元気&HealthのJunchanのblogにご訪問ありがとうございます。医療スタッフのメンタルパートナー かたよし純子です♪ 今週は、昨年改定された、急性・慢性心不全診療ガイドラインを基にまとめています。初回は、心不全のとは?を中心にグレードをまとめ、2回目では心不全の原因となる疾患を中心にまとめていきました。今回は、高齢者に多く見られる心不全の特徴を中心にまとめていきたいと思います。人は、加齢とともに心肺機能も低下していきます。先日受講した、介護予防のための運動での内容も加味していきたいと思います。若い人も自分自身の未来のライフスタイルを見据えて考えて欲しい内容といたします。どうぞ最後までお読み戴けたらと思います。

 

1. 自覚されない高齢者慢性心不全への、身近な人サポート3つ

1-1 急増する高齢者心不全、自覚されていない危険性を知る   

1-2 高齢者に多い慢性心不全の原因となる弁膜症を知る

1-3 心疾患を予防する介護予防運動を知る

今日のプラスα

2. 高齢者への心臓リハビリテーションは必須です!

3. 廃用症候群ということばをご存知ですか?

生理検査アティテュード®からのメッセージ

・心不全の診断で必ず行われる臨床検査

 

1.自覚されない高齢者慢性心不全への、身近な人サポート3つ

1-1 急増する高齢者心不全、その自覚されていない危険性を知る

高齢者は、さまざまな他機能の疾患を持ち、そのため若年者よりも心不全の病態を複雑化していることが特徴となります。前回まで、心不全の原因疾患をさまざまあげてきましたが、高齢者によく見られる心不全の特徴をまとめていきたいと思います。

【心不全パンデミック?!】

2014年の厚生労働省の調査で、心疾患は死因の第2位とされています。そして特に心不全が急増しているとされ、2030年の心不全者数は、130万人に達すると予測し、「心不全パンデミック」と称しています。

◯心不全が急増している。。。その背景とは?

最大の理由は、高齢化人口の増加だとされています。生活習慣ももちろん関係しますが、心不全は、心臓のポンプ機能が低下した状態をいいます。前回のブログでお伝えしたようにいちばんの原因は虚血性心疾患(心筋梗塞や狭心症)や高血圧です。そして、高齢者は、加齢に伴い、心機能が低下し、慢性心不全となっているケースが少なくないのです。慢性心不全は、本人も気がつかないうちに徐々に、心機能が低下し、深刻な状態まで気がつかないことが少なくないのです。

◯高齢者の大きな特徴は、自覚症状が無い心不全

心不全=突然死、というイメージがあり、自分とはあまり関係ないなぁ。。。そんなことを、ここまでの2回読まれて感じられた方もいるのでしょうか。

心不全疾患を持つ、6~7割の人は自覚症状が無いとされています。何となく変だなぁと感じ、症状として自覚された時にはかなり深刻な状態にまで進行していることが少なくありません。自分は大丈夫、今までも心臓は丈夫だから、自分とは別の問題だからとされている人も少なくないのではないでしょうか。

自治体や専門学会では、市民向けに公開講座をよく実施して戴いています。最新の医療情報をさまざまな内容でかなり専門的な情報内容を発信しています。そのような公開講座に参加される方はまだ意識が高く、自己管理もけっこう行われていたりします。この人たち以外が、問題となる「自覚症状の無い」といわれる無症状心不全なのだと私は思うのです。そう考えると、なおさら、いちばん知っていて欲しい世代が、中高年からヤング層なのです。自分たちの予防としての知識はもちろんのこと、中高年たちの親世代がこの「隠れ心不全」と称されている世代なのではないでしょうか。

◯身近な親世代、日常から健康チェックしてみませんか?

身近にいる家族の気配りから健康状態を把握することが出来るのではないでしょうか。日常の動作がいつもと違うことなど、食欲や動作などを注意してみてください。表情や日常会話でも何らかのサインが受けとめられることもあります。何となく様子がいつもと違う、そんな時、脈拍をチェックしたり、血圧を測定してみたりいつもと違う「何となく」をキャッチすることが出来るのではないでしょうか。

私の両親はすでに生涯を終えています。両親ともに心臓は丈夫だったようです。母は、心房細動で薬を飲んではいましたが、心不全様の症状を呈したのは、心房細動と診断された時のみでした。心房細動で頻脈となり、息切れがひどかったという時期がありましたが、投薬により、心拍数をコントロールすることで、心不全も改善されました。

【高齢者によく見られる特徴】

  • 合併症が多い
  • 認知機能の低下が見られる(認知症有する)
  • 精神疾患、うつ状態の場合が多い
  • 性差 女性>男性
  • 理解力の低下、意見を聞き入れるのに時間を要する
  • 個体差が大きい
  • 味覚障害
  • 不整脈:心房細動
  • 心機能障害:拡張機能障害
  • 心拍応答が悪い
  • 動作が緩慢
  • フレイル(虚弱)・低体温
  • バランス機能の低下

心不全の分類でみる高齢者心不全】

初回のブログでお伝えしたステージ分類を下記に再掲します。

AHA/ACCステージ分類

(American Heart Association / American College of Cardiology)

ステージA:リスク因子があるが、器質的心疾患がない心不全症候もない

ステージB:左室収縮機能不全などの器質的心疾患はあるが、心不全症状がない

ステージC:器質的心疾患が有り、心不全症状がある症候性心不全

ステージD:治療抵抗性心不全(補助人工心臓、心移植などの治療もしくは終末期ケアの適応)

 この分類でみると、高齢者心不全は、「心不全の自覚症状はないが、すでに心臓の機能が低下している」状態で、すでにステージBというランク、心不全予備軍に相当します。健康な人の心機能が突然低下する急性心不全とは異なり、高齢者の心不全は、生活習慣などの悪化に伴いゆっくり、ゆっくりと進行していく、慢性心不全となることが多いとされます。

【高齢者に多い慢性心不全は、QOLを保てなくなる】

高齢者の心不全の症状は、さまざまな全身症状としてあらわれてきます。前回のブログでまとめた心不全の原因となる疾患をまとめていますが、心不全は症候群です。心臓のどこの部分の障害によるかで異なり、症状にも個人差があります。そして、高齢者の場合には慢性心不全となり、心臓が正常に機能しなくなるということは、毎日の生活の質QOLに関わってきます。

人口高齢化に伴い、国内の心不全者数は年々増加し、年齢の上昇とともに心不全の発症率も増加しています。2060年には、65歳以上の人の人口の割合が40%を越すとも予測されています。そして、慢性心不全となり、症状別に予後を評価した場合、症状の悪化とともにその予後も芳しくないといわれています。

慢性心不全となると、思うように日常生活を送れずさまざまな行動制限も生じます。私のブログでもよくお伝えしている健康寿命に関係してきます。慢性心不全は、急性心不全を発症する状態を繰り返し、徐々に進行していく場合もあります。加齢に伴う心機能低下や生活習慣病が原因となることもありますので、身近にいる人の観察力が役立つのではと私は考えています。そして、ほん少しの言葉かけや、促し、サポートが早期発見につながるのではないでしょうか。そして、早めの医師や専門職の診断をお勧めいたします。

 

1-2 高齢者に多い慢性心不全の原因となる左心系の弁膜症を知る

 前回、弁膜症の説明も行いましたが、簡単に再掲しておきましょう。

【心臓にある弁膜の疾患、弁膜症とは?】

心臓には4つの部屋があり、その部屋から血液が流出するときに血液の流れる方向性を保つために弁膜があります。この弁膜があることで心臓の収縮・拡張に合わせて全身に血液を押し出しています。

  • 右心系:肺動脈弁、三尖弁
  • 左心系:大動脈弁、僧帽弁

弁膜症の多くは、左心系の僧帽弁か、大動脈弁の疾患となり、狭窄症閉鎖不全との2種類となります。

〔弁膜の2種類の異常:狭窄と閉鎖不全〕

心臓弁膜症は、この弁の開閉がうまくいかない状態、弁膜の異常は、狭窄と逆流の2種類となります。両方の異常がある場合もあります。弁の動きが悪くなると、出口の狭窄となります。完全に弁が開かずに、血液の流れが滞り、流れにくくなります。弁が完全に閉まらなかったりすることで、閉鎖不全となり血液の逆流が起こります。心臓のある4つの弁でこの状態が起きるために、8タイプの弁膜症があることになります。弁膜症の多くは、左心系にある大動脈弁、僧帽弁で起こるとされます。いずれにおいても、障害が強度になると心不全となります。

  • 狭窄症  :弁の開放不十分、そのため血液が滞る
  • 閉鎖不全症:弁が完全に閉じない、血液の逆流が起きる

 

弁膜の狭窄と閉鎖不全

<弁膜の狭窄と閉鎖不全>

【弁膜症の症状とは】

◯大動脈弁
  • 大動脈弁狭窄症  :息切れ、失神発作、狭心痛、血圧低下
  • 大動脈弁閉鎖不全症:動悸、呼吸困難、狭心痛
◯僧帽弁
  • 僧帽弁狭窄症   :動作時の呼吸困難、動悸、不整脈
  • 僧帽弁閉鎖不全症 :動作時の呼吸困難、動悸、息切れ、易疲労

 

大動脈弁と僧帽弁の位置

<大動脈弁と僧帽弁の位置>

【高齢者に多い大動脈弁狭窄症】

高齢者では、この中でも特に、大動脈弁狭窄症が多くみられます。

大動脈弁は、左心室から大動脈へ血液を送り出す部分にある弁膜です。言い換えると、全身に必要な血液を送り出す心機能の要ともいえる大切な血管の開口部分にある弁膜です。この開口部が狭くなり、左心室から大動脈への血流が障害(閉塞)される疾患です。

70歳未満で見られる一般的な原因は、二尖弁といわれる先天性異常(正常の大動脈弁は三尖です)ですが、70歳以上で最も多くみられる原因は、大動脈弁硬化症による、弁尖の肥厚です。

〔大動脈弁狭窄症の症状〕

胸部圧迫感、息切れ、失神が起こることがあります。大動脈弁狭窄症の診断は通常、聴診で確認される特徴的な心雑音および心エコー検査の結果です。診断後、定期的に症状その他を経過観察し、必要に応じて弁の置換術を行う場合があります。

大動脈弁は、左心室と大動脈の間の開口部にあります。大動脈弁は、左心室が収縮すると血液を大動脈( 心臓弁膜症の概要)に送り出すため開きます。弁の弁尖が病気により厚く硬くなると、弁の開口部が狭くなります(狭窄)。ときに、硬くなった弁は完全に閉じることもできないため、大動脈弁逆流が起こります。

大動脈弁狭窄症では、狭くなった弁の開口部から大動脈へ血液を送り出すとき左心室には大きな負担がかかります。そのため、左心室の壁、心筋は肥厚し、そのためより多くの血液を必要とします。しかし、冠動脈からの必要量の血液供給ができず酸素不足に陥り、胸部圧迫感、失神などの症状招き、場合により突然死に至ることもあるとされます。この血液供給不足のために、心不全を引き起こすことや、まれに大動脈弁の細菌感染となる、感染性心内膜炎なども引き起こすことがあるとされます。

〔大動脈弁狭窄症の原因〕
◯ 加齢に伴う変化

加齢による動脈硬化により、弁そのものが変形してしまうことや、弁の一部が石灰化してしまうことにより起こります。高齢者に多くみられ、近年増加傾向となる所見です。

◯ リウマチ性

以前みられる大動脈弁狭窄症は、このリウマチ性のものがほとんどとされていましたが、最近は減少傾向です。リウマチ熱の罹患後、弁膜の炎症により発症します。その他の弁膜症も合併しやすくなっています。

〔大動脈弁狭窄症の診断〕

聴診による心雑音、心電図変化、レントゲンによる軽度の心肥大など、大動脈弁狭窄症が疑われる場合、心エコー検査を行い確定診断とされます。大動脈弁狭窄症が疑われた場合には、心エコー検査(心臓超音波検査)を行い、確定診断がつきます。

  • 狭窄した大動脈弁
  • 可能性となる原因の同定
  • 左室肥大の有無
  • 収縮機能障害の程度の定量化
  • 共存する弁膜症の有無:大動脈弁逆流症、僧帽弁疾患など
  • 合併症の有無:心内膜炎など
  • ジェット速度
  • 収縮期の大動脈弁前後の圧較差
  • 大動脈弁口面積の測定、狭窄の程度の定量化

大動脈弁狭窄症の重症度は、確定診断の検査と同時に心エコー評価により行われます。大動脈弁のジェット速度、平均圧較差、弁口面積などにて判断されます。これらの評価にて矛盾が生じる場合は、臨床判断により評価するとされます。左室機能が正常の場合,弁口面積は最も精度が低くなります。

〔その他の検査結果〕
・心電図検査

心電図の波形から直接的に心不全の診断をすることも疑うこともできません。心電図は、電気抵抗を波形にしているもので、その波形から、心筋梗塞や狭心症などの虚血の有無や不整脈は、比較的容易に判断することもできますので、心疾患には不可欠な検査だと私は思っています。典型的な左室肥大の変化、虚血によるSTおよびT波のパターンを伴うこともあります。心エコー検査の前には、必ず指示して欲しいと担当には切に願う検査です。

・胸部X線検査:

心拡大の有無、大動脈弁尖の石灰化(側面像、透視でみられる)、肺に水が溜まっていないか、肺での血液のうっ滞がないかなど心不全所見の有無を判断します。心不全では、心臓の大きさは、正常~軽度拡大、正常サイズは、心臓は肺の大きさの50%以内とされ、それより大きい場合は、心拡大となり心不全が疑われます。

〔大動脈弁狭窄症の治療〕

大動脈弁狭窄症の治療は、基本的に症状が無く、心機能の低下がみられなければ、経過観察となります。それぞれの症状がみられる場合は、症状に応じた投薬とされます。一方で重篤な症状、失神発作、心不全症状、心機能低下が見られる場合、人工弁に変更する「大動脈弁置換術」の手術の適応とされます。この手術件数は、高齢者に対する手術が増加傾向にあるとのことです。

〔大動脈弁狭窄症の症状と予後〕

大動脈弁狭窄症は、胸痛、失神発作などを起こします。症状が出現後の治療では予後が不良となるとされます。そのため、症状の出現前での診断や、経過観察をすることが重要とされます。予後、狭心症が見られる時は5年、失神発作があるときは3年、心不全の発症時は2年と言われています。大動脈弁狭窄症による突然死は、10~20%との報告もあるとされていますので早期の発見が重要とされています。

このように、大動脈弁狭窄症は、症状が出現することで予後が非常に悪く、そのために症状が出現する前の対策が重要となれています。大動脈弁狭窄症は動脈硬化による弁の変性や石灰化が原因となることが多く、動脈硬化を引き起こしやすい、高血圧、糖尿病、高脂血症を持つ高齢者は、動脈硬化の進行させないように生活習慣の改善の指示が求められます。

【僧帽弁閉鎖不全症】

高齢者の心臓弁膜症として、次にあげられるのが、僧帽弁閉鎖不全症です。左心房から左心室への出口にある僧帽弁の障害です。弁膜の閉まりが悪く、左心室から左心房へ逆流が起こります。逆流症状が進行すると心房細動などの不整脈や、肺うっ血、心不全などの症状の悪化がみられることがあります。治療は、大動脈弁閉鎖不全同様に弁置換術のほか、閉鎖不全の原因となる部分の切除や縫い縮めて逆流を防止する弁形成術が行われるとされます。

◯気をつけたいのは、「なんとなく症状」です

多くの弁膜症は、ゆっくりと症状が進行するとされます。そのため初期症状がほとんどありません。そのため、気づいたときにはかなり重症の状態となっていることが少なくありません。

「何となく」いつもと違うという症状に注意をしましょう!

「以前に比べて疲れやすい」「少し動くだけで息切れがする」年のせいだと思わずに、いつもと違う何となく気になる症状があるときは、早めに受診して、心エコーなどの検査を受けてください。弁膜症は、心エコーで診断することができます。弁膜症による心不全は、防ぐことのできる心不全です。弁置換術など、根本的な治療ができる心不全であるとされています。

 

1-3 心疾患を予防する介護予防運動

先週、先々週と「介護予防のための運動」という講義を大学で受講してきました。

【心疾患を予防のための運動】

心疾患を予防するためには、全身持久力を上がることが必要となり、そのためには強度の高い運動をする必要があります。全身持久力を上げるということは、多くの酸素が必要となり、最大酸素摂取量を上げることが必要となります。最大酸素摂取量は、身体活動習慣により変化することが分かっています。つまり、持続的に運動習慣を持つことにより、最大酸素摂取量を増やすことが出来ると言うことです。

【安全であること】

介護予防運動は、安全性が最優先する必要性があります。疾患や障害を有する場合には、担当医の指示のもとに行うことが必要となります。有酸素運動は強度が高いほど効果が大きくなりますが、危険性も高くなるとされています。そのため、健康のための運動は、安全で効果的な強度で行うことが重要とされます。

〔健康効果が期待できる運動とは?〕
  • 一定量以上の運動を行う。一定量以上のエネルギーを運動で消費することで健康上の効果が期待できる
  • 一定の強度以上の運動を行うことで体力向上が期待できる
  • 一定の強度以上の、一定量の量以上の運動を行うことで、体力向上、健康向上の両方の効果が期待できる

成人に最適の有酸素運動の強度は、中等度 40~59%心拍出量

実際の最適な有酸素運動の強度の目安として…

トークテストを用いることが勧められます。トークテストとは、運動中に話ができるかどうかを確認するものです。好ましい強度の目安として用いられる方法です。

『運動中に2言、3言ならば話せるくらいの運動強度』

【有酸素運動の運動時間】

  • 中等強度の運動を1日 30~60分 週に150分以上
  • 高強度の運動を1日  20~60分 週に75分以上
  • または、中等強度と高強度の運動を組み合わせるとあります。

週あたり3~5回、ただし、身体的状態が劣っているなど、運動プログラムを始めたばかりの初期段階では、1回あたりの運動時間を短くするために、効果を得るためには10分程度の運動を1日に複数回行う必要があります。そのためには、週6回以上となることもあるとされます。

〔効果を得るための組み合わせ〕
  • 運動強度が低い場合には、運動時間を長くする
  • 運動時間が短い場合には、運動頻度を多くする

低強度、低時間、低頻度の組み合わせでは効果が得られないが、低強度・低時間から開始し、初期の段階では時間の増加を優先して運動に慣れてきたら強度を徐々に増加させていくようにおこなう。

 

2.高齢者への心臓リハビリテーションは必須です!

超高齢者時代となった今では、心臓病の方への運動は必要不可欠となっています。

【心臓病に運動禁忌は、昔話です】

ひと昔前は、心臓が悪い人に運動は避けるという考え方があったかと思います。しかし、今では運動は欠かせないという考え方が主流とされています。発症直後は、確かに激しい運動を行うことが危険とされます。そこで、今注目を浴びているのが、前回のブログのプラスαでもお伝えした、心臓リハビリテーションです。

高齢者での心臓リハビリテーションは、ここまでお伝えしたように、中高年者とは異なる特徴と病態となります。そのため、心臓リハビリテーション実施時には特別な注意を要することが理解できると思います。急性期・慢性期と時期に合わせた適切なプログラムによって、単に機能回復や維持を図るという目的のほかに「チーム医療」で継続的に患者さんを指導していくことにより、少しでも予後を改善するという目的もあります

【急性期リハビリテーション】

入院中に行われる急性期リハビリテーションでは、急性心不全での入院に対して、早期離床させる、日常生活に戻すことが目的となります。高齢者の場合は、入院をきっかけとして、そのまま寝たきりとなってしまうことも、少なくありません。出来る限りの早期社会復帰を目標とするためのリハビリはとても大切なこことなります。

【慢性期リハビリテーション】

さらに重要とされるのが、回復期および退院後の慢性期リハビリテーションとなります。有酸素運動を中心とした運動を継続させることで、最大酸素摂取量を増加させ、自律神経や血管の機能を是正し、心不全の悪化予防をすることで再入院の予防につながることがあきらかなこととされています。

【包括的疾病管理プログラムに基づく心臓リハビリテーション】

自己判断での運動は禁忌です。心不全や、心筋梗塞後のリハビリテーションでは、心肺運動負荷試験を行い最大酸素摂取量などを測定し、どれくらいの強度の運動をどれくらいの時間行うかの運動処方を作成しておこないます。心肺運動負荷試験が行えない時は、予測最大心拍数をもとに運動処方を作成することになります。

定期的にリハビリに通い運動を行うことが勧められています。多職種のスタッフにより構成された、包括的疾患管理チームのもと、運動とともに、薬剤師からの投薬指導、栄養士からの塩分などの食事指導、そのほか、生活指導やさまざまな問題や課題に対してチームで包括的なプログラムに基づく心臓リハビリテーションを実施することが求められます。

心不全患者の再入院の主な要因として下記の要因があげられています。
  1. 管理不十分によるうっ血(体液貯留)の増悪
  2. 感染・腎不全・貧血・糖尿病・COPDなどの非心臓性などの合併症
  3. 薬物治療および非薬物治療に対する指示がいき届かない

さらに高齢心不全患者の長期予後の規定因子としてサルコペニア、フレイルがあげられています。再入院リスクの高い高齢者や、多臓器併存疾患保有心不全者では、退院後に外来や在宅で、QOL向上・運動耐容能向上と再入院防止・要介護化防止を目標として、併存疾患を含めた全身的な疾病管理およびサルコペニア、フレイル予防の運動介入が必要とされています。

〔心臓リハビリテーションの目的 治療の目標〕
  • 心機能の改善  :収縮能、拡張能
  • 骨格筋機能改善 :酸素酵素活性(筋線維組成)・筋力・筋量・骨格筋内血管床
  • 自律神経活性改善:副交感神経活性賦活化 交感神経活性安定化

ガイドラインでの外来心臓リハビリテーションの実際

包括的外来心臓リハビリテーションにおいて、下記の内容で、医師・看護師・理学療法士らからなる医療チームで行われるとされます。

  1. 運動処方に基づく運動療法を、退院後、週1~3回くらいの割合で、外来通院とした継続する
  2. 慢性心不全に対して、治療指示の遵守と自己管理を動機づけとして、その具体的方法を指導
  3. 心不全増悪を早期に発見して、再入院の未然防止のために対策を実施する

 

3.廃用症候群ということばをご存知ですか? 

廃用症候群とは、長期にわたる安静状態の結果、身体活動が低下したことにより引き起こされる心身の機能低下などのことをいいます。特に病床で寝たきり状態により引き起こる症状が多いとされています。

【廃用症候群の原因】

高齢者では、体調を崩し、安静状態を保つことで気がつかないうちに進行し、気がついた時にはすでに「起きられない」「歩くことができない」などの状況となっていることが少なくありません。絶対安静の状態で筋肉の伸縮を行わないと、1週間で10~15%の筋力低下とされ、高齢者においては、2週間の床上安静で、下肢筋肉が2割も萎縮するともいわれています。

過度の安静状態は、筋力が痩せ、関節に痛みがあるなどとして動かさない活動性を低下させ、悪循環を作りだします。最悪寝たきり状態が待ち受けていることになります。

【廃用症候群の症状の種類】

  • 筋萎縮   :筋肉がやせおとろえる
  • 関節拘縮  :関節軟骨の減少、関節の動きが悪くなる
  • 骨萎縮   :骨量の低下により、骨がもろくなる
  • 心機能低下 :心拍出量の低下
  • 起立性低血圧:急な立ち上がりによるふらつき
  • 誤嚥性肺炎 :嚥下機能の低下による誤嚥が原因、気道に混入し肺炎を起こす
  • 血栓塞栓症 :血管内血栓 に血のかたまりがつまる
  • うつ状態  :精神的に落ち込む
  • せん妄   :認知機能の低下、軽度の意識混濁、幻聴や幻視、混乱した言葉づかいや行動を行う
  • 見当識障害 :今はいつなのか、場所がどこなのかわからない
  • 圧迫性末梢神経障害 :寝ていることにより神経圧迫による麻痺
  • 逆流性食道炎:胃の内容物の食道への逆流、炎症がおきる
  • 尿路結石・尿路感染症:尿路系の結石や細菌感染
  • 褥瘡    :皮膚の床ずれ

【廃用症候群の診断】

廃用症候群には決まった検査は無いとされています。疾患などにより、安静状態が長くなり日常できていた動作が出来なくなっていたりするときに廃用性筋萎縮や関節萎縮が考えられるとされます。動かすことが出来ていた関節も範囲が狭くなるなどの症状がみられる廃用症候群が疑われることになります。

〔早めの予防対応が重要なポイント〕

高齢者が廃用症候群になると、元の状態まで改善させることは大変難しくなるとされます。そのためには起こす前に常に予防を意識して行うことが重要となります。可能な限り早めにもとの生活に戻すことが最も大切だとされます。

入院治療となった場合は、出来る限り早めに自宅に戻すことが廃用症候群を予防することにつながるとされます。やむを得ない長期臥床が必須とされる場合には、出来うる限り、入院中でも治療の妨げとならない範囲でのリハビリを行うことが必要とされます。廃用症候群は治療よりも予防が重要とされるのです。

【治療中の安静臥位での廃用症候群への対応】

下肢骨折などの治療を必要とする疾患によっては、安静臥床を余儀なくされる場合もあります。安静臥位の状態で同じ姿勢で長時間過ごさなければならないこともあります。そのために筋肉の萎縮や関節の拘縮、その他、起立性低血圧や、静脈血栓症、誤嚥性肺炎や褥瘡なども起こしやすい状況となります。これらを予防するためには、出来る限り、ベッド上での上肢・下肢を動かす運動を行うようにすることが求められます。

廃用症候群を考えると、やはり在宅医療が良いのでしょうか。先週金曜日1周間前のブログでは、病院での最後を望むこともありだと思っていたのですが、在宅医療へという考えも悪くはないのかも知れません。。。明確な答えを出すことも難しいように感じます。いや、それよりも、ピンピンコロリなのでしょう。

 

◯ 父を通して感じた、高齢者へのケア

父は、呼吸停止から蘇った父は、半年あまりいくつかの病院施設で過ごしました。面会に行くと車椅子にできるだけ移動させ外の景色が見える窓辺に連れて行きました。2年前の今頃、毎日のように病院に面会に行っていました。半年で父は、医療現場のいろんなことを私に見せてくれ、考えさせてくれました。いつも医療者目線となりがちな私に、医療を受ける側の視点を与えてくれました。私のとって、このことは今の私にはすごく大切な視点となっていることを感じています。今では、父からの私への最後のギフトだと思っています。

今の医療体制下では、急性期治療が一段落すると、急性期病院からの転院を余儀なくされます。父は、糖尿病がありインスリン投与をしていたために転院先を探すこともけっこう大変だったのです。転院先の病院を紹介されると私は必ず事前に連絡し、見学をさせていただいていました。病棟はもちろんのこと、リハビリテーション科なども見学させて戴きました。そして、スタッフさんとの会話で家族としての希望をきちんと伝え、それに対する対応を確認にて選ばせて貰いました。自分たち家族が面会に行きやすいことはもちろんのこと、しっかりとリハビリを行ってもらえるところ、私は、在宅を希望していましたので、必ず在宅につながるケア、その方向に向かうことへの協力をお願いできる医療施設へと考えたからです。

ある病院は、出来る限り起こします!そのように豪語されていた看護師長さんがいらっしゃいました。私はそのひと言で、父をお願いしようと決めました。看護師さんには、定期的に、クッションの位置を入れ替えて体位変換や、ベッドを起こして座位にすることなど、こまめに頻回に行って戴きました。最後は体重もかなり減っていたのではと思いますが、骨格がしかっりとして体格がよかった父は、それなりの重さだったのではないかと思います。

とりとめのないことを書きました。近い未来の自分自身のためにも、少しでも笑顔の高齢者を増やして行きたいのです。

 

生理検査アティテュード®からのメッセージ

・心不全の診断で必ず行われる臨床検査

心不全が疑われたら必ず行われる検査のひとつが、心エコー(心臓超音波検査)です。いまや小さはクリニックでも超音波診断装置が置かれ、聴診器代わりといわれるほどの簡単に行われるようになった検査です。

【聴診器のように簡単に観察できるエコー】

腹部検査が大好きな私ですが、実は、最初に超音波検査士のライセンス取得領域は、「循環器」でした。取得後、腹部を主に実施していたので、だんだん心エコーをやらなくなってしまいました(苦笑)でも、昔取った杵柄です。ちゃんと読むことはできます。計測される評価数値の項目も方法も、さまざまなものがあり、その内容まではなかなか頭がついていっていませんが、モーションの評価は一応わかります(笑)

心臓機能評価、心ポンプとしての左室駆出率(LVEF)の測定を行い機能を数値化することも大切ですが、超音波検査はリアルタイムで心臓の動きを観察できるということが出来るのです。左心室の短軸像を見て、心筋がなめらかに均質的に拡張・収縮していることがリアルタイムで確認できるのです。こんなすばらしく、すごいことはないのではないかと私は思うのです。

心臓の弁の動きもよくわかります。弁膜症を有する心臓弁からの逆流はカラードプラー法を用いて確認できます。弁逆流がある場合には、モザイクパターンと言い、その様子がしっかりと確認できます。その情報からさまざまな新機能評価が数分間で行えるのです。人類はすごいものを作ってしまうものだと思う瞬間です。

【検査技師も心音聴きます】

心不全の診断の際に、聴診器で胸の音を聴診されるのではないでしょうか。呼吸音の聴診も大切とされますが、心雑音がある場合は弁膜症を疑う指標となります。過剰心音と言われる正常では聴こえないⅢ音やⅣ音の確認をしています。

Ⅲ音:心室の拡張期の心房から心室へ血液流入時に発生する音
  • 僧帽弁閉鎖不全症、大動脈弁閉鎖不全症、心室中隔欠損症、心筋梗塞、虚血性心疾患、心筋症、心筋炎、三尖弁逆流、肺動脈弁逆流、など心不全の兆候として重要とされます。
  • 30歳以下、妊婦では正常でも聴取します。壮年以上、呼気または立位で消失しないものは異常
Ⅳ音:右室あるいは左室負荷、心室壁の伸展性が低下した状態
  • 肺高血圧症、大動脈弁狭窄症、虚血性心疾患、心筋炎、心筋症などで聴取できる。
  • 乳幼児では正常でも聴取、成人の場合は異常

心不全かどうかを診断するためには、まず、息切れや動悸といった心不全特有の症状があるか問診を行い、さらに、聴診、胸部X線検査、心電図検査、心エコー検査、血液検査などのさまざまな検査を行って、総合的に判断します。

【常に上を目指して学んで欲しい】

若い検査技師さんや、近くに検査技師、超音波検査士を目指している方がいたら伝えたい。

非侵襲性で、被爆することのない超音波検査の質は、術者に委ねられる

私がもし、今書いている「心不全」循環器疾患の知識、各疾患のガイドラインに記載されていることと同等の知識をしっかりと持った状態で検査を行っていたらと強く思います。どれだけ病識があるか否かで検査の質は大きく分かれます。そして、どこまで被検者の未来につながる検査を行うことが出来るかどうかに検査の質は問われ、さらに検査レポートを書く時にその差があきらかになると私は思っています。

検査の質の向上は、学びへの好奇心にある

技師が学校で学ぶことは基本的なことが中心で、卒後敎育が絶対的に必要です。毎日の忙しいルーチン検査の中で、さらに資格習得を目標とするならば、遊ぶ時間も消費して学ばなければなりません。医療者としてのスキルアップを願うのならば、学びは必須だと私は思います。

 

今日のまとめ

  • 高齢者心不全は、無症状で徐々に進行していることが多い慢性心不全
  • 高齢者心不全の原因として大動脈弁狭窄症と僧帽弁閉鎖不全が多く、ともに心エコーで診断できる
  • 成人に最適の有酸素運動の強度は、中等度、2言、3言会話が出来る運動強度を1日 30~60分

 

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「介護予防のための運動」 川崎市立看護短期大学 西端 泉 教授

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