『元気の出るJunchanのblog』ご訪問ありがとうございます。医療スタッフのメンタルパートナー かたよし純子です♪女性特有の疾患の2回目の今日は、子宮がん卵巣がんを見ていきましょう。年間約一万人の女性が発症し、3,500人の人が亡くなっている子宮頸がん。そして20~30代の若い女性での子宮頸がんの罹患が多いとの報告があります。子宮がんの予防接種として、ヒトパピローマワクチンの副作用の問題が大きく扱われたことを記憶されている方もいるのではないでしょうか。このあたりも含めて、先週聞いてきた内容を合わせてお伝えしていきましょう。子宮がんの予防として、ワクチン接種の問題をどのように捉えていくのが良いのかということもまとめていきます。

 

1.婦人科疾患を知るための3ステップ   

1-1 女性器疾患 子宮の病気 子宮がん・子宮筋腫

1-2 予防可能な子宮頸がん

1-3 子宮体がんは早期発見しやすいがん

 

婦人科系のがんとして、子宮頸がん、子宮体部がん、卵巣がんがあります。初めに子宮にできる子宮頸がんと子宮体部がんをまとめていきましょう。

1-1 女性器疾患 子宮の病気 子宮がん・子宮筋腫とは 

子宮にできるがんを総称して、子宮がんといわれますが、がんができる部位により、分けられ、治療方法も原因も異なります。子宮頸部にできるがんを子宮頸がん、子宮体部にできるがんを子宮体部がんといいます。発生する部位で分けられていますが、それぞれの性質や治療法もそれぞれことなります。

 

Uterus

<Uterus>

 

【子宮頸がん】

20歳代後半から増えはじめ、40歳後半にピークを迎えます。先にお伝えしたように、国内では、20~30代の罹患者数が近年増加し懸念されています。2004年からは、20歳代からの子宮頸がん検診が奨励されています。

【子宮体がん】

子宮の体部、胎児を育てる部分、子宮の内側にあたる子宮内膜から発生します。40歳代から増え50~60歳で罹患者数のピークとなります。

【子宮筋腫】

検診で超音波検査を受けたり、妊娠して婦人科にかかり、子宮筋腫がありますと言われてびっくりされた方も多いのではないでしょうか。けっこういます。腹部の超音波検診で、私は必ず下腹部まで見ていました。下腹部、膀胱周囲は、身体に炎症があると、腹水がよく見られる場所だからです。そして、子宮筋腫も見つかります。

子宮筋腫もよく聞く疾患なので、簡単にまとめておきましょう。子宮筋腫とは、子宮の筋層に発生する良性腫瘍です。生殖年齢の女性のうち20%くらいの割合で発生しますが、悪性化するのは0.5%以下gとのことです。30~40代に好発するといわれています。

筋腫の存在部位によって、粘膜下筋腫、筋層内筋腫、漿膜下筋腫に分類されます。子宮頸部の位置にできるものは頸部筋腫と呼ばれています。

  • 粘膜下筋腫は、子宮の内側に描出され、不正出血の原因になることが多いようです
  • 筋層内筋腫は、子宮壁の筋層内に出来るもの
  • 漿膜下筋腫は、子宮壁の外側近くにでき、子宮から突出するように描出されます

半数以上のものが、筋腫が複数できる多発性です。超音波検査で下腹部をみると比較的よく見られる所見です。

子宮筋腫はエストロゲン依存性良性疾患のため、閉経後は縮小するので、外科的な処置をしないことが多いようです。特に子宮内膜症と子宮腺筋症の合併例は多く、月経困難症の合併をみることがある。子宮内膜症の合併は約20%とのことです。

〔子宮筋腫の症状〕

半数以上が無症候性で、悪性化も極めて稀とのことです。症状は存在部位により、粘膜下筋腫の場合は不正性器出血や月経困難症、不妊症の原因となることがあます。不正性器出血による貧血の症状で気づくという症例をみることもありました。筋腫が巨大化して、周辺臓器を圧迫してさまざまな症状が生じることがあります。尿管、膀胱、直腸、腰仙骨神経叢を圧迫することで、水腎症、排尿障害、便秘、腰痛を起こすことがあるようです。稀に筋腫か腫瘍か判断し辛い場合があるため、検査は必要です。

超音波検査では、特に大きな筋腫の場合、小さな病変が隠れていることがありますので、他の画像診断をお勧めしたいです。

 

子宮筋腫 Uterine fibroid 1

<子宮筋腫 Uterine fibroid>

 

1-2 予防可能な子宮頸がん   

子宮頸部の正常細胞がヒトパピローマウィルス HPVに感染することにより異形成細胞となります。異形成細胞は、月曜日のブログの細胞診のところでお伝えした病理検査で見つけられます。異形成細胞とは、細胞の形状が正常とはやや異なっている状態となります。この異形成細胞にさらに何らかの因子が作用し、がん細胞になるとのことです。この過程が数十年といわれています。

【ヒトパピローマウィルス HPVHuman Papilloma Virus)とは?】

人に疣(いぼ)を作るウィルスでごくありふれたウィルスです。特別なことではなく、よくある感染症だということです。

  • HPVには、100以上の型があり、高リスク型16、18型HPV
  • 良性の疣をつくる低リスク型と、がんの原因になる高リスク型があります
  • 感染性が高い(触っただけでも感染する可能性があります)
  • 性交経験のある女性の80%が人生に1度は感染する
  • 感染から約15年かかります
〔HPV感染からの進行〕

女性10,000人を対称

① 約6,000人のHPV感染 (60%以上の女性感染者) 数週間~2年

軽度異形成CIN1、一過性の感染  90%は自然治癒

② そのうち60人が前がん期 (感染者の1~6%) 数年~10数年

中等度異形成CIN2~高度異形成CIN3、数%不顕性持続感染、持続感染 5%自然治癒

③ さらに6人が子宮頸がん発がん期、浸潤がん(感染者の1%)となります 数年

この経過をたどるという説明を受けました。②の高度異形成(CIN3)、③の浸潤が治療対象となります。②から③は、確率約10分の1に割合です。つまり女性10,000人に6人の割合で、平均約15年の期間を経て発生するがんということです。青字以下、前がん状態の高度異形成(CIN3)では、子宮頸部円錐切除術が勧められるようです。以下の子宮がんの検査と治療のところで説明いたします。

【子宮頸がんの症状】

子宮頸がんの初期症状は、ほとんどありません。検診で見つかることがほとんどです。がんの進行により、不正性器出血、性行為の際の出血やおりものが増えたり、月経の量が増えたりします。

 

1-3 子宮体がんは、早期発見しやすいがん

子宮体がんは、子宮の体部、胎児が育つための部屋、子宮内膜にできるがんです、50~60歳で罹患者数のピークとなり、年間約14,000人の発生件数、3,000人の死亡者数です。(2012年)近年、子宮体がんは増加傾向にあり、死亡者数も増加傾向です。

【子宮体がんの原因】

子宮体がんの原因は、動物性脂肪の摂取の増加により、女性ホルモン、エストロゲンの長期間の持続との関連性があるようです。エストロゲンは、排卵後の卵巣、胎盤から排出されるプロゲステロンとともに、月経、妊娠、出産をコントロールしています。このバランスが崩れ、プロゲステロンの分泌不足、エストロゲンが単独で分泌される期間が持続することで子宮がんのリスクが上がるとされているようです。

すなわち、妊娠経験、分娩経験のない人、無排卵の人のリスクが高いということになります。さらに副腎ホルモンのアンドロゲンは、脂肪細胞の中でエストロゲンに変換されます。そのため、皮下脂肪の多い肥満体質の人は、多くのエストロゲンの影響下にあるといわれています。

まとめると、子宮内膜細胞が、長期間女性ホルモン エストロゲンの影響を受けることをきっかけとして発生する。

  • 無月経    エストロゲンで増殖した内膜細胞が洗い出されない
  • 肥満     肥満細胞がエストロゲンを作る(副腎皮質ホルモンで変換される)
  • 未産婦    妊娠中は、内膜細胞が増殖しない
  • 遺伝学的因子 大腸がんなどのがんと重複するリンチ症候群

 

【子宮体がんの症状と診断】

子宮体がんは、早期に不正性器出血という症状みられることがあります。子宮体がん検診は、痛みを伴い、その割には、子宮頸がんに比べて、精度が低いというリスクがあります。無月経や不正性器出血を認めたら、早めに受診をするように心掛けることが大切とのことです。

 

2.子宮がんの検査と治療 

初めは、内診と細胞診です。子宮頚部がん検診では、子宮頚部の細胞を綿棒で採取します。そして、細胞診をおこないます。病理診断となる、細胞診で、異形成が疑われた場合は、組織診をします。病理診断に関しましては、月曜日のブログをお読みください。

【子宮頚部がんの治療】

子宮頚部がんの細胞診検査で、前がん状態、異型細胞が見つかった時点、高度異形成~非常に早期のがんとの病理診断が得られた場合は、子宮頸部円錐切除術が一般的な方法とのことです。上記の②の段階です。

〔子宮頸部円錐切除術〕②の場合

子宮の一部を円錐状に切除する手術です、子宮頸部が短くなるリスクがあります。

子宮頸部円錐切除術の長所
  • 高度異形成~非常に早期のがんの場合に行われる
  • 子宮を温存することが可能え、術後の妊娠も可能
  • 膣式手術(お腹を切らない)
  • 日帰り~1泊入院で行うことができる
子宮頸部円錐切除術のリスク
  • 流産、早産のリスクが高くなる(5倍~2倍高くなる)
  • 術後の月経期間などに変化が生じることがあります(約30%に生理期間が長くなった)

市大の産婦人科医師のお話では、子宮頸部円錐切除術は、子宮を残すこともできる、出産も可能、ですがやはり子宮頸部の一部を切除するので、手術前の状態と同じというわけにはいかないと、いうことを再三、強調されていました。この状況を踏まえて、後述する、問題視されている副作用が懸念される子宮頸がん予防ワクチン ヒトパピローマウイルスワクチン接種をご自身や家族への適応の可否を考えることも必要かと思います。

〔浸潤がんの治療〕③の場合

種類によって治療法を決めます

広汎子宮全摘術

子宮と周囲の血管神経、骨盤リンパ節、膣の一部を摘出。副作用として、リンパ浮腫、膀胱神経障害

放射線治療

全骨盤照射+膣内照射。放射線性膀胱炎、直腸炎、皮膚炎など周囲に影響がある

抗がん剤治療

放射線と併用または単独でおこなう

  • 治療法は、がんの進行度のより、またがん細胞の種類によって選択されます
  • 副作用や治療に伴う苦痛に対しては、支持療法が改善されています
  • 以前よりも緩和されたが、まったく楽というわけにはいかない
  • 進行したがんの場合は、根治できないことも多くあります
  • 根治しても元の身体には戻れません

 

子宮頸がんは、予防できるがんといわれています。以前、副作用が取りざたされたHPVワクチン接種です。子宮頸がんワクチン勧奨中止から4年の年月が経ちました。20~30歳代の子宮頸がんの罹患者数が増加しているという現状を踏まえて、ワクチン接種をするか否かを考えて決める必要はあるでしょう。正しい情報を得て、さまざまなリスクを考える必要があると思われます。

ヒトパピローマウイルスの感染は、先に記述したように、性交経験のある女性の80%が人生に1度は感染するといわれています。そのため10代の女性への接種を勧奨していました。その接種の副作用が問題視されて、勧奨がとりけされました。ウィキペディアのサイトはこちらから ヒトパピローマウィルスワクチン

【子宮体がんの治療】

子宮体がんは放射線療法や化学療法は、効果が低く、基本治療は、手術とのことです。場合により、ホルモン療法の選択肢もあるようです。

〔手術 子宮全摘術+両側卵巣摘出術〕
  • 低リスクの場合 腹腔鏡手術も可能
  • 高リスクの場合 開腹術にて、子宮全摘術+両側卵巣摘出術+リンパ郭清廓清
〔抗がん剤治療・放射線〕
  • 補助療法として、術後の再発リスク軽減や再発の際に行なわれる
〔ホルモン療法〕
  • 早期がん、再発リスクの低い場合、妊娠希望の場合
  • 6ヶ月~1年間、高用量の黄体ホルモンを服用する
  • 70%のがんが消失するが、50%が再発する
  • 治療終了後、早期に妊娠、出産後子宮摘出術が基本となる

 

3.卵巣がん、卵管がん、腹膜がん

卵巣がんは、婦人科がんの中でも頻度が比較的低いがんです。年間8,000人、4,500人が死亡(2012年)と、頻度は低いのですが、早期発見しにくく、治療が難しいということです。

排卵回数が少ない女性が、リスクが低いといわれていて、内膜症性卵巣嚢腫(チョコレート嚢腫)は、卵巣がんの基盤とされています。さらに卵巣がんの約10%は、家族性(BRCA)といわれています。

【卵巣がんのリスク因子】

以下に、卵巣がんの罹患リスク因子をまとめておきましょう

〔卵巣がん リスク低下因子〕
  • 多産
  • 授乳の既往
  • 経口避妊薬内服既往
  • 卵管結紮術の既往
  • 子宮摘出術の既往
〔卵巣がん リスク増加因子〕
  • 不妊症の治療
  • ホルモン補充療法の既往
  • 子宮内膜症の既往
  • 卵巣がんの家族歴
  • 乳がんの既往、家族歴
  • 卵巣嚢腫の既往
  • 外陰部へのタルク使用

【卵巣がんは、治療が難しい】

卵巣がんは、進行してから発見されることが多く、転移が多いとされています。症状が出にくく。有効な検診がないためとされています。腹水によりがん細胞が腹腔内に拡がり(腹膜転移)、手術をしても取り切れないことが多いとのことです。そして、再発を繰り返すとされています。

手術と化学療法が、併用されますが、術後の化学療法にても、50%と非常に多いとのお話でした。

【卵巣がんの遺伝性】

数年前の有名ハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリーの子宮・卵巣摘出術、ご記憶あるかたいらっしゃいますか?2013年に乳房を切除、2015年には卵巣を摘出したという、私は驚いたニュースです。遺伝子検査を受けて、高い確率でがんになる可能性が高く摘出術を受けたのです。

BRCA:家族性乳がん、卵巣がん症候群(HBOC Hereditary Breast and Ovarian Cancer)の原因遺伝子検査についてのお話もありました。BRCA遺伝子異常は、日本で卵巣がんの10%、アメリカでは15~20%とのことです。検査に20~40万円の費用、遺伝子検査のため、家族にも影響します。予防での卵巣摘出術は、自費診療とのことです。

考え方は人それぞれです。さまざまなリスクを調べる遺伝子検査があるようです。遺伝子は持って生まれた気質だと私は考えます。リスクに怯えるよりも、毎日健康に気を配り生活する必要性、近頃は強く感じます。まぁ…年齢もあるでしょうけれども。

 

今日のまとめ

  • 子宮頸がんは、HPVが原因、検診は定期的に、予防ワクチン接種は、よく考えてどちらかの選択
  • 不正性器出血と無月経を認めたら、子宮体がん検診をお勧めします
  • 卵巣がんは、予後がきびしい、遺伝要素が10%と家族歴は大切です

 

【今週のblog】 

『女性特有疾患』

・§1 乳がんを知る ~超音波検査士の目線から~   2017.7.10

<関連blog>

『健康を考える』
『身近な疾患 生活習慣病』
『将来に影響する生活習慣』
『夏の健康生活』

 

<関連サイト>

  • ヒトパピローマウィルスワクチン   Wikipedia
  • BRCA1               Wikipedia

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今日も最後までありがとうございました。

 

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