元気&HealthのJunchanのblogにご訪問ありがとうございます。医療スタッフのメンタルパートナー かたよし純子です♪今週のテーマは「膵臓」です。初回は、膵臓の位置、機能を中心にまとめていきました。2回目の今日は、膵臓の炎症「膵炎」です。あまり馴染みが無いかもしれません。しかし、膵がん同様、近年急性膵炎は、増加が報告されています。重症化することもあり命にも関わる疾患です。そのいちばんの原因がアルコール多飲です。急性膵炎から慢性膵炎、そしてアルコールがやめられずに、依存症から命を落とすこともある疾患です。アルコールと膵炎との関係性もまとめてありますのでぜひ最後まで今日もおつきあい戴けたらと思います。
1.急増している膵疾患『膵炎』理解のためのポイント3つ
1-1 背部痛を起す膵炎のとは?
1-2 急性膵炎と慢性膵炎
1-3 アルコール習慣と膵臓
今日のプラスα
2.その他のいろいろな膵炎
3.超音波検査士が伝えたい、膵炎超音波検査のホンネとは?
1.急増している膵疾患『膵炎』理解のためのポイント3つ
膵炎とは、膵臓の炎症性疾患です。その経過により、「急性膵炎」と「慢性膵炎」に分けられます。
1-1 背部痛を起す膵炎のとは?膵炎とは
一般的に腹部を中心として、上腹部~その背中側~左側にかけて広範囲の痛みと言われています。
【膵炎の症状とは?】
背中(ウエスト高さあたり)の痛みの原因疾患としてあげられるものに膵炎があります。前回のブログでも位置をお伝えしましたが、膵臓の位置(下のイラストもご参照ください)
〔症状の特徴〕
- 背部痛(ウエストの高さあたり)
- 心窩部痛(みぞおち)
- 左側中心に背中にかけての痛み
- 発熱
- 食欲不振
- 吐き気・嘔吐
- 下痢
- 腹部緊満感(腹部が硬く張った感じ)
その他、特徴的なのが、前かがみに背中を丸めた姿勢が楽だということをよく聞きます。食事をすると膵液が分泌されますので、痛みが激しくなるようです。
<膵臓の位置>
【膵炎の原因とは?その特徴】
膵炎とは、膵臓から分泌される消化酵素、膵液による自己消化による炎症が原因です。膵液には、消化に関係する消化酵素が多量に含まれています。十二指腸に流れずに、膵臓内部でこの消化酵素が活性化してしまい、膵臓自身が自分の膵液で溶けてしまうことにより炎症を起こした状態となります。よく見られるのがこの自己消化による急性膵炎です。自己消火により、消化酵素が血液中に逸脱し、全身に排出されることになります。軽度の腹痛症状から、多臓器不全に陥ることまでさまざまです。眼球黄染、皮膚黄染などの黄疸症状もがみられることもあります。
〔重症となった場合の膵炎時の症状〕
膵炎の進行により、脱水が出現します。腸閉塞症状、口渇、多尿・頻尿などの症状や血圧低下により頻脈、冷汗などショック状態となる、意識低下、精神不安定、幻覚などの精神症状があらわれることもあります。肺疾患の合併症により、呼吸不全となることもあります。急激な悪化は、死亡リスクとなり重症化する症例の2~3割に見られます。
【治療と予防】
胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胆石症、腸閉塞、膵臓がんなど似たような症状を呈する疾患があり、鑑別が必要です。
〔おもな治療〕
治療中は、消化液の分泌を抑えるために絶食とし、必要な栄養は、点滴で補い、薬物が投与されます。鎮痛剤、抗菌薬、消化酵素薬、タンパク分解酵素阻害薬などが投与されます。
その後、脂肪分の多い食品は避け、アルコールは禁止です。胆石症がある場合は、胆石の除去も行われることもあります。日常から、食事に配慮し、脂肪分の少ない暴飲暴食とならないようにし炎症をくりかえさないようにすることが大切です。
1-2 急性膵炎と慢性膵炎
アルコールがもっとも多い原因となる急性膵炎と、長期間の炎症により慢性化するものに分けられます。この2つを詳しくまとめていきましょう
【急性膵炎:重症化すると命にかかわります】
自分の分泌した消化酵素(膵液)により、自分自身の細胞を自己消化してしまう急性膵炎を発症します。膵液が流れる膵管に何らかの原因が起き、膵液が流れにくくなることにより自己消化が引き起こされます。激しい腹痛を伴い、急性呼吸不全、腎不全、敗血症などの多臓器不全を起すこし、死亡リスクもある疾患です。
〔胆石症との膵炎との関係性〕
胆のうの中に出来る結石を胆石といいます。胆石は、消化に関係する胆汁成分がかたまりとなり結石化して作られます。胆汁は、総胆管を経て十二指腸乳頭部から腸管へと流れ出て消化を助けています。この総胆管の中に結石ができることもありますし、胆のうから総胆管内へ落下することもあります。この総胆管内部に結石が詰まって胆汁や膵液を滞らせることが原因となり急性膵炎を発症することもあります。
〔ちょっと、胆のうのお話〕
胆のうは、胆のう管という部分を経て、総胆管につながりますが、胆のう管からの胆汁の出口に胆石がはまり込むと胆石発作となり腹痛の原因となります。胆石発作も脂肪分の多い夕食後の多くの胆汁が分泌される夜中によく発作がみられるようです。胆石は、胆嚢炎の原因にもなります。胆石が有ると言われた方は、夜間緊急時での腹痛受診の際は、担当医にぜひお伝え下さい。
通常膵炎では、38℃を超えることは少なく、高熱となるときは、胆道感染症を疑います。
<膵臓Pancreas>
〔ストレスも原因?!〕
ストレス解消と称して、アルコールを飲む方も多いのではないでしょうか。過剰なアルコール摂取による原因が多くみられます。アルコールの大量摂取は、膵液の分泌を活発化させます。そのため度重なるストレスによる多量の飲酒が間接的に急性膵炎の発症につながるとされています。アルコールを大量摂取し、数時間後から翌日までに発症しやすいとされています。
〔急性膵炎の診断〕
急性膵炎が疑われたら前回お伝えしたように
診療機関に受診すると、さまざまな検査が行われます。
- 血液検査 :白血球上昇(炎症所見)
- 生化学検査:血清アミラーゼ(発症後1~2日で最高値)、リパーゼ、腎機能検査
- 尿検査 :尿中アミラーゼ
- 画像診断 :超音波検査、CT断層撮影、X腺撮影(腸閉塞:局所的腸管ガス)
※膵腫大や膵周囲の炎症性変化の有無、液体貯留などの確認を画像診断でおこなう
〔入院は必須です〕
急性膵炎の診断は、その場での入院となります。絶食、安静が必須です。食事をすると、膵液が分泌され炎症が悪化します。そのため食事を止め、点滴治療が開始されます。膵臓を休める目的もあります。
急性膵炎の重症化で、他の臓器にも炎症が及ぶことがあります。比較的早期に肝臓や腎臓などに合併症が起きることもありますので、ICUなどでの全身管理が必要となることもあります。出血性や壊死性の重症膵炎となる場合は、ショック症状となることや、腎不全を発症しやすく死亡率が高くなります。
〔再発防止のために必要なこと〕
- 生活習慣を見直す
- 断酒をする
- 脂肪分の多い食事を避ける
- バランスのよい食生活を心がける
- 過度のストレスを避ける
〔高齢者に増加している急性膵炎〕
急性膵炎による痛みには個人差があり、痛みの強さと、重症度は必ずしも一致しないといわれています。特に、高齢者に関しては、あまり痛みがない場合もあるようなので注意が必要です。腹痛などの初期症状があまりなく、重症化して気づくこともあるようです。高齢になるほど重症化しやすく、他の年齢が下がる一方、高齢者の死亡率は上昇しています。
血糖をコントロールし、インスリンやグルカゴンを生成して血糖値の上下をコントロールする膵臓は、消化酵素を含む膵液という消化液も分泌する大切な臓器なのです。
【慢性膵炎もあなどれません】
一般的な症状は、急性膵炎と同様に、みぞおちから背中の痛み、食欲不振、悪心・嘔吐、腹部膨満感など。膵臓が硬化し、その結果胆管の狭窄をきたし黄疸を発症することもあります。膵臓は、消化・吸収に関与する臓器です。慢性炎症のため下痢の症状や、機能低下により、糖尿病を合併することもあり、さらに透析治療となるケースもあります。膵炎が6ヶ月以上継続するもの、持続する、継続する腹痛や圧痛などの症状を有するものが慢性膵炎です。
〔急性膵炎から慢性膵炎へ〕
急性膵炎を繰り返すことにより、膵臓細胞の消化、炎症が進行し、膵実質の線維化や石灰化が進行していきます。膵臓が硬くなり、消化液の分泌機能低下など膵機能が低下した状態が慢性膵炎です。
〔その他の原因〕
アルコールの過剰摂取、胆石症が原因としてあげられます。その他、肝炎、胃・十二指腸潰瘍、糖尿病などの疾患が原因の場合もあります。喫煙がリスクになるという文献もありました。その他、脂質異常症や、副甲状腺機能亢進症などもあるようです。原因不明の特発性膵炎も20%くらい見られるとのことで、その中には極稀に、遺伝子異常もあるようです。
〔男女差による原因〕
慢性膵炎の男性の原因としてトップがアルコール多飲で70%、女性の原因は、特発性が最も多く40%くらい、次いで胆石、アルコールとなっているようです。
〔慢性膵炎になるとどうなるの?〕
慢性膵炎になると、膵液が流れる膵管内に膵石(結石)ができたりすることで十二指腸に流れにくくなり、膵臓内に膵液がたまってしまうことで痛みが発生するとされています。流れにくくなり、たまった膵液は、仮性のう胞(水分をもつ袋)を作ることもあります。
また膵臓は、痩せてしまい(菲薄化)機能低下してしまいますので、膵液の分泌は低下してしまいます。そのため、脂肪の消化や吸収が悪くなり、脂肪便となることもあります。
脂肪便とは、脂肪の消化や吸収が悪い時、白っぽく、油ぎった状態の便のことです。この状態が続くと、栄養不足になりますので排便状態にも注意が必要です。
血糖を下げるホルモンであるインスリンは膵臓で作られます。インスリンの不足により、糖尿病を合併する場合も多く見られます。さらに膵がんのリスクも上昇します。
〔治 療〕
アルコール性慢性膵炎の場合、治療の基本は禁酒です。喫煙も慢性膵炎を悪化させるので、禁煙も重要です。慢性膵炎による痛みに対して、痛み止めや蛋白分解酵素阻害薬の投薬です。
膵管の狭窄部分に膵石など痛みの原因と考えられる場合に、内視鏡治療を行うこともあります。膵管狭窄部分を広げるために、ステントの挿入や、膵石の除去などが行われます。
膵石が大きい場合には、内視鏡の治療だけでは治療が困難なので、ESWL(体外衝撃波結石破砕術)を併用します。膵液の不足による、消化・吸収不良(脂肪便など)の症状に対しては、膵酵素薬の内服(膵酵素補充療法)を行います。
1-3 アルコール習慣と膵臓
膵臓には急性膵炎と慢性膵炎があり、さらに慢性膵炎から起こる糖尿病があることをご理解いただけたでしょうか。アルコールがすべての原因ではありませんが、その大きな原因であることは否めません。アルコール常習者の人すべてが膵疾患に罹患するわけではありませんが、原因だと知っておくこと、そして自ら、自己管理することが大切だと思います。
【依存症との関連】
特に慢性すい炎の状態ではお酒がやめられないアルコール依存症との関連性が問題となります。常習的な飲酒傾向があり、慢性膵炎と診断されている場合は、断酒は絶対だと思います。そのため、アルコール依存症の専門医療機関への受診もお勧めいたします。
〔飲酒と急性膵炎〕
やはり慢性的に飲酒を継続している場合は、急性膵炎となりやすい
慢性的な飲酒を続けている人は急性膵炎となりやすいことから、過度の飲酒が体に良くないことは明白でしょう。食生活は意識的に変えられるものであり、急性膵炎の致命率が急激に高まる高齢者となる前に、リスクを低減させるような食事内容にシフトするのが賢明となりますね。
長期間アルコールを過度に飲酒し続けることは急性膵炎のリスクを高めるため、飲酒を控えることが直接的な予防となります。アルコール量で換算して、1日に100g以上の摂取で、急性膵炎発症のリスクが5倍以上との報告があります。(下記にアルコール10gの目安を表記しています)
【見直しませんか?アルコールと楽しくつきあう方法】
自分の年令も考えることが大切です。私自身が、お酒大好きです。友人との語らいの中で楽しく飲む時間も大切にしたいです。そのため自宅には、基本ノンアルビールを置くようにしています(笑)
多くないと思っていても急性膵炎となるリスクがあること、発症へのアルコール量も人それぞれ、肝臓やその他の臓器にももちろん影響あります。慢性的な飲酒習慣、その量を見直してみることも大切なのではないでしょうか。私の父は、91歳でその生涯を終えましたが入院した時以外は、毎晩晩酌を楽しんでいました。糖尿病でインスリンを使用しながらもという状況下でしたが、350mlの缶ビール1本、それに時々少量の日本酒も飲むこともありましたが、お酒の身体への影響はみられませんでした。
量をわきまえ、飲まれること無く、お酒と相性良くうまくつきあうこと考えることも大切なのだと思います。
1年前のブログで悪習慣、依存を断ち切るための5ステップをまとめています。事例は、喫煙ですが、基本的なステップはほぼ同様です。ご参考にお読みいただければと思います。
※関連ブログ 手放すまでの5ステップ ※悪習慣を手放す方法(禁煙)
【どれくらいのアルコール量になるのか?】
アルコール量の計算式というのを見つけました。
※引用サイト e-ヘルスネット
〔純アルコール量の計算〕
酒類のラベルに記載されているアルコール度数が記載されていますが、この度数は、体積パーセント(%)で示されています。アルコール度数5%のビールは、100ml中に、純アルコールが5ml含まれているという意味です。
アルコール度数500mlのロング缶ビールに含まれる純アルコール量は、
500ml(酒量)× 0.05(度数)× 0.8(比重)= 20g(純アルコール量)
と計算されます。
〔基準飲酒量(ドリンク)〕
日本では近年の基準飲酒量として、国際的な平均から見直され、
1ドリンク = 10g
この基準量が提案され使用されています。
〔各酒類の1ドリンク〕
基準飲酒量は、自分が飲んだアルコール相当量を把握でます。ついつい飲み過ぎる方へ、自分の健康を考え、参考にすることも身体への労りです。アルコールの場を楽しむことと飲酒量は相関しますか?
下記の表に「e-ヘルスネット」の表を見つけましたので、引用させていただきました。参考として1ドリンクに相当する酒量を確認されてみてください。上記で示した「飲み過ぎ危険100g量」は、この10倍量となります。
<酒類の1ドリンク量:アルコール=10g量> ※e-ヘルスネットより参考作成
2.その他のいろいろな膵炎
その他の原因による膵炎もまとめておきたいと思います。
【自己免疫性膵炎】
〔自己免疫性膵炎の症状〕
膵臓の腫大、膵管の部分的に細くなる、血清IgEの高値、ステロイド剤の有効性などが特徴とされる慢性膵炎です。
膵臓の炎症により、膵管が圧排され十二指腸に流れにくくなり黄疸を発症します。この黄疸が初期症状とされることが特徴のようです。腹痛は、ごく軽度かみられないこともあり、糖尿病の悪化や発症などの合併症を伴うこともあります。
〔自己免疫性膵炎の原因〕
あきらかな原因は不明、自己免疫機序か関係しているとされています。高齢者に多くピークは60代、男性に多く見られます。膵臓以外の臓器、胆管、唾液腺、後腹膜臓器、肺、腎臓などにも病変を生じるとされています。
〔診断方法〕
○画像診断
さまざまな画像診断、超音波検査、CTなどによる膵臓の腫大、膵管の狭細変化に特徴があり、この確認のために、MRCP(磁気共鳴膵胆管造影)を行います
○その他の検査
血液検査でIgEの上昇が9割にみられる、その他、生検(組織採取し診断)
ステロイドによる反応で診断する場合もあるようです。
自己免疫性膵炎は、膵がんや胆管がんとの鑑別が難しいことがあるようです。また、自己免疫性疾患の膠原病の合併症や、糖尿病との合併症としても発症することがあるようです。
【遺伝性膵炎】
家族性に慢性膵炎が多発してみられ、遺伝性と考えられることが有るとのことです。稀な疾患で、遺伝子の変異を背景として、家族性に複数の膵炎の発症、大量飲酒の成因が認められないことなどの場合に考えられるようです。
【薬剤性膵炎】
治療の目的投与された薬剤が原因と考えられる膵炎で薬物性膵障害とされます。急性膵炎としての症状を示し、慢性膵炎への以降はみられないとされます。多くの場合は軽症で予後は良好、まれに重症化して死亡することもあり注意が必要です。薬剤によりさまざまですが、薬剤固有の毒性による膵炎は24 時間以内に発症するとされています。
〔発症のリスク〕
薬剤性膵炎の発症に男女差、好発年齢なく、消化器系疾患の既往や高齢者、何らかのがん疾患、難病疾患を有する人にリスク報告があるようです。その他、胆のう摘出後、エストロゲンにより、副甲状腺機能亢進症などの高カルシウム血症素因のある人で一部の薬剤にてリスク上昇があるようです。
〔症 状〕
薬剤投与後、一定期間後に通常の膵炎同様、上腹部の急性腹痛発作、圧痛、背部痛、放散痛が見られます。
〔診断方法検査〕
薬剤使用中に圧痛を伴う腹痛が見られた際に血中、尿中の膵酵素に測定、一般的にはアミラーゼの測定、リパーゼや膵アミラーゼの測定を行い、早期に重症度を判定する診断が求められます。その後急性膵炎が疑われたら、通常の急性膵炎発症時同様、腹部超音波検査、CT、MRIなどの画像診断が行われます。薬剤性膵炎との関連性がある薬剤を使用の際は、薬剤投与後からの定期的な血液検査が行われることもあるかと思います。
膵炎の重症度判定のために行われる検査には、血中酸素濃度、血液検査BUN やクレアチニンの上昇、LDH の上昇、血小板数の低下、総カルシウム値の低下、炎症反応 の上昇、白血球数の上昇ないし低下、さらに肝機能、胆道系酵素の上昇や総ビリルビン値なども上昇にも注意が必要です。
3.超音波検査士が伝えたい、膵炎超音波検査のホンネとは?
急性膵炎をWeb検索していて、よく目にすること...
『急性膵炎が疑われる場合の腹部検査では、膵腫大や膵周囲の炎症性変化を捉えることが可能であるが、腹痛や腸管内に貯留したガスにより情報が十分に得られないことがある』
これも、もちろん真実です。その理由は、検査を担当する人のスキルに大きく左右されるからです。その技術の差が一番大きく現れるのが、「膵臓」であり「急性腹症」の超音波検査です。
【膵臓の超音波所見】
多くの方の超音波検査を行なう中で、膵炎の方に対しても数多く対応させて戴きました。
〔急性膵炎の超音波で得られる所見とは〕
腹部超音波検査では、膵臓の腫大や膵臓の周囲に膵液の漏れが無いか、また、膵臓の細胞の壊死を疑う所見が無いかなどをみていきます。超音波画像から炎症性の変化の有無を確認することはもちろんですが、依頼医からの指示、被検者情報、血液検査が出ていればそれらの情報を確認しながら、膵臓以外、腹部臓器全体をみていきます。胆のうや胃、十二指腸、小腸などのガスなども加味しながら検査を勧めていきます。
〔痛みの状態を常に確認しなら寄り添う検査を行う〕
でも、いちばん大切なのはかなりの腹痛状態での検査です。そのことをしっかりと念頭に置き、検査を勧めていきます。短時間でより多くの情報を見逃さないように、痛みに配慮しながら進めることを大前提として行っていきます。
痛みのある部分をはじめに教えて戴き、そこから確認します。膵炎の症状レベルにより、さほど重篤ではない場合は、以外に超音波画像に現れないこともあります。それは、それで被検者の方にはありがたいことです。その場合ももちろん、その他の臓器、軽度の炎症所見の有無を見逃さないようにすることが大切です。
〔慢性膵炎の超音波画像〕
- 膵管拡張(平滑拡張※):膵液がたまった状態 ※蛇行した拡張は、膵がんの特徴所見
- 膵石がみられる :拡張した膵管の内部に膵石(結石)を比較的多くみる
- 膵実質に萎縮 :全体に低エコー(輝度の低下)し、粗雑な見え方となる
【超音波検査での膵臓の顔】生理検査アティテュード®からのメッセージ
多くの腹部超音波検査で『慢性膵炎への移行過程』が類推されます。
多くの腹部エコーを行う中で、膵臓はいちばんより丁寧に観察するように心がけています。その理由は前回のブログでもお伝えしましたが、数字に現れてない「隠れた症状」を見つけることができるからです。多くの膵臓を見ていく中で、正常とは異なるエコー輝度を示す所見にもよく出会います。特徴的な慢性膵炎の超音波画像ではありませんが、
いかにも
お酒をたくさん飲まれている方の膵臓
だと思われるエコー画像に出会うことも少なくありません。
検査前には、必ず生化学検査、血液検査の結果を見てから検査に入ります。すべて正常範囲ですが、硬そうな印象、線維化が進んでいることを示唆できる膵臓にであうことがあります。超音波所見にはその旨はきちんと記載します。そして膵管径の計測サイズももちろん記載します。
アルコールの影響を受けている膵臓を労って欲しいです。膵臓の細胞の再生医療、iPS細胞の研究もされていると聞きますが、まずは自己管理が大切だと私は切に思います。
《若い検査技師さんへの生理検査アティテュードからのお願い》
超音波検査を行っている技師さんへ、超音波所見は検査を担当した人にしか見えない情報があります。所見として「ことばにして」依頼医に伝え、「症状となって現れていない所見」を丁寧にピックアップしてください。
そして、上記の「急性膵炎の超音波」のところでの記述は、いちばん大切です。急性腹症の超音波診断には不可欠です。患者さんの病気をみているのではありません。病気を持つ患者さんの心をみせて戴いているのです。
私は、このようなことを若い検査技師たちへ直接伝えることを目的とし「Pure Medical attitude」を立ち上げました。その上での「生理検査アティテュード®」です。
今日も最後までありがとうございました。
次回は、手遅れになりやすいといわれる「膵がん」をまとめていきます。
今日のまとめ
- 膵炎は、膵液が十二指腸に流れ出ることができなくことによる自己消化が原因となる
- 急性膵炎の原因は、他種あるが、いちばんにあげられるのがアルコール多飲、その他胆石など
- 慢性膵炎と診断されたら禁酒は必須、そのた脂肪分の過剰摂取にも注意が必要
・情報関連サイト 飲酒量の単位 e-ヘルスネット
<Pure Medical attitude のblog>
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