『元気の出るJunchanのblog』ご訪問ありがとうございます。医療スタッフのメンタルパートナー かたよし純子です。今週は、年齢ごとに抱えやすいメンタルの課題をまとめています。1回目は、人格形成においてもっとも大切な時期「小児期」、2回目は、子どもから成人への成長、「青年期」、そして最終回の今日は、成年期以降の年代の心をみていきましょう。ひと昔前と比較し、現代社会ではライフスタイルも多様化しています。私自身も例外ではありませんがそんな多様化する社会には、心の問題が隠されているように感じます。心が感じるストレスとされる問題は、1つとして同じものはないと私は考えています。主な心の疾患を今日はまとめておきましょう。

1.大人としての人生 成年期から人生終焉への3ステップ  

1-1  社会を支える若い力、成年期によくある心の病  

1-2  中年期の危機 ミッドライフ・クライシスを知る 

1-3  高齢期を生き抜く課題と心の病

今日のプラスα

2.働く職場のストレスとメンタルヘルス

3.死生観 とは? 生き方を考える

 

1.大人としての人生 成年期から人生終焉への3ステップ  

青年期以降、20~30歳代を成年期、40代から50代を中年期と呼んでいますが、成年期は、社会的にも最も活躍する時期となります。自己を確立し、自分自身の人生を生きる年代です。社会活動を含め、自己の生活基盤を整える時期です。以前は、結婚、子育てと過ごしながら終身雇用が主な形態でしたが、多様化する社会の中でそのライフスタイルもさまざまです。多様化とともに疾患もさまざまです。

1-1 社会を支える成年期によくある心の病 

前回最後にまとめたように、エリクソンのライフスタイル論では、人生を8段階、成年期は、前成年期と中年期にあたる後期とに分けました。青年から大人へこの時期、さまざまな社会変容を背景として、多様化する人間関係と環境の変化が大きなストレスとなっている場合が少なくない。社会の主たる立場に置かれ、必然的に不規則になりがちな生活スタイルに、否応なしに対応しなければならない状況に置かれることも多くなる年代です。ある意味能力主義、常に最新の情報に左右され、瞬時の対応を迫られることも多いのではないでしょうか。価値観の多様かもストレス社会作り出す要因のひとつになっていると私は思っています。その割には、社会の心的サポートが遅れていると私は思っています。

主な成年期の心の疾患をあげておきましょう

【出勤困難症】

子どもの登校拒否に対して、大人は、出勤困難症となります。出勤する意志はあるけれども行けない、という状態です。会社の近くまで来ても中に入れない、家に帰る、帰れずにブラブラと時間を潰していることも少なくない。

〔仕事に対するストレス〕

仕事に対してストレスがある、能力以上の仕事を抱え込んでいる、完璧主義で多くのストレスを抱え込んでしまう。自己評価を気にしすぎる、希望とは異なる職種に配属される。仕事上の人間関係、パワハラ、セクハラも原因となります。

〔失敗経験〕

エリート言われる有能な人が突然出勤困難になるとういケース、全てに関して完璧にこなさないと気がすまない、1人で仕事を抱える、そのような人にとっては、些細なミスも重大なミスに感じられ、一気に仕事に対して自信喪失に陥る、また、人間関係が上手く行かず挫折感を経験し出勤できない場合も有るようです。

〔恐怖感を持ってしまう〕

挫折感から、重大な過失をしてしまうのではないか、また失敗するのではないか、という恐怖感、怒鳴られる、パワハラにあう、嫌がらせを受けるなど、というような職場環境、人間関係に対して恐怖感を持っている場合などがあげられます。また、パニック障害を持つ人は、通勤に利用する電車やバスに対する乗り物への恐怖、閉所恐怖を持つ人は、エレベーターに乗れないなど、さまざまな障害が考えられます。

〔気分障害 抑うつ症状による出勤困難〕

出勤困難には、うつ状態になり、朝起きても身体がだるくて動けないなどの症状が伴う場合が多くあります。出勤前や途中で体調不良となり行かれなくなることもあります。

上記のような、直接的な職場のストレスが原因となリ場合や、仕事とは直接関係のないプライベートな問題が原因となって生じるうつ状態も原因となる場合があります。

【青い鳥症候群】

子どものような心を持ち、理想を追い求めて、次々に新しいものを手に入れようとする行動を続けている状態。主に、天職を求めて何度も転職を繰り返す、忍耐力に欠けるとされる若者を指して用いられることが多く、メーテルリンクの童話『青い鳥』にちなんで命名されています。現実とのギャップに不満を感じるあまり、理想を求め続けているとされていますが、過保護に育てられたことも原因のひとつとされているようです。

【ピーターパンシンドローム】

ピーターパンシンドロームとは、アメリカの心理学者ダン・カイリーが著した『ピーターパン症候群』で提唱されたパーソナリティ障害です。大人という年齢に達しているにもかかわらず精神的に大人にならない男性を指す言葉です。「成長する事を拒む男性」として定義され、おもな特徴は、無責任、不安、孤独感、性役割の葛藤を持ちます。言動が「子供っぽい」という代表的な特徴をはじめ、精神的・社会的・性的な部分にリンクして問題を引き起こし易いという事がいわれています。

人間的に未熟で『自己中心的』・『無責任』・『反抗的』・『依存的』・『怒り易い』・『ずる賢い』という子どもとおなじ水準に意識が停滞してしまう大人を指します。社会生活への適応は困難になり易く、必然的に孤立してしまいます。誰かに頼らざるをえない状況を「ウエンディジレンマ」といわれ、近親者による過保護への依存、マザーコンプレックスの延長、幼少期に受けた苛めもしくは虐待による過度なストレス、社会的な束縛感・孤立感・劣等感からの逃避願望、物理的なものでは脳の成長障害なども関係しているのではないかともいわれています。「ウエンディジレンマ」とは、ピーターパンを世話する役割をする側の憤りと焦りを表す心理状態のことです。

※情報サイト Wikipediaより部分抜粋

私の身近なところでも新卒者がうつ状態となり、出勤できなくなってしまったという経験があります。幸いその後、退職し、別の仕事に就くことで症状は改善しましたが、その時にもう少し対応してあげることができたらという思いは今でも忘れることができません。

 

1-2 中年期の危機 ミッドライフ・クライシスを知る 

中年期は、40歳代から50歳代、人生80年といわれる中で、人生半ば、折り返しの時とも言われます。人生半ばの過渡期です。身体的、心理的変化が現れ、体力の低下などもう若くはないのだと気づく時期でもあります。女性では更年期といわれる時期でもあります。ホルモンバランスの関係から急激に視床下部・脳下垂体・卵巣系の機能が低下することが原因です。女性のみならず男性にもこの更年期障害があげられます。更年期障害は、来週テーマとして扱いたいと思います。

家庭や家族にも変化が多く見られる時期です。今週まとめてきた「小児期」の育児をめぐる問題から、「青年期の」の問題これらの親の年代です。私自身もいちばん頭を抱えていた年代です。そして、その後は、子どもの独立を迎え「空の巣症候群」と言われています。巣に残された母親だけという状態です。

また、シングルのまま中年期を迎える人も少なくありません。シングルやシングルマザーの貧困問題、やさまざまな異なる問題もあげられます。さらにこの年代は、子どもがいなくても、親の介護の問題を抱えやすい時期でもあります。介護のストレス、心の問題から、高齢者虐待や凄惨な報道もあとを絶たない気がします。核家族が増え、問題もさまざまで、1つとして同じ問題ないと感じています。

主な中年期の心の病あげていきます。

【定年前症候群】

定年前症候群というものが有るのですね、と思ってしまいました。定年が近づくにつれて、会社の肩書きがなくなる、名刺がなくなることへの不安や焦り、収入を失うことに対する不安、誰にも相手にされなくなる、家族にも見放されるのではという焦りがストレスになり、うつ状態になる症状のようです。

仕事だけを生きがいとし、家庭をほとんど顧みず、子育ては妻に任せきり、趣味もなく、休日は家でダラダラと過ごす、定年でいく場所がなくなることへ不安感です。

このような年代に対して、最近では、企業内で定年前の自社の職員へのセミナーが開催されているようです。定年後の自分のライフスタイルを考えるためのセミナーです。老後のマネープラン、人生設計など、健康的な自分の第二の人生、セカンドライフを早めに計画するためのセミナーです。

【職場のストレス】

職業的なストレスは、問題が過度であったり、自分の力では解決できないなど手段や助力がなかったりするために状況を改善することができない、そのために、疲労感、絶望感が持続してしまうこととなり、強いストレス状態に陥ることになります。

〔仕事量と質の負担〕

自己の能力以上の仕事を求め続けられる負担、仕事量と、仕事の内容・質に関わる問題があります。あまりにも過剰な負荷をかけられ、すべてが中途半端となり達成感が全く得られない状況や責任を負えないこともストレスにつながります。

〔上司と同僚の支援〕

仕事のおける人間関係もストレスに大きく関係してきます。仕事をする中で上司がきちんと管理をしてくれる中で行う仕事はストレスを感じません。逆に、常にできないことや失敗の指摘ばかりをされると、過大なストレスを感じます。

同僚との関係性も同様です。程よい助言をかけてくれる同僚は、良い関係性を保てますが、ミスの指摘や、イヤな仕事を回してくるなど、足を引っ張るような関係性ばかりの同僚ではストレスになるばかりです。

〔テクノストレス〕

テクノストレスとは、コンピューターを扱うことが原因で起きる精神的・身体的不調を訴える現象をいいます。コンピューターに対する適応障害あるいは、過剰適応に陥った状況をいいます。

OA機器やコンピューターに適応できないために生じるテクノ不安症と、過剰に適応したために生じるテクノ依存症の2種類があります。

テクノ不安症

テクノ不安症とは、コンピューターに適応できないことが原因で生じる不安症状。機械を拒否する不安、仕事に対する不安、失業に対する不安、健康障害対する不安、心配、恐怖が混在し核となっていることが多い。具体的な症状は、動悸、息切れ、肩こり、めまいなどの自律神経の失調や、鬱などである。職場環境にほとんど原因があり、環境整備し、人との関わりの多い仕事とすることでストレスを軽減すれば、多くは改善が見られます。

テクノ依存症

テクノ依存症とは、コンピューターに過剰に適応し、のめり込んだ状態となること、人間的な感情を失ってしまう。コンピューターがないと不安に感じ、人と接することを嫌うようになり、人を見下すようにもなります。マニュアル通りにすすめば問題なく行うことが出来るために問題が表面化することはないが、予想外の出来事が発生したときにパニック状態となり社会的に不適合な状態に陥ります。仕事人間に多く、思考が硬直状態のために、自分の心の状態が判らず、自己の限界が分からなくなる、時間感覚がない、邪魔されるのが我慢できない、あいまいさを受け入れられなくなるというような症状が見られます。

〔燃え尽き症候群 バーンアウト〕

突然やる気がなくなる、働くのが嫌になる。不眠や強い倦怠感が目立ちます。中高年のビジネスマンに多く、あらゆる職種にみられます。極度のストレスをうけた場合に発症することが多いようで、自殺の危険性もあるために、早期の対応や発見が必要です。

〔過剰適合症候群〕

過剰適応症候群とは、人当たりがよく、気配りをする人に多く見られ日本人に多いタイプです。外見上何の問題も無いように見えますが、見えないストレスが蓄積されています。仕事も、人間関係も何事にも完璧にこなそうとするために必要以上に周囲に適合しようとして、ストレスとなってしまいます。過剰適応症候群は、体の弱い部分やストレスの影響を受けやすい部分に症状が起こりやすく、胃潰瘍・十二指腸潰瘍などの症状が多いようです。

〔通勤ストレス〕

通勤電車に乗ると身体の不調をきたす。腹痛を感じてトイレに駆け込んだり、動悸を感じたり、息苦しくなり、乗っていられなくなる。それ以来通勤電車に乗ると同じ症状が出現し、そのことが苦痛となり出社出来なくなる。

〔サンドイッチ症候群〕

中堅クラスの社員が、上司と部下との板挟み(サンドイッチ状態)となり軽度のうつ状態にとなる。上からの締め付け、下からの突き上げという、いわゆる中間管理職に生じやすい。さらに家庭での問題などが加わり八方塞がりの状態となり発症することが多い。まじめで責任感の強い性格に多く見られます。

〔出勤困難症〕

明日こそは出勤しようと思い、完璧に準備するが、朝になると起きられない。頭痛、腹痛、倦怠感で出勤することが苦痛となる。その状態が頻回となり、会社への連絡もままならず、周囲からあからさまに呆れられ追い込まれる状態に陥る。自殺の危険もあるために注意が必要、十分な休養とサポートが必要です。

〔転勤・昇進うつ病〕

転勤前後のうつ状態、慣れ親しんだ仕事や人間関係を喪失することに対して、空虚感を持ち、不安、恐怖を持つ。悲観的となり、思考や判断力が低下、不眠になるなど、転勤をきっかけにして、無口、能力低下、ミスが目立つようになる。

昇進うつ病は、責務が増し、ストレス過剰となることにより、うつ状態になる。管理能力が無いと感じじることや、世代間ギャップがストレスに感じる人も少なくない。

〔出向症候群〕

自分の脳力がないために出向させられたのだと受けとめ、深く悩む、同時に認めたくなく、葛藤に悩む。頭痛、不眠食欲減退などの症状が多く見られる。

〔退職症候群〕

定年を迎え、退職後の人生をどう生きるかという人生を問われる問題に直面することになる。限られた年金生活、家計の問題や、これまで日中、向き合うことの少なかった夫婦が毎日いっしょにいるようになることにストレスを感じる。お互いに疎ましく感じ、心身ともに疲れ果てる。

〔朝刊症候群〕

毎日の日課として、朝刊を読んでいた人が、読んだ内容が頭に入らなくなり、気持ちが落ち込み無気力になる。読みたくなくなるなどの変化があらわれること、午後から夕方にかけては元気を取り戻す。うつ病の初期症状のひとつと言われ、中間管理職や働き盛りの人がかかりやすい。何らかのきっかけで仕事に対する自信を失うとこの症状が現れるため、早期の治療が必要です。

〔キャリアウーマン症候群〕

スーパーウーマン症候群とも言われ、エリート志向で意欲的、負けず嫌いで、なかなか弱みをみせない女性に多いストレス症です。心身ともに不調であるにもかかわらず、頑張り過ぎる傾向が強く、心身に異常をきたす。自分の目指すレベルでの両立ができずにストレスがたまって、出社できなくなる。更年期を迎える頃は、ホルモンバランスの変調も加わり、精神的にも不安定な状態になり、うつ状態を発症することが多い。

職場のストレス

<職場のストレス>

 

1-3 高齢期を生き抜く課題と心の病 

65歳以上の高齢期は、加齢に伴う心身の変化により、老後や死に対する不安を抱くようになります。心身機能の衰退を自覚するようになり、いろいろな環境の変化も加わり、いわば人生の終盤を視野に入れて、人生の統合、過去の再統合せざるを得なくなります。定年を迎え、社会活動の第一線を退き、社会や家庭での役割も少なくならざるを得ない。自分の役割がなくなり、無用感や空しさを感じざるを得ない状況に陥ります。また、周囲の人の訃報に「死」を身近に感じることも増えてくる。また、配偶者の病気や死も不安感を助長することとなる。はじめに心に影響を及ぼす、さまざまな不安要因をまとめてみましょう。

【高齢期の身体的不安要因】

〔老化現象〕

生理的な老化に加え、疾患に罹患する割合が増えます。

  • 外見の変化    身長、骨格、頭髪、皮膚、容貌など
  • 機能的変化    視力、聴力などの低下
  • 運動機能     動作が緩慢、脚力、体力、筋力などの全体的な運動機能低下
  • 疾患の増加    認知症、脳血管障害、うつ病、パーキンソン病、不眠
  • 循環器疾患    高血圧、虚血性心疾患、動脈硬化症、心不全
  • 呼吸器疾患    慢性気管支炎、肺炎、肺がん、肺結核
  • 消化器疾患    胃がん、大腸がん、胃潰瘍、肝硬変
  • 泌尿器科疾患   前立腺肥大症、前立腺がん、
  • 内分泌代謝疾患  糖尿病、高脂血症、
  • 骨筋肉疾患    骨粗しょう症、変形性関節症、慢性関節リウマチ
  • その他疾患    白内障、難聴、歯の喪失

これらの疾患や身体症状は、1人の高齢者に多数の疾患を合併しています。寝たきり状態になった場合、関節の拘縮(関節が動かなくなる)や、尿失禁、認知症などを合併しやすくなります。周囲とのコミュニケーションが難しくなり、不安感や心理的緊張状態を引き起こしやすくなります。

〔精神機能の変化〕

記銘力の低下が見られる。新しい事象の記銘困難、物忘れ、置き忘れの頻発、思考、判断スピードの低下などが見られる。その反面知能面は、認知症を除き、低下はみられない。言語機能、判断力、総合理解力などには、変化は見られない。

〔老いの個人差〕

高齢期においては、個人差が大きく見られることが大きな特徴です。高齢者を年齢でその能力をきめることはできない。

【高齢期の心理的不安要因】

〔老いの自覚〕

高齢者といわれる年齢の方が「自分は老人である」と自覚する主観的な年齢には個人差が非常に大きい。暦年齢とは一致しない。身体的徴候、老眼、毛髪の変化、皮膚のしわ、体力の低下などから老いの自覚(老性自覚)が始まります。

社会的状況、職業からの退職、配偶者、近親者などとの死別、孫の出生などによっても老いを自覚させられます。死に対する意識、態度が否応なく認識させられることになります。

〔喪失体験〕

心身の体力低下や経済的自立の喪失や、親しい人との死別、子どもの独立など家族や社会との繋がりがなくなることも喪失感を感じることに繋がる。孤独や孤立感は、生きがいの喪失につながります。

【高齢期の心の病】

高齢期は、このようなさまざまな不安要因を持ち合わせている年齢期です。この高齢期に起きる心の病気をまとめてみましょう。

〔老齢期うつ病〕

気分障害は、それぞれの年齢期にみられますが、この65歳以上の高齢期に多発しやすいために、老齢期うつ病といわれています。下記に特徴をまとめます。

  • 遺伝的要因は比較的少ない
  • 身体的、心理的な影響により引き起こされやすい
  • 老化に伴う心身の衰えが関与している
  • 症状は心身の状態に影響されやすい
  • 不安や焦燥感が強い
  • 自殺の危険性が高い
  • 罪責妄想や被害妄想などを抱きやすい
  • 躁状態になることが少ない
  • 症状が典型的ではない

高齢期のうつ状態は、先にあげた心身機能の低下や、経済的弱者への転換、退職など、心理的、社会的なさまざまな要因が関与し、退職後の夫婦のあり方(前項の退職症候群)も関与している場合も多い。仮面うつ病や仮性認知症(うつ状態により起こる認知症状)などの非定型の場合が多いといわれています。

意欲減退、思考の停滞、記憶力減退、注意集中困難、悲観と憂うつ感、不安、焦燥感、不眠、便秘などの自律神経症状がみられ、これらの症状の一部が突出して出現する場合が多い。

〔老年期幻聴妄想状態〕

高齢者に見られる、幻覚や妄想が生じる精神障害のことです。

せん妄(急激に発症した精神の混乱状態)、認知症以外での幻覚妄想を起こした場合をいいます。意識は、清明で日常生活はきちんと営んでいるにもかかわらず、つじつまの合わないことを言ったり、思い込みで行動したりする。

  • 被害妄想  家族が意地悪をする
  • 心気妄想  身体がだめになった
  • 嫉妬妄想  夫が浮気をしている
  • 幻聴、幻視 しない声が聴こえる、夢見ているよう
  • 体感幻視  拍動を感じる

不眠、不安、食欲不振、抑うつ感などの症状もみられ、周囲を振り回すことになる。脳の老化、心理的要因、統合失調症、統合失調症や気分障害との関連などのさまざまな原因が多元的に関係しています。高齢者は、生活環境の変化が起きやすく自分自身や家族の病気、退職、転居、近親者の死などがトリガーとなります。

 

2.働く職場のストレスとメンタルヘルス

労働者に対して、2015年12月より実施されているストレスチェック制度、受けられた方もいらっしゃるのではないでしょうか。労働者は職場でどのようなストレスを感じているのでしょうか。働く人の半数以上が仕事に関して強い不安、悩みストレスがあるとの調査結果があるそうです。その内容は、職場の人間関係が最も多く、次いで男性は、仕事の質の問題、女性は、人間関係が半数以上となり、男女差がみられます。

【職場でみられるストレッサー】

職場のストレッサーとなることが多いものをまとめると

  • 重度の病気やケガ
  • 交通事故(重大な人身事故、重大事故)を起こした
  • 労災事故(重大な人身事故、重大事故)の発生に関与した
  • 会社の経営に影響するような重大なミスをした
  • 退職を強要された
  • ひどい嫌がらせや、いじめ、暴行をうけた

【心の健康保持増進】 

これらの職場のストレスから労働者を守るために厚生労働省は、4つのケアと呼ばれる包括的な対策を示しました。

  • セルフケア   (労働者自身がストレスに気づき、対処)
  • ラインによるケア(管理者 職場環境の把握と改善、労働者からの相談対策)
  • 事業場内産業保健スタッフ等によるケア(産業医、保健婦、人事労務など①②への支援)
  • 事業場外資源によるケア(専門的な知識を有する支援の活用)

上記の4つのケアを指針として、ストレスチェック制度がつくられました。この制度の普及を目的として講座を今年3月に受講してきましたので、その内容を一部シェアしていきましょう。この制度の目的をまとめてみましょう。

【ストレスチェック制度の目的】

1次目的
  • ストレス状況について気づきを促す
  • 個人のメンタルヘルス不調のリスクを低減させる
2次目的 うつ病の早期発見・治療
  • リスクの高い労働者を発見する
  • 医師による面接指導につなげ2次予防に寄与する
3次目的 再発予防・復職支援  
  • 心身のストレス反応
  • 職場のストレス要因
  • 職場の周囲からの支援、
  • 職場環境の評価

50名以上の労働者のいる事業者に実施義務があります。労働者本人の不利益を防止するため、本人の同意がない限り、個人に関する情報を知ってはいけない。実施者は人事権のない人が行うとされています。解雇や退職勧奨、不当な動機や目的による配置転換など人事上の悪用されないために守られています。

〔ストレスチェックの必要性〕
  • 勤労者のストレス状況
  • 自殺者の急増
  • 精神疾患の労災請求
  • メンタルヘルスと生産性の向上
  • 生きがい、働きがいの大切さ
  • 高齢社会を支える勤労者

ストレスチェックを受けるか否かは、本人が決めることができます。正しい評価を知るためには、利用も有りなのではないでしょうか。自分で自分の心の状態を客観的に知るためには良い方法です。ある制度を利用することはプラスにつながります。

 

3.死生観とは? 生き方を考える

今週は、人生の始まり生から死までのそれぞれの段階での心の問題を扱ってきました。最後に最近学びはじめた死生学を通して死生観を考えてみましょう。私は、病院勤務をしていたので、医師、看護師ほどではありませんが、「死」とは比較的間近にある場所で働いていました。

〔死の人称の考え方〕

病院での体験、そこでの死は、3人称の死です。人は、3人称、2人称、1人称の死を順番に経験するといわれています。一般的な人生で、少年期から青年期にかけて、他者の死、3人称の死の葬儀に参列する機会を得ます。1人称の死とは、自分自身の死のことを指し、人生で一度きりです。その経験を話すことも出来ず、対象化できない死です。2人称の死とは、大切な人の死です。自分自身ではないが、ほとんど自分自身の死のような体験、そしてその体験をしながらも生きることを経験していく。3人称の死のようには容易ではなく、深い悲しみや苦しみの心に囚えられることになります。

2010年に脳死移植が家族の同意が得られれば、認められるようになりましたが、その頃、移植コーディネーターに興味があり、脳死というものを考え、私も死についても考えることがありました。それ以前に、ドナーカードが作られたと記憶しています。そのドナーカードの家族承諾欄に記名できなかった記憶があります。身近な人の死を受け入れてしまうような不安感があったのでした。これが2人称の死です。今でも脳死をどのように受けとめるか、ということに関しては、自分の中での答えはでてはいません。みなさんのご意見をお聞きする機会があればと思います。

高齢期、超高齢期になると否が応でも死というものを考えるのではないでしょうか。若くても、はからずも「死」と直面したときに考えることがあるのではないでしょうか。

死生観とは、死を通して生を考えることをいいます。仏教では生死観(しょうじかん)という言葉もあるようです。死に対する捉え方は人それぞれであり、その人の生き方につながるともいわれます。

前回のブログでお伝えした「ライフサイクル論」の中で、老齢期の課題は、人生最後の段階における心理的課題として「自我の統合と絶望」をあげています。自分をあるがままに受け入れて老年期というライフサイクルをあるがままに受け入れることが重要な心理的な発達課題であるといわれています。自身の人生を振り返り、満足、喜び、受容とともに死を恐れないことが自我の統合を達成したことになる。

逆に、人生最後の段階において絶望感を抱き、極度の後悔、失望、死への恐怖に襲われ、もう一度やり直したいと願うことになる。

このように、ライフサイクルから死を考えると、かなりハードルが上がってしまうように感じる方も多いのではないでしょうか。『死生観とは、死を通して生を考えること』、と考えたほうが、つまりは、今まで生きてきたように生き、老い、死んでいくと考えにつながり、「死に様こそ」が人生そのものであると受けとめることができるのではないかと思います。どのようにして最後の時間を生き抜き、人生の最後を迎えるのか、生の在り方を自己に問うことのほうが大切なのではないでしょうか。

生きるということ、さまざまな課題をクリアにしながら人は、その都度成長することができます。日々是成長なのだと思えた時に、自分が今何を知りたいのか、どんなことに興味関心があり、志向がどこに向いているのかを考える時に、新たな生き方が見いだせると思います。死を考えるのではなく、息を引き取るその直前まで、『何を愉しみたいのか』を考えると、今の過ごし方が見えてくる気がします。

社会と関わりながら成年期を過ごし、自己成長していく。人生の折り返しで後継者の育成を通して社会への恩返しをする中年期、自己の統合を完了させ人生を愉しみつくす高齢期。私自身が、折り返しからがむしゃらに学びはじめました。こうありたいと思う高齢期が近くなり、人生のミッションに行き着くことが出来ているのか、自分の中の葛藤です。人生を愉しみましょう!

 

今日のまとめ

  • 社会との関わり、複雑な人間関係の中でのストレスを知る
  • ストレスの受けとめ方は、人それぞれ早めの徴候を知り、早めの対応
  • 死とは、人生を愉しみ尽くすことにつながる、これが、高齢期の課題につながる

 

<今週のblog> 

『年齢特有の心の病』
『心の健康生活習慣』
『健康を考える』
<関連サイト>
  • エリクソン ライフスタイル論      Wikipedia
  • ピーターパンシンドローム        Wikipedia

 

今日も最後までありがとうございました。

 

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