元気&HealthのJunchanのblogにご訪問ありがとうございます。医療スタッフのメンタルパートナー かたよし純子です♪ 今週のテーマは、気にはなるけどなかなか相談しにくい「尿」に関連するさまざまな問題や心配しがちなこと、泌尿器科領域を取り上げていきます。受診するのも勇気がいるし、ひとりで悩んでいる人も少なくないのではないでしょうか。不安や悩みは、抱えているだけでもストレスに繫がります。とりあえず問題を知ること、そして行動に向けての一歩につなげるためのきっかけになればと思います。初回は、尿の生成から排尿のメカニズムを中心にまとめていきたいと思います。そして、今日のプラスαは、心因性頻尿と尿検査です。今日も最後までぜひおつきあいください。

1. 尿と膀胱の働きとしくみを知るためのポイント3つ 

1-1 腎臓でつくられる尿の役割、尿中成分、尿生成~排尿

1-2 自律神経が関わる膀胱機能

1-3 排尿のしくみと排尿トラブルとの関係性

今日のプラスα 

2.緊張するとトイレに行きたくなる...心因性頻尿とは?

3.尿検査10mlでもさまざまなことがわかります

 

1.尿と膀胱の働きとしくみを知るためのポイント3つ 

1-1 腎臓でつくられる尿の役割、尿中成分、尿生成~排尿まで

尿は、腎臓により生産される液体排泄物です。腎臓ろ過された血液は、尿として、腎臓から尿管を経由して膀胱に蓄えられ尿道口から排出されます。

尿の役割には大きく2つあります。そのひとつは、エネルギー代謝により不要になった老廃物を体外へ排出させるという役割、そして身体の水分調整という2つの重要な役割を持ちます。

 

腎臓の位置と構造

 <腎臓の位置と構造>

 

【尿の役割その1:老廃物の排泄】

老廃物を尿とともに排泄するということです。

人の生体として身体を維持するために必要なエネルギー、そのエネルギー代謝での産物となる老廃物の体外への排出です。動物が持つ機能です。人の体内で生産される老廃物が腎臓でろ過され尿となり体外へ排出されることは、以前のブログでもご説明しました。アミノ酸の分解産物となる窒素化合物の排泄は身体にとって重要な意味を持ちます。有害な代謝産物アンモニアの体外への排出です。

※関連ブログ:腎機能「 腎臓のはたらき、機能を知る

〔アンモニアが有害となる理由〕

アンモニア(NH3)とは窒素水素の化合物、無色で、鼻をつくような強い刺激臭の気体です。アンモニアは、劇物とされています。(毒物及び劇物取締法)この劇物となるアンモニアが、アミノ酸代謝の副産物として体内で発生され、アンモニア濃度が体内で上昇すると脳や神経障害をもたらします。食物をエネルギーへるようする際に、タンパク質の1種であるアミノ酸は、 腸内で分解される際にアンモニアも作られます。

〔アンモニア分解機能〕

人の身体には、この有害となるアンモニアの解毒作用を肝臓が果たしてくれています。体内で作られたアンモニアは、血液を介して肝臓に運ばれ、アンモニアから尿素へと変換されています。肝硬変などの疾患で肝機能が低下することで、アンモニア血中濃度が異常な状態になると、肝性脳症を発症し、肝性昏睡となります。意識混濁状態の人の緊急検査としてこのアンモニア濃度も血液検査で測定します。

つまり、何らかの肝臓の病気の可能性があります。また、重篤な肝疾患、肝硬変や劇症肝炎、肝がんなどの人の肝機能や疾患の進行状態把握するための検査として、血中アンモニア濃度を測定することがあります。

【尿の役割その2:浸透圧・水分量調節機能】

人の身体への水分摂取量が多くなると尿は薄くなり尿量は増えます。この機能は、腎臓の再吸収によって調節されています。(関連ブログ「身体に大切な水の代謝のおはなし」参照)

尿は、この体内のNa濃度となる浸透圧の調節にも関わりを持っています。人の身体は、体内の浸透圧を一定に保とうとする働き(ホメオスタシス)を持ちます。この浸透圧のバランスに変化が生じると、情報は視床下部に伝えられ、浸透圧上昇に際しては抗利尿ホルモン(ADH)の分泌が促され、腎臓機能に作用して水分の再吸収が促進されます。水分の再吸収により体内のNa濃度は薄められ、浸透圧が一定に保たれています。逆に浸透圧が低い状態では、抗利尿ホルモンの分泌は抑制され、水分の再吸収が抑制されることにより浸透圧の恒常性が保たれます。

 

腎:ろ過機能 ネフロンの働き

<腎:ろ過機能 ネフロンの働き>

【尿関連のいろいろ】

人の身体では、1時間に約60mlの尿が作られています。上記のような理由で、1日約500~2000mlの尿が作られています。

  • 尿量  :約1500ml/day
  • 排尿回数:1日に平均4~6回、

頻尿 8回以上  乏尿 400m/day  無尿 50~100ml/day以下

  • 色調  :淡黄色~黄褐色 ※尿の濃さにより変化する

※関連ブログ:水分調節「身体に大切な水の代謝のおはなし

【尿の生成と排泄まで:尿路系】

腎臓でつくられた尿が膀胱から排泄されるまでの経路を尿路系といいます。

腎臓の糸球体でろ過された尿は、腎杯に集められ、さらに腎臓の中心部部分、腎盂に送られます。この腎盂は尿の集合場所となり、さらに尿管を通って膀胱に送られます。

〔腎臓:kidney〕

腎臓は、血液の老廃物のろ過機能、尿の生成、体液の恒常生維持、身体の生命維持にとって重要な機能を有しています。

※関連ブログ:腎臓の機能「腎臓の構造と慢性腎臓病(CKD)の定義

〔尿管:ureter〕

腎臓の腎盂と膀胱をつなぎ、尿を膀胱へ送る、長さ約30㎝、直径4~7㎜くらいの平滑筋の管腔臓器です。左右の腎臓から1本ずつ膀胱へとつながります腎臓の中の腎盂と尿管は、腸管と同様の蠕動運動で尿を効率よく腎臓から膀胱へと逆流すること無く尿を送っています。

人の構造的にやや狭くなっている部分3カ所あり、尿管結石などの疾患を起こしやすい部分となっています。

〔膀胱:Urinary bladder〕

膀胱は、腎臓でつくられた尿を一定量たくわえる機能を持ちます。尿は腎臓で持続的につくられていますが、蓄える機能がなければ、尿はつねに垂れ流しの状態になってしまいます。膀胱は、腎臓でつくられた尿をためておく袋の役割をしています。

〔尿道:Urethra〕

膀胱から体外へ排泄される時に通る管です。男性の尿道は、前立腺と陰茎の中を通りますので20cmくらい、女性は4cmくらいの長さとなり、男女により構造は異なりますが、尿道の途中には、男女ともに括約筋があります

【泌尿器科とは?】

尿の生成や排泄に関わる器官を泌尿器といいます。この泌尿器を担当する診療科を泌尿器科といいます。やはり、受診者は男性が多く、女性が受診しにくいなぁと思われる診療科でしょうか。

泌尿器科とは、尿路系の臓器(腎臓・尿管・膀胱・尿道)と男性生殖器(睾丸・副睾丸・精索)、陰茎・前立腺、副腎の疾患を対象として、これらの臓器疾患の外科的治療をおもに行う診療科をいいます。女性生殖器は、産科、婦人科学の領域となります。また、腎臓は、内科領域として腎臓内科があります。

女性が泌尿器科に受診に抵抗感を持つ理由がここにあるのではないでしょうか。腎臓の機能的な疾患、慢性腎不全、ネフローゼ症候群や膀胱炎や腎盂腎炎などは腎臓内科でも診察してもらえると思いますが、腎臓腫瘍や水腎症(腎臓に尿がたまる排泄障害)、膀胱腫瘍など外科的な処置が必要となる場合には、泌尿器科となります。

 

1-2 自律神経が関わる膀胱機能

膀胱は、下腹部中央に位置、左右の腎臓と尿管でつながり、排出する尿道へとつながります。腎臓でつくられた尿を一定量たくわえる働きをしています。

【尿をたくわえる機能をもつ膀胱】

人の腎臓は、今、この瞬間も、常に血液をろ過し、尿をつくり出し、尿管を経由して、膀胱に送っています。神経支配されている蠕動運動で腎盂と尿管がもぞもぞと動き、徐々に尿がたまっているのです。

骨盤腔内にあり、男性は直腸と、女性は子宮と腟に接しています。筋肉で出来た袋状の臓器です。

〔たくわえられる尿量〕

膀胱は、尿を排泄する尿道とつながり、尿道への入り口は、膀胱括約筋で閉じられ尿が漏れないように機能しています。約500mlの容量をもつとされますが、個人差があるようです。

通常腎臓から1時間あたり60mlの尿が送られてきます。膀胱の総容積の4/5くらい尿がたまると、脳に作用し尿意を感じることになります。約300mlたまると尿意を感じ、約400mlで充満となる計算です。

〔膀胱壁は、伸縮自在〕

膀胱壁は、粘膜、筋層、漿膜の3層構造で尿量によって厚さは変化します。膀胱充満時での壁は3mm以下が正常とされています。膀胱超音波でも壁の厚さや、表面の状態は必ず確認しています。

排尿時は、腹圧を加えることで、内圧が膀胱壁にかかり平滑筋は収縮し、内尿道口にある膀胱括約筋が緩み(弛緩する)排尿がおこり、体外に尿は排泄されます。

排尿は、自らの意志で司っています。排尿という行動は、単純でありながら、自律神経である交感神経、副交感神経が関与し、脊髄神経など複雑な神経系統が関与しているとされます。

【QOLにかかわる、ためる機能障害】

尿漏れが不安で...

膀胱の貯める機能がそこなわれたものを尿失禁といいますが、さまざまな原因があるようです。

人の腎臓は1時間に約60mlの尿が作られ、約1500mlの尿を膀胱から排泄しています。この尿を1回300mlくらいずつ膀胱はためて、4~6回くらいに分けて排泄している計算になります。前項でもお伝えしましたが、尿の排尿回数が1日8回以上で頻尿と言われますが、摂取される水分量や、生活環境によりさまざまです。あまりに頻回な回数や排尿を我慢できなくなることがQOLにかかわり問題となります。排尿トラブルは、次回のブログで詳細をまとめる予定ですので合わせてぜひお読みください。

 

生理検査アティテュード®からのメッセージ

【超音波でみる膀胱エコー】

私は、今まで何万件もの腹部超音波を担当させて戴き、泌尿器科領域の超音波もかなりの件数担当させて戴く機会を得てきました。多くの腎臓や膀胱、前立腺、また、女性の子宮・卵巣も超音波検査を観させて戴いています。基本腹部のご依頼の場合は、健康診断も含めて、下腹部もスキャンさせて戴いています。人の臓器はそれぞれが関連しているからです。

その中でも泌尿器領域の超音波検査では、尿が尿管から膀胱に排出される瞬間をよく見る機会があります。排出状態と、尿道開口部を認知することができますので、その部分での病変の有無を確認することもできます。

通常尿管は非常に細く消化管ガスの影響があり、健康な人の腹部エコーで、尿管を腎臓から膀胱まで追うことは困難です。しかし、尿管結石やさまざまな疾患に際して、尿が流れにくくなっている場合には、尿管を確認することはできる場合があります。やはりその際は、検査を担当する技師の技術に左右されることは否めません。尿管はその構造特性として、腎盂から腎門部を通り、膀胱に開口するまでに3ヶ所狭い部分があります。その3ヶ所をきちんと確認することで、かなりの確立で病変部を超音波でも見つけることができます。

〔技師からのお願い:直前の排尿は我慢してくださいね〕

膀胱の超音波の場合には、尿をためていただくことが必須となります。腹部エコーの直前での排尿は我慢が必要です。膀胱以外、男性の前立腺や女性の子宮・卵巣などの超音波検査でも同様に膀胱を介して、超音波ビームを通して画像を得ています。最低でも1時間は、排尿を我慢して戴けるようお願いしたいのです。

 

1-3 排尿のしくみと排尿トラブルとの関係性

膀胱の機能、ためること、排泄すること、この大切な機能は、自律神経が関わっています。排尿のしくみをまとめていきましょう。

【尿が排泄されるしくみ】

尿道括約筋と膀胱頸部がしっかりと閉じていることで膀胱に尿がためる状態を維持しています。

  • 尿をためている状態:尿道括約筋が閉まり、交感神経優位
  • 尿を排泄する状態 :膀胱を収縮させ、副交感神経優位
〔尿意を感じる時〕

膀胱に尿がたまると尿意を感じます。この状態では、副交感神経を介して、脊髄(せきずい)、脳幹、大脳へと膀胱の状態を感覚として伝えられているからです。でも、日常では、尿意を感じてすぐに排尿できる状態では無いことがほとんどです。すぐに排尿という行動にならないのも中枢神経系が関与しています。人はこの機能を生後1歳半くらいで見つけることができるとされます。赤ちゃんのトイレトレーニングを始めるタイミングは、この頃といえます。

〔尿を排泄する状態〕

排尿時は、我慢している状態をやめて腹圧を高めます(軽くいきむ)。その結果、脊髄の神経の反射がおこり、副交感神経が優位となり、同時に膀胱は収縮を始め、膀胱括約筋を緊張さていた交感神経が低下し、排尿が促されます。

【排尿も自律神経バランスが関与】

このように排尿にも、自律神経となる交感神経と副交感神経のバランスが作用しているのです。膀胱や尿道括約筋の周囲にある末梢神経系、脊髄などの中枢神経系の障害を受けると、尿をためる機能や、排尿が上手く出来ないという状況を招き、尿失禁、頻尿、排尿困難などのさまざまな排尿障害が起きることになります。自律神経バランスは、脊髄と脳幹も関わっているとされます。

〔排尿行為には、さまざまな神経系が関与している〕

正常な排尿機能は、自律神経、随意神経が完全であること、そして尿路系の筋肉が正常に機能していなければなりません。膀胱に尿がたまることで膀胱内圧が上昇し膀胱壁が刺激され、脊髄神経から脳幹の排尿中枢へと伝えら尿意が知覚されます。尿をためられる閾値には個人差があります。

大脳で排尿を決めると、その刺激は膀胱の排尿筋(平滑筋)を収縮させ、それとともに、不随意筋となる内尿道括約筋を弛緩させ、さらに随意筋である外尿道括約筋を弛緩させ、腹圧をかけることにより排尿されることになります。排尿に関しては、尿道括約筋は、随意神経支配となっているため、通常では排尿するという意思が起きるまでは収縮し、排尿を我慢するという収縮行動につながります。

排尿の意思が定まることで、運動皮質内の隨意神経の刺激により排尿されることになります。正常な排尿とは、この膀胱収縮と尿道括約筋の弛緩が協調された時に促されることになります。これ以外にも、前頭葉の排尿中枢も排尿制御に関与しているとされています。排尿に関しては、これらのいずれかに損傷や機能障害が生じると尿失禁や、尿閉(閉尿できなくなる状態)を引き起こすことになります。

これらの正常な排尿機能に加え、排尿するという意欲を含む、正常な認知機能、トイレへの移動、歩行さらに、手を使うという行動も必要となります。

 

排尿のメカニズム

<排尿のメカニズム>

 

2.緊張するとトイレに行きたくなる...心因性頻尿とは?

人はストレス状態でよくトイレに行きたくなるという経験がある方もいるのではないでしょうか

【緊張するトイレが近くなる:心因性頻尿とは】

このような頻尿の原因には、ストレスなどの精神的な要因が排尿に関与している、心因性頻尿と考えられます。心因性頻尿とは、尿路系、膀胱や尿管、尿道には何の疾患も無く、また尿量も特別問題がないにも関わらず、トイレのことが気になって何回もトイレに行ってしまうという状態です。このように排尿には、心理的な要因が関わってくることが少なくないのです。排尿にも自律神経が関わることからもそのことは分かるのではないでしょうか。

過剰な緊張状態、大事な会議やプレゼン直前、試験や試合など、さまざまな場面でトイレに行きたくなるという状況です。夜間頻尿や起床時も正常と言う場合が多く、日中のみの症状という場合が多いようです。心配事があると、トイレのことも気になりだす。どこにいってもトイレの場所を気になり、そわそわと落ち着かなくなるそんな状況です。

【日常生活に支障が出てくる】

トイレが常に気になり、外出できなくなってしまうという状況にまでなる場合もあります。その様な状況では、心因性頻尿となり、QOLも低下しますので何らかの対応が必要となります。他の器質的な疾患がないこと確かる必要がありますので泌尿器科への受診をお勧めいたします。

その結果心因性が原因となれば、そのストレスを取り除くことで頻尿の程度は低下します。

また神経因性膀胱は、脳疾患が関与していることもあります。これに関しては、次回のブログでまとめていきたいと思います。

 

3.尿検査10mlでもさまざまなことがわかります

以前のブログでもまとめましたが、尿一般検査で分かることを簡単に再掲していきましょう。

【尿一般検査からわかること】 

尿一般検査とは、尿に試験紙をつけて色の変化で判断します。試験紙の種類によりことなりますが、通常病院の検査では、比重、pH、タンパク、糖、ケトン体、潜血、ウロビリノゲン、ビリルビン、白血球、亜硝酸塩、色調、混濁などが検査されています。ほんの数滴の尿でも試験紙に垂らすことが出来れば、これだけの情報が得られます。

【尿定性検査】

試験紙を尿に浸すだけでさまざまなことが分かります。

〔比重〕尿の濃さ(濃縮や希釈の状態)をみる 基準 1.010~1.025
  • 高比重尿:030以上 糖尿(尿中に糖質が混在)、タンパク尿(タンパク質の混在)
  • 低比重尿:006以下 尿崩症腎機能不全
  • 等張尿 :010、 尿比重が常に一定の値を示す
〔pH:ペーハー〕 基準 pH4.5~8.0

食事や運動など生理的要因や病的要因によって変化します

  • 酸性尿   :アシドーシス、発熱、肉類の摂取、酸性薬剤など
  • アルカリ性尿:アルカローシス、野菜摂取、尿路感染症、アルカリ性薬剤など
〔タンパク〕おもにアルブミンの検出

タンパク尿が排出の有無で、疾患の原因部位が、腎前性、腎性、腎後性に分けられます

  • 生理的タンパク尿:発熱、運動、起立性、入浴
  • 病的タンパク尿
  • 腎前性:ヘモグロビン尿、ミオグロビン尿、BJ蛋白、心不全など
  • 腎性 :糸球体性(糸球体性腎炎、ネフローゼ症候群、膜性腎症、IgA腎症、糖尿病性腎症等)、尿細管性(Fanconi症候群、水銀・カドミウム・重クロム酸中毒、腎毒性薬剤による腎障害など)
  • 腎後性:尿管・膀胱・尿道の炎症、結石、腫瘍など

ごく微量のタンパクは、通常でも排泄されていますが、尿定性検査では検出されません。

〔糖〕正常でも2~20㎎/dl、1日に40~85㎎は排泄されるが定性では陰性の範囲

糖尿病など血液中の濃度が腎の排泄閾値を越えると尿中に排出されます。

陽性疾患: 糖尿病、IGT、甲状腺機能亢進、末端肥大症、クッシング症候群、副腎髄質腫瘍、脳血管障害、脳腫瘍、飢餓、妊娠、慢性消耗性疾患、感染症など

〔ケトン体〕正常では陰性

糖尿病や絶食が続くことにより、脂肪の分解が起こり、血中、尿中のケトン体が増加しケトーシスとなります。さらに著しいケトン体の増加により、酸性に傾きケトアシドーシスとなる

陽性疾患: コントロール不良の糖尿病、下痢、嘔吐、絶食、発熱、脂肪過剰摂取など

〔潜血反応〕尿中に血液が混在する状態

尿中の遊離ヘモグロビン、ミオグロビン、赤血球と反応して陽性となる。

  • 糸球体性血尿   :糸球体基底膜の破綻(糸球体性腎炎、膜性増殖性腎炎、IgA腎症など)
  • 尿細管・間質性血尿:主として尿細管基底膜の破綻による、間質性腎炎、腎盂腎炎等
  • 尿路系・泌尿器科的血尿:尿路の腫瘍、結石、炎症、外傷など
〔ビリルビン・ウロビリノゲン〕正常で±

直接ビリルビンは、胆汁から腸管に排泄されウロビリノゲンとなります。一部は、腸管で吸収され肝に戻され、酸化されビリルビンとなりますが、一部が尿中に排泄されます。

  • ウロビリノゲン上昇・ビリルビン(-):溶血性貧血、便秘、腸閉塞
  • ウロビリノゲン上昇・ビリルビン(+):肝細胞障害
  • ウロビリノゲン低下・ビリルビン(+):胆汁うつ滞、閉塞性黄疸
〔白血球〕尿中白血球の混在

陽性反応: 腎・尿路系の感染症や尿路結石などの炎症性病変が疑われる

〔亜硝酸塩〕陽性反応: 細菌尿(尿路系の細菌感染)を疑う

大腸菌・腸内細菌科に属する細菌、緑膿菌、腸球菌などの感染の際に陽性となります。

〔色調〕正常の色調は、淡黄色~黄褐色で透明です。

正常色調~病的な色調(血尿、ミオグロビン尿、ビリルビン尿、細菌尿)など色別がされます。

〔混濁〕膀細菌尿、結晶・塩類尿などに観られる場合混濁を呈する

膀胱炎などの尿路の細菌感染症では、沈渣の中に細菌も見られることがあります。桿菌(棒状の細菌)、球菌(球状)や、細菌が連なる、レンサ球菌、カビの仲間の酵母菌など、大まかな区別ができます。細菌が見られた場合は、次の段階で、尿路感染の原因菌検索として、尿の細菌培養の検査に回されることもあります。原因菌がわかることで、感染症に効く薬剤を選択することができます。

【尿に含まれる成分】

尿は、血液中の水分や不要となった老廃物が含まれます。人の尿は、90%以上が水、タンパク質代謝産物の尿素2%を含みます。その他微量のイオン(塩素、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、リン酸など)、クレアチニン、尿酸、アンモニア、ホルモンを含むとされています。大量の水を短時間に摂取したときには100%水ということもあるようで、女性ホルモンは、閉経後の女性の尿に含まれるとされています。

〔尿の色調となる成分〕

尿の色調はほぼ黄色となります。排泄される水分量が少ない場合は、色調が濃くなりオレンジ様の褐色になり、大量の水分摂取し、100%近く水分となったときは、黄色みが薄くなり無色にちかくなります。肝臓で代謝されるビリルビンの代謝産物が代謝されウロビリノゲンを経てウロビリンが排出されます。ウロビリンが尿の黄色の色調となります。ビタミンB2(リボフラビン)が尿中に排出されたときも黄色となります。(リボフラビン以外のビタミンの色調は無色です)

〔健康な尿は無菌〕

通常健康な腎臓でつくられた尿は、血液がろ過されたものです。そのため、排泄までは無菌となります。排泄後、時間経過により尿中に細菌が侵入し、尿素が分解されアンモニアを発生し、悪臭を放つようになります。

【尿中成分を分析する検査 尿沈渣】

(※以前のブログでもお伝えしていましが、一部加筆して再掲いたします)

腎臓や尿路系の病気の種類や部位を推測することができます

尿沈渣とは、尿を遠心分離器にかけたときに沈殿される赤血球や白血球、細胞、結晶成分などの有形成分のことをいいます。これらを顕微鏡で観察し、尿沈渣の細胞数の増加や有無を調べて、腎臓などの異常診断や病状の経過観察などを行います。この検査は、尿タンパクや尿糖、尿潜血などの定性検査で陽性(+)と出たときに行なわれます。

【尿沈渣でわかること】

腎臓でつくられる尿は、尿路系となる、腎盂から尿管、膀胱、尿道を通過して排出される間に、その過程で混入されてきた細胞などを調べます。それらの細胞の異常の有無(異型細胞)を調べることで、腎臓など尿路系の疾患の種類や部位を推測することができます。

膀胱炎などの炎症性疾患での細菌感染では、尿中に細菌を確認することもあります。細菌の形状(球菌、桿菌、真菌など)を確認し報告しています。

その他、腟トリコモナスや原虫、精子などもみることがあります。尿中成分、尿沈渣検査は腎臓や尿路系の疾患の診断にとても重要な役割をはたします。

【どのように検査を行なうの?】

採取した尿をスピッツに(先の細い試験管)に入れて5分間ほど遠心分離機にかけると、尿の液状成分と固形成分とが分離します。この固形成分(赤血球や白血球、尿酸結晶、細胞、細菌など)を顕微鏡で確認します。一視野の中にあるこれらの数をそれぞれ数え、正常時より増加がないか、異常な成分がないかを鏡検(確認)します。

正常でも赤血球やその他の成分は、ごくわずか見られます。数が多い場合には、異常な部位を推測することで、疾患の補助診断につながります。

  • 赤血球: 1視野に1個以内正常

急性糸球体腎炎、腎盂腎炎、膀胱炎、尿道炎、腎腫瘍、腎結石など

  • 白血球: 1視野に3個以内は正常

腎盂腎炎、膀胱炎、尿道炎など

  • 上皮細胞: 1視野に少数は正常

膀胱炎、尿道炎など。上皮細胞は粘膜などをつくっている細胞で、炎症があると剥がれ落ちて、尿中に増えます。

  • 円柱細胞: 1視野に無しが正常

慢性腎炎、糸球体腎炎、腎盂腎炎、ネフローゼ症候群など。円柱細胞は腎臓の尿細管を鋳型にしてできたもので、尿細管に異常があると考えられます。

  • 結晶成分: 1視野に少量

腎結石、急性肝炎、閉塞性黄疸、痛風など。尿酸などの成分が多いために固まってできます。

 

次回は、排尿トラブルをまとめていきたいと思います。ぜひまたお読みください。

 

今日のまとめ 

  • 尿路系とは、腎盂から尿管、膀胱、尿道など、泌尿器科が受け持ちます
  • 人は約500mlの尿をためることが出来る。平均約300mlを4~6回で排尿している
  • 「ためる」「出す」この膀胱機能は、自律神経やさまざまな神経が関わる

 

いよいよスタートします!

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毎月、大崎ゲートシティ スターバックスコーヒーで開催しています。ミルトン・エリクソンの戦略的手法を紹介されている名書「アンコモンセラピー」この読書会を毎月開催しています。次回は、3月30日(金)となります。HPイベントFacebookイベントからメッセージお願いいたします。