元気&HealthのJunchanのblogにご訪問ありがとうございます。医療スタッフのメンタルパートナー かたよし純子です♪ 今週のテーマは、胆のうと胆管の疾患をまとめています。初回は、胆のうと胆汁の機能、2回目は、良性疾患といわれる胆のうポリープや胆石、そして今日は胆のうがんを中心に胆管がんをまとめていきたいと思います。胆のうがんは、以前のブログで扱った、膵がんと同様に症状が進行しないと気づくことはほとんど無いとされ、症状がでた状態では、根治が難しくなるとされています。しかし、膵がんよりも早期に発見されることが多いということが特徴なのではないでしょうか。胆道系の最終回は、胆のうがん、胆管がんをご理解戴けたらと思います。
1. 名優の命を奪った胆のうがんとは?疾患理解のポイント3つ
1-1 胆のうがんとは?背景やリスクの対して
1-2 胆のうがんでみられるさまざまな症状
1-3 知っていましたか?日本では胆のうがんの発見率が高い理由
今日のプラスα
2.胆管に発症する胆管がん
3.胆道がんのリスクを上昇させる膵胆管合流異常
生理検査アティテュード®からのメッセージ
- 大丈夫?! ではありません!! 私が伝えたい3つの大丈夫
1. 名優の命を奪った胆のうがんとは?疾患理解のポイント3つ
昨年2017年3月に亡くなられた俳優 渡瀬恒彦さんは、胆のうがんのステージ4と宣告(2015年夏)され、余命1年と言われていたそうです。直接の死因は敗血症による多臓器不全とのことです。
1-1 胆のうがんとは?背景やリスクに対して
胆のうはがんは、胆のうや胆のう管に出来た悪性腫瘍をいいます。その他、胆道系に発症したがん、胆管がん、乳頭部がんをあわせて胆道がんともいいます。2015年には女優の川島なお美さんが胆管がんで一生を終えています。胆のう胆管の最終回は、胆のうがんを中心にまとめていきます。
【胆のうがんとは?】
胆のうがんの背景のさまざまな背景を、初めにまとめていきたいと思います。
胆のうがんは、悪性度の高いがんとされています。しかし、日本では、膵がんなどに比べて早期発見出来るケースが多いがんとされています。胆のうがんの傾向として、アジア系の女性に多くみられ、その理由として膵胆管合流異常が多いということでしょうか。
〔胆のうがんが好発する背景〕
胆のうがんの好発年齢は、60~70歳台で、男女比は1:2で女性に多く見られます。胆のうがんや胆管がんの日本人の罹患率は、他国と比較して高い傾向に有るといわれていますがその原因は不明とのことです。
【胆のうがんのリスク】
胆のうがんの危険因子としてあげられるのが、膵・胆管合流異常と胆のうポリープが挙げられます。
①膵胆管合流異常
膵管と胆管異常とは、十二指腸の手前で合流する膵管と胆管との先天性の形成異常のことをいいます。膵液と胆汁の逆流が起こることで胆道がんのリスクファクターとされています。早期の予防的胆のう摘出術も勧められるとされています。今日のプラスαで詳しくまとめていきたいと思います。
②胆のうポリープ
前回のブログでまとめた、注意したい胆のうポリープの所見がありました。
がんの否定も完全否定できない胆のうポリープの超音波所見
- 10mm以上のとき
- 徐々にサイズが拡大しているとき
- ポリープ内部に明瞭な血流が見られる時
- 広基性病変としてポリープ見られる時
その他にも、ポリープの形状や壁の不整所見などは、がんの可能性が高いとされ、胆嚢摘出術適応となるものがあります。いずれも腹部超音波検査にて、確認が可能です。上記のような、超音波所見が見られるときには、他の検査を併用して検査をすすめていくことが求められます。
これらが胆のうがんの危険因子となります。特定の生活習慣や食事などとの因果関係などは、あきらかでなないとのことです。
【胆のうがんと胆石の関係性】
私が超音波検査を始めたときには、「胆石があると胆のうがんのリスクが上がる」と学びました。しかし、その根拠となるものはあきらかではないようです。胆のうがんの罹患者に、胆石が50~60%くらいの割合でいるといわれていますが、胆石が有るために胆のうがんを発症したとする症例は数%のようです。現時点では、胆石が直接的な原因とはならないとのようです。
それよりも胆のうポリープの経過観察は怠らないほうがよいということのようです。
1-2 胆のうがんでみられるさまざまな症状
胆のうがんの初期症状は、ほとんどが無症状となります。
【胆のうがんの症状】
しかし、がんの進行に伴い、さまざまな症状が現れ、深刻な状態で発見されることが多いとされます。心窩部痛や右側腹部痛などの腹部症状が出現することがあります。その他に、悪心、嘔吐などの消化器症状、体重減少などのがんによく見られる症状も進行に伴いよく見られる症状かと思います。
〔胆のうがんの初期症状〕
胆のう:胆嚢 Gallbladder、胆嚢の「嚢:のう」とは、袋という意味です。初回のブログで胆のうの位置関係や胆のう、胆汁の機能を説明したように、胆のうは、肝臓で作られた胆汁をためて、濃縮し、おもに脂肪の消化を助けるために胆管を経て胆汁の出し入れを行っています。胆のうがんは通常胆のう壁にできます。袋状という形状ゆえに、初期症状が無いともいえます。
[まれに期待できる初期でキャッチされる症状とは?]
まれに、胆のうがんの発生した部位が、胆道の狭窄を招き、胆道疝痛様の症状を起すことがあるとされます。この段階での超音波検査などでキャッチ出来れば、発見されることもあります。
胆石を持っていて、胆道疝痛でも起こさない限り、胆のうという臓器に日常生活の中で意識することは無いと思います。言い換えると、胆のうがんが胆のう内部にとどまっている初期段階では、無症状のことが多く、もし発見されるとすれば、健診や人間ドック、その他の疾患で行われる腹部超音波検査だということです。そして、胆石症の一環として胆のう摘出術で偶然がんが発見されてよかったということも有るようです。
【胆のうがんの進行で現れる症状とは】
胆のうがんの初期の段階で発見されずに、進行した状態で出現する症状には、発症した場所と、転移する場所によりさまざまな症状がみられます。
〔胆のうがんの転移による症状〕
胆のうの壁は薄く、容易に周囲の臓器へ浸潤していきます。肝臓はもちろん、リンパ節にも転移します。
腹痛として右上腹部や心窩部、悪心、嘔吐が最も多くの見られる症状です。がんの伸展により胆道系の狭窄や閉塞が引き起こされ、皮膚の黄染、白色便、ビリルビン尿、かゆみなどの黄疸によるさまざまな症状がみられることが多いようです。
〔黄疸:胆道系に特徴的な黄疸〕
がんの進行に伴い、胆道系が閉塞されると、皮膚や眼球黄染の黄疸の症状が出現することがあります。鏡を見て白目の黄染がある時は、血液中のビリルビン上昇が疑われます。良性・悪性問わず、何らかの原因で胆道系の閉塞が起こっていることになります。医療機関を早めに受診してください。※黄疸の関するまとめは、今週初回のblogにまとめています。
胆のうがんでの閉塞性黄疸とは?
黄疸は、がん腫瘍の伸展に伴い、胆道系の狭窄や、閉塞が何らかの原因で胆汁のうっ滞が起きていることを示しています。小腸に流れなくなった胆汁が血液中の色素となるビリルビン濃度の上昇をもたらし、眼球(白眼の部分)の黄染や皮膚の黄染として現れた状態です。
日本人は、黄色人種のために、軽度の皮膚黄染での黄疸ではややわかりにくいこともありますし、眼球でも何となく黄色い?と感じて見えることもあるのではないでしょうか。閉塞性黄疸の症状は、尿の黄染や便の色にも出現します。尿にビリルビンが排泄されるビリルビン尿では、白色の便器に黄色みの色素が残ることや尿コップに排尿してコップの壁面に色素残りを見ることも出来るかも知れません。白っぽい便が見られるようになりますので、日常でのトイレの健康管理も非常に大切なのです。でも何らかの症状が気になる時は、早めに診察を受けるようにしてください。がん以外でも、前回のブログでお伝えしたように結石による黄疸もありますので、その鑑別は腹部超音波検査にて比較的容易に見分けることが可能です。
※関連ブログ:トイレチェック 健診結果を読む③ 尿検査(今日のプラスαに記載)
〔黄疸の時のかゆみのメカニズム〕
黄疸の時のその他の症状としてかゆみがあげられます。どうして黄疸が出現するとかゆみがでるのでしょうか?このことを調べてみました。
ビリルビンは、肝臓で代謝されますが、閉塞により代謝しきれずに血液中に流れ出します。ビリルビンは、皮膚の表皮と真皮との境界部分ある痛みに関係するC線維神経終末が刺激されかゆみを引き起こすそうです。
さらにビリルビン以外のかゆみの原因として、内因性オピオイドの関与あるそうです。大脳で生成される内因性オピオイドとして、かゆみを誘発するβ-エンドルフィンがあります。このβ-エンドルフィンが肝臓の炎症により生成されることにより、大脳にかゆみ情報を伝達する物質、求心性C繊維が作用し、かゆみが誘発されると考えられているそうです。このように人の体中では、さまざまなことが複数重複して起こっていることが再認識されます。
【胆のうがんの治療】
胆のうがんの治療は、胆のうの摘出術が第一選択とされます。しかし、進行具合により手術が出来ないことも少なくないとのことです。胆のうや周囲の臓器への浸潤、転移によりその進行具合により摘出が困難とされた場合には、抗がん剤や放射線治療となるようです。しかし、胆のうがんが、化学療法が効きにくいがんとされ予後はあまり期待できないようです。
〔早期発見が分かれ目、胆のうがんの予後とは?〕
胆のうがんの治療は、胆のう摘出術です。早期がんで摘出術が行われた場合は、95%以上の治癒率とされています。一方、胆のうがんの病期が、ステージ4Bとされる場合の5年生存率は、かなり厳しい状態となります。胆のうがんステージ4Bとは、がんの浸潤や領域リンパ節転移に関わらず、遠隔転移が見られる状態です。
〔胆のうがんのステージ〕
早期がんとは、Ⅰ期までの状態、胆のうの壁のいちばん側の部分となる「粘膜」にとどまるがんをいいます。胆嚢壁は、内側から「粘膜層」「固有筋層」「漿膜下層」「漿膜」となります。ステージの概略は下記に簡単にまとめました。
- 0期 : 上皮内がん 粘膜層までにとどまる
- 1期 : 胆のうの粘膜・固有筋層までにとどまっている
- 2期 : 胆のうの漿膜下層または肝臓と接している結合組織への浸潤
- 3A期 : 漿膜に浸潤して、肝実質、肝以外の1カ所の周囲臓器へ浸潤がある、リンパ節への転移がない
- 4B期 : リンパ節転移がある、遠隔転移はなく、がんが直接浸潤している範囲は、III A期までと同様
- 4A期 : 肝臓以外の周囲臓器 に2カ所以上の浸潤、リンパ節転移は問わない、門脈本幹または肝動脈浸潤がある
- 4B期 : がんの浸潤や領域リンパ節転移に関わらず、遠隔転移がある
胆のうがんステージ1では、胆のう摘出術でほぼ治るとされています。ステージ2以上では、胆のう周囲への浸潤がま見られるために、がんを取りきるためには、周辺臓器(肝臓、胆管、膵臓、大腸、十二指腸、リンパ節など)の切除が必要となります。
<胆嚢壁の構造>
1-3 知っていましたか?日本では胆のうがんの発見率が高い理由
胆のうがんは、がんの中でも関心が少ない、がんだと思われます。しかし、胆のうがんは、膵臓がんと同様に、症状が出現したら根治することが手強いとされるがんです。
【健診での発見率】
近年胆のうがんが、減少傾向だとも言われます。全体のがん死亡原因なかでも約5%とされ、日本では、比較的早期に発見されるケースが多いとされています。その理由は何なのでしょうか?
〔診断装置の開発力〕
人間ドックや健康診断での超音波検査実施率の向上があげられます。約30年超音波検査と関わりあって来て思うこと、その進歩にはめざましいものがあります。歳がバレそうですが、私が学生の時の病院実習での生理検査実習での超音波見学は、1時間足らずです。暗い部屋で、ブラウン管のモニターに映し出された「もやんとした画像」をみて終わり。その後、技師となり始めた頃の診断装置は、今から考えると比べ物にならないほどの画質でした。カラードプラーが初めて導入された診断装置は画期的な印象でしたが、その心エコーの画像も使い勝手も今とは比較のしようもないほどです。それほど、診断装置の技術進化は目覚ましいものがあり、早期発見に寄与しているということなのです。
〔超音波検査士の技術〕
日本の超音波診断装置の進化には、ほんとうにめざましいものがあると私は思っています。そして、その診断装置を駆使しようとする超音波検査士たちの努力も素晴らしいものがあると思っています。その結果が、胆のうがんの初期の発見件数にあらわれているのです。
腹部超音波検査での胆のうポリープの描出率は、5~6人に1人はいると言われるくらいよくある疾患なのです。ポリープ=がんではありません。前回まとめたようにその中の数%にがんが見られるということもあると認識してほしいということです。
胆嚢ほど、超音波検査に向く臓器はありません。簡便かつ、非侵襲的な検査手段だと、こよなく超音波検査が大好きな私は思っています。
【胆のうがんで行われる検査】
前回までまとめた検査とほぼ同様の検査が行われます。
黄疸や右上腹部痛などの症状があり、胆のうがんが疑われた場合、まず初めに血液検査と腹部超音波検査が通常行われます。腹部超音波検査で、閉塞性黄疸などの所見や、胆のうがん、腫瘤が描出された場合は、その他の画像検査も行われます。CTやMRIなどで、周囲への浸潤の有無を確認します。その他にEUS:超音波内視鏡を行う場合もあります。
〔腹部超音波検査〕
胆のうの病変を捉えることや、肝臓や膵臓などの周囲臓器への浸潤の有無や、リンパ節転移など、胆のうがんの拡がりを確認していきます。
胆管がんによく見られる閉塞性黄疸の検査では、閉塞場所を確認し、肝内胆管の拡張の程度も見ていきます。肝内胆管の拡張の程度を確認することは、次の段階での治療につなげるためでもあります。この場合の超音波検査は非常に有効で、診断効果が期待できます。
〔超音波内視鏡検査〕
内視鏡の先端に超音波装置をつけた装置にて行う。経腹エコーよりも消化管ガスの影響を受けないために良好な画像が得られる
〔CT:コンピュータ断層撮影〕
胆のうがんやの周囲への転移も含めてのがんの拡がり状況を確認していきます。造影剤CTでは、腫瘍と周囲との血流を確認することで、腫瘍がどの程度、周囲の臓器や血管への浸潤が推測していいます。
〔MRI検査〕
CTと同様、胆管拡張、腫瘤の存在部位や拡がりを確認していきます。造影剤や内視鏡を使わずに検査することができる利点があるとされます。
MRCP(磁気共鳴胆管膵管撮影):胆道、膵管の画像を構築する検査とされます。
〔内視鏡を用いた検査〕
- 胆道鏡検査:内視鏡を胆道内に挿入して観察する検査、細胞診、生検、治療を行う
- 内視鏡的逆行性胆膵管造影法(ERCP):十二指腸乳頭へ造影チューブを挿入し胆管を撮影する
〔検体検査〕
胆道系の閉塞を生じている場合には、生化学検査で、AST、ALT、ALP、γ-GTPなどの肝・胆道系酵素の上昇や、ビリルビン値が上昇します。胆のうがんに特異的ではありませんが、補助診断の腫瘍マーカーとしてCA19-9、CEAなどの検査がおこなわれることがあります。尿が黄色くなるビリルビン尿もみられることがあります。
生理検査アティテュード®からのメッセージ
【大丈夫?! ではありません!! 私が伝えたい3つの大丈夫】
ここで、2つの大丈夫ではないことをお伝えしておきましょう!
胆のうポリープの指摘を受けてときは、定期的な経過観察が必要です。
その1:大丈夫ではない?! ポリープのサイズが小さいから大丈夫?!
数も多く良性のコレステロールポリープだといわれたから大丈夫だと思い、その後まったく経過観察を行わなかったということもお勧めは出来ません。その理由は、がんでは無いという可能性がまったくないわけではないからです。胆のうに腫瘤性の病変があるということには変わりないからです。見た目には、限りなく良性だと思えるポリープでも、腫瘤ではあります。そのポリープの組織を確認したわけではありません。そして、胆のうの組織診をするには、胆のうを取りださなければならないわけで、それでは手術となってしまいます。ですから、超音波検査を主とする経過観察が勧められるわけです。
その検査は、健診でも腹部超音波検査があれば良いのです。ただし、受診は過去のデータがある同じ施設での検査がお勧めです。前回検査と、胆のう壁の状態やポリープの大きさや形状、数などの比較ができるからです。毎年転々と施設を変えることはあまりお勧めできません。
その2:大丈夫ではない?! 黄疸がないから大丈夫?!
そして、もう一つの大丈夫?!とは、黄疸が出ないうちは、肝臓・胆のう、そして胆道系の異常が無いということにはなりません。視覚化される黄疸以外でも、肝臓や胆のう、胆管がんはみられます。むしろ、黄疸という症状があらわれたら、深刻な状態だと捉えて、即刻、医療機関を受診してください。
〔閉塞性黄疸の前提〕
今回のテーマ 胆のう、胆道系疾患の最後に、超音波検査を担当する若い検査技師さんたちにお伝えしたいこと...
[前提に従う]
私は、かなり多くの閉塞性黄疸の超音波検査に、関わらせて貰うことが出来た技師の1人だと思っています。肝臓内部の胆管の拡張があきらかな時、そこには必ず「胆管拡張の原因があるという前提」があります。その前提を踏まえて、絶対に見えると信じることです。はい!信じるもの救われます。信じるものは見えるのです。
[観る前から諦めていませんか?]
検査対象となる方の外見に「見えないマスキング」をしていませんか?そして、プローベ(超音波を出す探触子)を当てた瞬間に、非常に描出条件が悪いとします、その瞬間に「見えないマスキング」がかかっているのではないでしょうか?
脳は、非常にシンプルです。五感を研ぎすませて検査を行ってみてください。人の感性ほど素晴らしいものはありません。心の目で観ることです。眼の前にあるものでも、見えなくなることはよくあります。脳が選択しなければそのものは見えません。真っ暗闇でも、自宅の室内ならば、歩けるのではありませんか?目を閉じていても目の前に必要な物があれば手にとることもできるのではないでしょうか?
その3:大丈夫では無い?!前回と同じだから大丈夫?!
上記でまとめたように、進行してしまった胆のうがんは根治が困難です。いかに早期で胆のうがんを発見出来るかが求められるということです。
言い換えると、そのファーストステップとなる検査、腹部エコーを担当する超音波検査士や臨床検査技師の技術に委ねられているということなのです。たかが超音波、されど超音波です。社会人の命を預かっているのだ、それぐらいの気構えでいて欲しいと切に願います。
2.胆管に発症する胆管がん
胆管がんとは、胆管に発生する悪性腫瘍、胆道がんの1つとなります。
【胆管がんとは】
胆管とは、肝臓で作られた胆汁を十二指腸へと流すための管となります。胆管は、肝臓内の細い肝内胆管から、左右の肝管に合流し、さらに総肝管からへと合流し、総胆管へと流れます。総胆管は膵頭部を通り、十二指腸乳頭部に開口します。胆管の発生部位により治療などの他処方がことなり、分類されています。
〔胆管がんの分類〕
- 肝内胆管がん:肝臓内の胆管に生じたがん
- 肝外胆管がん:肝管および総胆管に生じた癌。狭義の胆管癌。本項で解説)
- 乳頭部がん :乳頭部胆管に発症
【胆管がんの発生】
胆管がんは、胆管の内側の粘膜(上皮)から発生するとされる悪性腫瘍となります。肝内胆管がんは、胆管細胞がんとも呼ばれ、取扱い規約内では、肝内胆管がん(胆管細胞がん)は、肝臓内にできたがんとして、肝細胞がんと一緒に原発性肝がんとして取り扱われます。胆管がん、胆のうがん、乳頭部がんなど胆道にできるがんを総称して、胆道がんと呼びます。
〔胆管がんの発育〕
- 浸潤性発育 :肝外胆管がんで最も多く、胆管上皮から発生し、周囲へ浸潤していきます。
- 胆管内発育 :胆管の内側に、きのこ状盛り上がるよう発育する
- 腫瘤形成性発育:腫瘤を形成して発育する
肝外胆管がんは、1と2の発育形式となり、肝内胆管がんは、おもに3の発育となりますが、2や1の発育まれにあるようです。
【胆管がんの症状・診断・治療】
胆のうがん同様に、初期症状は見られず、がんの進行とともに、胆汁のうっ滞が起こり、黄疸症状がみられることで発覚することがほとんどです。
診断や治療は、胆のうがんのところでまとめたものと、同様の方法で症状にあわせて行われます。胆嚢壁の内部から発生したがんは、容易に深部へ浸潤し、進行した状態で発見されます。
<胆 管>
3.胆道がんのリスクを上昇させる膵胆管合流異常
胆のうがんのハイリスクとして、上記であげた、膵胆管合流異常を最後にまとめておきましょう。
【アジア系女性に多い、膵胆管合流異常とは?】
膵胆管合流異常とは、膵管と胆管が十二指腸に入る手前で合流している異常となります。生まれつきの異常となり、胆のうと胆管がんの大きく関与しているとされます。慢性膵炎などの障害の原因とされ、先天性胆道拡張症なども関わっているようです。
〔膵胆管合流異常が影響する理由〕
正常な状態では、括約筋が機能している状態では、膵液と胆汁が逆流することが無く、混ざり合うこともありません。膵管と胆管は個別に十二指腸に合流しています。しかし、胆管と膵管が合流しているために、胆汁と膵液が混ざりあうことになります。膵管から膵液が胆管内に流れ込むことや、両者が混合されることで、刺激性の強い物質が発生されることとなり、胆のうや胆管、膵臓にさまざまな影響を与えているとされます。
※関連ブログ:胆汁の貯蔵庫となる胆のうの機能
〔拡張型と比拡張型〕
胆管に膨隆がある「拡張型」と膨隆がない「非拡張型」の2つに分けられます。
[拡張型]
拡張型が合流以上の半数以上、乳幼児や子どもに頃に発見されることが多いとされています。膵液と胆汁との混合液が膨隆部分にたまり、スムーズに腸管に流れずに、炎症を引き起こし、腹痛、発熱、黄疸などの症状が現れます。
無症状のものは、成人してから偶然、健診などで行われた腹部超音波検査にて胆管拡張を指摘され、見つけられることが多いとされます。約2割にがんを発症するとデータが有るようです。
いずれも胆のうの膨隆部分と胆のうの切除の切除、胆管を腸管に繋ぎ直す手術がすすめられます。
[非拡張型]
非拡張型の場合は、胆のうの内部で膵液と胆汁とが混合された状態で貯まるとされます。拡張型のような症状が出にくいために発見されにくいタイプとなります。早期での発見が遅れるために約4割が慢性的な炎症からがんを引きおこすとされます。胆のう切除術が推奨されます。
〔膵胆管合流異常の症状その他〕
- 逆流により胆管炎や膵炎の原因となる
- 腹痛、黄疸、発熱、腹部腫瘤、嘔吐などの症状が出現
- 無症状のこともあり、成人後、健診などで判明することも
- 20~30歳代から胆道がんのハイリスクとなり、手術が勧められる
- 胆道拡張がみられものは先天性胆道拡張症と呼ばれ、ほぼ全例に膵胆管合流異常が合併する
来週は、Pure Medical attitudeのHealth blogは、おやすみいたします。次回は、連休あけ、5月7日を予定しています。またぜひご訪問をお待ちしております。
今日のまとめ
- 胆のうがんのハイリスクは、膵胆管合流異常
- 胆のうがんは早期で発見されやすい
- 早期で発見されない場合は、黄疸で見つかり、深刻な状態が多い
いよいよスタートしました!
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