JunchanのHealth attitude blogにご訪問ありがとうございます。医療スタッフ・メンタルパートナー かたよし純子です♪ 先週は、特定健診の内容をまとめていきました。その理由は先週土曜日のボランティアの中で「検査データの読み方」というテーマで10分くらいにミニ講座を受け持つことになっていたからです。何を話そうか?健診項目を10分でお伝えするには時間が短すぎますので、結果の受けとめ方ということを考えていました。私が伝えたかったことは「検査結果の解釈の在り方」を伝えていなかったと言うことです。今日は、先週のブログの補足としてお伝えしていきます
1. 検査数値では見えない身体メッセージを読むための3ポイント
1-1 検査は生きる流れの中の断片 -グレーゾーンでの評価力-
1-2 「今」の身体の状態「健康⇔病気」どの位置なのか?
1-3 今の身体の状態は、過去から今までの要因が関係している
今日のプラスα
2.かしこい健康診断の受け方
3.かしこい病院受診のしかた
生理検査アティテュード®からのメッセージ
・臨床検査技師はもちろん、誰でも持ちたい力「物語力で書く報告書」
1. 検査数値では見えない身体メッセージを読むための3ポイント
最近私が「臨床検査」に対して思うことのひとつに、検査に現れた結果は「身体からのメッセージ」だということです。
1-1 検査は生きる流れの中の断片 -グレーゾーンでの評価力-
このことばの意味を表していることとして、来院時に
気にしている症状がでない
ということもよくあるということです。
❍器械の不具合が出現しない
家電などで完全に壊れたのではなく、何となく不具合がありイライラするので修理依頼をする、でもそのときには症状が出ない。日常でよくこんなことあるのではないでしょうか...?
私は以前スマートフォンでも購入して1ヶ月あまりで不具合が生じイラっとして、ドコモに持ち込み修理依頼しましたが、現象が現れません。しかし購入して間もないということもあり、交換してもらったことがあります(笑)医療機器にもよくあります。病院での診断装置の場合は、毎日の始業点検でチェックしています。診断装置の不具合は、検査を受けられる方への迷惑となりますので速やかにメーカー修理を依頼します。そして、メーカーで引き上げ修理となりますがその不具合の現象が再現出来ない。
●その瞬間をキャッチすることの難しさ
臨床検査の場合でも同じようなことがあります。症状が「目に見えて出現」しないと信じてもらえないということが生じていませんか。
動悸を訴えられて来院、来院時の12誘導心電図検査では何も現れない。動作時に動悸の症状があるとのことで、24時間心電図「ホルター心電図」を行います。それでも、つかみきれない症状というものがあるのではないでしょうか。取り外しの際に「気にされていた症状がでましたか?」と確認の言葉をおかけします。
「いえ、今回も症状出ませんでした...」
というお返事とともに、ホルター心電計を身体から外したらその気になる症状が出現する、ということもよく聞きます。数回検査を行うがやっと、という方にもよく出会います。
※関連ブログ *ホルター心電図「心機能を正しく知って身体をいたわる」
❍日常生活での「一部分」でしかない
検査を行っている時間は、日常に中での切り取られた一部でしかないということなのです。そして、そのことを受けとめた視点で評価判断することが、臨床検査の中でも意識的に思考し、その被検者の方のストーリーの、一部分として耳を傾けて臓器の声を聴き、検査表現(診断結果)として観るということが大切だと私は考えています。
●白黒ではない、グレーゾーンでの評価の大切さ
つまり、何が言いたいのかというと健康から疾患の発現という中には過程が必ずあるという考え方です。東洋医学の「未病」ということの考え方に似ているのかも知れません。
完全に健康状態なのか?疾患を持つ状態なのか?という白黒ではなく、グレーにある状態、グレーならばどの状態であるのか?という、検査を行った者のみがキャッチできる情報だと私は思っています。
1-2 「今」の身体の状態「健康⇔病気」どの位置なのか?
これまでのブログの中でも「未病」ということばを頻回に扱っています。
❍「未病」という考え方のどのレベルなのか
私自身も未病サポーターとして活動していますが、
「未病」とは
発病には至らないが、軽い症状がある状態
健康度を示すことばのとしての未病という考え方があると思います。人の健康も、健康と病気を明確には分けられないという考えのもとに成り立ち、明確に線引きをすることができない状態だという考え方です。
<未病という考え方>
❍肩こり、腰痛がある状態...今、健康ですか?
日常生活は難なくこなしながらも、腰痛や肩こり、常にストレスを抱え不眠など、疲れが抜けきらないような症状が意識されている状態でも意外と人は、「健康かなぁ」と思っているのではないでしょうか。
●健康感に対する考え方、価値基準
毎日仕事に行くことが出来ているから、「とりあえず健康だよね」と思っているの方も少なくないのかと私は考えています。暴飲暴食しても、体調不良に陥らないから健康だと思っている方もいるのかも知れません。よくある、自分は癌になることは無いという暗黙の意識でしょうか。
感じ方、受けとめ方、健康に対しての基準、価値観も人それぞれです。そのことに対しては個人差があって当然だと思っています。
❍」健康度とは?
人の身体と心の状態は、健康と病気の間を連続的に変化するものであり、心と身体が相互関係として常に揺れ動いています。です。この変化の過程の表現として「健康度」という考え方を以前ご紹介しました。
さらに慢性的な症状があるとき、仕事を休むほどではないが何となくお腹がときどき痛くなる、食欲がないなどの症状が持続している。病院で検査を行っても取り立てて異常が見つからない。とりあえず整腸剤のような投薬をされ様子をみてと言われ診察終了。この状態も完全な健康とは言えない半健康状態、病気と健康の間、すなわち東洋医学でいうところの「未病」という考え方です。この「未病」の状態を放置するか否か、放置せず軽症のうちに改善方向に向けようという考え方が根底にあります。
このような方の検査を実際に多く担当させて戴いています。そのときのレポート・ストーリーの書き方も今日の私のテーマです。
※関連ブログ「今、健康ですか?未病を知る」
1-3 今の身体の状態は、過去から今までの要因が関係している
人は常に生命活動を行っています。健診の検査結果も検査を受けたその瞬間の「切り取られた時間の断片」でしかないということをお伝えしました。
❍過去からの軌跡としてのデータの読み方
例えば、特定健診を受けた場合、以前のコレステロールの数値が今回も正常だったということで終わらせずに、その数値の内容をみてください。前回までは、中性脂肪やLDLコレステロールが正常範囲の下限だったものは、今回はギリギリ正常範囲ということがないでしょうか、また、肝機能の数値のALTとASTのバランスが逆転していることなどもチェックポイントです。
●状態として解釈すること
ただし、ここで私がお伝えしたいのは、数値そのものではなく、傾向で見て欲しいということです。下限だったのが上限になっているという解釈よしも、上昇傾向になっているという意味を考えて欲しいのです。脂質関連の検査でしたら、B身長・体重などで得られるBMIという数字や、腹囲でみてください。もし腹囲が上昇しているならば、内蔵脂肪が上昇しているサインです。まだ大丈夫という解釈ではなく、特に女性は、中年以降ホルモンの影響が大きく関係してきます。脂質関係が上昇傾向になりますので、食生活や運動習慣の改善を意識的に行うことが必要なっている状況だと解釈してください。
この検診結果に対して医師は、どのように説明されていますか?いかがでしょうか?
正常範囲の場合では、
「問題ないですね」
で終わっているのではないでしょうか。
大きな問題はありませんが、この状態を現状維持キープしていくためには今後の努力次第です。問題無しではなく、現在の位置、病気に近づいているのではないのか、という認識をすることで、日常生活に対する脳の意識が変わるのではないでしょうか。
●未病の位置を意識する
先にお伝えした未病・健康度として、自分のいる位置を意識することです。今「どのポジション」いるのか?ということです。
左記の図で右に行きたいですか?
それとも左に行きたいですか?
❍過去からの軌跡として検査を行っています。
検査を行う際には、前回の検査データ、血液検査の数値などを含め、検査時の主訴・目的を事前に確認してから検査を始めます。私が若い技師たちに教える時にも必ず、事前準備の必要性を伝えています。
検査とはあくまでも、人は生きている身体のその時の状態を見ているからです。過去からのさまざまな生活の上に「今」があるからです。過去の軌跡を理解しチェックすることは当然であり、被検者の間違えなどのリスクマネジメントに対する、情報の確認としての意味の上からも重要です。
既存の所見を確認することも検査目的の一因であり、今日の検査目的に沿った検査を効率的に行うことにもつながります。過去の病歴からの影響であるのか、まったく別のことが原因となるのかという意味です。個々に持つ身体の情報としてのリスクは異なります。過去の病歴や検査データは、そのリスクの事前チェックとなります。
●何分で終わりますか?
おおよそのお時間は、お伝えします。
しかし、このご質問にやや苦慮することもあります。それは個人差があるからです。特に超音波検査に関しては、描出しやすいかた、描出に非常にテクニックを要する方などさまざまです。呼吸に関しても同様です。うまく出来る方、そうではないかたなどさまざまです。さらには、良性、悪性問わず、検査所見が多ければその分時間を必要とします。検査目的に応じても同様です。過去データがない場合もより丁寧に情報収集することがもとめられます。さまざまな状況により検査時間もさまざまとなるために一概には言えないということが現実です。
「随分、今日は長いね」
こんなお言葉もよく戴きます。ご不安になるお気持ちもよく分かります。しかしながら、しっかりと検査されたとどうぞご解釈ください。私たちは見落とすことを一番恐れます。そして、身体の中は常に動いています。ガスなどの影響も常に受け、その中でも見ようと努力しているのです。消化管ガスとの葛藤の中で、最上の検査を行うことを心がけているというようにご理解戴けたらと思います。
見えにくいから時間が長い
と、ご理解戴けたらと思います。
検査を受けて戴いている方の臓器と会話をしながら「見せてね~」とつぶやきながら、常に私は検査を行っています。気になる見え方があるときは納得できる情報が得られるまで、踏ん張っているといっても決して過言ではないと言い切ります。
2.かしこい健康診断の受け方
健康診断の際、特に超音波検査をさせて戴く際に、見えない情報の聞き取りをするために、お聞きすることがあります。
❍前回のデータがあってもお聞きしています
前回値がある場合は、事前情報として必ずその結果内容を確認しています。そして、数値など得られた情報を前回までの結果と参照、比較して報告書に記載していきます。ですから常に同じ施設での健康診断がよいということは言うまでもありません。
おもに私がお聞きすることは、
- 検査過去データがない場合には、今までにこの検査を行ったことがあるか?
- もし、検査経験があるならば、結果に関してどのように診断されているかなど、その内容
- 今、身体のことで気になっていること
- 必要に応じて、飲食の有無、前日の夜の食事時間など
おおよそこのようなことはお聞きすることがあります。そしてさらに、お伝えすることは、簡単な検査説明、検査中は機器で圧迫されることがあるということ、さらに呼吸指示をさせて戴くことをお伝えしています。
もし、検査に対するご不安や気になることがありましたら、その内容を遠慮なく検査担当者にご質問戴けたらと思います。
●そして、お願いとしてお伝えすること...
超音波検査時の圧迫に関しては、痛いと感じられたらそのことを我慢せずにどうぞお伝え下さい。特に検査にあまり慣れていない技師が担当させて戴くこともあります。画面に見入るあまり、気づかずにかなり強く圧迫していることもあるからです。良い検査技師育成には指導、注意をしています。何卒ご協力をお願いしたいことでありよろしくお願いいたします。
❍問診のときに、聞きたいことをまとめておくこと
問診票にはいろいろな日常生活に対しての質問項目となっています。
もし、健診時に身体の状態で気になっていることがあれば質問をすることもよいかと思います。そして、その内容に応じて追加したほうがよい検査などを受けることも勧められることもあるかと思います。自分から余分なオプション検査を申し込むことよりも、もっと必要な検査を受けることが出来るのではないでしょうか。
ドック健診では、事前にオプション検査の質問ができるサービスも有るかと思います。予約の時に事前に調べるとよいかと思います。
3.かしこい病院受診のしかた
体調不良などで受診するとき、自分の自覚症状をどのように伝えていますか?
❍初診時に問診票記入
問診票は、初めて受診する時に求められることがあると思います。来院理由や主訴、既往歴や薬などへのアレルギーがその主な項目かと思います。
それにプラスして、自分の症状や状態を客観的に眺め事前にまとめておくこともお勧めいたします。1人にかけられる診療時間は限られています。効率的に担当医に自分の現状を伝えることが必要となります。もし、質問したいことがあったら、箇条書きでメモ書きにして持参することをお勧めします。
❍検査の時に気にしている症状を伝えられる方
検査来院時に、日常時になる症状などをお伝えいただく方もよくいらっしゃいます。
「先生に伝えていますか?」この質問には「いいえ」と答えられ、診察の時に医師には伝えずられずにいる方も多く見受けます。それは、忙しそうなので医師には言えない(そういう雰囲気ではないという意味もある様子)ということからのようです。
❍的確な症状の伝え方の勧め-正しく伝えなければ理解してもらえない-
伝えたいことを客観的に、もし気になる症状ならば、その症状の具体的な状態、どのような時に、いつから、その頻度、その強さ、症状部位やその時の随伴所見などをまとめてみてください。
痛みの場合自分が感じる感覚をことばで表現してみてください。例えば「ズキズキ」「ズンズン」「シクシク」「ゾワゾワ」などなどこれ以外にもさまざまな表現できることばがあるのではないでしょうか。間欠的な痛みなのか、持続的な痛みなのかによっても表現方法が異なるのではないでしょうか。
急激な症状ならば、どのような状態だった時に症状が始まった。たとえは急性腹症の時、いつからということ発症前の状態、行動や食事との関係、何を食べたか、発熱や下痢や便秘なども関係します。自覚症状を聞かれて、その場で伝えようとすると考えている時間だけで、診察時間が足りなくなってしまうのです。ですから事前に自分の中でまとめておくことも必要な方法だと考えます。
高齢者家族に付き添った場合も同様です。事前にこのような内容を聞ける状態ならば、質問してまとめておくことです。特に、病歴に関しては重要です。入院になる場合など、必ず聞かれるのが病歴や日常生活でのことです。何歳の時にどのような疾患に罹ったかを含め、手術歴や治療歴などは必須です。
❍身長体重も必須項目
体重は変化しますが、身長も変化します。身長・体重は検査の時に必要な場合が多く、高齢者の方が意外に知らないことが多いようです。子どもの場合、特に乳幼児は投薬量に関係しますので、保護者が体重を知っていることは必須となります。
生理検査アティテュード®からのメッセージ
・臨床検査技師はもちろん、誰でも持ちたい「物語力で書く報告書」
人は物語力で動かされる
私はこの言葉を、NLPを学ぶ中で意識し理解できました。
❍意識で伝えられる言語と身体から伝わる非言語のメッセージ
若い技師たちに超音波検査を伝える中で、必ずいう言葉があります。
『プローブを持った人にしかレポートは書けない』
ということです。生理検査を行うとき、私たちは検査を受けられる方とその方の身体からの非言語とも会話をしていると思っています。
❍初めは言語でコミュニケーション
検査はいちばん初めのコミュニケーションが当然いちばん肝心です。その部分は言語+非言語でのコミュニケーション力が問われます。さらに検査が始まってからの非言語でのコミュニケーションも大切だと私は思っています。検査を受けて戴いている方からの非言語メッセージ、身体の反応はもちろんのことそれは、微妙な身体情報として表出されます。その情報を、検査実施しながらキャッチすることも当然必要とされます。
そのためには、被検者の気持ちになることです。よく言うのは「検査を受ける側の気持ちになる」自分ならばどのように対応して欲しいか?を考えることです。
❍国家資格「臨床検査技師」のライセンスの意味
さらにその先のコミュニケーション力を養って欲しいと思っています。その先とは
『無意識の臓器からのメッセージ』
訳のわからないことだといわれそうですが、私の検査に対する「在り方:attitude」です。身体からの見えないことばを「具現化」するのが臨床検査です。ただ、検査機器を操作しボタンを押すことや、分析装置に血液をセットしてスタートさせるだけなら誰にでもできます。
国家資格として「臨床検査技師」としてのライセンスの本当の意味をすべての臨床検査技師に考えてほしいのです。ただの紙切れの国家資格にして欲しくないと心から願います。
30年以上臨床検査を行ってきたからわかったのかも知れません。
『臨床検査とは、臓器のメッセージをことばにすること』
話が逸れましたが、
❍結論のみで終わっている報告書
は、改善して欲しいということをお伝えしたいのです。
検査で何も無かったからと、たったの1行で終わっているレポートをよく見かけます。
少なくとも、検査目的に沿った内容を所見部分に記載することは必須です。そして、検査を受けられた方の背景や受診に至った場合など、次に繋がる情報は、検査所見として記載することで次回へつながると私は考えています。過去から未来につながる検査情報としてのレポート作成です。
検査を受けて戴いた時は、その検査を受けられた方の
『人生の時間の流れの中での一瞬の点』
だということを考えて欲しいのです。
検査結果は人生という長い時間の流れの中で、身体からのメッセージ情報として、物語として伝えられることであり、その物語を伝えるためのことばの綴、そして表現であること、具現化・明文化されたものが「臨床検査」ではないでしょうか。臨床という意味に私はそのような意図を汲み取っています。
未来につながるレポートを作成することを、
私は1人の「臨床検査技師」として心から願います。
Pure Medical attitude
生理検査アティテュード®
Junko Katayoshi
今日のまとめ
- 検査結果は、日常の中の断片でしか無いという考え方受けとめ方をお勧めします
- 自己が未病という状態ならば、より健康よりに近づけることを意識するための健診
- 正常範囲で安心すること無く、過去の自分の数値と比較し、未病状態の位置を認識する
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