『元気の出るJunchanのblog』ご訪問ありがとうございます。医療スタッフのメンタルパートナー かたよし純子です♪

今日は、臨床検査の2回目、健康診断や病院受診で行なわれる採血や尿検査が臨床検査です。臨床検査は、受診者さま、患者さまから採取した血液や尿、便、細胞などを調べる検体検査、心電図や超音波検査など直接、人を調べる生理機能検査の2つに分けられます。今日はこの、検体検査のうち身体の中の多くの情報が得られる血液検査です。健診は、健康状態を調べるためのふるいわけ検査です。身体の臓器の状態がわかるように検査項目が決められています。その基本項目の内容と、オプションでよく行なわれる血液検査の項目もまとめてみました。

1.臨床検査技師が説明する、採血検査を知る 3つのポイント

1-1 血液を何本採血するの? その血液からわかること  

1-2 貧血の有無は、血液一般、血算でわかります

1-3 身体の状態をあらわす、生化学的検査とは?

今日のプラスα

2.オプション検査 腫瘍マーカー

3.臨床検査技師に拡げられた、検体採取業務

 

1.臨床検査技師が説明する、採血検査を知る 3つのポイント

健康診断で血液を採取するには、血管に針を穿刺して採取しなければとることができません。ですから「採血」は痛いです。そして、その採血された血液や、尿検査の尿は、便、喀痰、細胞診で採取された拭い液や組織片などを「検体」と言っています。つまりは、患者さまや健診受診者さまからの検体といいます。検体は、身体の情報を知るためのいわば、患者さま、受診者さまの痛みを伴って採取された大切な身体の一部です。これらの検査を検体検査といっています。この、検体検査の中の血液検査をまとめていきましょう。

1-1 血液を何本採るの? その血液からわかること

臨床検査技師が採血をおこなうことも増えてきました。検査技師の業務範囲の中で、臨床検査に必要な検体採取を目的とした採血業務を行うことも、法律上可能とされています。

病院で採取される血液で、現在はさまざまな種類の血液検査を行うことできます。腫瘍マーカー、アレルギー、免疫機能、血液型、遺伝性因子、などさまざまな身体の機能評価など多くの検査項目があります。その中で、健康診断での血液検査におもに行なわれる検査項目、血液の組成に関する血液検査生化学的検査2項目にわけられます。

【血液とは? なあに?】

血管の中を流れる赤い液体、血液は、身体を構成する組織の細胞に必要な栄養素や酸素を運ぶ役割をしています。血管は、その長さ約90,000km、地球約2周半といわれています。生命を維持するための非常に大切な役割を担っています。

血液は、血球成分(細胞性成分であり血液細胞と血小板)と血漿成分(液体成分)からなり、血漿は、血液の半分よりやや多く割合をしめています。血球成分が、血漿成分の中に浮遊している状態となります。血球成分は、重量比でおおよそ赤血球96%、白血球3%、血小板1%で構成されています。

〔血液の液体部分の血漿とは?〕

血漿成分は、約90%が水分、その液体中にタンパク質、無機塩類、炭水化物、脂質、ホルモン、など細胞に必要な成分が含まれています。タンパク質に中には、血液凝固に必要なフィブリノーゲンや、免疫にかかわるグロブリンなども含まれます。血漿は、栄養素、酸素の運搬以外に、老廃物の排出、体温調整などにもかかわる大切な働きを担っています。

〔血液の色 ヘモグロビン〕

血液の色は、赤く見えますが、これは赤血球に含まれるヘモグロビン(鉄を含むタンパク質)という色素の色によるものです。ヘモグロビンは、血液中の酸素運搬という働きをしています。動脈血と静脈血とでは、色味が異なりますが、それは、酸素濃度が異なるためです。心臓から大動脈へ、全身に送り出される動脈血は、肺でガス交換された酸素を多く含む血液です。そのため、赤黒くなります。

逆に、全身の臓器から回収される静脈血は、酸素が消費されているために鮮血色となります。指先などを切った時に見る血液の色は、鮮血色としてみられる理由です。採血も通常は、静脈採血となりますので、鮮やかな赤色としてみることができます。

【細胞成分 血液細胞数】

血液の成分をみていきます。赤血球数、白血球数、ヘモグロビン、ヘマトクリット、血小板数、そして血液像となります。貧血の有無、血液形態などがわかります。

血液像は、通常の健診項目では行なわれていないことが多いかも知れません。血液の白血球分類(分画)や赤血球の形状などをみていきます。

〔血小板 Platelet〕

血球成分の1% 約14~36万/m㎥  直径約2~3μmの円盤状

血管の損傷部分などにより修復が必要な場合、集合して血栓を作り、その傷口をふさぎ(血小板凝集)血液の止血を行う。血栓の形成の中心的な役割を果たし、血管壁の損傷時に、止血する作用を持ちます。

〔白血球 Leukocyte 、WBC:White blood cell〕

血球成分の3% 平均7,500/m㎥(3500から9500程度)、直径約6~14μm 単球20~30μm

白血球は、体内の異物に対する免疫担当細胞です。顆粒球と呼ばれる好中球好酸球好塩基球の3種類と、単球リンパ球の5種類が末梢血液中にみられます。

[顆粒球・単球]

顆粒球(好中球・好酸球・好塩基球)、単球は、骨髄で産生されます。顆粒球は、貪食作用により細菌や異物侵入に際して、これを捉え、消化・殺菌・溶解させることで体内への防衛機能を担っています。毒素中和や、アレルギー反応(好酸球)にも関わっています。単球は、マクロファージ(大食細胞)に変化し、旺盛な貪食能で老廃物や異物の処理をしています。

[リンパ球 lymphocyte]

リンパ球は、リンパ組織で産生され、免疫と抗体産生に関与しています。免疫系における白血球のサブタイプの一つで、リンパ球にはナチュラルキラー細胞(NK細胞)、T細胞(胸腺thymus由来)、B細胞(骨髄bone marrow由来)があります。

白血球は、新生児および乳幼児は成人より数が多く、新生児では20,000を超えることも珍しくないようです。また、新生児から乳児期にはリンパ球の割合が高く、白血球分類の70%程度がリンパ球となります。

〔赤血球 Erythrocyte RBC:Red blood cell〕

血球成分の96% 男性で約500万/m㎥ 女性約450万/m㎥ 小児約690万/m㎥ 直径約8μm

骨髄で産生され、脾臓で壊され、サイクルは約120日とされています。赤血球は、血液循環で肺の酸素を取り込み血管の中を流れながら全身の組織に酸素を運び、不要な炭酸ガスを回収するガス交換の役割を持ちます。

【血液の液体成分を調べる 生化学的検査】

生化学的検査とは、血液中の液体成分の糖質、蛋白質、ビタミン、ホルモンなどを調べ、臓器の異常を把握します。生化学検査は、血球成分を取り除いた液体成分を自動分析装置で調べます。その液体は、血漿や血清と呼ばれます。

  • 血漿 (plasma)

抗凝固剤を用いて血液を凝固させずに遠心分離した上澄み。細胞成分(赤血球、白血球、血小板)を除いたものが血漿です。上記で説明したものです。

  • 血清(serum)

血液を放置すると凝固します。凝固させた血液を遠心分離した上澄み。血液(全血)を凝固させていますので、血小板や凝固因子が除かれています。血小板の細胞成分や代謝物が増加しています

〔何がわかるの?生化学検査〕

検査項目・目的に応じて採血管を準備して採血をします。採血の時に、何本取られるの?と思われる方もいるかもしれませんが、検査項目により、抗凝固剤がことなることもあります。そのために何種類かの採血管に分けて採血を行なわなければならないのです。採血管1本に採血される量は、わずかです。

タンパク質、酵素、電解質、脂質、血糖などをさまざまな項目を測定する検査です。体調変化や臓器の異常などの反応をキャッチする項目が多くあり血液検査の重要な検査といえます。

血清で行なわれる検査は、種類も多く必ずと言っていいほど行なわれる検査項目、肝機能検査、腎機能検査、脂質検査など多くは血清を用います。採血後、検体(血清)が準備されるまでに、血液が固まる時間も必要となります。最近は、凝固促進剤が用いられるようになり時間も短縮できるようになりましたが、採血結果が緊急の場合でも、血液がかたまるための時間も必要となることをご理解いただけたらと思います。

Plasma and serum

<Plasma and Serum 血漿と血清>

1-2 貧血の有無は、血液一般、血算でわかります 

血液一般検査と呼ばれていますが、血算といわれる血球数の計測、血液細胞の分類、細胞形態などをみていきます。

【血球算定】

血液検査では、必ず行うスクリーニング検査、血球算定とよび、よく血算とよばれます。血液に抗凝固剤を加えて採血し、血液中の血球数(赤血球・白血球・血小板)の数を分析器で測定します。全身状態を把握できる検査で、血液疾患の診断や経過観察,貧血,感染症,出血などが疑われる場合には必ず検査されます。

検査項目として赤血球数(RBC)・白血球数(WBC)・ヘモグロビン血色素量(Hb)・ヘマトクリット値(Ht)・平均赤血球容積(MCV)・平均赤血球血色素量(MCH)・平均赤血球血色素濃度(MCHC)・血小板数(PLT)を算定します。

〔赤血球数RBC・ヘマトクリットHt・ヘモグロビンHb〕

貧血あるいは赤血球増加症の有無が分かります

  • 赤血球数   RBC  赤血球数
  • ヘマトクリットHt   血液の中の血球の体積の割合、成人男性平均43%、成人女性平均38%
  • ヘモグロビン Hb  血色素量、赤血球の中に存在するタンパク質、赤色素であるヘム持つ。肺から全身へと酸素を運搬する役割を担っている。
〔MCV・MCH・MCHC〕

貧血とは、赤血球の数が少なくなっている状態です。赤血球が少なくなると、身体に酸素を運ぶことが困難な状況になります。貧血の病態検索にこの数値が用いられます。

貧血にはさまざまな種類があります。鉄欠乏性貧血、慢性的な出血による貧血、再生不良性貧血、溶血性貧血、巨赤芽球性貧血などその種類によりこれらの数値でふるいわけをして次の確定診断につなげます。

  • MCV (平均赤血球容積)    赤血球の容量、小球性、大球性、正球性などの分類
  • MCH (平均赤血球血色素量)  血球に含まれるヘモグロビン量
  • MCHC(平均赤血球血色素濃度)  血球に含まれるヘモグロビン濃度
〔白血球数 WBC〕

身体の中の炎症を示す数値、急性期および回復期または臨床効果などを評価するために測定します。細菌から身体を守る働きをしています。白血球数が増加したり、減少したりする疾患もあります。

〔白血球分類(分画)血液像〕

好中球,好酸球,好塩基球,リンパ球,単球の分類をします。分画の割合である程度の疾患のふるいわけが形態学的検査となり、赤血球の形状(奇形や連戦形成など)や、骨髄細胞の混入(白血病などが疑われる)などをみていきます。

  • 好中球  感染や急性の炎症、外傷に最も早く反応、その他の感染症で増加します。
  • 好酸球  アレルギー性疾患(気管支喘息、花粉症、じんましん)寄生虫病で増加、クッシング症候群などで減少します
  • 好塩基球 最も数が少なく、甲状腺機能低下症、慢性骨髄白血病などで増加を示します
  • 単球   好中球が食べ遺した細菌の後始末、異物を取り込み排出する働きをします。
  • リンパ球 免疫の役割を担っています。ウイルス感染症、甲状腺機能亢進症、副腎疾患で増加、減少は悪性リンパ腫、がん、白血病が考えられます。
〔血小板数〕

血小板は、骨髄(背骨にある)の造血幹細胞から毎日作られ、10日ほどの寿命です。古くなった血小板は脾臓で壊されます。13万~34.9万/μlがおよその基準値ですが、血小板数が10万以下になると、血小板減少症、40万以上で血小板増多症とされます。10万個以下になると血が止まりにくくなり、さらに5万以下で皮膚に紫色の皮下出血が目立つようになります。ぶつけてないのに内出血があちこちにできるような場合も血小板減少の可能性もあります。逆に血小板数が多い場合は、血が固まりやすくなり、血の塊を作り、血管を詰まらせてしまう可能性があります。

  • 高値 本態性血小板血症、慢性骨髄性白血病、真性多血症など
  • 低値 血小板減少性紫斑病、再生不良性貧血、急性白血病、肝硬変など

自動血球計数装置の進歩で微量の血液で、すみやかに計測できるようになりました。血液算定から、白血球分類までをわずかな時間で完了できるすばらしい時代です。

その昔、メランジュールというガラスで出来た混和用ピペットで希釈し、計数盤に流し込み顕微鏡で数える。そんな時代もありました(笑)。メランジュールは、さすがに学生の実習のみでしたが、白血球分類も、以前はスライドガラスに血液を塗抹して、標本を作成し、染色、顕微鏡で確認、白血球分類していましたが、今は、自動分析機でふるいわけし、異常な血液検体のみを標本作製して確認していることがほとんどでしょう。

血液検査基準値

1-3 身体の状態をあらわす、生化学的検査とは?  

健康診断で一般的に行なわれている生化学的検査をまとめて行きましょう。健診結果では、臓器の機能別に分けられているので、その方法順番に説明していきます。

ご注意)

ここで示している「基準値」は、一般的なものです。測定方法、施設などで異る場合もありますので、受け取った結果を指標としてください。

【脂質検査】 

脂質関連の検査は、動脈硬化の状態を知るための大切な検査です。関連blogはこちらから『コレステロールを知る』

〔総コレステロール T-CHO〕基準値 140~199mg/dl

総コレステロールは、後述するHDLコレステロールとLDLコレステロールを合わせたものが総コレステロールとなります。総コレステロールの値が高いときは、善玉と言われているHDLコレステロールと悪玉と言われているLDLコレステロールのどちらが増えているかを確認してください。

コレステロールは、肝臓で生成され、血管やホルモン、消化酵素の胆汁酸の原料になるなど、人間の構成となる細胞膜の構成には必要な脂肪の一種です。高値になると悪いイメージを持たれがちですが、基準値以下も問題が生じます。

〔HDLコレステロール〕 基準値 40~119mg/dl

善玉と呼ばれているコレステロールです。HDLコレステロールは、血液中の余分なLDLコレステロールを回収し、肝臓に運ぶ働きがあり、血管の動脈硬化を防いでくれています。そのために善玉コレステロールと呼ばれています。有酸素運動により、増加し、喫煙や肥満で低下します。このHDLコレステロールは、リポタンパクの一種となります。

〔LDLコレステロール〕 基準値 60~119mg/dl

悪玉コレステロールと呼ばれているのがLDLコレステロールです。コレステロールを細胞に届けているのがLDL-コレステロールです。細胞膜を作るためにコレステロールは必要となるのですが、必要以上にコレステロールが増えてしまうと、血管を硬化させ動脈硬化を引き起こします。このため余分なコレステロールを回収する善玉に対しLDLは、悪玉コレステロールと呼ばれています。このHDLコレステロールもリポタンパクの一種となります。

[リポタンパクとは?]

上記のHDLコレステロールとLDLコレステロールは、リポタンパクとして血液中に存在しています。

油は水に溶けませんよね。脂質(油)であるコレステロールはそのままでは血液(水)に溶けないため、特殊なタンパク質が結合したリポタンパクという形で血液中に存在しています。

このリポタンパクにはいくつかの種類がありますが、比重により分けられ、軽い順にカイロミクロン、VLDL(超低比重リポタンパク)、LDL(低比重リポタンパク)、HDL(高比重リポタンパク)となります。コレステロールを多く含むリポタンパクとしてHDLとLDLがあります。

〔中性脂肪 トリグリセライド TG〕 基準値 30~149mg/dl

中性脂肪とは、3つの脂肪酸とグリセロールが結合したもので、トリグリセライドと呼ばれています。炭水化物(糖質)、動物性脂肪を主に原料として肝臓でつくられ、食事で多く摂取しすぎると、肝臓や皮下脂肪として体内に蓄積されます。中性脂肪も余分な栄養素というイメージが強いですが、身体の大切なエネルギー源です。身体のエネルギー源として第一となるのは炭水化物(糖質)ですが、不足してくると、体内に貯蓄された脂肪が分解され、エネルギーとして使われます。

疲れたときに甘いものが欲しくなる。脳の主成分は脂質であるとされていますが、脂質を含む食品を食べると満足感を得られます。脂質を摂取した時に脳からセロトニンという幸せホルモンが分泌されるからです。しかし、中性脂肪が血液中に過剰になると、動脈硬化の原因となります。

高値の場合は、高脂血症(脂質異常症)が疑われ肥満、食べ過ぎ、運動不足などが上げられますが、動脈硬化の原因となり、心筋梗塞、脳梗塞のリスクがあがります。逆に低い場合には栄養障害やそれを引き起こす病気が考えられます。適正な数値を目標としたい項目です。

この検査は、食事の影響を受けやすく、検査は必ず空腹時に行なう必要があります。

【肝機能検査】

肝臓の機能を調べる血液検査にもさまざまありますが、いわゆる沈黙の臓器ともいわれる肝臓、異常な値を示していても、自分自身で症状を感じることはほとんどありません。詳しくは、以前のブログでまとめてありますので、ぜひ合わせてお読みください。こちらから『肥満が招く肝臓病、脂肪肝』

〔AST(GOT)/ ALT(GPT)〕 基準値 30 IU/l 以下

AST、ALTは、肝臓の細胞中に多く含まれ、肝臓の障害により細胞が壊れたときに血液中に出てくる酵素です。アミノ酸を作る上で大切な働きをしています。AST(GOT)は、肝臓、心筋、骨格筋の細胞に多く含まれ、ALT(GPT)は、肝臓により多く含まれ、肝臓の障害を疑います。どちらがより高いか(AST/ALT比)も評価されますが、いずれにせよ、異常値が生じた場合は、肝臓が何らかの障害をうけていることになります。ASTのみが上昇している場合は、心筋障害などの可能性もあります。

  • AST アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ

(GOT グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミラーゼ)

上昇:肝障害、心疾患(急性心筋梗塞)、筋疾患、溶血性疾患、※溶血など

(※赤血球中に多く含まれるため赤血球が採血などの過程で壊されてしまった場合は、偽陽性となります。)

低値:ビタミンB6欠乏

  • ALT アラニンアミノトランスフェラーゼ

(GPT…グルタミン酸ピルビン酸トランスアミラーゼ)

上昇:肝障害、胆道系疾患など

低値:ビタミンB6欠乏

〔γ-GTP〕  異常値 50 IU/l 以下

肝臓や腎臓などでつくられる酵素で、タンパク質の分解・合成に関与しています。肝細胞や胆管細胞に存在し、胆汁中にも存在しています。

γ-GTPは、アルコール性肝障害の指標と知っている方がほとんどではないでしょうか。アルコール多飲や肝臓障害の際に高値となります。胆道系の酵素でもあり、胆汁の流れが悪いときにも上昇します。肝臓でつくられた胆汁は、胆管を通って十二指腸へ排出され消化を助けています。胆汁が流れる胆管に障害が起こると胆汁がうっ滞して、γ-GTPは上昇します。

  • 上昇 アルコール多飲、肥満、薬物、胆汁うっ滞(胆石、胆管がんなど)胆管障害
〔ALP アルカリホスファターゼ〕 基準値 339 IU/l 以下

肝臓、骨に多く含まれ、肝臓と骨の異常により血液中で上昇します。これらの臓器の壊死や破壊に対して、細胞の再生が行われておりALPの合成が亢進されます。肝機能の指標の一つとして扱われることが多い検査ですが、血清中に存在するALPのほとんどは肝臓型または骨型のALPとなります。肝臓では胆管膜に多く存在、胆汁中にも存在し、γ-GTP同様に、胆道系の閉塞や狭窄の時に血液中で高値となります。消化を助けるために胆汁とともに、十二指腸で乳製品、レバーなどに多く含まれる物質(リン酸化合物)を分解する働きがあります。肝臓をはじめ、腎臓などのからだのさまざまな細胞でつくられる酵素です。

  • 上昇 肝障害、胆汁うっ滞、ALPは骨でもつくられているため、成長期の子どもや骨の病気などでも数上昇、原発性胆汁性肝硬変を見つける手がかりになります。
〔LDH 乳酸脱水素酵素〕 基準値 229 IU/l 以下

肝臓にもっとも多く存在し、この値が上昇すると肝機能障害の可能性が疑われます。その他、筋肉、肺、赤血球などにも多くある酵素です。これらの臓器の細胞が壊死により、細胞中のLDHが血液の中へ大量に流れ出します。身体の中で糖質がエネルギーに変わるときに必要な酵素です。

  • 上昇 特に急性肝炎や肝臓がんで上昇、心筋梗塞のときにも著しく上昇。

そのほか、慢性肝炎、肝硬変などの肝臓病、腎不全、血液疾患、骨格筋疾患、間質性肺炎、さまざまな臓器のがんなど、多くの疾患で異常値を示します。他の項目とともに判断する必要性があり、健診ではふるいわけ検査として用いられています。LDHは、肝臓、心臓、肺、腎臓、血液、骨格筋などの病気や、悪性腫瘍で増加しますので、異常値が出たら、次の段階では、どの臓器由来のLDHかを調べるアイソザイム検査が行なわることもあります。

〔ZTT 硫酸亜鉛試験〕 基準値 12.4 U 以下

ZTTは「硫酸亜鉛混濁試験」または「クンケル混濁試験」の略、血液中のタンパク質の性質を知るコロイド反応(膠質反応)をみる検査で、肝機能のふるいわけ検査として用いられています。肝障害時における血清タンパク質成分の異常を推測、慢性肝炎を診断する検査の補助診断的な意味合いをもちます。

体質的に数値の高い人や慢性炎症のある場合も高値となります、他の検査との判断が必要です。肝障害の病態変化を把握できるので、診断だけではなく経過観察にも利用されています。

  • 上昇 血清タンパク質の7〜8割は肝臓でつくられているため、肝障害を疑います。

慢性肝炎、自己免疫性肝炎、肝硬変、肝細胞がん、慢性炎症、膠原病、結核、骨髄腫

  • 低値 脂肪肝、ネフローゼ症候群、無グロブリン血症、胆汁うっ滞症、高タンパク尿疾患、糖尿病、悪性高血圧症、転移性がん、低栄養など
〔総タンパク〕 基準値 6.5~8.0g/dl

血液中の総タンパク量を示します。肝機能障害、腎機能障害などで、数値が変化します。総タンパクは、栄養を維持するアルブミンと免疫防御に働くグロブリンを合わせた数値を意味しています。

食事で摂取されたタンパク質は、十二指腸でアミノ酸に分解され小腸で吸収されます。そのアミノ酸は肝臓に運ばれ、アルブミンとグロブリンというタンパク質に再合成されます。

  • 低値 栄養不足、肝臓疾患(肝炎や肝硬変など)、低タンパク血症、ネフローゼ症候群、悪性腫瘍など、肝臓の異常は、総タンパク値の低下につながります。
  • 高値 体調による影響、脱水症、高タンパク血症、多発性骨髄腫
〔アルブミン〕 基準値 4.0 g/dl 以上

前述したように、アルブミンは主に肝臓において作られるタンパク質です。正常値よりも低い時は、肝臓、腎臓などの疾患の可能性があることを示しています。

〔A/G比 アルブミン/グロブリン比〕 基準値 1.3~2.0

A/G比とは、血清中のアルブミンとグロブリンの比率を示す数値です 。血清中には約100種類のたん白があるといわれています。アルブミンは肝臓のみでつくられているため、肝臓に何らかの障害があると、アルブミンは著しく低下します。グロブリンは、肝臓のほかにリンパ節、腸管、骨髄などのリンパ器官でもつくられています。総タンパクが基準範囲でも、アルブミンが減少し、グロブリンが増加している場合もあります。健診のふるいわけ検査などで、A/G比に異常がみられたら、次の段階で血清タンパク分画を調べることもあります。

  • アルブミン減少による低値 肝臓疾患(肝炎、肝硬変、肝がんなど)ネフローゼ症候群、糖尿病、栄養不良など
  • グロブリン増加による低値 多発性骨髄腫、悪性腫瘍、関節リウマチ、マクログロブリン血症など
〔総ビリルビン〕 基準値 1.1mg/dl 以下

ビリルビンとは、胆汁に含まれる色素で、古くなった赤血球が破壊されるときにつくられる黄色い色素、肝臓に運ばれ、胆汁中排出されます。肝臓で処理される前のビリルビンを間接ビリルビン、処理された後のビリルビンを直接ビリルビンといい、両方で総ビリルビンといわれています。

高値の原因は、本来体外に排出されなければならない総ビリルビンが、何らかの原因で留まってしまっていることを意味し、総ビリルビンが体内に留まると、皮膚の黄染などの症状が表れることもあります。

<間接型ビリルビンが高値の場合>

間接ビリルビンは、赤血球の寿命(約180日)がきたときに破壊され生成される物質です。間接型ビリルビンは肝臓で分解される前の物質のため、総ビリルビンが高値の場合は、赤血球が正常の時より多く壊されているということになります。

  • 溶血性貧血

溶血性貧血とは、何らかの原因によって赤血球が正常時よりも多く破壊されてしまう疾患です。先天的な赤血球の異常、薬物過敏症、自己免疫疾患、Rh不適合(新生児)異なる血液型を輸血された場合などに起きます。溶血性黄疸を併発することもあります。

<直接型ビリルビンが高値の場合>

直接型ビリルビンは、間接型ビリルビンが肝臓内で処理された後に生成される物質です。通常、胆汁とともに十二指腸を経て体外へ排出されますが、ここの過程で何らかの通過障害があると、直接型ビリルビンが排出されないまま体内に残ります。

  • 肝細胞性黄疸

肝細胞性黄疸は、肝臓機能の低下により生じる黄疸です。肝臓で分解処理されるはずのビリルビンが分解されなくなる状態です。また、胆嚢の障害によっても肝細胞性黄疸を発症します。胆汁を蓄えている胆嚢が何らかの原因によって胆汁の排出が滞ったりすると、直接型ビリルビンが高くなります。

総ビリルビン(間接型・直接型ビリルビン)ほぼ肝臓の働きに影響されます。

〔コリンエステラーゼ〕基準値 男性250~500 IU/l 以下、女性200~450 IU/l 以下

コリンエステラーゼはアルブミンと同様に肝臓だけ産生されているので、両者の値はほぼ平行して変動、神経伝達物質の一種を分解する働きをします。ほかの肝機能検査に比べていち早く異常値を示すので、これらの検査値とあわせてみることによって、肝臓の障害されている程度がわかります。

測定法により基準値が異なり、薬剤使用時に低値となるために結果を判断するときには、医師に申告してください。 ※睡眠薬、緑内障治療薬(降眼圧薬)、抗血栓剤など。

  • 低値 肝炎(急性肝炎、劇症肝炎、慢性肝炎)、肝硬変、悪性腫瘍など、低値を示したときが重要です
  • 高値 ネフローゼ症候群、脂肪肝、甲状腺機能亢進症、糖尿病、

【膵機能検査】

〔アミラーゼ〕    基準値 35~135 IU/l 以下

アミラーゼは、消化酵素の一種、デンプンなどの糖分を分解するはたらきがあり、おもに膵臓と唾液腺から分泌され、膵疾患の発見、経過を観察の指標とされています。長期間の多量の飲酒というケースでも数値は上がります。

  • 高値 急性膵炎、慢性膵炎の増悪期、膵臓がん、膵嚢胞、耳下腺炎、胃・十二指腸潰瘍、腹膜炎、唾液腺疾患(急性耳下腺炎や唾石症など)でも上昇しますが、他の所見(ほおの腫れや顎の痛み)などで診断がつきます
  • 低値 腎臓病末期、肝硬変、重度の糖尿病など

【肝炎ウイルス】 

感染症と保有の有無として検査が行われます。各ウイルスの内容は、来週詳しくお伝えいたします。

〔HBs抗原〕 基準値 陰性(-)

陽性の場合、現時点でB型肝炎ウイルスを保有していると考えられる

〔HBs抗体〕 基準値 陰性(-)

陽性の場合、過去にB型肝炎に感染し、現在は免疫がある状態。B型肝炎の予防接種を受けた場合も陽性となる

〔HCV抗体〕  基準値 陰性(-)

陽性の場合、過去にC型肝炎に感染したことがあるか、現在感染状態となる

【糖代謝系検査】 

主に糖尿病の有無を調べる検査です。以前のブログ『合併症がこわい糖尿病』もぜひお読みください。

〔空腹時血糖〕 基準値 109mg/dl 以下

血液中のブドウ糖を測定します。糖質は、身体のエネルギー源として利用され、測定値により適切に利用されているかがわかります。空腹時の血糖を調べるもので、糖尿病の発見と診断にもっとも重要な検査となり、9時間以上の絶食で空腹時に採血して測定します。

糖代謝がうまくいかず、高血糖の状態が持続した状態となる病気です。糖尿病は、高カロリー、運動不足、肥満、ストレスなどの生活習慣因子などが原因となり発症します。初期症状がほとんどなく、気づいたときには進行した状態となり、早期発見には血液検査は欠かせません。

[血糖コントロール]

通常、食事により血液中の血糖値は上昇し、食後2時間くらいでもとにもどります。しかし、インスリンの不足やはたらきが不十分だと血液中の血糖値は上昇したままとなります。逆に、インスリンが過剰になると、低血糖となり、手の震え、意識障害やけいれんなどの症状を引き起こします。

  • 高値 糖尿病、クッシング症候群、甲状腺機能亢進症、膵炎、肝炎、肝硬変
  • 低値 インスリノーマなど膵疾患
〔HbA1c〕 6.2% 以下

ヘモグロビン(血色素)にブドウ糖が結合したグリコヘモグロビンの状態を測定します。空腹時血糖と異なり、食事や運動の影響を受けずに測定することが出来ます。過去1~2ヶ月の血糖の平均的な状態を反映するため、血糖値の指標となります。

  • 高値 糖尿病、腎不全、異常ヘモグロビン血症など
  • 低値 消化管のがん、肝硬変、溶血性貧血など

【腎機能検査】 

腎機能では、尿検査も含まれますが、ここでは血液検査のみとします。尿検査は、次回まとめていきたいと思います。 こちらでも説明しています。関連blog 『合併症がこわい糖尿病

〔尿酸〕 2.1~6.9mg/dl

尿酸とは、細胞の新陳代謝により、肝臓で分解されて生じる老廃物がプリン体です。身体を動かすときに使われるエネルギー物質の燃焼によって作られたりします。食品からも体内に取り込まれますので、プリン体の多い食品に気をつけたいです。

生活習慣病のひとつである高尿酸血症は、関節などに激痛を伴う痛風を発症します。糖尿病や高血圧症、高脂血症などを合併すると、心筋梗塞や狭心症を招くことになります。食べ過ぎや飲み過ぎ、運動不足などによる肥満が原因とされ、女性の場合は、女性ホルモンが尿酸の排泄を促すため、閉経後、排泄が困難となり尿酸値が高くなります。

〔クレアチニン〕 基準値 男性1.0mg/dl以下 女性0.7mg/dl以下

クレアチニンは、腎臓の状態を示す検査の一つです。数値に異常がある場合、何らかの原因によって腎臓の機能が低下している可能性があります。体内で使用されたタンパク質の老廃物の一種で、腎臓の機能が低下すると尿中へ排泄量が減少し、血中濃度が増加します。

人が筋肉を動かす時に、筋肉中の窒素化合物クレアチンリン酸をクレアチンに分解するエネルギーが使われます。クレアチンは役割を終えると、クレアチニンという物質に変えられます。このクレアチニンは、腎臓からしか排泄されませんので、クレアチニンは腎機能の指標として用いられています。

  • 腎機能が正常の半分以下    クレアチニンの上昇
  • 腎機能が正常の20%~30%以下 腎不全となる、常に軽度上昇
  • 腎機能が正常の5%~10%以下 尿毒症となる、腎透析が必要

血清クレアチニン値は筋肉の量により決まり、そのため男女によって差があります。筋肉量の少ない小児や高齢者では、成人に比べ低値となります。

〔尿素窒素 BUN〕 基準値 8.0~20.0mg/dl

尿素窒素とは、タンパク質の終末代謝産物(タンパク質の燃えカス)であり腎臓から排出されます。タンパク質の分解の際に発生されるアンモニアの無害化のために、二酸化炭素と結合して尿素とされたものです。尿素窒素は、クレアチニンとともに腎機能の指標として用いられています。尿素窒素は腎臓でろ過されて尿中へ排出されますが、急性や慢性の腎不全などで腎臓の働きが低下すると、ろ過しきれない分が血液中に残ってしまい、尿素窒素の値が高くなります。

  • 高値 腎機能低下、タンパク質の過剰摂取、脱水、消化管出血、甲状腺機能亢進症、悪性腫瘍、脱水症、糖尿病、閉塞性尿路疾患  40mg/dl以上 腎不全 100mg/dl以上 尿毒症の可能性、危険な状態
  • 低値 タンパク質摂取不足、肝機能障害(重症肝障害、肝不全)、尿崩症

【炎症性反応】 

〔赤沈 赤血球沈降速度〕基準値 男性10mm以下 女性20mm以下(60分値)

血沈ともいわれますが抗凝固剤を加えた血液の赤血球が1時間に沈む、沈降速度を調べます。炎症反応のスクリーニング検査として、フィブリノーゲン、アルブミン・グロブリンなどのタンパク質の影響を受けて沈降速度が変化します。先にお伝えした、ヘマトクリットによっても沈降速度は変化します。赤血球組織は様々な疾患に対して反応しますので、炎症の進行具合やおおまかな疾患のふるいわけ検査としておこなわれています。

亢進 白血病、心筋梗塞、肝硬変、感染症、悪性腫瘍、ネフローゼ症候群、貧血など

〔CRP C反応性タンパク〕 基準値 0.5mg/dl 以下

CRPとは、C-リアクティブ・プロテインの略、炎症や細胞組織の破壊により、血清中に増加するタンパク質のことです。肺炎血球の成分、C多糖体に反応するためC反応性タンパクと名づけられたタンパクです。炎症が起こったときに、24時間以内に上昇し、2~3日後には減少、炎症の早期診断用いられます。また、ほかの検査と組み合わせることによって、急激な組織の破壊や病気の重症度、経過、治療成績などを判定することができます。

CRPの測定では0.1~0.3mg/dlあたりが検査感度の限界とされてきましたが、近年高感度CRP(0.03~0.1mg/dl)が可能となり、極低濃度のCRP値では、冠動脈疾患の発症リスクが上昇するというデータがみられ、今後国内では、高感度CRPが主流になるとのことです。

  • 高値 炎症性の病気、リウマチ熱、リウマチ様関節炎、気管支肺炎、耳下腺炎、骨髄炎、尿路感染症、心筋梗塞、がん、肉腫などの組織破壊を伴う疾患や、急性胃炎、白血病など
〔ASO 抗ストレプトリジン-O〕 基準値 250IU/ml

ASOは、急性腎炎やリウマチ熱の原因となる、溶連菌(溶血性連鎖球菌)に感染時に上昇する血液中の抗体を測定します。

  • 高値 急性リウマチ熱、急性糸球体腎炎、急性咽頭炎、中耳炎、溶連菌感染症、急性扁桃炎、関節リウマチなど
  • 低値 免疫不全症候群など
〔RA リウマチ因子〕 基準値 陰性

関節リウマチや膠原病などの自己免疫疾患でみられるリウマチ因子といわれる抗体を調べます。慢性関節リウマチ、膠原病、慢性肝炎、肝硬変、糖尿病、腫瘍性疾患などが疑われます。

2.オプション検査 腫瘍マーカー

腫瘍マーカーといわれるさまざまな検査があります。やみくもにすべての検査を行う必要はありませんが、リスクがある場合など、健康診断のときにオプション検査として追加検査をうけることもよいかもしれません。腫瘍マーカーの血液検査の適応疾患と概要をあげておきましょう。

【CEA がん胎児性抗原】

対称臓器 胃がん、膵がん、結腸がん、甲状腺がん、生殖器がん

CEAとは、胎児の消化器の粘膜組織に存在するタンパクのことで、この物質が消化器系がんのある患者の血液中に多く存在していることから、消化器、甲状腺、生殖器などの腫瘍があるときに上昇します。喫煙者の場合、腫瘍がなくても値が上昇する場合があり、喫煙者のCEA上昇は、判断が困難となります。

【CA19-9

膵がん、胆のうがん、胆管がん、胃がん、大腸がん

CA19-9は、消化器系がん、特に膵臓がんに特異性の高い腫瘍マーカーです。その他、胆管、胆嚢がんで上昇します。がん以外の疾患、胆石、膵炎、婦人科系疾患などでも高い数値示すことがあります。確定診断には内視鏡検査、大腸内視鏡検査、腹部CT、腹部超音波検査が必要です。

【CA15-3

乳がん

CA15-3は、乳がんのスクリーニング検査、乳がんに対して特異性を持つ抗原です。乳がんの再発・転移に有用で、初期の乳がんではほとんど陽性を示しません。転移性乳がんに陽性率が高く、手術後の経過観察に有用な検査です。CA15-3が高値では、まず乳がんの再発や転移が疑われます。

子宮内膜症や骨盤炎症性疾患、肝炎などがん以外の疾患でも高値となることがあり、異常値の場合必ず、乳がんの精密検査が必要です。あくまでスクリーニング検査という位置づけで、確定診断は必要です。

【CA125

卵巣がん

CA125は、婦人科系疾患 卵巣がん、子宮がんに特異な反応を示す腫瘍マーカーです。正常な子宮内膜や卵巣のう胞、卵管などでごくわずかに産生されています。卵巣以外の多くのがんでも値が上昇します。

【PSA 前立腺特異抗原】 

前立腺がん

PSAは、前立腺の上皮細胞から分泌されるタンパクで、前立腺に特異的にみられる腫瘍マーカーで、前立腺がんが疑われるとき、まず行われるふるいわけ検査です。前立腺癌、前立腺肥大症、前立腺炎で高値となります。前立腺がんの早期発見や治療効果の判定、予後にも用いられています。

【AFP α-フェトプロテイン】

肝炎、肝硬変

AFPは通常、胎児の血液中や妊婦の血液・羊水中に存在していますが、肝臓がんで高値となり、肝臓がんの腫瘍マーカーとして使用されています。また胃がんや肝硬変、肝炎でも上昇し、確定診断はできません。他の検査との併用が必要です。

比較的、古く以前から行われている腫瘍マーカーのみを上げました。まだまだ多くの検査や、新しい検査もあります。微量の血液で検査が可能になりました。早期発見、早期治療でがんも治る疾患となっています。50%の確立でがんになる時代です。これらのオプション検査もうまく利用できたらと思います。

3.臨床検査技師に拡げられた、検体採取業務

トップで呟いたように、血液検査は採血がつきものです。針を血管に刺して、血液を採取しないと検査ができません。痛いよね、採血検査、検査技師は、その業務の中で、医療行為となる採血業務を認められています。検査に必要な採血のみです。ですから点滴などの針刺し行為はNGです。採血量も決められています。

そして、新たに業務拡大され、平成27年4月1日施行で、血液以外の検体採取の業務ができるようになりました。下記に抜粋してみました。

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臨床検査技師等に関する法律施行令等の改正(抜)(施行期日平成27年4月1日)

臨床検査技師等に関する法律施行令(昭和33年政令第226号)の一部改正関係

臨床検査技師が、診療の補助として、医師又は歯科医師の具体的な指示を受けて行ことができる検体採取について、次の5つの行為を定めたこと。

(臨技法施行令第8条の2関係)

① 鼻腔拭い液、鼻腔吸引液、咽頭拭い液その他これらに類するものを採取する行為

② 表皮並びに体表及び口腔の粘膜を採取する行為(生検のためにこれらを採取する行為を除く。)

③ 皮膚並びに体表及び口腔の粘膜の病変部位の膿を採取する行為

④ 鱗屑、痂皮その他の体表の付着物を採取する行為

⑤ 綿棒を用いて肛門から糞便を採取する行為

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

臨床検査技師が、以前よりは患者さんとの距離感がやっと近くなった、そんなことを感じるのですが、今までの歴史をみると、私には遅い気がします。冒頭でつぶやいた検体検査と生理検査の2種の業務。

臨床検査は、誰のためにあるのか?

この質問を私は、よく学生さんに問いかけます。

私は、患者さまの健康のためにある。臨床検査は、患者さんともっと寄り添うべきだと思います。私は、臨床検査技師として、生理検査を行う前は、血液検査室でも仕事をしていました。出血時間でそこでも患者さまと接する機会がありました。

検査センター勤務の検査技師や病院勤務の検査技師でも、生化学検査や細菌検査室、血清検査室など、検体のみしか扱わない検査だと、患者さんと合うことはありません。苦手だという方もいますが、もっと患者さんの側に行くべきだと私は思っています。

その理由は、検体は、患者さんの一部だからです。それをもっと検体から感じることができる場にいくことが必要なのではないかと、そんなことを心から思います。心を感じ、受けとめることができる、だからこその臨床検査技師です。

業務拡大し、検体採取をしに患者さんのもとにもっと多くの検査技師が行くことで、きっと臨床検査の何かが変わると私は思っています。その何かを今後見つけたいと思っています。

次回は、尿検査をまとめていきます。

今日のまとめ 

  • 血液採取は、測定項目に応じて採血管は準備され、容量はごく少量です
  • 健康診断は、ふるいわけ検査です。指摘を受けた二次検査は必ず受けましょう。
  • オプション検査を上手く利用して早期発見、早期治療を

<今週のblog> 

『身体がみえる臨床検査』 

<関連blog> 

『健康を考える』
『身近な疾患 生活習慣病』
『将来に影響する生活習慣』
『夏の健康生活』
『女性特有の疾患』

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