元気&HealthのJunchanのblogにご訪問ありがとうございます。医療スタッフのメンタルパートナー かたよし純子です♪ 検査技師目線で簡単理解ができる健康情報を多くの人に届けたい、そんな目的で週3回発信しています。今週のテーマは、食中毒、月曜日は、食材選びと予防法をまとめました。今日は、O-157の原因、「細菌性食中毒」をまとめていきます。腸管出血性大腸菌は、病原性大腸菌の中でも毒性が強く、最悪の場合は命を落とすこともあります。細菌性食中毒の原因菌をまとめていきます。平成28年の食中毒死亡者14名もいます。特に小さなお子様や高齢者など抵抗力の弱いご家族がいらっしゃるご家庭のみなさま、必見です。(外部リンク 農林水産省、厚労省)

1.O157、細菌性食中毒から身を守るポイント3つ!

1-1  食中毒の原因は? 最も多い細菌性食中毒

1-2  細菌の種類により、潜伏期間も感染型細菌性食中毒

1-3  O157は、腸管出血性大腸菌の感染です

今日のプラスα

2.その他の細菌性食中毒の毒素型(食品内毒素型)感染症 

3.自然毒、寄生虫(アニサキス)による感染症

 

1.O157、細菌性食中毒から身を守るポイント3つ!

食中毒には、細菌によるものとウイルスによるもの、さらに化学物質や寄生虫などがあることを前回お伝えしましたが、最近によく聞く、O157の原因、細菌性食中毒からみていきましょう。

1-1 食中毒の原因は? 最も多い細菌性食中毒 

食中毒の原因として、注意したいのが細菌感染の「細菌性食中毒」です。好発時期は、気温が上昇する時期 6~9月にピークが見られます。ただし、前回もお伝えしたように、温度条件がよく、季節に関係なく発生しているのが現状です。農林水産省のリンクでも、夏場に多くみられます。

食中毒の原因には、前回のブログでもお伝えしたように、ウイルスから化学物質、自然毒と、さまざまなものがあります。前回のおさらいです。

食中毒のおもな分類

<食中毒の分類>

今日は、先日死亡事故につながった、病原性大腸菌O-157にフォーカスして、まとめていきましょう。そして、プラス情報は、アニサキスやこれからの季節、秋の味覚 きのこなどの自然毒、忘年会シーズンに食べることも多い、ふぐ毒も自然毒に含まれます。

【細菌性食中毒の種類】

細菌性食中毒は、感染型と毒素型に分けられます。

〔感染型食中毒〕

摂取した食品に付着した細菌が、腸管内でさらに増殖して発症します。もちろん摂取前に食品中での増殖も関係します。腸内での増殖が関係することから、体調、つまり腸内環境を日常から整えておくことも予防につながります。

おもな細菌には、サルモネラ菌、カンピロバクター菌、腸炎ビブリオ菌、病原性大腸菌(腸管出血性大腸菌)、ウェルシュ菌、セレウス菌などがあります。おもに、魚介類や食肉、鶏卵などから感染しますので、これらの食材の生食は注意が必要です。

〔毒素型(食品内毒素型)〕

食品内で原因細菌が増殖する時に産生される毒素がある場合があります。その食品を摂取することで、産生された毒素により発症する食中毒です。すでに産生された毒素が直接影響を与えるために、感染型に比べて、発症までの潜伏期間が短いのも特徴です。おもな原因菌には、黄色ブドウ球菌、ボツリヌス菌などがあります。食品を加熱することで殺菌はできても、熱に強い毒素が食品内に残った場合は、食中毒を発症することもあります。

食品の摂取から発症までの潜伏期間は、原因菌の種類や原因物質によりさまざまな様相となります。

 

1-2 細菌性食中毒 感染型

いちばん種類が多い、細菌性食中毒をざっくりとまとめていきましょう。細菌性食中毒は、感染により、体内増殖した細菌が病原性をもつことにより発症します。食中毒は、菌によりおよそ0.5時間~8日間というようにさまざまな潜伏期間があります。

【サルモネラ属菌】

〔サルモネラ菌の特徴〕

サルモネラ菌による食中毒は、夏場に多くみられます。海外からの菌の増加でサルモネラ菌の種類も増加しているようです。低温や乾燥に強い性質がありますが、熱や消毒剤への抵抗性が弱いという性質があります。子どもや高齢者は、微量のサルモネラ菌でも感染する可能性があるので、特に注意が必要とされています。

〔サルモネラ菌おもな感染原因〕

サルモネラ菌は、おもに食肉や鶏卵、ペットからも感染します。牛や豚、鶏、猫や犬などの腸の中にいる細菌です。牛・豚・鶏などの食肉、鶏卵などが原因食品となるほか、ペットやネズミなどから食物に菌が付着する場合があります。

鶏卵は、殻だけでなく卵の中にもサルモネラ菌が確認されることがあるため、卵にしっかりと熱を通すこと、半熟は、新鮮な鶏卵を使い、調理後早めに食べるようにする。手作りのケーキやマヨネーズによっても食中毒が引き起こされることがあるとされています。その他、サルモネラ菌に汚染された食肉の調理中の二次汚染も他の食中毒菌同様に原因となります。

また、ペットとして飼育している動物(犬、猫、ネズミ、爬虫類など)にもサルモネラ菌は存在しますので、これらの糞尿から感染するケースもあります。

[食品からの感染予防]

鶏卵の保存は、冷蔵庫、生食を避け、鶏卵や食肉はよく加熱する。調理器具は、熱湯や消毒剤で殺菌する。生肉に触れたときは、手洗いをしっかり行う。調理後はなるべく早く食べる。

[接触からの感染予防]

調理前やトイレの後は、しっかり手洗いと手指の消毒を行う。(正しい手の洗い方 厚労省外部リンク)ペットなど動物に触ったあと、糞尿処理をしたときは、手洗いをしっかり行う。サルモネラ菌には、消毒用エタノールや次亜塩素酸ナトリウムなどが有効とされますので、意識的に使用しましょう。

〔サルモネラ菌症状と対応〕

サルモネラ菌は、およそ半日~2日間の潜伏期間を経て、激しい胃腸症状が見られます。臍部周辺の激しい腹痛、嘔吐、発熱、下痢、38~40度近い発熱、下痢は水のような便、血や膿が混ざることもあります。通常、このような状態が3~4日続き、症状は緩和されますが、1週間程度ひどい状態が続く場合もあるようです。

子どもや高齢者は、重症化して、細菌性髄膜炎などの原因となる菌血症を引き起こすこともありますので、注意が必要です。発熱、下痢などの症状が強い場合には脱水を起こしますので、点滴による治療が必要となり、場合によっては入院が必要になることもあります。

【カンピロバクター菌】

〔カンピロバクター菌の特徴〕

乾燥に弱く、通常の酸素濃度より薄い環境を好み、31~46℃の温度域で増殖し、少量の菌でも発症するのが特徴です。おもにニワトリ、豚、牛、犬、猫、水鳥などがあらゆる動物が保有しています。鶏肉からの感染が多く見られ、そのほとんどが生食や加熱不足が原因です。

〔カンピロバクター菌おもな感染原因〕

食肉、特に鶏肉からの感染が高い細菌です。牛や豚、鶏、猫や犬などの腸の中に存在し、ペットからの感染や飲料水も感染源となるとされています。この細菌が付着した肉の生食、加熱不良で摂取することにより食中毒を発症します。

肉の調理時の十分な加熱処理する、特に鶏肉の調理時、包丁やまな板など調理器具を介して生野菜などへの二次感染が原因です。食肉を扱った後の調理器具を洗うことで感染を防ぐことができます。

〔カンピロバクター菌症状と対応〕

感染後、潜伏期間は、1~7日間ほど、腹痛、下痢、熱、嘔吐のほか、水のような下痢が主な症状です。初期症状では、発熱や頭痛、筋肉痛、倦怠感などがみられます。重症化すると大量の水様性下痢が生じます。腹部が張る症状もみられます。頭痛や血便を併発する場合もあります。

神経疾患であるギラン・バレー症候群など、重篤な合併症状を引き起こすこともあるようで、注意が必要です。子どもや高齢者など抵抗の低い人、免疫力が低下している人は、重症化することもありますので、神経症状が現れたら早めに医療機関を受診してください。

通常、1週間程度で自然に回復することが多く、下痢や発熱による脱水症状に対して、常温の水か白湯、スポーツドリンクなど、ミネラルを含む水分を摂取しましょう。症状が落ち着いてきたら、おかゆなど消化のいい食事で様子を見ます。食中毒の原因は自分ではなかなかわかりにくいので、誤った処置をしてしまいがちですが。水分補給と安静で改善が見られない場合は、なるべく早めに医療機関を受診しましょう。子どもの脱水はとくに危険で、急激に悪化することがありますので早めに診療機関への受診することをお勧めします。

下痢止めに含まれる腸管運動抑制剤は、腸内に細菌類を閉じ込めてしまうため、安易な服用は注意が必要です。

【腸炎ビブリオ菌】

〔腸炎ビブリオ菌の特徴〕

腸炎ビブリオ菌は、海水や海中の泥に常在する細菌で、海洋細菌とも呼ばれ、温かい気候の時に水揚げされた魚介類に付着していることが多く、夏場に多い食中毒菌です。海水の温度が20℃以上になると増加する傾向にあり、増殖がかなり速い細菌です。

〔腸炎ビブリオ菌おもな感染原因〕

腸炎ビブリオ菌は、おもに魚介類、刺身からの感染ですが、真水では生きられないため、水道水で洗うことで、菌は減少し、加熱処理で確実に死滅します。刺し身など、未加熱の魚介類を摂取した後に強烈な腹痛や下痢の症状が現れ、とくに夏場ならば、強く腸炎ビブリオ菌による食中毒を疑います。皮膚の傷口から感染する場合もあるため、海水浴など、傷口が海水に接触した後に、腹痛や下痢の症状が出た場合も、腸炎ビブリオ菌の感染が疑われます。

魚介類は5℃以下で低温保存し、調理する際は必ず真水でよく洗い、十分な加熱処理を行います。刺身は、新鮮なうちに食べきり、夏場の魚介類の摂取に注意をすることが大切です。魚介類で使用した調理器具は、すぐに洗剤を使って洗浄し、他の食材と分けて使用することが感染防止に繫がります。

〔腸炎ビブリオ菌の症状と対応〕

潜伏期間は、約10~20時間、激しい腹痛や下痢、嘔吐が見られます。まれにしびれやチアノーゼがみられることもあります。通常、2~3日で自然治癒し軽快します。下痢や嘔吐に伴い、脱水症状をおこしやすいため、水分補給をしっかり意識し、通常よりも多めに摂取するようにしましょう。

免疫力が低い子どもや高齢者、肝疾患を患っている方などは、まれに敗血症を発症することがあります。最悪の場合は死に至るケースもあるため、感染が疑われた場合は必ず医療機関を受診しましょう。

腸炎ビブリオ菌による食中毒は、予防することで感染リスクを下げることができます。

【病原性大腸菌】

ここでは、腸管出血性大腸菌以外の病原性大腸菌として、まとめておきます。腸管出血性大腸菌O157は、次のところで詳しくまとめていきます。

〔病原性大腸菌の特徴〕

O157も病原性大腸菌のベロ毒素をもつ腸管出血性大腸菌ですが、腸管出血性大腸菌以外の病原性大腸菌は、あまり強く症状がでることが無いようです。

〔病原性大腸菌おもな感染原因〕

多種の食品、食肉や井戸水がおもな感染源です。加熱不足の食肉や食材、殺菌されてない井戸水や湧き水なども原因になりやすいです。菌を持っている動物の糞に汚染されている可能性があるためです。生野菜が原因になることもあり、よく洗ってから摂取することが大切です。

生肉が感染源として多く、調理後はよく手を洗い、調理器具からの2次感染にも注意が必要です。生肉に使った包丁で切った調理済みの食品も原因になります。生の肉汁が、生食する野菜や、調理済みの食品にかからないようにします。食肉の加熱は、しっかりと行い、中心部までしっかり加熱をする。

また、病原性大腸菌は、人から人の感染、下着やタオルからでも感染の可能性があります。

〔病原性大腸菌の症状〕

食後12~72時間で、腹痛、下痢で発症し、発熱、嘔吐も認めることがあります。腹痛は強いことが多いようですが、軽い場合もあるようです。膿粘性血便をともなう下痢を多く認め、回数も多いようです。通常4~8日で軽快します。

【腸管出血性大腸菌 (O157やO111など)】

次のところでしっかりとまとめていきますので、ここは、簡単に。

〔菌の特徴〕

牛や豚などの家畜の腸の中にいる病原大腸菌の一つで、O157やO111などがよく知られています。毒性の強いベロ毒素を出し、腹痛や水のような下痢、出血性の下痢を引き起こします。

〔おもな感染原因〕

腸管出血性大腸菌は食肉などに付着し、肉を生で食べたり、加熱不十分な肉を食べたりすることによって食中毒を発症します。

〔症状と対応〕

潜伏期間は約3~9日で、出血性大腸炎をともなう激しい下痢があります。高熱が起こることはまれですが、免疫力の弱い乳幼児や高齢者などは合併症を引き起こし、重症化するケースも見られ、死に至る場合もあり適切な対応が望まれます。

【ウェルシュ菌】

〔ウェルシュ菌の特徴〕

ウェルシュ菌は、人や動物の腸管や土壌、水中などに広く生息しています。酸素のないところで増殖し、芽胞を作るのが特徴です。ウェルシュ菌は、煮沸を1時間以上行っても死滅しないという特徴もあり、加熱処理をした食品でも、常温放置で菌は増殖します。食品では、牛肉、豚肉、鶏肉などの食肉や魚から多く検出されます。

ウェルシュ菌による食中毒は、給食施設などで大量に調理されるカレーやスープなど、具材が酸素に接触する機会が少ないという状況が増殖の好条件になり、集団感染の原因菌になりやすい細菌です。ウェルシュ菌の酸素のないところでの増殖を好み、熱で死滅しない特徴によるものです。食中毒としての症状は軽くても、発生規模は大きくなりがちなことが特徴です。

〔おもな感染原因〕

食肉・魚介類・野菜などを使用した調理品からの感染が多い菌です。カレー、煮魚、麺のつけ汁、野菜の煮物など煮込み料理が原因となることが多く、大量に作ったカレーやスープなどは特に注意が必要です。時間をかけて煮込む時、中心部の酸素が少ないために菌増殖の好条件となります。肉類の調理に特に注意し、加熱調理した食品はすみやかに冷却して、室温に長時間放置しない、再加熱する際は、十分に加熱をして早めに食べることが基本ですが、ウェルシュ菌は、加熱による予防はできません。カレーやスープなどは、調理時に必ずよくかきまぜることが最善の予防です。

ウェルシュ菌は、酸素を嫌い、空気のあるところでは増殖しないという性質を考慮し、底の浅い容器で全体が酸素と触れるように混ぜることをお勧めします。増殖を防ぐためにも、前日の作り置きはできるだけ避け、調理済みの食品を何日も常温で放置することは厳禁です。

〔ウェルシュ菌症状と対応〕

ウェルシュ菌の感染は、食後6~18時間で発症、症状は軽い腹痛や下痢をくり返すのがおもな症状です。回復も比較的早く、1日ほどで治まります。嘔吐や発熱はほとんどなく、食中毒の症状としては軽いほうと言えます。摂取後24時間以降に発病することはほとんどありません

ごくまれに、視覚障害や分泌障害、しゃべりづらくなるなどの症状が出ることもあり、一概に安心することはできません。

【セレウス菌】細菌性食中毒:下痢型、毒素型(食品内毒素型)食中毒:嘔吐型

〔菌の特徴〕

セレウス菌は、河川や土の中など自然界に広く分布している細菌です。土がつきやすい穀類や豆類、香辛料などがおもな感染源でチャーハンやスパゲティ、スープなどが原因食品とされています。セレウス菌は、熱に強く、加熱による殺菌が難しいのが特徴です。

セレウス菌食中毒には、細菌性食中毒の下痢型と毒素型食中毒の嘔吐型があります。セレウス菌嘔吐型は、毒素型(食品内毒素型)食中毒に分類されます。

〔おもな感染原因〕

細菌性食中毒の下痢型は、あらゆる食品が原因になります。セレウス菌はあらゆる所に存在していますので、キッチンを清潔に保ち、ホコリの中にいる菌が食品に付かないようにフタやラップをするようにします。

毒素型食中毒の嘔吐型は、チャーハン、ピラフ、焼きそば、スパゲッティなどが原因になりやすいく、感染することが多い食中毒です。

大量の米飯やめん類の作り置きは避けたほうが安全です。米飯やめん類の保存は、小分けして、速やかに冷蔵庫や冷凍庫で保存をするようにしてください。

〔症状と対応〕

細菌性食中毒の下痢型と毒素型食中毒の嘔吐型と、症状が現れる潜伏期間でことなります。下痢型の場合、食後8~16時間で、腹痛、下痢をおこします。少量では発症しないため、菌を増やさないことが大切です。下痢か嘔吐どちらかの症状が現れるのが特徴ですが、潜伏期間が短いときが毒素型です。毒素型食中毒では、潜伏期間が短く、食後30分、1~5時間後、吐き気、嘔吐、腹痛の症状が出る場合が多いといわれます。小腸の中で菌が作った毒素が原因です。菌が食品中で作った毒素が原因で、日本では嘔吐型が多いとされています。

食中毒原因一覧

<おもな食中毒菌と原因>

 

1-3  O157は、腸管出血性大腸菌の感染です 

大腸菌は、動物や私たちの身体の腸の中にも多く存在していて、ほとんどのものは無害です。この大腸菌のうち、下痢などをおこす一部の菌は、病原性大腸菌と呼ばれ、O157は、代表的な病原性大腸菌となります。

【毒素をもつ腸管出血性大腸菌のなかのO157

病原性大腸菌は、6種類に分類されます。症状や菌の病原因子により分けられ、ベロ毒素をつくり、出血を伴う下痢を起こすものを腸管出血性大腸菌といわれています。

さらに、大腸菌の表面型で分類され、よく聞かれるのが、O157というわけです。O157のほかに、O111、O26などがあります。

【O157の特徴】

O157には、主に以下の3つの特徴があります。

〔強力な感染力〕

O157は、非常に強い感染力があり、たったの100個で感染するといわれています。そのため、O157の菌を検出するのは、かなり困難だとされています。ちなみに、サルモネラ菌での食中毒は、100万個以上の細菌が体内侵入しなければ発症しません。

〔強い毒性、ベロ毒素〕

ベロ毒素を大腸内で作り出し、毒素により、溶血性尿毒症症候群(HUSを合併することがあり、まれに死亡につながるケースもあります。免疫力の弱い子供や高齢者は、とくに重症化しやすく、注意が必要です。

腸管出血性大腸菌は、O157をはじめ、O26、O111、O128といった種類もあります。出血性大腸炎が特徴となる症状で、激しい腹痛、出血をともなう激しい下痢、頻回の水様便などの症状のほか、毒素による、溶血性尿毒症症候群に伴う、貧血、腎障害、脳障害などの症状が特徴です。

[溶血性尿毒症症候群(HUS)とは]

溶血性尿毒症症候群は、腎臓や脳などのへの症状が見られます。毒素が血中に入り込むと、赤血球や血小板を破壊します。貧血や血小板と減少を引き起こし、急性腎不全を招きます。また脳に症状が現れると、けいれんや意識障害など症状がみられることもあります。

〔長期にわたる潜伏期間〕

潜伏期間4~9日間と比較的長く、大腸内で菌の増殖と、毒素をつくりだします。そのため、早い段階での感染源の特定ができず、O157の感染経路を見極めることが難しくなり、感染範囲が拡大されてしまうこともあります。

【腸管出血性大腸菌は人から人の感染経路】

O157を含む病原性大腸菌は、肉や魚介類、家畜の糞、飲料水などに幅広く生息しています。O157は、人から人への感染経路を持つことも特徴、食品からの感染のほか、感染者の便などに含まれる大腸菌からも感染します。

食肉の加熱不足、殺菌されてない井戸水や湧き水も菌を持っている動物の糞に汚染されている可能性あり危険です。生野菜の細菌付着が原因になることもあります。肉に使用した調理器具からの2次感染による、調理済みの食品も原因になります。

【殺菌や手洗いが基本、 感染を防ぐためのポイント】

〔熱に弱い〕

腸管出血性大腸菌は、感染力の強い細菌ですが、熱には弱いです。75℃で1分間以上加熱することを目安として記憶して、で殺菌してください。

〔手洗いの励行〕

O157は、人から人への感染をします。予防には手洗いが最も大切です。排便後や食事の前はもちろんのこと、特に下痢をしている乳幼児や高齢者の世話をしたときには、石けんと流水で、正しい洗い方でよく手を洗うことを意識してください。石けんをちょっとつけて、水洗いしてしまうと、逆に細菌をふやしてしまうという報告も聞いています。

健康な状態で、外からの菌を持ち込むこともあり、子どもや高齢者に菌を移すこともあります。日常から、調理の前後は、注意する習慣を身につけておくことが大切です。食事前やトイレ使用後の手洗いを意識的に行なうことや、さまざまな施設に最近良く置かれている消毒用エタノールなどを利用することも感染予防に役立ちます。

免疫力の低い子どもや高齢者は、感染すると発症しやすく、重篤な状態に陥りやすく、家庭内で感染予防に心がけましょう。

〔感染者からの感染を防ぐ〕

タオルや下着からも感染しますので、症状のあるときは、意識的に別々のものを使うようにしましょう。感染者が使用した、パジャマやリネンは、家庭用漂白剤に浸漬してから洗濯するようにしましょう。糞が付着した下着類は、消毒用薬液に浸してから洗濯します。食器類は、洗剤と流水であらいます。

入浴は、浴槽を避けシャワーで済ませましょう。風呂を使用する場合には、水を毎日交換して、バスタオル等は、必ず別して共用は避けます。小さな子どもの場合は、これらのことにとくに注意が必要です。

感染者が使用した、トイレの清掃はもちろん、ドアノブや手を洗った蛇口やタオルも同様です。消毒液で服用にしましょう。タオルの使用から、できればペーパータオルを使うことも2次汚染防止につながります。 

【O157の症状は?】

特徴のところでもお伝えしましたが、

  • O157感染症は、全く症状がないものから軽い腹痛、下痢のみで終わるもの、頻回の水様便、激しい腹痛、著しい血便を伴う出血性大腸炎の症状を呈するもの、重篤な合併症を伴うもの、さらに死に至ることもある深刻な感染症です。
  • 感染者の多くの場合約半数は、約3~5日の潜伏期間のち、頻回の水様便で発病します。激しい腹痛、出血性大腸炎の特徴である著しい血便など。発熱は、ほとんど一過性で終わります。
  • 血液検査所見は、合併症が始まるまで特徴的な症状はなく、軽度の炎症所見のみ。出血性大腸炎の場合は、腹部超音波検査で、著名な大腸壁の肥厚が見られることが特徴的です。
  • O157感染者の約6~7%に、溶血性尿毒症症候群、脳症などの重症合併症を発症するという報告があります。下痢などの初期症状から数日~2週間以内(多くは5~7日後)に、激しい腹痛と血便を認めた場合、その数日後にこれらの重症合併症を起こすこともあるとのことです。
  • 抵抗力のない子どもや高齢者では、ベロ毒素で重症化しやすく、HUSの症状がみられることもあります。赤血球、血小板が破壊され貧血や皮下出血やあざなどの症状、腎障害を伴い、尿量が減る。脳症のけいれんなどの症状が出ることがあり、最悪の場合は、死にいたります。

O157による食中毒の主な症状は出血性の下痢なので、主に下痢に対する治療を行います。菌を増やさないように抗生物質を投与し、安静を保ちます。水分補給を行いながら消化にいい刺激の少ないものだけを食べるよう指導されます。下痢による脱水症状がひどいときには、点滴を行うこともあります。下痢止めはO157菌を大腸内に残してしまうことになるため、使いません。

【O157もしっかり予防しましょう】

他の病原菌と同様にO157も熱や消毒剤で死滅できます。一般的な食中毒と同じ方法で感染を限りなく防ぐことができます。食品は、加熱が大原則です。調理後すみやかに食べきり、長期保存をしないこと。キッチンを清潔にして、手洗いは大原則、調理器具を清潔に保ち、肉類と野菜類と分けることも大切です。

メニューを考えて、食材を意識し、調理手順を考えながら行なうことは、脳トレにもつながりますよ。効率的で安全な手順を意識して楽しくお料理を楽しむこともできますよね。

O157が報道されたので、別にまとめましたが、基本は、前回の予防法です。食の安全は、家族の笑顔につながります。怖がらずに習慣化することが自然に食の安全につながるのではないでしょうか。寒くなるとウイルスも心配な季節ですが、基本は、手洗いですよ

 

2.その他の細菌性食中毒の毒素型(食品内毒素型)感染症 

細菌性食中毒の毒素型(食物内毒素型)の菌、セレウス菌のところでも触れましたが、もう少ししっかりとまとめておきたいと思います。毒素型は、食品内で原因菌が増殖する時に産生された毒素が蓄積され、その毒素を摂取することで発症します。感染型に比べて、潜伏期間が短いことが特徴です。

【黄色ブドウ球菌】

〔黄色ブドウ球菌の特徴〕

ブドウ球菌は自然界に広く分布し、その中で病原性が強く、代表的な毒素型食中毒菌の原因菌となるのが、黄色ブドウ球菌です。ヒトの鼻、皮膚、のどにもいる菌で、特に化膿した傷口に存在し、耐熱性毒素エンテロトキシンを産生します。健康な人の約30%は黄色ブドウ球菌を保菌しているといわれています。黄色ブドウ球菌は加熱により簡単に死滅しますが、食品中で一度産生された毒素、エンテロトキシンは100℃、30分の加熱でも無毒化されません。酸性やアルカリ性の環境でも増殖し、乾燥にも強いという性質があります。

〔黄色ブドウ球菌のおもな感染原因〕

おにぎり、すし、お造りなど、調理されたサンドイッチ、弁当が発生源になることが多いとされています。皮膚常在菌が食品へ移行し食品表面で増殖、毒素を産生します。とくに、調理する人の手や指に傷があり、傷口が化膿している場合、食品汚染される可能性が高くなります。細菌汚染された食品中で菌が増殖し、毒素がつくられ、摂取することで食中毒を引き起こします。

〔黄色ブドウ球菌の症状と対応〕

潜伏期間が短く約1-5時間で、耐熱性毒素のため調理加熱程度で不活化できません。嘔吐、下痢、腹痛、筋肉痛などの症状が現れますが、24時間以内に回復することがほとんどのようです。

【ボツリヌス菌】

〔ボツリヌス菌の特徴〕

ボツリヌス菌による食中毒は、死に至る場合もあるといわれる細菌で、今現在明らかとなっている自然界の毒素において最強レベルであるとされているそうです。ボツリヌス菌による食中毒の発生は、食品衛生法に基づき届け出が必須となります。

ボツリヌス菌とは、嫌気性菌で自然界の土壌または海など泥砂の中に分布しています。熱に強い性質があり、低酸素状態の環境(土壌の中など)におかれると発芽や増殖が活発化され、毒素を産生します。ボツリヌス毒素自体は熱分解しやすく、pH 4.5以下の酸性に保つことで、毒素の生産を抑えることができます。

〔ボツリヌス菌のおもな感染原因〕

ボツリヌス菌は、低酸素の状態で繁殖をするため、発酵食品、いずし類、真空パック食品、缶詰、瓶詰めや、海外では、ハム、ソーセージなどが食中毒発生の原因となっています。とくに、自家製のビン詰めや缶詰は危険です。自宅で缶詰、びん詰めを作る際は、原材料の洗浄、加熱殺菌の温度、そして保存方法にも注意が必要です。保存は、3℃未満の冷蔵、-18℃以下で冷凍保存を徹底します。

レトルト食品や缶詰は、120度で4分以上の加熱処理が行なわれていますが、「加圧加熱殺菌」という表示が無いもの、「要冷蔵」「10度以下で保存」という表示の食品は、十分な加熱処理がされていないことがあります。このような食品からも食中毒が発生しています。食品表示を確認して、必ず冷蔵保存し表示された期限内に消費することが大切です。

〔食べる前に確認する、加熱する〕

缶詰や真空パックが膨張している、異臭がする場合は、当然廃棄です。また、食品を過信せず、食べる直前に80℃で30分または、100℃で数分加熱をすることで、ボツリヌス菌による食中毒は予防できます。

ボツリヌス菌は、呼吸困難などを引き起こし、高率での死亡が認められています。特に気をつけなければならない食中毒です。

〔ポツリヌス菌の症状と対応〕

ボツリヌス菌の毒素がついた食品を摂取してから8~36時間以内、嘔吐や視力障害、ものが飲み込みにくい、発音がうまくできないなど言語障害、筋肉麻痺による神経症状、重症の場合は、呼吸麻痺を発症し、死に至ることもあります。

ボツリヌス菌の毒素がついた食品を摂取してから、毒素型としては比較的潜伏期間が長く、約4~36時間、嘔吐、視力障害、めまい、頭痛などが起こり、神経障害や重症の場合は、呼吸困難をともなうこともあります。早い段階で抗毒素血清の投与が必要となります。

人から人への感染ありません。エアロゾルを吸引することでも、気道感染し、発症する場合があり、エアロゾルの吸引の場合は24~72時間とされています。

〔乳児ボツリヌス症〕

1歳未満の乳児が発症する乳児ボツリヌス症があります。先日、はちみつで死亡した乳児が報道され、記憶にまだ新しいのではないでしょうか。ボツリヌス菌は、はちみつにも含まれ、乳児に与えることは厳禁とされています。意外に知られていないのかも知れません。

乳児の場合は、ボツリヌス菌の芽胞が体内に侵入し、腸で繁殖することでボツリヌス症が起きるとされています。症状は、ひどい便秘状態が数日間続く、全身の筋力が弛緩して麻痺を起こします。

乳児ボツリヌス症の予防は、1歳未満の乳児には、はちみつなどボツリヌス菌に汚染が疑われる食品を与えないことです。

 

3.自然毒、寄生虫(アニサキス)による感染症

その他の自然毒、寄生虫摂食による食中毒もまとめていきますね。

【自然毒】

自然毒は、植物や動物に存在する毒素の摂取により発症する食中毒です。

〔植物性自然毒〕
  • 毒キノコ
  • じゃがいも:ソラニン
  • 青梅   :アミグダリン

などがよく知られます

〔動物性自然毒〕
  • ふぐ         :テトロドトキシン、
  • 毒カマス(オニカマス):シガテラ

詳細は、自然毒リスクファイル 厚生労働省サイトをどうぞ。

【アニサキス】

今年メディアでも取り上げられていた、アニサキスも寄生虫ですが、食中毒として注意が必要です。

〔アニサキスの特徴〕

アニサキスは、寄生虫(線虫)の一種で、その幼虫、アニサキス幼虫は、長さ2~3cm、幅は0.5~1mmくらいで、白色の少し太い糸のように見えます。目視出来るという、この点は細菌やウイルスとは異なります。冷凍(-20℃で24時間以上)や加熱調理(中心温度60℃で1分以上)でアニサキス幼虫は死滅します。

〔アニサキス症のおもな感染原因〕

アニサキス幼虫はサバ、イワシ、カツオ、サケ、イカ、サンマ、アジなどの魚介類に寄生しています。アニサキスの幼虫が寄生している魚介類を摂取することで、体内に侵入したアニサキス幼虫が人の胃や腸に刺入することでアニサキス症を発症します。

魚介類の内臓に寄生しているアニサキス幼虫は、鮮度が落ちると内臓から筋肉に移動するといわれています。

自家製など冷凍処理されていないシメサバによるアニサキス症が多く報告されています。シメサバを作る場合は、できるだけ早く内臓や内臓周りの筋肉を除去することで、アニサキスに感染する確率を下げることができます。

海産魚介類を生で食べる場合は、目でよく見てアニサキス幼虫がいないことを確認してください。もっとも有効な予防方法は冷凍処理を行うことです。通常量の酢、醤油、塩、わさびの量や濃度、処理時間ではアニサキス幼虫は、死にません。アニサキス幼虫は、魚の鮮度が落ちると内臓から筋肉に移動します。新鮮うちにできるだけ早く内臓を除去し、十分に洗浄することで感染の確率を下げることができます。魚の内臓を生で食べることは避けてください。

〔アニサキス症の症状と対応〕

アニサキス幼虫が寄生している生鮮魚介類を生で摂取することで、アニサキス幼虫が胃壁や腸壁に刺入してアニサキス症を引き起こします。アニサキスの寄生(刺入)場所により、摂食からの発症時間や痛みの場所が異なります。

  • 胃アニサキス症:食後、数時間~10数時間、みぞおちの激しい腹痛、吐き気、嘔吐。
  • 腸アニサキス症:食後10数時間~数日後に、激しい下腹部痛、腹膜炎症状をおこすこともあります。

多くが急性胃アニサキス症です。魚介類の摂取後、激しい腹痛があり、アニサキスによる食中毒が疑われる際は速やかに医療機関を受診してください。

アニサキス症は、鮮度、目視、冷凍・加熱で予防できます。魚に寄生している幼虫は、丸まっているためによほど気をつけて確認しないと、分かりづらいとされています。メディアで言われていた、予防法は、よく噛むこと、つまりはアニサキス幼虫を噛み砕いて予防すると言われていましたが…そこまでして食べたいかなぁ…と思いました。。。

※関連サイトアニサキスによる食中毒を予防しましょう 厚生労働省

次回、最終回は、初冬から増えはじめる、ウイルス性食中毒 をまとめていきます。またぜひPure Medical attitude のHealth blogへご訪問ください♡

 

9月・10月 開講 Health workshop

9月に健康寿命延伸に向けて、生活習慣改善プログラミング

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健康管理士で臨床検査のエキスパート臨床検査技師、そして脳科学のNLPトレーナーだから組めるプログラミングがあります。コーチングを駆使して、あなたにあったゴールイメージへのプログラミングです。

〔日 時〕両日、同じ内容です。ご希望日をお伝えください。

  • 1回目 9月18日(月・祭) 終了
  • 2回目 10月22日(日)

※イベント情報こちらから、詳細は折り返しご連絡します。

 

今日のまとめ 

  • 手洗いは、大体の食中毒の予防になる。
  • 細菌を付けないことは前提だが、ついていると思って食材を扱うことが2次汚染も予防する。
  • 食べるだけつくり、時間を置かないことが最善の予防法。
  • 缶詰、瓶詰め、レトルト食品を過信しない

 

<Pure Medical attitude 関連blog>

今週のblog

『食中毒を知る』 2017.9.18~
『健康寿命につながる栄養素』 2017.9.4~2017.9.15
『エネルギーと代謝』 2017.8.28~2017.9.1
『身体がみえる臨床検査』 2017.7.17~8.4
『夏の健康生活』 2107.6.19~6.23
<関連サイト>

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みなさまのお声を楽しみにしております。

今日も最後までありがとうございました。

 

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Pure Medical attitude 

代表 かたよし純子 Junchan♪  ※自己紹介はこちらから

臨床検査技師/超音波検査士/健康管理士一般指導員/健康管理能力検定1級

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