心と身体の健康を語る、健康管理士・臨床検査技師、そしてメンタルサポーターのかたよし 純子です。最近TVCMでも「帯状疱疹ワクチン」ということが放映されていますが、帯状疱疹ワクチンは数年前に認可されています。帯状疱疹という病気のことご存知でしょうか。

コロナ禍で増えているという帯状疱疹

と言われていますが、今日はこの帯状疱疹という病気のことをまとめていきます。どうして増えているのか?TVCMでワクチン情報を拡散する必要があるほど増加しているのでしょうか。きっとその理由が見えくると思いますよ。

1.増えている⁉帯状疱疹

1-1 帯状疱疹の原因となる「水痘・帯状疱疹ウイルス」とは

1-2 神経を刺激…イヤな痛みの帯状疱疹

●過去のUS経験から…

1-3 50歳になったら帯状疱疹ワクチン

2.今日のプラスα ~水痘・帯状疱疹ウイルスへの理解~

2-1 水痘は、水痘・帯状疱疹ウイルスの初感染

2-2 水痘・帯状疱疹ウイルスとは

生理検査アティテュード® ホンネの話

・弱ったときに発症するのが帯状疱疹

 

1.帯状疱疹は増えている⁉

水痘(すいとう)・水疱瘡(みずぼうそう)という病気は、乳幼児の疾患として知られているかと思いますが、帯状疱疹は、この水疱と同じ水痘・帯状疱疹ウイルスが原因となり発症する病気です。

1-1 帯状疱疹の原因となる「水痘・帯状疱疹ウイルス」とは

水痘・帯状疱疹ウイルスに初めて感染すると水疱を発症します。

❍帯状疱疹は潜伏していたウイルスが原因

水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV:Varicella-zoster virus)に初めて感染すると水疱(水疱瘡)を発症します。感染時の症状として皮膚発疹がありますが、水痘が完治した後もウイルスは、この発疹から神経を伝い、神経節内にウイルスが潜伏しているとされています。

潜伏していたウイルスは、さまざまな要因が誘因となり、再び活動を始めることによって発症した状態が「帯状疱疹」です。再び活性化されたウイルスは、神経節内で増殖していきます。知覚神経を通じて表皮へ、表皮細胞内で増殖することで、神経に沿って帯状に丘疹や水疱を形成します。自分の体内に潜伏しているのウイルスの増殖が原因となるため、他の人からの感染で帯状疱疹を発症するわけではありません。

❍発症誘因は免疫力の低下が原因⁉

帯状疱疹は、身体の免疫機能の低下、特に水痘・帯状疱疹ウイルスに対する特異的免疫力が低下することによって発症する疾患です。

特に気をつけたい対象者は、細胞性免疫が低下するとされているAIDS(エイズ,acquired immunodeficiency syndrome:後天性免疫不全症候群)、白血病、悪性リンパ腫などの罹患時に発症しやすいとされ、免疫力の低下する高齢者も罹患しやすいとされています。その他、過労や悪性腫瘍の合併症などによる免疫力の低下、術後や放射線治療後なども帯状疱疹の誘因とされます。

※関連ブログ「白血球疾患、血液のがんといわれる『白血病』

発症者の年齢では、50歳以上での発症が多く、20~40歳代でも増加傾向にあるということです。

※情報引用サイト「帯状疱疹」日本皮膚科学会

❍続くコロナ禍…今の社会的背景に潜むストレス

先日の報道で、子どもの不登校や自殺が増加しているということがありました。その理由には、コロナウイルスの影響もあるようです。

子どもも大人も相当のストレスを受けていることは否めません。新型コロナウイルス感染者数は激減し、緊急事態宣言の解除もあり、以前のような街の様相となりつつありますが、ほんとうにそうでしょうか。潜在的な不安感を持つ人も少なくありません。個々の受け止め方もそれぞれで、そのギャップがさらにストレスとなっていること事実のようです。

意識されない持続性のストレス状態が免疫力の低下となり、帯状疱疹ウイルスの再燃となっていること、このような社会的背景も帯状疱疹の増加につながっていることも考えられます。

社会的背景に潜むストレス

 

1-2 神経を刺激…イヤな痛みの帯状疱疹

帯状疱疹は、原因ウイルスの水痘・帯状疱疹ウイルスが、神経節に潜伏し増殖します。

❍帯状疱疹の症状

そのため、身体の神経分布領域にそって神経痛様の疼痛を生じます。一般的には、紅斑丘疹、浮腫性紅斑、紅暈(こううん)を伴う小水疱が帯状に出現、疼痛や知覚異常、そう痒感などの症状を伴います。

身体の片側部分、神経分布領域の走行・知覚神経の走行に一致して、皮疹が出現します。その数日前から発症部位の違和感、チクチクとした刺すような痛みのように感じる知覚異常や、疼痛といったような症状として自覚されることが多く、その後、虫刺されのような浮腫性の紅斑があらわれます。皮疹と痛みと同時のことや、皮疹の出現後に疼痛の出現することもあり、神経痛、神経障害のみということもあるとのことです。

軽度の発熱やリンパ節腫脹、頭痛などの全身症状もみられることもあります。疼痛が重度のこともあり、皮疹は胸部や腰部などに多くみられ、また複数の隣接する皮膚分節に片側性に病変が出現します。この帯状疱疹は、別の部位の皮膚や内臓に播種することがあり、特に感染リスクの高い人に多く発症します。

紅暈(こううん)とは…

輪状にみられる紅斑が、丘疹、水疱、膿疱などの周囲を取り囲むようみられる状態をいいます。 帯状疱疹の水疱のまわりにみられる白色の斑のことをいいます。 メラニン色素が減少、消失して生じます。

●皮疹~治癒

紅斑上に小水疱(みずぶくれ)が多発、水疱の中央にくぼみを伴い、透明から黄色い膿疱となりその後びらん~潰瘍を形成します。皮疹の出現後、1週間位は紅斑や水疱の新生、皮疹部位の拡大6~8日で水疱が破れびらん・潰瘍形成後、治癒に向かいます。約2週間でかさぶたを作り、約3週間でかさぶたの脱落治癒へ

※情報引用サイト「帯状疱疹」日本皮膚科学会

帯状疱疹 皮疹~治癒

<帯状疱疹 皮疹~治癒>

❍帯状疱疹後神経痛とは

症状のあらわれ方には個人差があります。皮疹の出現のしかたも、神経症状の痛みの感じ方も人それぞれです。通常、疼痛は皮疹よりも先に認められますが、同時に出現することも、疼痛のない場合もあります。痛みも軽度~激痛まで、鈍い痛み、鋭い灼熱感、刺すような痛みとさまざまです。

帯状疱疹は多くの場合、皮疹の治癒後に疼痛の消失もみられます。再発を繰り返すことも数%ですが、高齢者では病変部位の持続性・再発性の疼痛が残ることがあり、数ヶ月~数年続く場合もあり、3ヶ月以上続く疼痛を「帯状疱疹後神経痛」といっています。60歳以上の高齢者に多く、初期症状が重症の場合ほど、この「帯状疱疹後神経痛」に移行しやすいとして、発症初期の抗ウイルス薬の投与が重要となります。

帯状疱疹は、発症時のウイルスによる炎症が神経を刺激することによって疼痛を生じ、帯状疱疹後神経痛への移行は、この初期症状での神経損傷が原因といわれています。

●過去のUS経験から…皮疹が分からず「主訴「腹痛」でエコー検査が」

腹痛で腹部超音波検査の依頼を受けることは日常的によくあることです。

皮疹が見られずに、内臓疾患を疑い腹部エコーを依頼されたケースで「帯状疱疹」だったことがあります。この場合、もちろん超音波診断の結果は特記事項なし、描出可能な範囲内、症状の原因として特定される異常所見なしとなります。

超音波検査を行う際は、腹部を広く出して肌を露出して戴かなければなりません。そのため、検査室の照明は、早めに落とし暗い状態で準備をしていただくことが多くなります。薄暗い状態では皮膚症状の詳細を確認することは困難です。

被検者の方から痛みの状態をヒアリングしながら検査を進めていきますが、の痛みの表現をよく聴き取ることも大切で、もし「ピリピリ」「違和感」「痛痒い」表面的な痛みなどの訴えがある場合、そして内臓の所見に痛みの原因が描出されない場合は、この「帯状疱疹」も頭の片隅におき…

「皮膚の様子をみせてください。お部屋明るくしてよろしいでしょうか?」

とお願いして明るい状態で皮膚症状の状態を確認してみてください。

ウエスト周囲、脇腹から臍部にかけての腹部の皮膚の柔らかい部分も、皮疹の好発出現部位です。

 

1-3 50歳になったら帯状疱疹ワクチン

この帯状疱疹後神経痛はやっかいです。

50歳以上は帯状疱疹の予防注射を!

帯状疱疹は任意接種として推奨されています。国内の帯状疱疹の発生頻度は増加傾向にあり、加齢に伴う増加がみられます。50歳を境として発症率が急激に上昇しているとの報告があります。

高齢化に伴い、免疫力の低下がその要因とされ、加齢に伴い、合併症の増加や帯状疱疹後神経痛により、長期にわたってその症状に苦しむ人も少なくありません。

❍ワクチンの接種後の効果

米国の50歳以上の人への接種後の報告があります。帯状疱疹出現頻度、重症度、帯状疱疹後神経痛の有無などの調査結果によると、重症度や帯状疱疹後神経痛への移行、帯状疱疹罹患頻度などいずれも減少したという報告があります。

※情報引用サイト「ヘルペスと帯状疱疹」日本皮膚科学会

❍ワクチン接種のお勧め

抗ヘルペスウイルス薬が製造されて以来、帯状疱疹の治療成績は飛躍的に向上したとされていますが、 合併症やほんとうにイヤな神経症状に苦しむ人も少なくありません。

抗ウイルス薬は安くありません。さらに神経症状の治療には高齢者の医療費の増大にもつながります。2016年より水痘ワクチンも高齢者の帯状疱疹予防目的で使用できるようになっているとのことです。帯状疱疹の神経症状は、神経刺激するほんとうにイヤな痛み、可能ならば避けたい痛みです。ワクチンで接種での予防をお勧めいたします。

※引用サイト「帯状疱疹ワクチンの導入について」国立感染症研究所HP

 

2.今日のプラスα ~水痘・帯状疱疹ウイルスへの理解~

水痘と帯状疱疹との関係性とともに原因とされる水痘・帯状疱疹ウイルスのことをまとめておきます。

2-1 水痘は、水痘・帯状疱疹ウイルスの初感染

水痘も帯状疱疹と同じ「水痘・帯状疱疹ウイルスvaricella zoster virus:VZV」が原因となります。

❍水痘の背景とは

急性の伝染病で19世紀末までは、水痘と天然痘は明確な区別がなされてなかったとのことです。その後、1875年に水痘に対して感受性を持つ子どもが帯状疱疹の疾患者と接触することで水痘を発症することが確認されたとあります。その後1954年に水痘の患者からも帯状疱疹の患者からも同じウイルス、水痘・帯状疱疹ウイルスが分離されています。水痘ワクチンは、1970年代、日本で開発され現在も使用されています。

水痘は水痘・帯状疱疹ウイルスによる急性侵襲性の感染症であり、帯状疱疹は潜伏期状態からの再活性化による発症となります。

水痘・帯状疱疹ウイルスの感染

❍水痘の疫学

水痘ウイルスの自然宿主はヒトのみとされ、伝染力は麻疹よりも弱く、しかしムンプス(おたふく風邪)や風疹よりも強いとされます。発疹の出現後、1~2日前から出現後、もしくは痂皮化するまでは感染力があります。

罹患年齢は9歳以下がほとんどですが、成人が水痘を発症すると重症化しやすく、合併症の頻度も高くなります。初感染後、終生免疫を得てその後の暴露により、抗体価が上昇するとされています。

❍水痘の臨床症状

水痘の潜伏期間は10~21日、2週間程度ですが、免疫不全患者では長期となることもあるとされています。

子どもでは初期症状として発疹がみられ、成人の場合は、発疹の出現前に1~2日の発熱と全身倦怠感を伴うことがあります。発疹は頭皮、体幹、四肢と出現し全身性に認め、掻痒を伴います。紅斑、丘疹から短時間で水疱となり痂皮化が見られます。これらの発疹が次々と出現するために、急性期には、紅斑、丘疹、水疱、痂皮それぞれの発疹が混在してみられることが特徴とされます。

❍水痘の症状の経過

発疹は粘膜にも出現することがあります。ほとんどが軽症ですが、艦隊感、掻痒感、2~3日くらい38℃ほどの発熱を伴うことがほとんどです。

またこれらの発疹は、鼻咽頭、気道、膣などの粘膜にも出現することがある。 臨床経過は一般的に軽症で、倦怠感、、38度前後の発熱が2〜3日間続く程度であることが大半である。

❍水痘の合併症

合併症として皮膚の二次性細菌感染や脱水、肺炎、中枢神経合併症などがあります。健康な小児ではほとんどみられず、15歳以上と1歳以下では合併症の危険性が高くなる傾向があります。

 

2-2 水痘・帯状疱疹ウイルスとは

水痘・帯状疱疹ウイルスは、DNAウイルスです。

❍水痘・帯状疱疹ウイルスはヘルペス科(VZV,HHV-3)

水痘・帯状疱疹ウイルスは、DNAウイルスのヘルペスウイルス科、αヘルペスウイルス亜科、バリセロウイルス属(Varicellovirus)に属します。バリセロイルス属の宿主は脊椎動物とされ、水痘・帯状疱疹ウイルスは、ヒトを宿主として感染するウイルスです。

同じ亜科に属するウイルスには、1型単純ヘルペスウイルス(HSV-1,HHV-2)口唇ヘルペス、2型単純ヘルペス(HSV-2,HHV-2)性器ヘルペスとの類似点も多くみられます。

❍ウイルスの感染

他のヘルペスウイルスと同様、初感染後、知覚神経節に潜伏感染します。気道粘膜(飛沫感染、空気感染)から侵入して鼻咽頭から侵入部位とその所属リンパ節にて増殖します。

増殖後、感染から4~6日でウイルスは他の肝臓や脾臓に拡がり、さらにその臓器で増殖した後、皮膚に水疱を形成します。初感染後は知覚神経節に潜伏感染します。

気道感染以外の感染経路として、水痘・帯状疱疹ウイルスは接触感染することもあります。その場合は感染者の水疱や粘膜からの排出物に接触することによって感染します。

 

生理検査アティテュード® ホンネの話

弱ったときに発症するのが帯状疱疹

 

今から10年くらい前になるでしょうか、帯状疱疹を経験しています。

自分では元気なつもり…

でも、疲れが蓄積されていたようです。身体が無意識的に

「行動制限すべし!」

そう訴えていたようです。帯状疱疹は体内に潜伏していたウイルスが、再活性されることによって発症します。身体の免疫機能が低下したときに発症します。さまざまなストレスが重なっている、過労による肉体的疲労ももちろん関係しています。多少ムリしても、元気だから出来る!大丈夫‼という思い込みしているときに発症します。

左側の肩~胸にかけて痛痒さとピリピリとして刺激のある痛みを感じていて何だろうか?と思ったのです。刺激のある部位をみるとわずかに皮疹があり、皮膚科に受診しました。

総合病院勤務時の恩恵です。受付処理が済む前に、担当看護師さんに「いちばん最後に呼んでください」と言ったのですが…

「ちょっと見せて~」と私の皮疹を確認

「帯状疱疹かも…先生~!」と外来開始前に…

「あぁこれは、帯状疱疹だね、すぐ薬飲んだ方がいいよ」と。

さすが、皮疹のプロ、瞬時に診断、抗ウイルス剤は早いほうが効果がある。できる限り速やかに、皮膚症状出現後72時間以上経過してしまうと抗ウイルス剤が効かないとも言われます。院内薬局にそのまま行って、とりあえず薬を処方、後に会計に行って…

「高っ!」

びっくりするくらい、帯状疱疹の薬…高額でしたよ。抗ウイルス薬はお値段高いです(゜o゜;

❍元気な身体は居心地も良い

私の場合は、比較的軽い症状で仕事を休むこと無く、そのまま軽快いたしました。帯状疱疹は、今日まとめたように、入院が必要となるほど重症化することや、何度も繰り返し発症することもある疾患です。

寄生している身体が元気な時は、ウイルスも居心地が良いので、おとなしく眠っているけれども、宿主の免疫力が低下してくるとウイルス的には居心地が悪くなり、他の場所に逃げ出したくなる!そのため、表面に出てくるともいわれますよ。

ウイルスが眠り続けていられる体内環境

Pure Medical attitude

生理検査アティテュード®

Junko Katayoshi

今日のまとめ

  • 帯状疱疹は水痘と同じ水痘・帯状疱疹ウイルスが原因
  • VZV初感染が「水痘」、潜伏していたウイルスの再活性化して「帯状疱疹」を発症
  • 50歳以上はワクチン接種での予防が有効

<Pure Medical attitudeからのお知らせ>

『ことばに出来ない…だから心と向き合う時間を』

何を話していいのかも分からないけど

すごく苦しい、痛みを感じること

そんな心を抱えているとき

身近にいない人だから役に立つこともあります。

『ことばに出来ない…だから心と向き合う時間を』

Pure Medical attitude

かたよし 純子

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かたよし純子 Junchan♪  ※自己紹介はこちらから

臨床検査技師/超音波検査士/健康管理士一般指導員/健康管理能力検定1級/介護予防運動指導員/米国NLP協会認定NLPトレーナー/臨床心理学 および 基礎エキスパート取得

今日も最後までありがとうございました。