左側の心室を左心室といいます。左室肥大は、この部分の心室が肥大した状態のことを言います。
この左室は、大動脈を介して全身に血液を送る重要な心室となります。いわば、新機能の要となる心室です。
左心室は、左心房から送られた血液を蓄え、心拍の拡張末期(心臓が拡張している最大の状態)から心筋を収縮させ、最小となる収縮期末期まで血液を全身に送り出すという大切な機能を持ちます。
●左室肥大の原因として
左心室が大きくなる原因として、おもに2つあります。
- 血液の量が相対的に増えた場合
- 心室の筋肉そのものに障害が起きた場合
今日はこの5つの危険因子を動脈硬化のリスクという視点でまとめていきたいと思います。
硬化を促す5つの危険因子
- 高血圧
- 脂質異常症
- 喫 煙
- 肥 満
- 糖尿病
1-2 動脈硬化の5つの危険因子のそれぞれ
危険因子 ①高血圧 ②脂質異常症 ③喫煙 ④肥満 ⑤糖尿病
①高血圧
●血圧とは?
血液循環(肺循環・体循環)に必要な血液の圧力が「血圧」です。血液が流れる際に血管壁にかかる圧力が血圧となります。
このように血圧はさまざま要因で変化しますが、心臓と動脈の影響を直接受けていることがわかると思います。
●高血圧は、血管にかかる圧力が高い状態
《 高血圧 》
高血圧が動脈硬化を進行させるおもな原因として
- 動脈壁に対して高い圧力、負荷が持続的にかけ続けられること
- 血管内膜の表面にある内皮細胞に高い血圧の負荷がかかり障害をもたらす
おもに、この2つの要因が関係しています。
心臓から送り出された血液が、血管内で示す圧力、すなわち血管壁を押す力が血圧ですが、これが一定期間持続的に高い状態が「高血圧」です。
●血圧の上昇は、動脈への負荷!
高い圧力とその圧力による内皮細胞そのものへ負荷が、動脈硬化の原因となります。血管壁が厚く、硬く変化してしまい血管機能が低下し、さらに悪化していきます。
動脈は本来、軟らかく、しなやかなものとしてその機能を保っています。高血圧によって血管に内側からの高い圧力が持続的に与えられると、血管はその高い圧力に耐えきれず、血管壁が伸びて動脈瘤の形成や、その動脈瘤が破れてしまうこともあります。
●動脈自身の防御反応が動脈硬化を助長している
血管は、これらの変化に自らの機能を保持するために、その圧力に対して血管壁を厚く硬く変化させることで抵抗しています。その結果、動脈を硬く強するように変化していき、そのしなやかさ、柔軟性を失ってしまうことになります。
●高血圧はさまざまな要因で変化します
健診でも血圧測定を行い、高く測定された場合は、時間をあけて再測定しますが、そのように1度の測定で高血圧だとは判断することはしないと思います。
●家庭血圧と診察室血圧
- 家庭血圧 135/85 mmHg 以上
- 診察室血圧 140/90 mmHg 以上
を高血圧とします。
※関連ブログ「循環器疾患のリスクを知る」 「健診結果を読む① 身体の数値」「臨床検査技師が伝える特定健診の読み方・その1」
●血圧変化へのリスク
血圧は、さまざまな環境の変化、心因的な条件でもすぐに変化します。思いっきりダッシュで走れば、心拍が上昇しますので、上記の「血圧の公式」から、血圧が上昇するということが理解できるかと思います。
また、びっくりしたときに、驚いてドキドキしてしまうこともあるのではないでしょうか。このような状態でも心拍が上がりますので血圧が上昇しています。激しい怒りや、羞恥心、興奮状態のときでも同様です。自律神経も血圧に関与していることもお伝えしていますが、自律神経バランスがストレスと関係することからも、ストレス状態が高血圧を招くということも理解できるのではないでしょうか。
※関連ブログ「自律神経と疲労との関係性」
●家庭血圧と診察室血圧いう意味
白衣高血圧や仮面高血圧ということばで表わされますが、病院で測ると、緊張などにより家庭で測るよりも高い数値を示すことを白衣高血圧といいます。逆に病院にいる安心感から血圧が下がることを仮面高血圧といいます。
●高血圧のリスクとは?
高血圧を放置すると、心臓や血管に大きな負担を強いることになります。上記に示したように、血管内膜のさまざまな生活習慣病の原因になります。そして、常時ストレス状態となるような生活でいることは、高血圧の原因にもつながります。自分自身の生活習慣を見直すことも適正血圧のためには必要となります。
以前のブログ「循環器疾患のリスクを知る」で血圧・血圧疾患をまとめています。そちらも合わせてお読み戴けたらと思います。
②脂質異常症
前回のブログの中で、動脈硬化のメカニズムの中で内膜表面の内皮細胞の障害により、内膜表面にアテローム形成されるということをお伝えしたように、LDLコレステロールが沈着します。そして回収にあたるのが、HDLコレステロールです。
●脂質異常症と動脈硬化との関係性
脂質異常症は、動脈硬化をひきおこしていますのでやはり適正な脂質を維持しなければ、健康な血管を保つことはできません。この脂質異常症に関係するのがコレステロールと中性脂肪となります。
脂質の中の中性脂肪とLDLコレステロールが高い場合と、HDLコレステロールが低い場合です。この状態が持続されることで、動脈硬化がもたらされます。
血中に増加したLDLコレステロールは、動脈の壁の内側に、脂肪のかたまりアテローム形成・プラークを形成します。プラークが形成されると当然その部分での狭窄が起こりますので、血流を阻害します。阻害され狭くなった血管の内腔は、さまざまな刺激を受け、出血もしやすくなります。身体は、傷ついた血管を修復しよう線維化へと進行していくことになります。
プラークの説明は、前回のブログの「今日のプラスα」を合わせてお読みください。超音波検査士目線で説明をしています。
※関連ブログ「 脂質異常症の基礎」
③喫 煙
最も重要な危険因子が喫煙だとされます。
そして、さまざまな疾患の原因として、必ずといわれるほどあげられるのも喫煙です。1日20本以上の喫煙者では、虚血性心臓病の発生が50~60%も高くなると言われています。
❍喫煙と動脈硬化
喫煙は、がん、肺や消化器などの病気だけでなく、動脈硬化性疾患とされる「狭心症」「心筋梗塞」「脳梗塞」「閉塞性動脈硬化症」といったさまざまな疾患を促進させる強力なリスクファクターです。
● 動脈硬化と深く関係する喫煙
喫煙は血管の内側の細胞を老化させていきます。
● 喫煙は体内の炎症を促進させ、血管を傷つけます
タバコには多くの有害物質を含んでいます。喫煙をすることにより体内に吸収され、循環する血液に含まれるその有害物質が血管に炎症を招きます。喫煙をすることで常に体内が炎症状態だということになります。
健康診断などで白血球増加を指摘されたことがあるのではないでしょうか。喫煙すると有意に白血球数が増加示します。通常8,000μlくらいまでの数値が10,000μlを超えてきます。喫煙をすると体内に吸収され循環している化学物質が血管に「炎症」をおこします。
●交感神経の緊張による影響
身体の中が炎症状態ということは、交感神経優位となり常に戦闘状態ということになります。血管が収縮し、酸素を消費するために、一過性の炭素中毒を生じることになります。慢性的な酸素欠乏状態となり代償作用として、血液を多く産生することになります。
●赤血球増多がもたらす血液ドロドロ
身体が酸素を必要としているために、その酸素を運搬する赤血球が増えます。つまり血液が濃くなることになり、ドロドロ状態となり、血小板の粘着性を高めることで粘稠度も高まります。このような複合的な悪影響の結果、血液が固まりやすく血栓を作りやすい状態となります。動脈内腔が狭くなり、その狭小化した血管内をドロドロの血液が流れるわけですから血管が詰まりやすく、血栓形成リスクが上昇し、閉塞を起こしやすい状態となることが理解できるのではないでしょうか。
●喫煙は、脂質異常症をまねく
喫煙は高比重リポタンパク:HDLコレステロールを減少させ、低比重リポタンパク:LDLコレステロールを増加させます。すなわち、一酸化炭素によって内皮細胞に損傷が起きるリスクを高め、アテローム動脈硬化によってすでに狭くなっている動脈を収縮させ、組織に供給される血液の量をさらに減少させます。
禁煙しないことにより、末梢動脈疾患、冠動脈疾患、脳卒中などに対して行われた移植動脈グラフトの閉塞などのリスクをあげ、再度の動脈硬化による疾患原因となります。
●喫煙と動脈硬化による死亡リスク
喫煙は動脈硬化を促進させ、喫煙習慣の無い人と比較し、心疾患による死亡リスクは 1.5~4 倍に上昇、さらに脳梗塞びよる死亡リスクは 2~3 倍になりという報告があります。
禁煙により、この死亡リスクは軽減されるという調べもあきらかになっています。この危険度は、禁煙により低下し始め、約4~5 年で喫煙習慣の無い人と同等レベルまでの下がるということです。
●喫煙は健康への最大の危険因子
喫煙のリスクは、さまざまな癌発症、COPD、肺炎、メタボリックシンドローム、歯周病、糖尿病、脂質異常症、喘息を悪化させる。
●タバコに含まれる有害物質
タバコの煙には、5300種類の化学物質、70種類の発癌性物質が含まれているといわれています。
※関連ブログ「肝臓にやさしい生活のすすめ」
●自分だけではない「受動喫煙」
喫煙により影響があることは当然ですが、副流煙による「受動喫煙」の問題も見過ごすことができません。喫煙者個人の問題だけではないということです。そばにいて、たばこの煙を吸わされる「受動喫煙者」にも健康被害を与えていることを考えて欲しいということお伝え致します。受動喫煙の影響により血圧上昇、心臓病、脳卒中、癌の発症などが報告されています。
④肥 満
肥満した体内には、血液中の多くの脂肪が存在し脂肪過多になりやすい状態です。
●肥満を示すBMI
肥満の程度を示す指標としてあげられているのが よく知られている BMI(Body mass indexボディマスインデックス)です。
以前のブログ、特定健診の中にもしっかりと結果報告がされています。
BMI=体重(Kg)÷[身長(m)×身長(m)]
※BMI 25以上が肥満となる基準です
〔標準体重〕
BMI=22となる体重を理想としたのが標準体重となります。
標準体重kg =(身長m×身長m)×22
〔腹囲の確認〕ウエスト周囲径
腹囲は、内臓脂肪の量を示します。男性85cm以上、女性90cm以上が異常となります。
●肥満になると
肥満は、高血圧、高尿酸血症、糖尿病などを合併しやすい状態となります。そのため、他の危険因子にも影響することはいうまでもありません。あきらかに高血圧となります。肥満進行すると、収縮期、拡張期ともにあきらかに血圧上昇として出現します。
●腹囲の異常は、内蔵脂肪の量の増加を示す
特に腹囲で表わされる、腹部の肥満は、内蔵脂肪に比例します。虚血性心疾患のリスクの増大となります。
腹囲の上昇は、アテローム性動脈硬化の他の危険因子とされる、高血圧、糖尿病、脂質異常症のリスクも増大します。この腹囲を正常値とすることも減量によって、リスク回避が行なえます。
※関連ブログ「メタボへの対応でCKDから守る」
⑤糖尿病
2型糖尿病の発症は、生活習慣の密接な関係があります。
●生活習慣と深く関係する2型糖尿病
1型糖尿病の場合では、眼や神経、腎臓などの細い動脈に影響を及ぼす病気が生じやすいとされています。このような一部の1型糖尿病の場合と多くの2型糖尿病疾患がある場合、アテローム動脈硬化が発症しやすい状態となります。
その理由は、生活習慣、とくに過食、運動不足、大量飲酒などの生活習慣が原因となります。
●糖尿病が加速させる動脈硬化
糖尿病のない場合と比較し、若い年代でもアテローム動脈硬化の発症傾向みられるとの報告があります。
糖尿病がある場合、その他の危険因子、とくに高血圧、高トリグリセライド血症、高LDLコレステロール血症、低HDL血症などが見られるようになり脂質異常症をもたらすことになります。
※関連ブログ「病識高めて合併症も予防しよう」「症状を自覚する前に知って欲しい合併症」「知って欲しい糖尿病の基礎」
1-3 動脈硬化の改善に向けて出来る毎日の努力
動脈硬化の予防を意識した日常行動を、食事と運動に分けてまとめていきましょう。
❍動脈硬化を予防する食事のポイント
基本的に日本食は、やはりお勧めできるということがいえます。ただし、塩分を控えることは、血圧が関係しますので必須です。
●適正血圧のために「減塩」は必須
減塩を心がけた日本食パターンの食事は動脈硬化の予防に推奨されています。減塩を心がけましょう。高血圧を指摘された場合、食塩摂取量は6g/日未満が推奨されています。
高血圧や過剰な水分は、心臓や腎臓にも負担がかかります。この状態を改善するためには、塩分の摂取を制限する必要があります。塩分過剰もそして、塩分不足にも気をつける必要があります。
●高血圧に対する減塩の理由
塩分(Nacl)の過剰摂取は、身体に水分をたくわえるために血圧の上昇、浮腫などの症状としてあらわれます。
細胞外膜の水分バランス・浸透圧のバランス調整
人の組織は、多くの細胞で作られていますが、この細胞の周囲は、細胞外液に囲まれています。ナトリウムが、その細胞外液の浸透圧のバランス調整を行っています。浸透圧のバランスは身体の水分バランスに関係しますが、この浸透圧を一定に保つことで、食物から栄養素を吸収するという大切な役割を細胞膜は果たしています。
血中のナトリウム濃度が上昇すると、濃度を下げるために、血管に多くの水分が移動されるために血液量が増え、血管に負荷がかかり血圧は上昇します。過剰な水分は、血管から溢れ浮腫の原因にもなります。
●適正な塩分摂取
塩分を正しく摂取することで、人の身体は正常に機能することができます。細胞外液のバランスが崩れると、組織に必要な栄養を体内に取り込むことが出来なくなります。体液の循環不全もたらすために、血圧の維持、脱水、ショック症状、立ちくらみ、浮腫などの症状としてが現れます。
加えて過食、アルコールの過剰摂取、マーガリン、ショートニング、これらを用いた揚げ物、菓子に含まれるトランス脂肪酸を控え、適正な体重の維持を心がけましょう。
※関連ブログ「良い塩梅「塩」はどうして必要?」「食事療法と運動のポイント」
●LDLコレステロールが高いときには
LDLコレステロール値が高い場合、コレステロールの摂取制限とくに、飽和脂肪酸の摂取制限が必要です。LDLコレステロール値が高い場合は、コレステロール摂取量を減らすことでLDLコレステロールを下げることが期待できます。コレステロールの摂取を1日200mg未満に減らすことでLDLコレステロールの低下が期待できるといわれています。
食物繊維の多い食品、未精製穀類、大豆類、野菜、海藻、きのこ、こんにゃくなどを増やし、脂身多い肉、ひき肉、鶏肉の皮、バター、ラード、生クリーム、洋菓子などに含まれる飽和脂肪酸や、マーガリン、洋菓子、スナック菓子、揚げ菓子に多く含まれるトランス脂肪酸を減らすことが必要です。
●総エネルギー摂取量として考える
いくら低カロリーでも、食べすぎては同じことです。過食は体重の増加、肥満につながります。総エネルギー摂取量を制限し、適正な体重の維持することが大切です。
一般に総エネルギー摂取量は、基礎代謝が関係します。以前のブログの引用ですが、基礎代謝基準値を下記の表を見て、体重を掛けたものが基礎代謝量になります。 ※関連ブログ「身体の原動力 エネルギー発生栄養学」
- 基礎代謝量=基礎代謝基準値(kcal)×体重(kg)
さらに求めた、基礎代謝量に自分に見合う身体活動レベルを掛けたものが、1日の必要エネルギー量です。
- 1日の必要エネルギー量=基礎代謝量(kcal)×身体活動レベル
※基礎代謝基準値・身体活動レベル:下記の表をご参照ください
<基礎代謝基準値と身体活動レベル指数>
年齢による必要な基礎代謝量の変化は基礎代謝基準値をみると、年齢による基礎代謝量の変化は、明確です。加齢とともに必要なエネルギーも減少します。若い頃と同じような食生活は、すべて体重増加となって、身についてしまいます。運動量の変化とともに、基本的に消費されるエネルギー量が減少しているということに認識が必要です。
総エネルギー量のうち、炭水化物を50~60%、糖質が多い菓子類、飲料、穀類の摂取を減らし、アルコール摂取も25g/日以下に抑えることが必要となります。果物や果糖を含む加工食品の過剰摂取も、中性脂肪の上昇につながることがあります。n-3系多価不飽和脂肪酸を多く含む魚類の摂取増やすことがおすすめです。
※関連ブログ「リポタンパク質とコレステロール」「食事療法と運動のポイント」「新陳代謝には欠かせない 脂質」
●その他の影響する食事
・野菜、果物を積極的に摂取することが推奨されますが、果物の過剰摂取は、糖質が高いために肥満、中性脂肪の増加をきたします。
・アルコールも同様です。過剰な飲酒は、血圧を上昇させる原因となります。アルコールは、解毒対象となる物質です。分解して排泄するという機能が働きますので、とうぜん血圧は上昇します。
○脂質異常がある場合の運動のポイントは?
運動不足は、肥満、血圧上昇、中性脂肪の上昇、低HDL-コレステロール血症などの原因となります。毎日30分以上、ウォーキング、速歩、水泳などの有酸素運動を行うことにより、動脈硬化の予防に効果があります。有酸素運動をややきつい程度とされる中強度の負荷で行うことでより効果が得られます。
●日常の身体活動を増やすことから意識する
慣れない運動を急激に行うことは、思わぬケガにつながることもありますので注意が必要です。日常的に毎日の身体活動を増やすから徐々に運動を行うこともお勧めいたします。
動脈硬化が深刻な状態では、激しい運動が逆効果となることもあります。突然死や心筋梗塞の危険な状況となることも否定できません。主治医との相談した上で運動することが必須となります。
具体的な運動方法は、過去のブログをご参照ください。
※関連ブログ「健康づくりの運動を知る」
●運動不足と動脈硬化の関係性
虚血性心疾患のリスクとして運動不足がリスクの増大につながると考えられています。そのため、定期的な運動がリスクを減少させるという報告があります。
運動を行うことで、血圧の低下、LDL-コレステロールの低下それらの改善により体重が減少し、インスリン抵抗性が低下するために血糖値の改善、アテローム動脈硬化などの危険因子の改善が期待できます。
<身体活動の運動量(運動と生活)>
2.大動脈のコブ 大動脈瘤
身体の中には動脈と静脈がともに並んで体内を走行しています。
❍血管が担う重要な2つの役割
動脈で全身に栄養素が運ばれていきますが、生命の代謝機能によって不要となったものに処理も必要となります。その役割も血管の中を流れる血液が行っています。その機能が、血液循環です。
❍大動脈とは?
身体の中のほぼ真ん中あたりを走行する最も太い動脈血管が大動脈です。この大動脈は100㎜Hg以上の高い圧力がかかります。心臓の左心室から拍出された血液が流れますので弾力性に富み、比較的厚い壁でできています。しかし、動脈硬化などで弱く、もろくなった血管壁には瘤:コブが生じやすくなります。
-
●血管の疾患
身体の中心を走行する酸素や栄養供給を行う大動脈が寸断されたらどうなるでしょうか。全身の臓器・組織への血液供給がストップしてしまいます。この血管にもさまざまな疾患が生じた状態の1つが今回のテーマ「動脈硬化」です。
この血管が閉塞することにより、虚血性心疾患や脳梗塞などの代表される疾患がもたらされます。そしてもう一つの病態として、血管の破裂があげられます。
よく聞くことがあるのは、大動脈瘤破裂ではないでしょうか。
❍大動脈瘤とは?
大動脈の動脈硬化により弱くなった血管に負荷がかかりコブ状の膨隆した部分が生じることがあります。この状態を大動脈瘤といいます。
●大動脈瘤破裂の症状とは
大動脈に瘤が生じても当然、自覚症状はまったくありません。しかし、破裂すると突然の激痛に襲われます。そのショック状態から、心停止、呼吸停止、致命的な危機的な状態となります。
●高齢化に伴い大動脈瘤は増加
加齢による動脈硬化の進行は阻止することはできないために、高齢化に伴いその数も当然増加していると言えます。通常の腹部エコーを行うときは、腹部大動脈は観察し、血管の石灰化などの動脈硬化の様子や大動脈瘤の有無を確認しています。しかしながら、前回まとめた頸動脈よりも身体の深部を走行しています。そのために、頸動脈ほどの詳細な評価は困難な場合があるということも否めません。
●大動脈瘤のその他の原因
大動脈瘤の動脈硬化以外の原因としてあげられるのは、壁が弱くなる変性疾患、外傷、炎症、感染、先天性疾患があげられますが、やはり動脈硬化がもっとも重要なリスクとなります。
「大動脈瘤」を指摘された場合、
「高血圧」「高脂血症」「喫煙」生命の危機に直結するリスク
これらのリスクは回避は必須となります。
❍大動脈瘤を指摘されたら
動脈瘤は特別な症状はみられません。大動脈瘤が破裂にいたるには、瘤の大きさ、形状によってさまざまです。医師の指示に従いうことが大切です。小さな場合は、上記のリスクを回避し、経過観察は必須です。
動脈瘤の分類
・瘤ができた場所によって分類
胸部大動脈瘤、上行大動脈瘤、弓部大動脈瘤、下行大動脈瘤、腹部大動脈瘤などに分類されます。
・瘤のできた動脈壁の状態によって分類
- 真性瘤:元々の動脈の壁が弱くなった部分に生じたもの
- 仮性瘤:動脈の壁が裂けて、穴ができた部分に生じたもの
- 解離性:解離した壁の偽腔が瘤になったもの
・瘤の形状によって分類など分類
紡錘状、嚢状など
❍大動脈解離も血管の破綻です
前回血管の構造をお伝えしました。
大動脈の壁は内側から、内膜、中膜、外膜の三層構造となっています。大動脈解離は、内膜が傷害され避けてしまい、その部分から血液が入り込み中膜を引き裂かれた状態です。
この大動脈解離も突然起こります。腹痛症状で来院された方の腹部エコーで何度かUS所見として報告したことがあります。緊急性を有し、放置すると確実に致命的、危機的な状況となります。速やかな対応が必須となる状態です。
3.なかなかやめられない喫煙の理由
動脈硬化を指摘された場合、もし喫煙習慣があるならば、喫煙は必須といわれます。
❍なかなかやめられない喫煙習慣
喫煙が身体にとって多くのリスクを持つことをわかっているけれどもやめられないという方も、その理由は、タバコに含まれるニコチンに依存性が高いためです。
『依存物質 ニコチン』
●依存症とされる喫煙
循環器疾患やがんをはじめ様々な疾患の原因や下地となります。たばこが悪いと分かっていても、やめられないのは、たばこに含まれるニコチンの依存性が高いからです。
喫煙することにより、血中のニコチンの濃度が上昇し、ニコチンは依存性が高い物質であり、その状態を脳が持続したいという作用が機能します。このニコチンの血中濃度が低下すると、落ち着きが無くなり、イライラや不安感などが生じ、集中力も失われます。いわゆり薬物中毒と同じような精神的依存状態となります。
●禁断症状がエンドレス
血中のニコチン濃度が低下すると不快な感覚を得るようになり、その不快感を落ち着かせるために持続的にタバコを吸わざるを得ない身体的依存状況となっていることになります。
毎日、習慣的に喫煙の回数分、軽い禁断症状と回復をエンドレスに繰り返していることになります。
❍「タバコ」は、百害あって一利なし
たばこの煙には4000種類以上の化学物質が含まれていることがわかっています。そのうち有害とされているものは、200種類以上、そしてその中の40~60種類に発癌性物質があります。
タバコの影響は、上記でまとめています。
❍タバコの煙はいつまでも残ります
タバコの臭いは、髪や衣服に移ります、臭うということは、そこに有害物質が含まれるということです。嗅覚はずっと嗅ぎ続けると臭いを感じなくなり、麻痺してきます。喫煙者本人は、その臭いには気づいていないと思います。しかし、タバコの臭いがする環境下には、その空気中成分には、有害物質が含まれています。そして、喫煙者が吸っている有害物質量よりも、煙に含有している有害物質濃度の方が高いということをご存知でしょうか。
喫煙者の煙は、フィルターを通していますが、タバコの先から流れてくる煙はフィルターを通さずそのままのけむりとなります。すなわちすべての有害物質が空気中排出されているということになります。
社会の中での禁煙区域、分煙を守って戴けたらと思います。
※関連ブログ「「嗅覚障害」意識したことありますか?」「さまざまな依存する心」
※関連サイト「禁煙支援マニュアル」(第二版)増補改訂版厚生労働省 健康局 健康課編
生理検査アティテュード®からのメッセージ
『身体目線で血管を意識する』
先日、指先を洗濯かごにぶつけてしまいました...
めちゃくちゃ痛かったのは言うまでもありません。そして、じわじわと出血し、今、爪の下で血豆になっています。
❍血管・動脈と静脈は全身の臓器・組織に網羅している
あたりまえのことですが、指の先まで血管が走行しているから、出血ということが生じているのです。
医療者として、そしてコミュニケーショントレーナーの視点で「血管」を意識すると、身体の中のコミュニケーターだと私には思えてきます。良い情報も、悪い情報も、血液を介して全身にその情報を伝達している。もちろん神経が情報伝達を行っているとも考えますが、神経の栄養は血管から供給される血液が関与しています。破綻した血管を補うように身体の免疫機能は作用します。血管が破綻した場合は、新生血管として作られます。そしてその免疫的な機能が、新たな疾患の原因となることも、今までの2年間まとめてきた項目の中にさまざまな情報としてお伝えしてきています。
❍ストレスも必要です
ストレスのない日常ということを誰しも思うのは当然です。人との関わりの中でさまざまなことに出会い、そのことがストレスになることは日常的なことです。
ストレスも動脈硬化に関係するということもお伝えしましたが、ストレスのない、豊かな感情は、しなやかな感性を育てると私は思っています。ストレスが負担になることはもちろんですが、心に刺激のない状態、喜怒哀楽のような起伏のない日常も、問題が生じることがあります。
❍動と静のバランスを考えた「運動習慣」
今あるストレスを克服することは、自己成長につながります。食事・栄養素の過剰の不足も血管障害の原因になります。そして、過剰な運動も、運動し続けることも負担です。筋肉の弛緩と緊張そ意識して、休息も必要となるということです。
運動しましょうと、毎回のようにブログで書いている私ですが、ジョギングという行為は、すごくストレスに感じられるのです。だから歩きます。かなり速いペースで歩きます。家の中では筋トレもそこそこ行うようにしています。そして最近のマイブームは、
休息、すなわち「睡眠」です。
次回はこの「睡眠」をテーマに考えています。
Pure Medical attitude
生理検査アティテュード®
Junko Katayoshi
今日のまとめ
- 動脈硬化の5大リスクに心電図の左室肥大で虚血性心疾患が急増する
- 高血圧は、血管そのものへの直接的な負荷となり、傷害となる
- 動脈硬化の予防には、食事と運動そして、禁煙は必須
- 喫煙は薬物依存同じ作用を脳に与えている
『Pure Medical attitudeからのお知らせ』
パーソナルセッションで
『心と身体のケアリング』受けてみませんか?
新たな時代の始まりとともに、
自己の行動を俯瞰すること。
自分を客観視することにより
日常では気づかないような
さまざまなことが見えてくることがあります
自分の中になる凝り固まった価値観に気づくこともあります。
気づかないうちに思い込んでいることが
行動へのブレーキになっていること、
そのことにも気づいていないこともあります。
実体験として私自身がそのことを知っているから
だからこそ前に進んで欲しい
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「健診結果」の評価・対策もいたします。年間サポートもぜひ、ご相談ください。
※ブログや、セミナーに関する、ご意見・ご質問は、こちらからお気軽にどうぞ
みなさまのお声をぜひ、お寄せください!楽しみにしております!
情報引用・その他関連サイト
- 動脈硬化性疾患の発症を予防するためには? 日本動脈硬化学会
- 循環器情報サービス「動脈硬化」 国立循環器病研究センター
- 血管の病気 国立循環器病研究センター
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代表 かたよし純子 Junchan♪ ※自己紹介はこちらから
臨床検査技師/超音波検査士/健康管理士一般指導員/健康管理能力検定1級/介護予防運動指導員/米国NLP協会認定NLPトレーナー/臨床心理学 基礎エキスパート取得
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米国の精神科医ミルトン・エリクソン博士は、発達障害だった?!
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